疼きの原因が親友な訳

itti(イッチ)

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お前は俺のもんだゼ

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  俺の耳が壊れて無ければ、今確かに[ボーイフレンドの]と言った気がする。
どう見たって男。
ピンクの髪をしているが、背の高さは俺と同じぐらいだし。顔は、悔しいけどアイドルっぽくてカッコイイ。

「修斗くんて...」と、俺が戸惑っていると、「あー、コイツ帰国子女で、友達のこといちいちボーイフレンドとかガールフレンドって言うんだ。只の友達だから。」

そう言われてホッとした。
でも、どうして一緒に居るんだ?東京からわざわざ遊びに来たのか?

「こういう田舎って来た事ないんだよね。楽しそうだから付いて来ちゃった!」
修斗くんがそう言ってアタルの肩を掴むと引き寄せる。

……アレ?
なんかムカつく。

「勇人、昼飯どこで食べる?」
肩に置かれた手を払い除ける訳でもなく、普通に聞いてくるアタルに、俺はちょっとだけ不信感を抱いた。

「二人だから、MACでいいと思ってたんだけど。」
「修斗、それでいい?東京も変わんないけどさ。」
「うん、いいよ。晩はアタルの家で食べるんだし、昼は軽くても。」

「え?……修斗くん、アタルの家に泊まるの?」

俺は今しがた耳にした言葉を確かめる。

「泊まるよ!?な。」
当たり前の様な顔で俺を見ると、ニコニコして修斗くんに顔を向けるアタル。

………マジか!?

ふうん、と首を頷かせると、俺は二人の前を歩いて行った。
後ろで何やら楽しそうに話す二人。俺は振り返らずに耳だけで聞く。多分俺の耳は、なんかの絵本で見た象の耳位に大きくなっているだろう。

「アタルと勇人君は幼なじみってやつ?」
「まあ、そんなもんかな。」

修斗くんの質問に、そんなもん、て....

身体の奥から何かが込上がってくる。得体の知れない今まで抱いた事の無い感情。

「あ、着いた。」
店に着くと、修斗くんが早速メニューを指し示す。
カウンターで注文を済ませると、窓際の四人掛けのテーブルが空いたので座った。
が、やっぱりアタルと修斗くんが並んで座った。

向かいに座った俺は、トレーにのったバーガーを無造作に紙を剥いてかぶりついた。もちろん何の言葉も発しない。

「勇人、どうかした?」
と、アタルが下から覗き込む様に俺を見た。

「は?なにが?」
俺はすまし顔で言ったが、アタルの顔は見れない。自分が幼稚な焼きもちを妬いているのは分かる。視線を横に避けると、「コレも食え。」
そう言って、俺の前に自分が注文したポテトを寄こす。

「は?」
思わずアタルの顔を見てしまった俺。
すると、アタルが唇を窄めて「チュウ」という顔をしてきた。

「ば、バカ...」
俺は、隣の修斗くんに聞こえない様に口パクで言った。が、恥ずかしくて頬が焼けるように熱くなったのが分かる。

唇をぎゅっと噛み締めると、心の中で言った。
(アタルは俺のものだからな!)と。



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