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キャラの濃い兄弟
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結局バイトをする事になった俺。
1時間ほどしたら中条さんのお兄さんがやって来るというので、俺たちは店の中で待つことにした。
軒先ビジネスなんて知らなかったな。でも、考えてみたら使わない時間にも家賃はかかっている訳で、そう思えば貸す方は有難いかも。家賃の何パーセントかは浮くわけだし。
「中条さんはどうして沢山バイトしてるんですか?この店だけでもいいでしょうに。」
コンビニと洋食の店とこの店。それに大学にも行ってるし、いったいいつ寝ているのかと心配になる。
「最初は、バンドの為に働き始めたんやけど、高校生の時にな。........けど、大学生になってバンドのメンバーに裏切られて、バンドはやめたけどバイトは人も足らんかったし辞められんかった。ズルズルと今まで来たって訳や。」
「そうなんですか、........じゃあ、入学早々喧嘩したって噂は、バンドの人と?」
「.........ははは、そうやねん。.....アイツ、オレのオトコやったけど、違うバンドの女子ベーシストと浮気してて、つい頭に血が昇ってしもうて。同じ大学入る為に浪人までしたってのにさぁ、結局オンナをとるんよ。」
「.................... 」
え、.....いま、オレのオトコって云った?
「あ、ごめん、ついサラッと云ってしもうたけど、ゲイやから、オレ。21歳童貞でーす。本宮くんは童貞には見えへんけど、彼女がいる様にも見えへんな。」
「........................」
突然のカミングアウトをされて、俺の頭は思考をやめた。この人から出てくる情報量が凄すぎて、胸やけしそうだった。
「どしたん?..............ひょっとして童貞」
「違いますけど!........そういう話は今はいいんで。」
「そう?.........まあいいや。もうすぐアニキが来るし、お金の事はちゃんと云った方がええからな。」
「はい」
じわじわと後悔の念に駆られる。誰だ、公家みたいな上品そうな男の人って思ったの。中条さんの印象はどんどんと変わっていった。
やがて、時間になるとドアが開いて一人の男が入って来る。中条さんのお兄さんだ。
見た目は普通のサラリーマン姿。でも、トンちゃんとは違った感じがする。多分着ているスーツはハイブランドのものだと思う。髪型はサラッとバックに流した黒髪で小綺麗にカットされている。顔は中条さんと似ていてやっぱり公家の様な上品な顔だち。
「待たせて悪かったね。何か飲んだ?」
俺たちの顔を交互に見るとそう訊いてくる。
「テキトーに飲んだし。いいからバイトの面接。」
「ああ、そうだな。でもバイトはもうしてくれるって事でいいんだろ?見た目もいいし申し分ないよ。身長どの位?」
「.....えっと、.........あの本宮晴樹です、宜しくお願いします。身長は180センチくらいで、すけど.....?」
「ああ、やっぱりデカいと思った。男前だし店に出てくれたらウケそう。」
俺の顔をまじまじと見ながらそういうお兄さんだったが、隣に居る中条さんが咳ばらいをひとつするとすぐに背筋を正した。
「時給は1500円からでいいかな?仕事を覚えたら2ヶ月後には1700円にしてあげる。それか2000円にしてもいいかも。」
「え、そんなにもらえるんですか?」と、いいつつ頭の中でざっと計算してみる。
だって2時間働いても3000円って............。結構よくないか?
「はい、それでお願いします。」
即答すると、お兄さんはクスッと笑ったが、一枚の紙を差し出すと記入してくれと云った。
履歴書も持っていないし、その代わりだと思って用紙に記入していく俺。住所や生年月日、血液型とか学歴をひと通り記入するとそれを渡す。
「はい。じゃあ、早速明日から来てもらおうかな。夜7時に裏の通用口から入って、この店の隣にスタッフルームがあるからそこで待ってて。」
「ぁ、はい、分かりました。中条さんは?」
「あ、オレも明日は一緒に働くから、心配せんでもいいよ。」
「そうですか、よろしくお願いします」
ちょっと緊張したが、すんなりと話はついてバイト代が思いのほか良かった事もあって、気持ちは浮かれていたのかもしれない。目の前のお兄さん、いや、オーナーもにこやかに笑っていた。
1時間ほどしたら中条さんのお兄さんがやって来るというので、俺たちは店の中で待つことにした。
軒先ビジネスなんて知らなかったな。でも、考えてみたら使わない時間にも家賃はかかっている訳で、そう思えば貸す方は有難いかも。家賃の何パーセントかは浮くわけだし。
「中条さんはどうして沢山バイトしてるんですか?この店だけでもいいでしょうに。」
コンビニと洋食の店とこの店。それに大学にも行ってるし、いったいいつ寝ているのかと心配になる。
「最初は、バンドの為に働き始めたんやけど、高校生の時にな。........けど、大学生になってバンドのメンバーに裏切られて、バンドはやめたけどバイトは人も足らんかったし辞められんかった。ズルズルと今まで来たって訳や。」
「そうなんですか、........じゃあ、入学早々喧嘩したって噂は、バンドの人と?」
「.........ははは、そうやねん。.....アイツ、オレのオトコやったけど、違うバンドの女子ベーシストと浮気してて、つい頭に血が昇ってしもうて。同じ大学入る為に浪人までしたってのにさぁ、結局オンナをとるんよ。」
「.................... 」
え、.....いま、オレのオトコって云った?
「あ、ごめん、ついサラッと云ってしもうたけど、ゲイやから、オレ。21歳童貞でーす。本宮くんは童貞には見えへんけど、彼女がいる様にも見えへんな。」
「........................」
突然のカミングアウトをされて、俺の頭は思考をやめた。この人から出てくる情報量が凄すぎて、胸やけしそうだった。
「どしたん?..............ひょっとして童貞」
「違いますけど!........そういう話は今はいいんで。」
「そう?.........まあいいや。もうすぐアニキが来るし、お金の事はちゃんと云った方がええからな。」
「はい」
じわじわと後悔の念に駆られる。誰だ、公家みたいな上品そうな男の人って思ったの。中条さんの印象はどんどんと変わっていった。
やがて、時間になるとドアが開いて一人の男が入って来る。中条さんのお兄さんだ。
見た目は普通のサラリーマン姿。でも、トンちゃんとは違った感じがする。多分着ているスーツはハイブランドのものだと思う。髪型はサラッとバックに流した黒髪で小綺麗にカットされている。顔は中条さんと似ていてやっぱり公家の様な上品な顔だち。
「待たせて悪かったね。何か飲んだ?」
俺たちの顔を交互に見るとそう訊いてくる。
「テキトーに飲んだし。いいからバイトの面接。」
「ああ、そうだな。でもバイトはもうしてくれるって事でいいんだろ?見た目もいいし申し分ないよ。身長どの位?」
「.....えっと、.........あの本宮晴樹です、宜しくお願いします。身長は180センチくらいで、すけど.....?」
「ああ、やっぱりデカいと思った。男前だし店に出てくれたらウケそう。」
俺の顔をまじまじと見ながらそういうお兄さんだったが、隣に居る中条さんが咳ばらいをひとつするとすぐに背筋を正した。
「時給は1500円からでいいかな?仕事を覚えたら2ヶ月後には1700円にしてあげる。それか2000円にしてもいいかも。」
「え、そんなにもらえるんですか?」と、いいつつ頭の中でざっと計算してみる。
だって2時間働いても3000円って............。結構よくないか?
「はい、それでお願いします。」
即答すると、お兄さんはクスッと笑ったが、一枚の紙を差し出すと記入してくれと云った。
履歴書も持っていないし、その代わりだと思って用紙に記入していく俺。住所や生年月日、血液型とか学歴をひと通り記入するとそれを渡す。
「はい。じゃあ、早速明日から来てもらおうかな。夜7時に裏の通用口から入って、この店の隣にスタッフルームがあるからそこで待ってて。」
「ぁ、はい、分かりました。中条さんは?」
「あ、オレも明日は一緒に働くから、心配せんでもいいよ。」
「そうですか、よろしくお願いします」
ちょっと緊張したが、すんなりと話はついてバイト代が思いのほか良かった事もあって、気持ちは浮かれていたのかもしれない。目の前のお兄さん、いや、オーナーもにこやかに笑っていた。
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