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それでも好き?

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 ためらう様な口調でトンちゃんが訊いてきたのは、俺が祐斗をどう思っているかという事だった。

「どうって、.....祐斗の事は好きだけど、愛、とか分かんないよ。そもそも、昔付き合った彼女に対しても『愛』とか感じなかったし。」

 自分で云って、酷い事を云うな、と思う。だけど、告白されて付き合う事にした俺は、彼女からの好意に甘えているだけで、自分がどうしたいとか考えられなかった。キスも、その先の事も、自分から進んでした訳じゃない。


「モテる男はそう云うんだよね。人は自分を愛して当然だと思ってる。受けるばかりで与える事を知らないんだ。いや、知っているけど知らないふりをしているのかも.....。」

 トンちゃんは、そう云うと何処か遠くを見つめた。頭の中の誰かの影を追っているんだろうか。
でも、今の俺には理解できなくて.....。
今まで祐斗の事を恋愛対象に見た事はなかったし、一緒にいて心地いいという気持ちがそう云う事なのだとしたら、今こうして隣に居るトンちゃんの事だってそんな風に思ってしまう。

 もう7~8年は同じ離れの家に暮らしているが、ケンカした事は一度もないし、歳の離れた兄さんみたいな感覚だったからかもしれない。父さんと何があるのか分からないが、そのモヤモヤを除けば俺はトンちゃんが好きだった。この『好き』はどんな意味があるのか.....。


「風呂、入って来いよ。」

「あ、うん、トンちゃんが先に入んなよ。俺、ちょっとメール見てるから。」

「じゃあ、先に入るな。」

 トンちゃんが浴室に向かったので、居間の畳に寝転んでスマフォを確認した。メールは祐斗から来ていて、俺に云った事は冗談じゃないという内容のもの。

 ......アイツ、........マジか。

 スマフォを胸の上に乗せると、ぼんやりと天井を見る。
どうして俺なんだろう。ただデカイだけの男なのにな。成績だってアイツの方がダントツにいいし.....。







 
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