46 / 114
本当の事
しおりを挟む
シャワーを終えた祐斗は、そのままキッチンに行くと冷蔵庫からペットボトルを出して口を付けた。
ごくごくと飲むたびに上下する喉仏。勢いよく嚥下すると、喉の渇きは癒される。
それを見ながら、俺は祐斗の服を借りて椅子に背中を預けた。
「腹減ったー。ハルキ、なんか作ってくれよ。」
「えー、俺が?」
「ラーメンでもいいよ。インスタントのがあるから。」
「......仕方ないなー。」
頭を拭きながら祐斗に云われて、俺は勝手知ったる他人の家。食器棚の下にあるインスタントラーメンの袋を取り出すと、それをテーブルに乗せた。
大きめのTシャツを被り、ボクサーパンツ姿の祐斗は、椅子に座ると余裕でこっちを見てくる。
早く作れとばかりに促されて、俺は鍋を取り出すとそこに水をはった。
「祐斗、親に金貰ってたのに、それは使わないんだ?まあ、俺がもらった訳じゃないし、ラーメン食えるだけでも有難いけどさ。」
さっきの5千円はどうしたのかと、気になって云ってみたが、祐斗は思い出した様に立ち上がると穿いていた制服のズボンのポケットに手を突っ込む。
「そうだった、コレあったんだよね。.....ピザでも取れば良かったか。」
少し残念そうに云うが、「まあ、いいか。オレの小遣いにしておこう。」とお札を広げて財布に入れる。
もう少し早く云えば良かったと思ったが、お湯も沸いてしまい、仕方なくラーメンを投入。
テーブルに置いたラーメンには、生たまごが入っているだけ。
これならカップ麺で良かったかも、と思いながら箸をつける。
「.............で、急に泊めてくれって、どうしてなんだよ。セックスまでしてくれちゃってさ。」
祐斗に云われて、危うくラーメンを噴くところだった。
呑み込むと、話してしまおうかどうしようかと迷う。こんな話を祐斗にしても、気分を害するだけだし。
ましてや、祐斗は俺がトンちゃんを好きになってしまった事を知っている。父さんの事を話すのは、余計にややこしくなるし.....。
思案していると、祐斗が「別に訊いても仕方がないけどさ。帰りたくないって事は、親が関係してんだろ?」と、勘を働かせて来る。祐斗には、こういう時ひとつ年上なんだという事を思い知らされる。
「祐斗には隠し事出来ないな。.....でも、これは俺が悪い。俺が親を傷付けたんだから。それは分かってるんだけど、ちょっと時間が欲しくてさ。ごめん。祐斗にばかり頼っちゃって。」
自分が情けないが、そう云うと頭を下げた。
ごくごくと飲むたびに上下する喉仏。勢いよく嚥下すると、喉の渇きは癒される。
それを見ながら、俺は祐斗の服を借りて椅子に背中を預けた。
「腹減ったー。ハルキ、なんか作ってくれよ。」
「えー、俺が?」
「ラーメンでもいいよ。インスタントのがあるから。」
「......仕方ないなー。」
頭を拭きながら祐斗に云われて、俺は勝手知ったる他人の家。食器棚の下にあるインスタントラーメンの袋を取り出すと、それをテーブルに乗せた。
大きめのTシャツを被り、ボクサーパンツ姿の祐斗は、椅子に座ると余裕でこっちを見てくる。
早く作れとばかりに促されて、俺は鍋を取り出すとそこに水をはった。
「祐斗、親に金貰ってたのに、それは使わないんだ?まあ、俺がもらった訳じゃないし、ラーメン食えるだけでも有難いけどさ。」
さっきの5千円はどうしたのかと、気になって云ってみたが、祐斗は思い出した様に立ち上がると穿いていた制服のズボンのポケットに手を突っ込む。
「そうだった、コレあったんだよね。.....ピザでも取れば良かったか。」
少し残念そうに云うが、「まあ、いいか。オレの小遣いにしておこう。」とお札を広げて財布に入れる。
もう少し早く云えば良かったと思ったが、お湯も沸いてしまい、仕方なくラーメンを投入。
テーブルに置いたラーメンには、生たまごが入っているだけ。
これならカップ麺で良かったかも、と思いながら箸をつける。
「.............で、急に泊めてくれって、どうしてなんだよ。セックスまでしてくれちゃってさ。」
祐斗に云われて、危うくラーメンを噴くところだった。
呑み込むと、話してしまおうかどうしようかと迷う。こんな話を祐斗にしても、気分を害するだけだし。
ましてや、祐斗は俺がトンちゃんを好きになってしまった事を知っている。父さんの事を話すのは、余計にややこしくなるし.....。
思案していると、祐斗が「別に訊いても仕方がないけどさ。帰りたくないって事は、親が関係してんだろ?」と、勘を働かせて来る。祐斗には、こういう時ひとつ年上なんだという事を思い知らされる。
「祐斗には隠し事出来ないな。.....でも、これは俺が悪い。俺が親を傷付けたんだから。それは分かってるんだけど、ちょっと時間が欲しくてさ。ごめん。祐斗にばかり頼っちゃって。」
自分が情けないが、そう云うと頭を下げた。
0
お気に入りに追加
33
あなたにおすすめの小説



そんなの真実じゃない
イヌノカニ
BL
引きこもって四年、生きていてもしょうがないと感じた主人公は身の周りの整理し始める。自分の部屋に溢れる幼馴染との思い出を見て、どんなパソコンやスマホよりも自分の事を知っているのは幼馴染だと気付く。どうにかして彼から自分に関する記憶を消したいと思った主人公は偶然見た広告の人を意のままに操れるというお香を手に幼馴染に会いに行くが———?
彼は本当に俺の知っている彼なのだろうか。
==============
人の証言と記憶の曖昧さをテーマに書いたので、ハッキリとせずに終わります。

好きなあいつの嫉妬がすごい
カムカム
BL
新しいクラスで新しい友達ができることを楽しみにしていたが、特に気になる存在がいた。それは幼馴染のランだった。
ランはいつもクールで落ち着いていて、どこか遠くを見ているような眼差しが印象的だった。レンとは対照的に、内向的で多くの人と打ち解けることが少なかった。しかし、レンだけは違った。ランはレンに対してだけ心を開き、笑顔を見せることが多かった。
教室に入ると、運命的にレンとランは隣同士の席になった。レンは心の中でガッツポーズをしながら、ランに話しかけた。
「ラン、おはよう!今年も一緒のクラスだね。」
ランは少し驚いた表情を見せたが、すぐに微笑み返した。「おはよう、レン。そうだね、今年もよろしく。」



【完結】ぎゅって抱っこして
かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。
でも、頼れる者は誰もいない。
自分で頑張らなきゃ。
本気なら何でもできるはず。
でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる