転生したら前世チートで無双する

ゆる弥

文字の大きさ
上 下
76 / 98

76.イルワ商会

しおりを挟む
「アリー、ダン、ウィン、フルルに話がある」

「さっきの子達のことですか!? 見てたら放っておけないっすよ!」

「自分は、あんな事するやつ、ぶっ潰したい!」

「私……許せない」

「絶対に許せません。子供たちが可哀想です! テツさん!」

 みんな、気持ちをぶつけてくれる。
 俺も同じ気持ちだ。
 同じ気持ちで居てくれてありがとう。

「俺も、同じことを考えていた。あの街をぶっ潰すぞ!」

「「「おぅ!」」」

 素通りするつもりだったが、さっきのような惨状を見ては放ってはおけない。
 ゴロズとか言ったか。
 あの街に巣食う膿を全滅させる。

 実はダンにも気をつけなければいけない癖がある。興奮すると前に出すぎてしまうのだ。
 それに気をつけなければならない。
 今回のような乱戦になりそうな時に前に出ると一気に囲まれるからな。

 ゴロズに向かって慎重に近づいていく。
 俺達は危害を加えないという体で行かなければならない。
 かなり心苦しいが……。

「アリー、フルル。頼みがある」

「はい!」
「?……なに?」

「俺達に捕まってくれ」

「えぇ!?」
「なに……それ?」

◇◆◇

「その女達は売り物か?」

「そうだ。誰に会えばいい?」

「ここを牛耳ってるのはイルワ商会だ。ここを入って真っ直ぐ進めばデカい建物がある。そこにいけば買い取ってもらえる」

「わかった」

 通ろうとするとアリーに手を伸ばしてきた。
 咄嗟にバシッと手を弾いてしまった。

「何しやがる!?」

「お前こそ何をしようとした?」

「商品になっちまったら触れねぇからその前に触ろうとしたんだろうが!?」

 顔を近づけて凄んでくる門番の男。
 ここで問題を起こす訳にも行かない。

「傷ついたらどうする? それで引かれた分の金額を払ってくれるのか?」

「ちっ! わぁったよ! 早く行け!」

 乱暴にシッシッと奥に行くように促された。
 良かった。
 なんとかバレずに入り込めた。

「テツさん。有難う御座います。触られたくなかった」

「あぁ。咄嗟に手が出てしまった。危なかった。とりあえず、さっき聞いたイルワ商会に行くぞ」

 フルルはウィンが拘束している形でアリーは俺が拘束している形にしている。
 ダンは後ろで動けるように控えている。
 すぐカッとなるからな。

 真っ直ぐ通りを進んでいると、たしかに大きい建物が見えてきた。
 イルワ商会と書いてある。

「ここだな」

 扉を開けると、薄暗い部屋にカウンターがある。

「客か? 何もんだ?」

「女を売りに来た」

「ほう…………どちらも上玉だな」

 その男はアリーの顎を触って顔をじっくりと見ている。
 アリーは少し震えていた。

 少しの辛抱だ。
 ボスを誘き出すまで我慢してくれ。

「金額の話はそちらのボスとしたい」

「あぁ? 俺が担当だが?」

「いい女達だろ? ボスに見せれば金を弾んでくれるかもしれないだろ?」

「ふぅむ。仕方ない」

 そう言うと奥に消えていった。
 カウンターの男が連れてきた男は大柄な筋肉隆々の男。
 不機嫌さを隠しもせずに出てきた。

「お前か? 俺に金額の交渉したいってやつは? お前な、身の程をわきまえろよ!?」

「出てきてくれてありがとう」

 指から頭に向けて闇の弾丸を放つ。
 ボッという音と共に穴が空いたのは。
 男の耳だった。

「くそっ! なんだコイツ!? おい! やれ!」

 奥から続々と武器を持った男達が押しかけてきた。

「テツさん!」

 アリーが心配そうにこちらを気にする。
 チラリとそちらをみて手をかざす。

「絶対防御」

 アリーの周りに不可視のバリアが張られる。
 フルルも入るようにかけた。

 両手にナイフを抜く。
 そして、闇を体に纏う。

「お前達は胸糞が悪い。ぶっ潰す」

「俺が相手だ! オラァァァ!」

 ダンが前に出る。
 それをきっかけに乱戦が始まった。
 少し前に出過ぎだが、俺がカバーできる。

 ゆったりとした動きで攻撃を避けて首をはねる。続いて胸にナイフを突き刺し。
 蹴り飛ばしながら抜く。

「ダン、下がれ」

「う、うっす!」

 下がってきたダンを確認すると。
 闇の弾丸を数発宙に浮かせる。

 ドンッとなったかと思ったら目の前の三人が穴だらけで絶命した。
 ゆっくりとその骸の間を通りビビり始めた男達の元へ歩みを進める。

 ナイフをクルッと逆手に持つ。

「おおおぉぉ!」

 ウィンがシールドバッシュをして剣で切り裂いている。
 本当に少しの戦闘で成長したな。
 そちらにも人が向かっている。

 そちらにばかりは行かせられない。
 向かっている一人にナイフを投げる。
 スドッと首に突き刺さり血を吹いて倒れる。

「俺の相手をしてくれよ?」

 男達は震え上がった。
 闇が大きくなる。

「うわぁぁ!」

 ヤケクソになった奴が剣をブンブン振り回して突っ込んできた。
 下から足を払う。
 転んで剣を離した。

 胸に、ナイフを突き刺す。
 ヤケクソになって突っ込んでくる。
 避けては刺し、避けては刺し。

 やがて、敵で立っているのはボスだけになった。

「なっ!? 何がしたい!? 金か!? それとも女か? 沢山居るぞ!? どうだ!?」

「胸糞悪い」

 そう言って歩いて近づく。

「クソガァァァ!」

 拳を振り下ろしてくる。
 スっと避ける。

 すると、ドゴォッと床を破壊した。
 腕がハマったようだ。

 トンッと宙に跳ぶ。
 クルッと回り、遠心力を生かした斬撃は、筋肉に守られていたボスの首をスパッと切り裂いた。

 イルワ商会の最後であった。
しおりを挟む
感想 16

あなたにおすすめの小説

アイテムボックス無双 ~何でも収納! 奥義・首狩りアイテムボックス!~

明治サブ🍆スニーカー大賞【金賞】受賞作家
ファンタジー
※大・大・大どんでん返し回まで投稿済です!! 『第1回 次世代ファンタジーカップ ~最強「進化系ざまぁ」決定戦!』投稿作品。  無限収納機能を持つ『マジックバッグ』が巷にあふれる街で、収納魔法【アイテムボックス】しか使えない主人公・クリスは冒険者たちから無能扱いされ続け、ついに100パーティー目から追放されてしまう。  破れかぶれになって単騎で魔物討伐に向かい、あわや死にかけたところに謎の美しき旅の魔女が現れ、クリスに告げる。 「【アイテムボックス】は最強の魔法なんだよ。儂が使い方を教えてやろう」 【アイテムボックス】で魔物の首を、家屋を、オークの集落を丸ごと収納!? 【アイテムボックス】で道を作り、川を作り、街を作る!? ただの収納魔法と侮るなかれ。知覚できるものなら疫病だろうが敵の軍勢だろうが何だって除去する超能力! 主人公・クリスの成り上がりと「進化系ざまぁ」展開、そして最後に待ち受ける極上のどんでん返しを、とくとご覧あれ! 随所に散りばめられた大小さまざまな伏線を、あなたは見抜けるか!?

【完結】初級魔法しか使えない低ランク冒険者の少年は、今日も依頼を達成して家に帰る。

アノマロカリス
ファンタジー
少年テッドには、両親がいない。 両親は低ランク冒険者で、依頼の途中で魔物に殺されたのだ。 両親の少ない保険でやり繰りしていたが、もう金が尽きかけようとしていた。 テッドには、妹が3人いる。 両親から「妹達を頼む!」…と出掛ける前からいつも約束していた。 このままでは家族が離れ離れになると思ったテッドは、冒険者になって金を稼ぐ道を選んだ。 そんな少年テッドだが、パーティーには加入せずにソロ活動していた。 その理由は、パーティーに参加するとその日に家に帰れなくなるからだ。 両親は、小さいながらも持ち家を持っていてそこに住んでいる。 両親が生きている頃は、父親の部屋と母親の部屋、子供部屋には兄妹4人で暮らしていたが…   両親が死んでからは、父親の部屋はテッドが… 母親の部屋は、長女のリットが、子供部屋には、次女のルットと三女のロットになっている。 今日も依頼をこなして、家に帰るんだ! この少年テッドは…いや、この先は本編で語ろう。 お楽しみくださいね! HOTランキング20位になりました。 皆さん、有り難う御座います。

劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?

はらくろ
ファンタジー
海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、 強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。 母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、 その少年に、突然の困難が立ちはだかる。 理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。 一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。 それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。 そんな少年の物語。

追放されたら無能スキルで無双する

ゆる弥
ファンタジー
無能スキルを持っていた僕は、荷物持ちとしてあるパーティーについて行っていたんだ。 見つけた宝箱にみんなで駆け寄ったら、そこはモンスタールームで。 僕はモンスターの中に蹴り飛ばされて置き去りにされた。 咄嗟に使ったスキルでスキルレベルが上がって覚醒したんだ。 僕は憧れのトップ探索者《シーカー》になる!

フリーター転生。公爵家に転生したけど継承権が低い件。精霊の加護(チート)を得たので、努力と知識と根性で公爵家当主へと成り上がる 

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
400倍の魔力ってマジ!?魔力が多すぎて範囲攻撃魔法だけとか縛りでしょ 25歳子供部屋在住。彼女なし=年齢のフリーター・バンドマンはある日理不尽にも、バンドリーダでボーカルからクビを宣告され、反論を述べる間もなくガッチャ切りされそんな失意のか、理不尽に言い渡された残業中に急死してしまう。  目が覚めると俺は広大な領地を有するノーフォーク公爵家の長男の息子ユーサー・フォン・ハワードに転生していた。 ユーサーは一度目の人生の漠然とした目標であった『有名になりたい』他人から好かれ、知られる何者かになりたかった。と言う目標を再認識し、二度目の生を悔いの無いように、全力で生きる事を誓うのであった。 しかし、俺が公爵になるためには父の兄弟である次男、三男の息子。つまり従妹達と争う事になってしまい。 ユーサーは富国強兵を掲げ、先ずは小さな事から始めるのであった。 そんな主人公のゆったり成長期!!

捨て子の僕が公爵家の跡取り⁉~喋る聖剣とモフモフに助けられて波乱の人生を生きてます~

伽羅
ファンタジー
 物心がついた頃から孤児院で育った僕は高熱を出して寝込んだ後で自分が転生者だと思い出した。そして10歳の時に孤児院で火事に遭遇する。もう駄目だ! と思った時に助けてくれたのは、不思議な聖剣だった。その聖剣が言うにはどうやら僕は公爵家の跡取りらしい。孤児院を逃げ出した僕は聖剣とモフモフに助けられながら生家を目指す。

クラス転移して授かった外れスキルの『無能』が理由で召喚国から奈落ダンジョンへ追放されたが、実は無能は最強のチートスキルでした

コレゼン
ファンタジー
小日向 悠(コヒナタ ユウ)は、クラスメイトと一緒に異世界召喚に巻き込まれる。 クラスメイトの幾人かは勇者に剣聖、賢者に聖女というレアスキルを授かるが一方、ユウが授かったのはなんと外れスキルの無能だった。 召喚国の責任者の女性は、役立たずで戦力外のユウを奈落というダンジョンへゴミとして廃棄処分すると告げる。 理不尽に奈落へと追放したクラスメイトと召喚者たちに対して、ユウは復讐を誓う。 ユウは奈落で無能というスキルが実は『すべてを無にする』、最強のチートスキルだということを知り、奈落の規格外の魔物たちを無能によって倒し、規格外の強さを身につけていく。 これは、理不尽に追放された青年が最強のチートスキルを手に入れて、復讐を果たし、世界と己を救う物語である。

最強の職業は解体屋です! ゴミだと思っていたエクストラスキル『解体』が実は超有能でした

服田 晃和
ファンタジー
旧題:最強の職業は『解体屋』です!〜ゴミスキルだと思ってたエクストラスキル『解体』が実は最強のスキルでした〜 大学を卒業後建築会社に就職した普通の男。しかし待っていたのは設計や現場監督なんてカッコいい職業ではなく「解体作業」だった。来る日も来る日も使わなくなった廃ビルや、人が居なくなった廃屋を解体する日々。そんなある日いつものように廃屋を解体していた男は、大量のゴミに押しつぶされてしまい突然の死を迎える。  目が覚めるとそこには自称神様の金髪美少女が立っていた。その神様からは自分の世界に戻り輪廻転生を繰り返すか、できれば剣と魔法の世界に転生して欲しいとお願いされた俺。だったら、せめてサービスしてくれないとな。それと『魔法』は絶対に使えるようにしてくれよ!なんたってファンタジーの世界なんだから!  そうして俺が転生した世界は『職業』が全ての世界。それなのに俺の職業はよく分からない『解体屋』だって?貴族の子に生まれたのに、『魔導士』じゃなきゃ追放らしい。優秀な兄は勿論『魔導士』だってさ。  まぁでもそんな俺にだって、魔法が使えるんだ!えっ?神様の不手際で魔法が使えない?嘘だろ?家族に見放され悲しい人生が待っていると思った矢先。まさかの魔法も剣も極められる最強のチート職業でした!!  魔法を使えると思って転生したのに魔法を使う為にはモンスター討伐が必須!まずはスライムから行ってみよう!そんな男の楽しい冒険ファンタジー!

処理中です...