転生したら前世チートで無双する

ゆる弥

文字の大きさ
上 下
27 / 98

27.周りの心配

しおりを挟む
「でさ、テツくんを何ランクにするの?」

 ジンさんにサナさんが問いかける。
 いやいや、規定に従って下さいよ。

「あのー、別に規定通りで……」

「テツくんは黙ってて!」

「……はい」

 サナさんがジンさんを捕まえてランクを上げろとゴネているのだ。
 ランクを上げても同じようなことはあると思うがなぁ。
 サナさん的にはもう俺に偉そうにしてアリーに危害が及ばないようにして欲しいらしい。

「んー。でもよぉEランクからだと飛んでCランクが良いとこだぞ?」

「CランクからBランクって試験なんだっけ?」

「そりゃ、賊の討伐……」

「条件満たしてるわよね?」

 頭をガシガシかいて「だぁぁぁぁ」と言って悩んでいる。そこまで悩まなくても、Cランクでもいいんだが?

「俺が冒険者協会の上から理由聞かれるんだよなぁ。説明がめんどくせぇんだよ。順当にいかないやつってのぁよぉ」

「ゴブリンの集落一人で二つ潰したって言えばいいじゃない?」

「はぁ? 今日も潰したのか?」

 ジンさんがこちらをチラッと見てくる。
 それだといけるんだろうか?
 でも、証拠がない。

「ゴブリンキングの魔石はありますけど、それ以外のゴブリンは魔法で全滅させちゃって、集落があった証拠ないですよ?」

「なぁんでぇ。やっぱおめぇは面白ぇな。ゴブリンキングの魔石があれば集落があった証拠になる。奴は単体では動かねぇからな」

 それは知らなかった。
 魔物の生態系をよく理解してるんだな。
 流石だ。

「よしっ! 今日からテツはBランク! カード出せ」

「えっ? 良いんですか?」

 カードをサナさんに渡す。
 CランクからBランクの壁は厚いと言われている。人の命を奪わなければ上には行けないからだ。その点、俺は沢山の命を奪ってきたからな。
 
「良いも何も、ゴブリンキングのいる集落を一人で潰せる奴なんてのぁAランクだ。ただ、Aランクになるには、Aランクの魔物を十体は倒せないとダメだ。これは、ハードルがたけぇんだよ。なにせ、Aランクの魔物、五層にしか居ねぇからな。まぁ、東の森以外にも出るっちゃ出るけどな」

 俺がAランク相当ってことか?
 五層って……。

「五層はな、Sランクも居るんだよぉ。だから、Aランクを倒すのが難しい。みんなSランクは避けるからなぁ。強さが段違いだからよぉ」

「なるほど」

「まぁ、これで少しは威張れるだろ?」

「威張りませんよ……」

「少し抑止力になりゃいいな。まぁ、さっきので他の連中もテツの強さを分かっただろうからな。丁度いいだろ?」

「いいんだか悪いんだか分かりませんね」

「まぁ、そう言うな。ほらカード」

 冒険者カードをサナさんからジンさんが受け取って俺に渡してくる。

「テツくん? 今度絡まれたら、Bランク相手に出来んのか!? って言っていいんだからね? Bランクなんてこの街に、五人位しか居ないから」

「はぁ」

 何故そんなに威張る必要があるのかは分からないが、皆がそう言うならアリーに相談してみるかな。
 いや、アリーなら威張る事はしないと言うに違いない。

◇◆◇

「今日、Bランクになったんだ。サナさんがこれで絡まれることは無いって言ってたんだが……」
 
 家に帰ってきて一番にアリーに報告した。

「それは、テツさんの強さが認められたということです! 私も嬉しいです! でも、これからはAランクの魔物と戦うのですよね? 気をつけてくださいね!?」

 あぁ。俺の事を心配してくれているんだな。
 ガイさんも魔物にやられたと言っていたから心配してくれているんだろう。

「あぁ。無理には戦わないさ」

「それより、なんで急にBランクになったんですか?」

「あぁ。ゴブリンの集落を一人で壊滅させた……か……ら……」

 ヤバい。ポロッと事実を話してしまった。
 アリーの目が釣り上がっていく。

「そんな危険なことをギルドはさせるんですか!? 私、文句言ってきます!」

 バンッとテーブルを叩いて立ち上がる。
 慌てて止める。

「いや、その……助けは呼んだんだ。ただ、出来れば壊滅させた方がいいなと思って俺がやったんだ」

「テツさんが、選択したと?」

「あぁ。そうなんだ」

 すると、アリーの目から涙が溢れ出した。
 あぁ。心配させてしまったか。

「私……グスッ……テツさんが死んじゃったら…………グスッ……嫌ですよ!?」

 俺の胸に拳を打ち付けてくる。
 ポカポカと叩いて気持ちを訴えているのだろう。

「あぁ。すまない」

「グスッ……ごめんなさい。テツさんが強いのは知ってます。けど、心配で……明日はフルルちゃんの買い物に行く予定です! 罰として、テツさんがお金払ってください!」

 俺に指をさして、ニカッと笑ってくる。
 アリー、俺はなその笑顔の為だったら何でもするぞ。

「あぁ。もちろんだ」

「決まりです!」

◇◆◇

 次の日、フルルを連れての買い物になった。

 まず、服屋さんに行きフルルが着せ替え人形にされていた。
 それは長い時間店にいたのだった。
 二時間位だろうか。
 気がついたら日が高くなっていたと思う。

 ようやく終わったと思った頃、次はアクセサリーショップに行ったのだ。
 腹減ったなぁと思ってもずっとニコニコした顔で選んでいるアリーとフルルを見たら何も言えなかった。

