11 / 98
切ないじゃん
しおりを挟む
結局、二人ともベッドの上でゴロゴロしていたら、その内眠気に襲われてうたた寝をしてしまった。
気付けばもう夕方。コンコン、とドアをノックしながら「ハルキ、ご飯行ける?」と云ったトンちゃんの声に起こされる。
「おい、祐斗、ご飯だって!起きろ!」
隣の祐斗を揺さぶって、ベッドから起き上がる。
「う~、もう夕方か~」
思い切り欠伸をしながら祐斗が起き出すと、頭をブルっと震わせて覚醒したようだった。
俺たちは、離れの部屋を後にすると、トンちゃんの車に乗り込んだ。この車、俺が小学6年生の時に買ったものだけど、既に中古だった様な気がする。もう何年乗っているんだ?
「何処に行くの?何屋さん?」
俺が晩ご飯を気にして訊くと、トンちゃんはじろっと俺を見る。
「ファミレスじゃないから。今夜はステーキでも食わせてやろうかと思って。」
「えーーッ、マジー??嬉しい!!」
祐斗と声を揃えて喜んでしまった。本当に俺たちって飢えているんだな。ま、今は育ちざかりだし、実際一日五食くらいはいけると思う。
「どうしたのさ、トンちゃん。給料日だっけ?」
「っはは、違うけど。......ちょっと、旅行用にとっておいた小遣いを使わなくなって。だから、美味しものでも食べようと思ったんだ。ひとりじゃ店に入りにくいしさ。」
「うわー、超ラッキーじゃん、俺ら。.....なに、何処行こうとしてた?」
「..........それは、......別にまだ決めてなかったし。」
「そうなんだ、俺らに使わせちゃって悪かったな。」
トンちゃんが彼女と何処へ旅行したかったのか、そこも気になるところだけれど、今は飢えた少年の腹に大金を落としてくれて嬉しい。
普段来ないステーキ屋に入り緊張してくるが、祐斗の方はご馳走になるってのに随分と堂々とした態度で、渡されたメニューを眺めると「コレ、頼んでもいいですか?」と訊いている。あっさりと決めてしまって、隣の俺はまだ一ページしか見ていないというのに....。
「ハルキ、決まった?」
「あ、.....うん、......えーっと、.....」
「ハルキも同じもので。」
トンちゃんに俺の分まで注文する祐斗。俺が端から眺めたいのをサックリと打ち切ってくれる。
「おま、まだ決めて、ないのに、.....」
抵抗してみたが、「おっけー、じゃあ三人とも同じのにしよう。」と云ってトンちゃんが店員を呼んだ。
----くそー、、、もっと見たかったのに、-----
俺がムッとした顔をすると、祐斗はチラッとこちらを見たが、直ぐに視線を外すとトンちゃんに向かってニコリと愛想を振りまいた。まったく、腹の立つ.....。
「徹さんは此処に来る事多いんですか?」
祐斗がトンちゃんに訊いた。
「多くはないよ。昔、来た事あるよね、ハルキ。」
「え?」
そう云われて記憶を辿るが、来た覚えがなかった。それに、ステーキなんて家で出てくる安い肉しか食べてないし、もし来た事があるんなら絶対覚えているはず。
「俺、初めてだよ、ここ」
「..........そうだっけ?!」
誰かと来た記憶を勘違いしているのだと思った。でも、それなら彼女と来たわけじゃないのかも。
オンナと俺を間違って記憶しないだろうし.......。
気付けばもう夕方。コンコン、とドアをノックしながら「ハルキ、ご飯行ける?」と云ったトンちゃんの声に起こされる。
「おい、祐斗、ご飯だって!起きろ!」
隣の祐斗を揺さぶって、ベッドから起き上がる。
「う~、もう夕方か~」
思い切り欠伸をしながら祐斗が起き出すと、頭をブルっと震わせて覚醒したようだった。
俺たちは、離れの部屋を後にすると、トンちゃんの車に乗り込んだ。この車、俺が小学6年生の時に買ったものだけど、既に中古だった様な気がする。もう何年乗っているんだ?
「何処に行くの?何屋さん?」
俺が晩ご飯を気にして訊くと、トンちゃんはじろっと俺を見る。
「ファミレスじゃないから。今夜はステーキでも食わせてやろうかと思って。」
「えーーッ、マジー??嬉しい!!」
祐斗と声を揃えて喜んでしまった。本当に俺たちって飢えているんだな。ま、今は育ちざかりだし、実際一日五食くらいはいけると思う。
「どうしたのさ、トンちゃん。給料日だっけ?」
「っはは、違うけど。......ちょっと、旅行用にとっておいた小遣いを使わなくなって。だから、美味しものでも食べようと思ったんだ。ひとりじゃ店に入りにくいしさ。」
「うわー、超ラッキーじゃん、俺ら。.....なに、何処行こうとしてた?」
「..........それは、......別にまだ決めてなかったし。」
「そうなんだ、俺らに使わせちゃって悪かったな。」
トンちゃんが彼女と何処へ旅行したかったのか、そこも気になるところだけれど、今は飢えた少年の腹に大金を落としてくれて嬉しい。
普段来ないステーキ屋に入り緊張してくるが、祐斗の方はご馳走になるってのに随分と堂々とした態度で、渡されたメニューを眺めると「コレ、頼んでもいいですか?」と訊いている。あっさりと決めてしまって、隣の俺はまだ一ページしか見ていないというのに....。
「ハルキ、決まった?」
「あ、.....うん、......えーっと、.....」
「ハルキも同じもので。」
トンちゃんに俺の分まで注文する祐斗。俺が端から眺めたいのをサックリと打ち切ってくれる。
「おま、まだ決めて、ないのに、.....」
抵抗してみたが、「おっけー、じゃあ三人とも同じのにしよう。」と云ってトンちゃんが店員を呼んだ。
----くそー、、、もっと見たかったのに、-----
俺がムッとした顔をすると、祐斗はチラッとこちらを見たが、直ぐに視線を外すとトンちゃんに向かってニコリと愛想を振りまいた。まったく、腹の立つ.....。
「徹さんは此処に来る事多いんですか?」
祐斗がトンちゃんに訊いた。
「多くはないよ。昔、来た事あるよね、ハルキ。」
「え?」
そう云われて記憶を辿るが、来た覚えがなかった。それに、ステーキなんて家で出てくる安い肉しか食べてないし、もし来た事があるんなら絶対覚えているはず。
「俺、初めてだよ、ここ」
「..........そうだっけ?!」
誰かと来た記憶を勘違いしているのだと思った。でも、それなら彼女と来たわけじゃないのかも。
オンナと俺を間違って記憶しないだろうし.......。
0
お気に入りに追加
32
あなたにおすすめの小説
怒られるのが怖くて体調不良を言えない大人
こじらせた処女
BL
幼少期、風邪を引いて学校を休むと母親に怒られていた経験から、体調不良を誰かに伝えることが苦手になってしまった佐倉憂(さくらうい)。
しんどいことを訴えると仕事に行けないとヒステリックを起こされ怒られていたため、次第に我慢して学校に行くようになった。
「風邪をひくことは悪いこと」
社会人になって1人暮らしを始めてもその認識は治らないまま。多少の熱や頭痛があっても怒られることを危惧して出勤している。
とある日、いつものように会社に行って業務をこなしていた時。午前では無視できていただるけが無視できないものになっていた。
それでも、自己管理がなっていない、日頃ちゃんと体調管理が出来てない、そう怒られるのが怖くて、言えずにいると…?
【完結】義兄に十年片想いしているけれど、もう諦めます
夏ノ宮萄玄
BL
オレには、親の再婚によってできた義兄がいる。彼に対しオレが長年抱き続けてきた想いとは。
――どうしてオレは、この不毛な恋心を捨て去ることができないのだろう。
懊悩する義弟の桧理(かいり)に訪れた終わり。
義兄×義弟。美形で穏やかな社会人義兄と、つい先日まで高校生だった少しマイナス思考の義弟の話。短編小説です。
新しい道を歩み始めた貴方へ
mahiro
BL
今から14年前、関係を秘密にしていた恋人が俺の存在を忘れた。
そのことにショックを受けたが、彼の家族や友人たちが集まりかけている中で、いつまでもその場に居座り続けるわけにはいかず去ることにした。
その後、恋人は訳あってその地を離れることとなり、俺のことを忘れたまま去って行った。
あれから恋人とは一度も会っておらず、月日が経っていた。
あるとき、いつものように仕事場に向かっているといきなり真上に明るい光が降ってきて……?
その恋、応援します!
秋元智也
BL
いきなり告白された!
それもいつも一緒にいる同性から!?
突然、結城裕之にクラスメイトの高橋隆盛が告白!
真剣な彼に断る事もできずにまずは付き合う事に。
それを知った姉同士の阿鼻叫喚!
腐女子の協力もあり、本人たちの気持ちに変化が…。
自覚した気持ちは止まらない!
もどかしい二人の関係をお楽しみ下さい。
その後の『その恋、応援します続!』もお楽しみに。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる