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俺の頭ん中は.....

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 その内、夜遅くになると祐斗の両親が戻って来た。

「あらー、ハルキくんこんばんは。もうすぐ夏休みも終わりねぇ、どう?楽しかった?」

 俺の顔を見るなりそんな風に明るく訊かれると、気まずいながらも笑顔を作ってしまう。

「楽しかったです。祐斗には付き合ってもらって、楽しめましたし.......。泊まりに来させてもらって、どうもすみません。」

「いいのよー、ゆっくりして行ってね」

 祐斗の母親はかなり明るい人で、俺にそう云うとさっさと別室へと消えた。

「.......悪いな、こんな状況で泊めてくれって。....俺、帰った方がいいよな。」

「いいよ、今夜は泊れよ。布団は下に敷くから.....」

祐斗がボソッと呟くように云う。その表情は今まで見た中で一番暗かった。
そりゃあ、俺がトンちゃんを好きだという事実を確信したんだから当たり前か。これで追い出さないって所が祐斗らしいのかも.......。


 その晩は、ベッドに居る祐斗が気になって眠れなかった。
きっと祐斗もそうだったろうと思う。何度も寝返りをうっていたし、俺に背を向けても神経は俺の方を向いていた気がする。


 朝になって漸く外が明るくなった頃。それでもまだ時計の針は6時前だったが、俺はそっと身体を起こすと布団の上で膝を抱えてうな垂れた。

 取り敢えずバスが動く時間まで、もう少し此処に居なきゃならない。
ぼんやりと、カーテンの隙間から零れる陽の光を見ながら、これから先の事を考えた。
トンちゃんは家を出て行くと云ったが、アレは本気なんだろうか?
母さんが許すかな........。それに、父さんとはどうするつもりなんだろう。

 考えていたら、急にパタパタと廊下を歩く音が聞こえて、祐斗の親が起きてきたのだと思った。

 部屋の外から洩れ聞こえる生活音を聴きながら、俺はもう一度布団に横たわると天井を仰ぐ。
......祐斗が起きるまで横になっていようかな。


 さっきまでの生活音はやがて消え、また静かになるともう一度身体を起こす。
時計はいつの間にか8時を過ぎていて、そろそろ起きてもいい頃だ。ベッドの上の祐斗を見れば、そこに姿はなくて、俺を起こさずに自分だけ部屋を出て行ったらしい。

「..........おはよ」

 リビングに行くとソファーに座った祐斗に声を掛けた。

「おはよ」

「親は?もう出掛けた?」

「ああ、夏休み間は完全にオレを起こさない主義らしい。朝飯も自分で用意しろって事。ハルキ、腹減ってない?」

「あ、うん、......」

 案外普段と変わりない態度に思えた。
昨日の事、俺はなんと云ったらいいのか悩んでいるのに.....。

「コーヒーは入ってるから、勝手に入れて飲んで。」

「うん、ありがと.......。でも、俺、もう帰るよ。祐斗には迷惑ばっかり掛けてるよな。」

 下を向くと祐斗に云うが、返事は直ぐに無くて。

「じゃあ、着替えたら帰るから。ありがと」

 そう云ってリビングから出ようとした時だ。

「オレはハルキが誰を好きでもいい。オレがハルキを好きな事は変えられないから。一歩通行かもしれないけど、オレはそれでもいいよ。」

 祐斗はじっと俺の顔を見ると云った。その眼差しはハッキリと自分の気持ちを表していて、俺のモヤモヤした感情とは別のものだと思った。
こんなに強い意志で、俺もトンちゃんや祐斗を好きになれたらいいのに......。


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