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3.親睦会 前編
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『相談が終わったら、ついでにご飯食べに行かない?』
『せっかくの機会だから佐藤さんとも仲良くなりたいし、親睦会っていうことで!』
私は画面を見つめて固まっていた。
高橋さんとプレゼンの相談のため集まる予定を立てていて、まさかご飯に誘われるとは考えてなかった。
え?プレゼンのことで、二人で集まって、そのあとだから……二人でってこと?
男子と二人で?
……。
ピコン。
固まったままぐるぐると考えていると、高橋さんからまたメッセージが届く。
『あの、もし無理だったら大丈夫なんだけど……。』
メッセージを既読にしたまま放置してしまったので、もしかしたら引いたと思ったのかもしれない。
引いてない。むしろうれしい。高橋さんが彼とは真逆の根暗の私と仲良くなりたいと思ってくれてるなんて。私も仲良くなってみたい。ただ、男の子とご飯なんぞ行ったことないから、困惑しているのだ。
待て、冷静に考えてみろ。これは殻を破って新しい経験をするチャンスだ。男子と交流なさ過ぎてこの前恋する機会がないとか言ってただろ。まあ、高橋さんとは恋しないとしても、今まで特定の人としか交流してこなかった私にとっては、人間関係の新たな扉を開くきっかけになるかも。それが出会いとかにつながるはずだ。
私は親睦会の誘いに合意することにした。
『親睦会いいですね!ぜひお願いします。』
『ホントに?じゃあそうしよ!』
こうして、プレゼンの相談のあとご飯に行くことが決定した。
***
── 当日 ──
5時限目の授業を終え、私は教室を出て、ワラワラと帰っていく学生たちの中、あたりを見回した。高橋さんも授業終わったかな。迎えにくるって言ってたけど……。
ポンポン。誰かに肩をたたかれて振り返る。
「佐藤さん!お疲れ様!」
高橋さんだった。
「お疲れ様です。」
「じゃあ、どっか話し合えるとこ探そうか。3階のフリースペースとかたくさん机と椅子あるからそこ行ってみない?」
「そうですね。でもあそこ人気ですから空いてますかね。」
「どうだろ~とりあえず行ってみようよ」
3階のフリースペースは学生たちに人気だ。机も大きめだし座れるとこ沢山あるし、景色いいし。お昼食べたり、集まったり、自習したりするのにみんなよく使う。
3階につくと案の定ほぼ満席だった。
「あっ」
「あそこ空いてる!」
高橋さんが空いてる席を見つけてくれた。
「ありがとうございます。空いててよかった。」
「ね~。俺たちラッキーだわ。」
私たちは席に座り、今後の相談をはじめた。
「とりあえず調べてきたのお互い確認しようか」
「そうですね。そのあと、スライドどんな感じでまとめるかとか、発表どんな感じにするかなど決めましょうか」
「いいね」
お互い調べてまとめてきた情報を交換しつつ、ここはもっとこうした方がいいとか、そんなことを話し合い、情報を精査した。その後、スライドのまとめ方や発表の構成を考えた。
「よし、とりあえず今はこんなところかな」
「そうですね、またスライドまとめて発表の原稿が決まったらすり合わせましょうか」
「おっけー!」
「じゃあ、ご飯行こうか」
その言葉にドキッとする。
「はい……」
話し合いだけなら全然大丈夫だけど、ご飯行くのはやっぱ緊張するなぁ……
「えーと、佐藤さん何好き?なんか食べたいとかある?」
「そうですね…特にこれっていうのはないです。」
「お腹どのくらい空いてる?」
「結構お腹すいてます。」
「なるほどね。佐藤さん麺好き?」
「はい」
「ラーメンとか好き?ここら辺で美味しいお店あるんだけど……イタリアンの方がいいかな?」
「えっと、イタリアンはよく行くので、逆にラーメン食べたいです。ラーメンの美味しいお店全然知らないので……高橋さんおすすめのところ行ってみたいです。」
「じゃあ、そこ行こっか」
── つづく ──
『せっかくの機会だから佐藤さんとも仲良くなりたいし、親睦会っていうことで!』
私は画面を見つめて固まっていた。
高橋さんとプレゼンの相談のため集まる予定を立てていて、まさかご飯に誘われるとは考えてなかった。
え?プレゼンのことで、二人で集まって、そのあとだから……二人でってこと?
男子と二人で?
……。
ピコン。
固まったままぐるぐると考えていると、高橋さんからまたメッセージが届く。
『あの、もし無理だったら大丈夫なんだけど……。』
メッセージを既読にしたまま放置してしまったので、もしかしたら引いたと思ったのかもしれない。
引いてない。むしろうれしい。高橋さんが彼とは真逆の根暗の私と仲良くなりたいと思ってくれてるなんて。私も仲良くなってみたい。ただ、男の子とご飯なんぞ行ったことないから、困惑しているのだ。
待て、冷静に考えてみろ。これは殻を破って新しい経験をするチャンスだ。男子と交流なさ過ぎてこの前恋する機会がないとか言ってただろ。まあ、高橋さんとは恋しないとしても、今まで特定の人としか交流してこなかった私にとっては、人間関係の新たな扉を開くきっかけになるかも。それが出会いとかにつながるはずだ。
私は親睦会の誘いに合意することにした。
『親睦会いいですね!ぜひお願いします。』
『ホントに?じゃあそうしよ!』
こうして、プレゼンの相談のあとご飯に行くことが決定した。
***
── 当日 ──
5時限目の授業を終え、私は教室を出て、ワラワラと帰っていく学生たちの中、あたりを見回した。高橋さんも授業終わったかな。迎えにくるって言ってたけど……。
ポンポン。誰かに肩をたたかれて振り返る。
「佐藤さん!お疲れ様!」
高橋さんだった。
「お疲れ様です。」
「じゃあ、どっか話し合えるとこ探そうか。3階のフリースペースとかたくさん机と椅子あるからそこ行ってみない?」
「そうですね。でもあそこ人気ですから空いてますかね。」
「どうだろ~とりあえず行ってみようよ」
3階のフリースペースは学生たちに人気だ。机も大きめだし座れるとこ沢山あるし、景色いいし。お昼食べたり、集まったり、自習したりするのにみんなよく使う。
3階につくと案の定ほぼ満席だった。
「あっ」
「あそこ空いてる!」
高橋さんが空いてる席を見つけてくれた。
「ありがとうございます。空いててよかった。」
「ね~。俺たちラッキーだわ。」
私たちは席に座り、今後の相談をはじめた。
「とりあえず調べてきたのお互い確認しようか」
「そうですね。そのあと、スライドどんな感じでまとめるかとか、発表どんな感じにするかなど決めましょうか」
「いいね」
お互い調べてまとめてきた情報を交換しつつ、ここはもっとこうした方がいいとか、そんなことを話し合い、情報を精査した。その後、スライドのまとめ方や発表の構成を考えた。
「よし、とりあえず今はこんなところかな」
「そうですね、またスライドまとめて発表の原稿が決まったらすり合わせましょうか」
「おっけー!」
「じゃあ、ご飯行こうか」
その言葉にドキッとする。
「はい……」
話し合いだけなら全然大丈夫だけど、ご飯行くのはやっぱ緊張するなぁ……
「えーと、佐藤さん何好き?なんか食べたいとかある?」
「そうですね…特にこれっていうのはないです。」
「お腹どのくらい空いてる?」
「結構お腹すいてます。」
「なるほどね。佐藤さん麺好き?」
「はい」
「ラーメンとか好き?ここら辺で美味しいお店あるんだけど……イタリアンの方がいいかな?」
「えっと、イタリアンはよく行くので、逆にラーメン食べたいです。ラーメンの美味しいお店全然知らないので……高橋さんおすすめのところ行ってみたいです。」
「じゃあ、そこ行こっか」
── つづく ──
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