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確かめたくて

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 翌日になると、大学の授業が頭に入って来ない程胸が躍って、早くバイトの時間にならないかと気持ちが急いてしまう。時間を気にしながら、ようやく授業が終わると、足早にバス停に向かった。

 今日ばかりは、着ていく服をちゃんと選んだ。トンちゃんと並んでも子供っぽくならない様に、襟付きのボーダーシャツに紺のチノパンを合わせて、髪もセンター分けにしてヘアクリームでセットした。
洗面所の鏡に映る自分の顔をチェック。最近、遅くに食事を摂るせいか、肌荒れがしている気がして気になったが、それは誰も気に留めないだろうと、「よしっ!」と声に出すと部屋を出た。
歩きながら、もう胸はワクワクしている。早くトンちゃんの顔を見たくて、昨日までの不安な気持ちはすっかり忘れていた。

「お疲れ様でーす」
 声を掛けると店の中に入って行く。
「あ、お疲れさん」と、中条さんが厨房で挨拶をしてくれた。今日は黒いシャツに黒のスラックスと、いつになく大人の装い。
「あれ、ハルくんオシャレしてる~。なんや違う子みたいやなぁ」
「えー、そうですか?中条さんこそ大人っぽいですよ。誰か来るんですか?」
 自分も、だが、着る服に気を使うのは好きな人に会うからだと思う。中条さんにそういう人が居たのかは知らないが、なんとなく機嫌は良さそうだ。

「今夜はハルくんのおじさんが来てくれるやんか。ちょっとはカッコええとこ見せたいし」
 中条さんはニヤリと笑って云う。俺に喧嘩売ってるのか、と言いたい気持ちをグッと堪えて「なんで中条さんが......?」と訊ねた。
「前から思っとったんよ、綺麗な男の人やなーって。ああいう年上の人に興味あるし。レストランのバイトの時はそんなに話せる機会もなかったしさ。ハルくん繋がりで仲良くしてもらいたいなーって」
「...........そんな事を.........、俺の身内に変な事しないでくださいね。中条さん見境なさそうで怖いから」
「やっ、酷いなぁ、、、、オレかてちゃんと真面目に相手を見るって。おじさん、中年の男にモテそう。それも結構大人の人に。女の影はなさそうやし、彼氏とか居るんかなぁ」

 中条さんの言葉に、俺は焦りを覚えた。トンちゃんの性癖は話していない。それなのに、この人は見抜いてしまうのか。この店に来させて大丈夫だろうかと、今更になって心配になった。
それでも、今夜は会って確かめたい事がある。店を切り上げたら、早く二人になりたいと思っていた。
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