上 下
60 / 98

楽しかった日々

しおりを挟む
 肩に祐斗の優しさが伝わる。
出会って3年。友人から親しい友人へ。そしてひょんな事から親友が恋人未満の関係になった。
恋人未満と云ってしまうのは俺の微かな抵抗か。トンちゃんへの恋心を募らせて、諦め切れない俺に祐斗がくれたもの。
セフレと云ってしまうには気持ちが入り過ぎているし、俺は祐斗の事も大好きだ。もし、トンちゃんへの気持ちを知らないままだったら、祐斗と付き合っていたのかもしれない。

「あっという間だったな、この3年。」

  祐斗がそう云って俺の肩に凭れ掛かる。サラサラな髪が俺の頬に当たって、そっと掌で撫でた。こんな気持ちで撫でた事があっただろうか。愛おしくて、それでいて居なくなる事も受け入れられるような。離れていても何処か気持ちは繋がっていそうな気がする。

「祐斗が居てくれて俺は心強かったよ。.....多少振り回された感じはするけど。」

「ハハハ.....振り回した覚えは無いけどな。まあ、オレはトオルさんには敵わない。だから、ハルキがコテンパンに振られる事を祈るよ。」

「変な事祈らないでくれ。....だけど、俺はとことん伝えたいんだ。たとえ結果が出なくても、俺が諦めなきゃこの気持ちは持ち続けられる。祐斗には酷い事してると思う。祐斗のことは大好きだよ、これはホント。」

「分かってるよ、オレはハルキが好き。だからこうやってくっついてんだ。見返りは求めない主義だから安心して。」

「.....祐斗、ありがとう」

 祐斗の背中に手を回すと、力一杯抱きしめた。

「さあ、せっかくだから風呂に入ろう。背中を洗ってやる。」

「え?」

 祐斗はそういうと俺の手を解いて立ち上がる。仕方なく俺も立ち上がると、浴室に向かう祐斗に続いた。


 二人で入ると狭いバスタブに浸かりながら、出会った頃の話に華が咲いた。
それから祐斗と互いの背中を洗いあって風呂から出る。髪を乾かし戯れるようにベッドで寝転んだ。

 横たわり、俺の胸に顔を埋めて寝息を立てる祐斗。流石に今日は疲れたな。そう思って、俺も瞼を閉じた。


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

熱のせい

yoyo
BL
体調不良で漏らしてしまう、サラリーマンカップルの話です。

食事届いたけど配達員のほうを食べました

ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
なぜ自転車に乗る人はピチピチのエロい服を着ているのか? そう思っていたところに、食事を届けにきたデリバリー配達員の男子大学生がピチピチのサイクルウェアを着ていた。イケメンな上に筋肉質でエロかったので、追加料金を払って、メシではなく彼を食べることにした。

前後からの激しめ前立腺責め!

ミクリ21 (新)
BL
前立腺責め。

別に、好きじゃなかった。

15
BL
好きな人が出来た。 そう先程まで恋人だった男に告げられる。 でも、でもさ。 notハピエン 短い話です。 ※pixiv様から転載してます。

怒られるのが怖くて体調不良を言えない大人

こじらせた処女
BL
 幼少期、風邪を引いて学校を休むと母親に怒られていた経験から、体調不良を誰かに伝えることが苦手になってしまった佐倉憂(さくらうい)。 しんどいことを訴えると仕事に行けないとヒステリックを起こされ怒られていたため、次第に我慢して学校に行くようになった。 「風邪をひくことは悪いこと」 社会人になって1人暮らしを始めてもその認識は治らないまま。多少の熱や頭痛があっても怒られることを危惧して出勤している。 とある日、いつものように会社に行って業務をこなしていた時。午前では無視できていただるけが無視できないものになっていた。 それでも、自己管理がなっていない、日頃ちゃんと体調管理が出来てない、そう怒られるのが怖くて、言えずにいると…?

【完結】義兄に十年片想いしているけれど、もう諦めます

夏ノ宮萄玄
BL
 オレには、親の再婚によってできた義兄がいる。彼に対しオレが長年抱き続けてきた想いとは。  ――どうしてオレは、この不毛な恋心を捨て去ることができないのだろう。  懊悩する義弟の桧理(かいり)に訪れた終わり。  義兄×義弟。美形で穏やかな社会人義兄と、つい先日まで高校生だった少しマイナス思考の義弟の話。短編小説です。

モルモットの生活

麒麟
BL
ある施設でモルモットとして飼われている僕。 日々あらゆる実験が行われている僕の生活の話です。 痛い実験から気持ち良くなる実験、いろんな実験をしています。

同僚に密室に連れ込まれてイケナイ状況です

暗黒神ゼブラ
BL
今日僕は同僚にごはんに誘われました

処理中です...