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友人

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 流石に長居をし過ぎたのか、奥から店長らしき人がじっと俺たちに視線を寄越している。

「祐斗、.....そろそろ出ようか。」

 奥からの視線を避ける様に、前に座った祐斗に云うと、ポケットから財布を取り出した。

「いいよ、どこ行く?映画とか」

「.....映画って、.....そんなに金持ってないよ、俺。」

「しょうがないなー。じゃあ、うちに行こうか」

「.....ああ、そうする。」

 二人で立ち上がってレジに進むと、祐斗が支払ってくれた。

「....ありがと」

 礼を云うと、「いいって」と微笑む。お釣りを仕舞う祐斗を見ながら、こういう所は年上だな、と思った。
結局俺は祐斗にもトンちゃんにも甘えてしまうだけで、自分では何も出来ない子供なんだ。偉そうに人に意見を云える訳がなかった。

 バス停から祐斗の家まで行くが、二人、特に話す事もなくただじっと外の景色を眺めていた。



* * * 

「そういえば着替えとか持ってくんの忘れた。」

 急に、祐斗のところに泊ろうと思った俺は、今更ながらにそんな事を思い出す。
財布とスマホを持って家から逃げる様に来てしまったから。

「着替えなんかオレの服貸すし。気にしなくていいよ。」

 そう云うとリビングのテレビをつける。

「うん、ありがと」

 俺はソファーに腰掛けると、背もたれに身体を預けた。
祐斗の家は広々としていて落ち着く。それに親もいないし、変に気を使う事もなかった。


「ところでさー、夏休みの課題、もう終わった?」

 祐斗の質問に「あ、っ......」と現実に引き戻された。

「.....まだ、もう少し残ってた。家に戻ったらやんなきゃ。」

「オレ、もうやっちゃったよ。あとでコピーさせてやる。」

「マジ?......助かるー」


 案外勉強だけはちゃんとやってるんだよな、祐斗って。
俺も勉強は出来る方だと思っているけど、それは通っている高校のレベルが普通だからで。
進学高ならきっと順位も落ちるだろう。


「祐斗はさー、どうしてうちの学校に来たの?もっと頭のいい高校だって入れただろうに。」

 ソファーで寛ぎながら、ゲームソフトを漁っている祐斗に訊いた。前にも聞いた事があったっけ?
祐斗は俺の方に振り向くと、一瞬眉尻を下げた。

 何かマズイ事訊いちゃったかな?と思ったが、またソフトを漁りだすと「別にどこだって良かったから。たまたま受け入れてくれる学校が今のところだったんだよ。」という。

「へぇ、そうか。でも学年トップだし、このままならいい大学も行けそうだな。」

 俺は何も考えずにそう云ったが、祐斗からの返事はなかった。

「あった。これやろうぜ。」

 ソフトをみつけたのか、そう云うとセットして俺の隣にドカッと腰を降ろした。




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