91 / 98
91.合流
しおりを挟む
「おう! テツじゃねぇか! あっ、ガイもいたか。大変なんだよ! 聖ドルフ国がよ、侵略されてるってんだ!」
その言葉を聞いて驚いたが、同時に大丈夫じゃないだろうかという気もする。
何せ、あの国にはヒロがいるからだ。
「でも、ヒロがいますし」
「そのヒロからの救援だ」
その言葉を聞いた瞬間に頭をフル回転させる。
目を閉じて内容を漏らさず聞き取る準備を行う。
「状況を聞かせてください」
「あぁ。まず、聖ドルフ国は隣国のイドヒ帝国に侵略されている。帝国は魔王を倒した山の先の国だ」
「なるほど、居なくなったのをいい事に……」
「そうだ。障害が亡くなったため攻めてきたようだ。ヒロが出張ろうとしたが、王都を空にするわけにも行かないようなんだ」
たしかに王都を手薄にする訳には行かないだろう。何処から攻めてくるかも定かではないのだ。
「でだ、王都と魔王山の中間で軍隊を押し返そうとしているパーティー達がいる。その援護に行って欲しいそうだ」
そこで以前指導したことがあるパーティーを思い出した。
もしかして……。
「パーティー名分かりますか?」
「主要な所はな。漆黒の牙、草原の輝き、後は紅蓮の炎だったか……みんなもうすぐBランクに上がれるくらいのパーティーらしい」
目をつぶって少し気持ちをおちつける。
そうか。
あの時はただ生意気な子供だと思っていたが、頑張ってたんだな。
たしか、Dランクだったはずだから相当強くなったんだな。
強気なオラオラしてた赤髪のイフト。
しっかりそうに見えて少し抜けてるアーク。
ビビりまくってビクビクしてたエアリー。
そんなに前でもないのに懐かしい。
もうすぐBランクなんて凄いじゃないか。
俺が行くまで死ぬんじゃないぞ。
少しの間の指導だったが、弟子は弟子だ。
俺が助けに行かないと。
「俺が行きます。紅蓮の炎は以前俺が指導しました」
「あぁ。他はどうする?」
「レイとショウに声をかけてもらえますか? 暁の面々と後から来るように伝えてください。俺は先に行きます!」
「わかった」
ジンさんとの打ち合わせを終えて。
ガイさんとアリーを見る。
「ガイさん、アリー、ルリー、ミリーさんと家族水入らずで過ごしててください。俺は、ちょっと行ってきます」
ムッとした顔をするガイさん。
何が悪いことを言ったか?
そう思っていると。
グイッと顔を近づけて。
「そういう所はまだ分かってねぇんだな! テツ! お前も、もう家族だろ? お前がいねぇと家族水入らずにならねぇぞ?」
思わぬガイさんの言葉に。
言葉が詰まり胸が熱くなる。
「……っす、すぐに……戻ります」
「早く来いよ? この街は俺に任せろ」
「頼みます」
ガイさんに頭を下げると。
アリーが前にいた。
「一人で行っちゃうんですか?」
「あぁ。急がないとな。アリーは待っててくれ」
アリーが胸に頭を預ける。
上目遣いで見上げて。
「無事に帰ってきてね?」
「あぁ。俺は、死なんさ」
頭を撫でてニコッと笑う。
少し寂しそうに笑うアリーを見て。
生きて帰ってくるという覚悟を決めた。
俺は、諦めない。
必ず、生きて帰る。
そう胸に誓い、ギルドを出た。
街を疾走する。
街の人に声を掛けられるが、手を挙げて挨拶するだけに留める。
森に突入する。
今回は、最短距離を行く。
アビットが横から突如飛んできた。
脇目も振らず、ナイフでたたき斬る。
血を払う。
走りながら処理する。
ゴブリンも居たが、たたっ斬って通り過ぎる。
S、Aランクの領域に来て空気が変わる。
しかし、俺は構うことなく進む。
エンオンが現れたが、刀で一刀の元に伏せる。
真っ直ぐ。
ただ真っ直ぐ進む。
聖ドルフ国に入った。
