[ジセイタイになった俺]

itti(イッチ)

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30 アルミ箔のオンナ 12

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  突然の事で動揺してしまうと、玄関口に座り込んだ。
項垂れて放心状態の俺。
……どうしてこうなった?


頭を抱えていると、何処からか聞こえてくる携帯の着信音で気を取り直す。確かジャケットのポケットに入れたまま。
恵かも……!
そう思い慌てて部屋に戻りポケットを探った。

が、電話の主は神谷くんだった。

「……はい、」
沈んだ声で受けてしまい、「あれ?真琴さん?どうかしたの?」と、焦る声で聞かれてしまった。

「……や、……まぁ、ちょっと」
そんな返事をするから神谷さんは尚更気になるようで。
「修羅場?…なら電話切るけどさ。」
小声で云うと俺の返事を待った。

「……恵が、出てった。」
絞り出す様な声で云うと「ぇええ~ッ」と叫ばれて尚更悲しくなる。

「修羅場どころじゃないな、大丈夫?」

「……、じゃない。大丈夫じゃな……」

「オイオイ…とにかく今日の所は落ち着いて、変に考え込まないで?!明日会おう。電話するから、ね?」

神谷くんの言葉に、気付けば涙が溢れ出していた。抉られる様な痛みがどんどん広がってゆく。

「…すみません、、、」

神谷くんは暫く俺の沈黙に付き合っていたが、じゃあ明日、と言って電話を切った。
女々しい所を知られてしまったな。
そう思いながら溢れる涙を拭う事もせずに、ただひとり廊下でしゃがみ込む俺だった。





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