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疼き

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 トンちゃんの顔が、自分の方に向けられているのを感じながら、それに気づかないふりをして冷蔵庫を開けると中を覗いた。緊張で顔が強張りそう。

「ハルキや姉さんには悪いと思ってるよ。許されない事も承知してる。....未練がないかと云われれば、それは自分でも分からなくてさ。東京で出会った時も、正直心が躍った。でも、ハルキに約束したから、もう同じ事にはならない。そこは信じてほしい」

「...うん、ごめん、変な事聞いた」

 うな垂れると、トンちゃんに謝った。結局、俺はトンちゃんの事が信じられないという事なのか。身内でいる限り、俺の心が平穏になる事はないのだろうか。変に胸が疼くのを感じながら、朝食の支度を始めると、トンちゃんも洗濯の続きをする。


「そういえば中条くんてハルキの一つ上なんだってね」
「ああ、学年はね。歳は二つ上で21歳だってさ。あんな性格だとは思わなかったよ」
 実際、あの公家顔からは想像しなかった性格だし、口車に乗ってまんまとバイトする事になった訳で。でもまあ、悪い人では無さそうだ。高校の頃の祐斗に性格は似ているのかも、と思ったりもした。
「歳は上だけど、ハルキにはああいうタイプの子が似合ってると思うな。自分の事を包み隠さず話せるって羨ましいよ。仲良くしていけるといいな」
 トンちゃんの言葉を聞いて、俺の箸を持つ手が止まった。
 仲良くって、どういう意味?俺に似合っているとは?

「俺が好きなのはトンちゃんだけだよ。似合ってるって、中条さんとって、どういう意味?」
 振り返ると、強い視線をぶつけて聞いた。腹がたった。まるで俺が中条さんと付き合うのを望んでいる様な言い方をされ、自分の気持ちを否定された気がした。
「あ、……なんか気に障った?ごめ、そんなつもりじゃ、…」
 タジタジと俺を見つめるトンちゃんの身体が、後退りし始める。
 俺は、強い情動に駆られ、思わずトンちゃんの身体をこの手で抱きしめていた。ぎゅっと力が入り、俺の胸の中で苦しそうにもがく身体を更に閉じ込める。

「い、痛っ、」
 そんな声を聞きながらも、この感情に蓋は出来なくて、グッと顎を持ち上げるとトンちゃんの唇にキスをする。一瞬、離そうともがくが、俺の力に敵う筈もなく、そのまま唇を覆い尽くすようにキスを浴びせた。
 トンちゃんの身体から力が抜けたのを感じて、そのまま抱えるように抱き上げるとベッドに向かう。
 横たわったトンちゃんを愛おしそうに眺めた俺は、もう疼く体を解放する事しか頭になくて、ベッドに上がるとトンちゃんの着ていたTシャツに手を掛けた。腹から差し込んだ掌が、滑らかな肌の感触に震える。少し浮き出た肋骨をなぞり、締まった胸の弾力を掌で鷲掴み、再び口付けをすると、トンちゃんは瞼を閉じた。
 夢中でキスをしながら、胸を撫でて硬い突起を指先で弾くと、トンちゃんの身体がビクンと跳ねる。口は覆われているから声は出せないが、感じているのは分かった。
 俺は、唇を離すと、今度はその突起めがけて舌を突き出す。Tシャツは首元まで捲られて、薄いピンク色をした胸の突起が呼吸と一緒に揺れている。それを見ただけで、俺の下半身には血液が集まり出した。もう抑えられない。
 あんなに我慢してきたのに、どこかでタガが外れてしまって、俺の性欲は一気に爆発した。

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