魔力運用は大丈夫。
まだまだ持つ。
歩いて一週間ほどの距離を、駆け抜ける。
街が見えてきた。
街の反対側には無数の人が群がっている。
アイツらが、イドヒ帝国か。
前線で戦っている赤い髪が目立つ。
押されている様だ。
刀を構え。
抜刀する。
「黒刃」
黒い刃が迫る。
ザンッと数人を真っ二つにした。
イフトが振り返る。
「えっ? テツさんじゃん! 何? 助けに来てくれたの?」
「あぁ。助けに来た。一応弟子だからな」
イフトの問いかけに答えると。
ガッハッハッと笑った。
「テツさん! すげぇ強くなってねぇ?」
「テツさん! なんで?」
「え、えっ!? テ、テツ……さん?」
イフトは強いことに驚いているが、アークは居るのが疑問なんだろう。
エアリーはビクビクしながらも仲間を回復させてあげている。
「聖ドルフ国には俺の親友がいてな。前線で頑張ってる冒険者達がいるから助けてあげて欲しいって救援要請があったんだ」
「いや、実際結構辛かったからよかった! テツさんが来てくれれば百人力だぜ!」
迫る兵士を切り捨てながら答えるイフト。
俺もナイフでバッタバッタと倒しているが、数が半端じゃない。
「数が多いな」
「これを倒しても、次の日には更に多い人数が来たりするんだよ? 疲れるったらねぇよ!」
俺の疑問にイフトが答えてくれる。
それにしても……。
「そんなに人を寄越してるのか」
相手の目的は聖ドルフ国の侵略すること。
何のためにこの国が欲しいのだろうか。
その謎はすぐに解明される。
その言葉を聞いて驚いたが、同時に大丈夫じゃないだろうかという気もする。
何せ、あの国にはヒロがいるからだ。
「でも、ヒロがいますし」
「そのヒロからの救援だ」
その言葉を聞いた瞬間に頭をフル回転させる。
目を閉じて内容を漏らさず聞き取る準備を行う。
「状況を聞かせてください」
「あぁ。まず、聖ドルフ国は隣国のイドヒ帝国に侵略されている。帝国は魔王を倒した山の先の国だ」
「なるほど、居なくなったのをいい事に……」
「そうだ。障害が亡くなったため攻めてきたようだ。ヒロが出張ろうとしたが、王都を空にするわけにも行かないようなんだ」
たしかに王都を手薄にする訳には行かないだろう。何処から攻めてくるかも定かではないのだ。
「でだ、王都と魔王山の中間で軍隊を押し返そうとしているパーティー達がいる。その援護に行って欲しいそうだ」
そこで以前指導したことがあるパーティーを思い出した。
もしかして……。
「パーティー名分かりますか?」
「主要な所はな。漆黒の牙、草原の輝き、後は紅蓮の炎だったか……みんなもうすぐBランクに上がれるくらいのパーティーらしい」
目をつぶって少し気持ちをおちつける。
そうか。
あの時はただ生意気な子供だと思っていたが、頑張ってたんだな。
たしか、Dランクだったはずだから相当強くなったんだな。
強気なオラオラしてた赤髪のイフト。
しっかりそうに見えて少し抜けてるアーク。
ビビりまくってビクビクしてたエアリー。
そんなに前でもないのに懐かしい。
もうすぐBランクなんて凄いじゃないか。
俺が行くまで死ぬんじゃないぞ。
少しの間の指導だったが、弟子は弟子だ。
俺が助けに行かないと。
「俺が行きます。紅蓮の炎は以前俺が指導しました」
「あぁ。他はどうする?」
「レイとショウに声をかけてもらえますか? 暁の面々と後から来るように伝えてください。俺は先に行きます!」
「わかった」
ジンさんとの打ち合わせを終えて。
ガイさんとアリーを見る。
「ガイさん、アリー、ルリー、ミリーさんと家族水入らずで過ごしててください。俺は、ちょっと行ってきます」
ムッとした顔をするガイさん。
何が悪いことを言ったか?
そう思っていると。
グイッと顔を近づけて。
「そういう所はまだ分かってねぇんだな! テツ! お前も、もう家族だろ? お前がいねぇと家族水入らずにならねぇぞ?」
思わぬガイさんの言葉に。
言葉が詰まり胸が熱くなる。
「……っす、すぐに……戻ります」
「早く来いよ? この街は俺に任せろ」
「頼みます」
ガイさんに頭を下げると。
アリーが前にいた。
「一人で行っちゃうんですか?」
「あぁ。急がないとな。アリーは待っててくれ」
アリーが胸に頭を預ける。
上目遣いで見上げて。
「無事に帰ってきてね?」
「あぁ。俺は、死なんさ」
頭を撫でてニコッと笑う。
少し寂しそうに笑うアリーを見て。
生きて帰ってくるという覚悟を決めた。
俺は、諦めない。
必ず、生きて帰る。
そう胸に誓い、ギルドを出た。
街を疾走する。
街の人に声を掛けられるが、手を挙げて挨拶するだけに留める。
森に突入する。
今回は、最短距離を行く。
アビットが横から突如飛んできた。
脇目も振らず、ナイフでたたき斬る。
血を払う。
走りながら処理する。
ゴブリンも居たが、たたっ斬って通り過ぎる。
S、Aランクの領域に来て空気が変わる。
しかし、俺は構うことなく進む。
エンオンが現れたが、刀で一刀の元に伏せる。
真っ直ぐ。
ただ真っ直ぐ進む。
聖ドルフ国に入った。
魔力運用は大丈夫。
まだまだ持つ。
歩いて一週間ほどの距離を、駆け抜ける。
街が見えてきた。
街の反対側には無数の人が群がっている。
アイツらが、イドヒ帝国か。
前線で戦っている赤い髪が目立つ。
押されている様だ。
刀を構え。
抜刀する。
「黒刃」
黒い刃が迫る。
ザンッと数人を真っ二つにした。
イフトが振り返る。
「えっ? テツさんじゃん! 何? 助けに来てくれたの?」
「あぁ。助けに来た。一応弟子だからな」
イフトの問いかけに答えると。
ガッハッハッと笑った。
「テツさん! すげぇ強くなってねぇ?」
「テツさん! なんで?」
「え、えっ!? テ、テツ……さん?」
イフトは強いことに驚いているが、アークは居るのが疑問なんだろう。
エアリーはビクビクしながらも仲間を回復させてあげている。
「聖ドルフ国には俺の親友がいてな。前線で頑張ってる冒険者達がいるから助けてあげて欲しいって救援要請があったんだ」
「いや、実際結構辛かったからよかった! テツさんが来てくれれば百人力だぜ!」
迫る兵士を切り捨てながら答えるイフト。
俺もナイフでバッタバッタと倒しているが、数が半端じゃない。
「数が多いな」
「これを倒しても、次の日には更に多い人数が来たりするんだよ? 疲れるったらねぇよ!」
俺の疑問にイフトが答えてくれる。
それにしても……。
「そんなに人を寄越してるのか」
相手の目的は聖ドルフ国の侵略すること。
何のためにこの国が欲しいのだろうか。
その謎はすぐに解明される。
0
お気に入りに追加
1,224
あなたにおすすめの小説
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
最強の職業は解体屋です! ゴミだと思っていたエクストラスキル『解体』が実は超有能でした
服田 晃和
ファンタジー
旧題:最強の職業は『解体屋』です!〜ゴミスキルだと思ってたエクストラスキル『解体』が実は最強のスキルでした〜
大学を卒業後建築会社に就職した普通の男。しかし待っていたのは設計や現場監督なんてカッコいい職業ではなく「解体作業」だった。来る日も来る日も使わなくなった廃ビルや、人が居なくなった廃屋を解体する日々。そんなある日いつものように廃屋を解体していた男は、大量のゴミに押しつぶされてしまい突然の死を迎える。
目が覚めるとそこには自称神様の金髪美少女が立っていた。その神様からは自分の世界に戻り輪廻転生を繰り返すか、できれば剣と魔法の世界に転生して欲しいとお願いされた俺。だったら、せめてサービスしてくれないとな。それと『魔法』は絶対に使えるようにしてくれよ!なんたってファンタジーの世界なんだから!
そうして俺が転生した世界は『職業』が全ての世界。それなのに俺の職業はよく分からない『解体屋』だって?貴族の子に生まれたのに、『魔導士』じゃなきゃ追放らしい。優秀な兄は勿論『魔導士』だってさ。
まぁでもそんな俺にだって、魔法が使えるんだ!えっ?神様の不手際で魔法が使えない?嘘だろ?家族に見放され悲しい人生が待っていると思った矢先。まさかの魔法も剣も極められる最強のチート職業でした!!
魔法を使えると思って転生したのに魔法を使う為にはモンスター討伐が必須!まずはスライムから行ってみよう!そんな男の楽しい冒険ファンタジー!
捨て子の僕が公爵家の跡取り⁉~喋る聖剣とモフモフに助けられて波乱の人生を生きてます~
伽羅
ファンタジー
物心がついた頃から孤児院で育った僕は高熱を出して寝込んだ後で自分が転生者だと思い出した。そして10歳の時に孤児院で火事に遭遇する。もう駄目だ! と思った時に助けてくれたのは、不思議な聖剣だった。その聖剣が言うにはどうやら僕は公爵家の跡取りらしい。孤児院を逃げ出した僕は聖剣とモフモフに助けられながら生家を目指す。
幼女と執事が異世界で
天界
ファンタジー
宝くじを握り締めオレは死んだ。
当選金額は約3億。だがオレが死んだのは神の過失だった!
謝罪と称して3億分の贈り物を貰って転生したら異世界!?
おまけで貰った執事と共に異世界を満喫することを決めるオレ。
オレの人生はまだ始まったばかりだ!
[完結] 邪魔をするなら潰すわよ?
シマ
ファンタジー
私はギルドが運営する治療院で働く治療師の一人、名前はルーシー。
クエストで大怪我したハンター達の治療に毎日、忙しい。そんなある日、騎士の格好をした一人の男が運び込まれた。
貴族のお偉いさんを魔物から護った騎士団の団長さんらしいけど、その場に置いていかれたの?でも、この傷は魔物にヤられたモノじゃないわよ?
魔法のある世界で亡くなった両親の代わりに兄妹を育てるルーシー。彼女は兄妹と静かに暮らしたいけど何やら回りが放ってくれない。
ルーシーが気になる団長さんに振り回されたり振り回したり。
私の生活を邪魔をするなら潰すわよ?
1月5日 誤字脱字修正 54話
★━戦闘シーンや猟奇的発言あり
流血シーンあり。
魔法・魔物あり。
ざぁま薄め。
恋愛要素あり。
ユーヤのお気楽異世界転移
暇野無学
ファンタジー
死因は神様の当て逃げです! 地震による事故で死亡したのだが、原因は神社の扁額が当たっての即死。問題の神様は気まずさから俺を輪廻の輪から外し、異世界の神に俺をゆだねた。異世界への移住を渋る俺に、神様特典付きで異世界へ招待されたが・・・ この神様が超適当な健忘症タイプときた。
(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
2回目の人生は異世界で
黒ハット
ファンタジー
増田信也は初めてのデートの待ち合わせ場所に行く途中ペットの子犬を抱いて横断歩道を信号が青で渡っていた時に大型トラックが暴走して来てトラックに跳ね飛ばされて内臓が破裂して即死したはずだが、気が付くとそこは見知らぬ異世界の遺跡の中で、何故かペットの柴犬と異世界に生き返った。2日目の人生は異世界で生きる事になった
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる