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1. 出会い
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―― 次の日――
「――はい、これ、プレゼンのペアです。」
授業開始早々、教授が教壇のプロジェクターにペアの組み合わせを映す。
「各自移動してペアの人と指定の席についてください。」
私は目を細めてプロジェクターに書かれている自分の名前を探した。そしてペアの人を確認した。
“高橋優斗”
……男子じゃん⁉ しかも知らん人だし。あんまり他人に興味を持たない私は、少人数クラスの授業でも顔と名前が一致していない人が多い。
どんな人なのか検討がつかないまま指定された席に移動した。
「佐藤佳歩さんだよね?」
少しパーマのかかったような髪をした背の高い男の子が私に声をかけてきた。
「そうです。……高橋さんですか?」
「そうだよ!プレゼン頑張ろうね!よろしくね」
彼は私の隣に座り、こちらを見てにこりと笑った。
彼の顔を見て私はピンときた。いつも友達に囲まれている人だ。ヤバい、別次元の人にあたってしまった。
「よろしくお願いします……」
その後、教授からプリントが配られ、プレゼンに関する詳しい説明を聴いて授業は終わった。
ああ、不安しかない。そんな風に思って教室を出ようとすると
「佐藤さん!ちょっと待って」
高橋さんが追いかけてきて私を呼び止めた。
「連絡先交換しようよ。プレゼンの準備、相談して進めなきゃだし」
「あ……」
確かに連絡取れないと準備が大変だ。忘れてた。
「確かにそうですよね。わかりました。えっと……。どうぞ」
私はスマホを取り出し、メッセージアプリのQRコードを彼に差し出した。
「ありがとう!」
彼はQRコードを読みとって、私のアカウントを確認し、何か打ち込んだ。
ピコン。私のスマホが鳴る。
『よろしくね!』
彼から鳥のかわいいスタンプと共にメッセージが送られてきた。
「届いたかな」
「あ、届きました。友達に追加しておきますね」
私も『よろしくお願いします』と返信をした。
彼はその返信を確認して顔をあげて、にかっと笑う。
「よし!OK!ありがとね。これからよろしくね!プレゼン頑張ろうね!」
「……そうですね、頑張りましょう。」
その人懐っこい笑顔になれない陰キャな私は、どぎまぎしながら答えた。
***
夜、家で今日高橋さんと交換したメッセージを見つめてため息をついた。
高橋優斗という人物のことはよく知らない。顔と名前が一致してなかったくらいだ。でも、顔は見たことあって、どこで見かけても男女関係なく数人の友達と楽しそうにつるんでいる。
いわゆる陽キャというやつだ。
避けてきたタイプの人とペアになるとは。今までもこういうことなかったわけじゃないけど、あんまり深くかかわらないでやってこれるような課題だったし、2人とかではなくグループでということが多かった。今回は残念ながらがっつり相談しないとなかなかできない内容だ。
はあ……。まあ、プロジェクトが終わったら終わりだし、がんばろう……
ピコン。
うだうだ考え事をしていたら、高橋さんから急にメッセージが届いて飛び上がった。
『お疲れ様!プレゼンのことなんだけど、調べ物どうやって分担しようか?』
早速プレゼンについての相談が来た。私はすぐに返信した。
そこから何度かメッセージをやり取りして分担が決まった。
『じゃあ、そういうことで!』
『はい、よろしくお願いします。』
ふう……。
早めに分担決まってよかった。いつもこうやってグループやペアで課題を進める時、ルーズな相手が多いから分担もなかなか決まらなくて、準備が進められず、課題の発表・提出がギリギリになって困ることが多かったから、とても助かる。しかも、こちらから相談持ちかけるの緊張して嫌だったから、向こうから連絡してくれてよかった。
……なんだか、積極的に進めてくれそうだし、ペアが高橋さんでラッキーだったかも。
── つづく──
「――はい、これ、プレゼンのペアです。」
授業開始早々、教授が教壇のプロジェクターにペアの組み合わせを映す。
「各自移動してペアの人と指定の席についてください。」
私は目を細めてプロジェクターに書かれている自分の名前を探した。そしてペアの人を確認した。
“高橋優斗”
……男子じゃん⁉ しかも知らん人だし。あんまり他人に興味を持たない私は、少人数クラスの授業でも顔と名前が一致していない人が多い。
どんな人なのか検討がつかないまま指定された席に移動した。
「佐藤佳歩さんだよね?」
少しパーマのかかったような髪をした背の高い男の子が私に声をかけてきた。
「そうです。……高橋さんですか?」
「そうだよ!プレゼン頑張ろうね!よろしくね」
彼は私の隣に座り、こちらを見てにこりと笑った。
彼の顔を見て私はピンときた。いつも友達に囲まれている人だ。ヤバい、別次元の人にあたってしまった。
「よろしくお願いします……」
その後、教授からプリントが配られ、プレゼンに関する詳しい説明を聴いて授業は終わった。
ああ、不安しかない。そんな風に思って教室を出ようとすると
「佐藤さん!ちょっと待って」
高橋さんが追いかけてきて私を呼び止めた。
「連絡先交換しようよ。プレゼンの準備、相談して進めなきゃだし」
「あ……」
確かに連絡取れないと準備が大変だ。忘れてた。
「確かにそうですよね。わかりました。えっと……。どうぞ」
私はスマホを取り出し、メッセージアプリのQRコードを彼に差し出した。
「ありがとう!」
彼はQRコードを読みとって、私のアカウントを確認し、何か打ち込んだ。
ピコン。私のスマホが鳴る。
『よろしくね!』
彼から鳥のかわいいスタンプと共にメッセージが送られてきた。
「届いたかな」
「あ、届きました。友達に追加しておきますね」
私も『よろしくお願いします』と返信をした。
彼はその返信を確認して顔をあげて、にかっと笑う。
「よし!OK!ありがとね。これからよろしくね!プレゼン頑張ろうね!」
「……そうですね、頑張りましょう。」
その人懐っこい笑顔になれない陰キャな私は、どぎまぎしながら答えた。
***
夜、家で今日高橋さんと交換したメッセージを見つめてため息をついた。
高橋優斗という人物のことはよく知らない。顔と名前が一致してなかったくらいだ。でも、顔は見たことあって、どこで見かけても男女関係なく数人の友達と楽しそうにつるんでいる。
いわゆる陽キャというやつだ。
避けてきたタイプの人とペアになるとは。今までもこういうことなかったわけじゃないけど、あんまり深くかかわらないでやってこれるような課題だったし、2人とかではなくグループでということが多かった。今回は残念ながらがっつり相談しないとなかなかできない内容だ。
はあ……。まあ、プロジェクトが終わったら終わりだし、がんばろう……
ピコン。
うだうだ考え事をしていたら、高橋さんから急にメッセージが届いて飛び上がった。
『お疲れ様!プレゼンのことなんだけど、調べ物どうやって分担しようか?』
早速プレゼンについての相談が来た。私はすぐに返信した。
そこから何度かメッセージをやり取りして分担が決まった。
『じゃあ、そういうことで!』
『はい、よろしくお願いします。』
ふう……。
早めに分担決まってよかった。いつもこうやってグループやペアで課題を進める時、ルーズな相手が多いから分担もなかなか決まらなくて、準備が進められず、課題の発表・提出がギリギリになって困ることが多かったから、とても助かる。しかも、こちらから相談持ちかけるの緊張して嫌だったから、向こうから連絡してくれてよかった。
……なんだか、積極的に進めてくれそうだし、ペアが高橋さんでラッキーだったかも。
── つづく──
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