 幸せを守るのは大変なものだ。
しおりを挟む
感想 16

あなたにおすすめの小説

アイテムボックス無双 ~何でも収納! 奥義・首狩りアイテムボックス!~

明治サブ🍆スニーカー大賞【金賞】受賞作家
ファンタジー
※大・大・大どんでん返し回まで投稿済です!! 『第1回 次世代ファンタジーカップ ~最強「進化系ざまぁ」決定戦!』投稿作品。  無限収納機能を持つ『マジックバッグ』が巷にあふれる街で、収納魔法【アイテムボックス】しか使えない主人公・クリスは冒険者たちから無能扱いされ続け、ついに100パーティー目から追放されてしまう。  破れかぶれになって単騎で魔物討伐に向かい、あわや死にかけたところに謎の美しき旅の魔女が現れ、クリスに告げる。 「【アイテムボックス】は最強の魔法なんだよ。儂が使い方を教えてやろう」 【アイテムボックス】で魔物の首を、家屋を、オークの集落を丸ごと収納!? 【アイテムボックス】で道を作り、川を作り、街を作る!? ただの収納魔法と侮るなかれ。知覚できるものなら疫病だろうが敵の軍勢だろうが何だって除去する超能力! 主人公・クリスの成り上がりと「進化系ざまぁ」展開、そして最後に待ち受ける極上のどんでん返しを、とくとご覧あれ! 随所に散りばめられた大小さまざまな伏線を、あなたは見抜けるか!?

劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?

はらくろ
ファンタジー
海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、 強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。 母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、 その少年に、突然の困難が立ちはだかる。 理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。 一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。 それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。 そんな少年の物語。

追放されたら無能スキルで無双する

ゆる弥
ファンタジー
無能スキルを持っていた僕は、荷物持ちとしてあるパーティーについて行っていたんだ。 見つけた宝箱にみんなで駆け寄ったら、そこはモンスタールームで。 僕はモンスターの中に蹴り飛ばされて置き去りにされた。 咄嗟に使ったスキルでスキルレベルが上がって覚醒したんだ。 僕は憧れのトップ探索者《シーカー》になる!

フリーター転生。公爵家に転生したけど継承権が低い件。精霊の加護(チート)を得たので、努力と知識と根性で公爵家当主へと成り上がる 

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
400倍の魔力ってマジ!?魔力が多すぎて範囲攻撃魔法だけとか縛りでしょ 25歳子供部屋在住。彼女なし=年齢のフリーター・バンドマンはある日理不尽にも、バンドリーダでボーカルからクビを宣告され、反論を述べる間もなくガッチャ切りされそんな失意のか、理不尽に言い渡された残業中に急死してしまう。  目が覚めると俺は広大な領地を有するノーフォーク公爵家の長男の息子ユーサー・フォン・ハワードに転生していた。 ユーサーは一度目の人生の漠然とした目標であった『有名になりたい』他人から好かれ、知られる何者かになりたかった。と言う目標を再認識し、二度目の生を悔いの無いように、全力で生きる事を誓うのであった。 しかし、俺が公爵になるためには父の兄弟である次男、三男の息子。つまり従妹達と争う事になってしまい。 ユーサーは富国強兵を掲げ、先ずは小さな事から始めるのであった。 そんな主人公のゆったり成長期!!

【完結】初級魔法しか使えない低ランク冒険者の少年は、今日も依頼を達成して家に帰る。

アノマロカリス
ファンタジー
少年テッドには、両親がいない。 両親は低ランク冒険者で、依頼の途中で魔物に殺されたのだ。 両親の少ない保険でやり繰りしていたが、もう金が尽きかけようとしていた。 テッドには、妹が3人いる。 両親から「妹達を頼む!」…と出掛ける前からいつも約束していた。 このままでは家族が離れ離れになると思ったテッドは、冒険者になって金を稼ぐ道を選んだ。 そんな少年テッドだが、パーティーには加入せずにソロ活動していた。 その理由は、パーティーに参加するとその日に家に帰れなくなるからだ。 両親は、小さいながらも持ち家を持っていてそこに住んでいる。 両親が生きている頃は、父親の部屋と母親の部屋、子供部屋には兄妹4人で暮らしていたが…   両親が死んでからは、父親の部屋はテッドが… 母親の部屋は、長女のリットが、子供部屋には、次女のルットと三女のロットになっている。 今日も依頼をこなして、家に帰るんだ! この少年テッドは…いや、この先は本編で語ろう。 お楽しみくださいね! HOTランキング20位になりました。 皆さん、有り難う御座います。

捨て子の僕が公爵家の跡取り⁉~喋る聖剣とモフモフに助けられて波乱の人生を生きてます~

伽羅
ファンタジー
 物心がついた頃から孤児院で育った僕は高熱を出して寝込んだ後で自分が転生者だと思い出した。そして10歳の時に孤児院で火事に遭遇する。もう駄目だ! と思った時に助けてくれたのは、不思議な聖剣だった。その聖剣が言うにはどうやら僕は公爵家の跡取りらしい。孤児院を逃げ出した僕は聖剣とモフモフに助けられながら生家を目指す。

クラス転移して授かった外れスキルの『無能』が理由で召喚国から奈落ダンジョンへ追放されたが、実は無能は最強のチートスキルでした

コレゼン
ファンタジー
小日向 悠(コヒナタ ユウ)は、クラスメイトと一緒に異世界召喚に巻き込まれる。 クラスメイトの幾人かは勇者に剣聖、賢者に聖女というレアスキルを授かるが一方、ユウが授かったのはなんと外れスキルの無能だった。 召喚国の責任者の女性は、役立たずで戦力外のユウを奈落というダンジョンへゴミとして廃棄処分すると告げる。 理不尽に奈落へと追放したクラスメイトと召喚者たちに対して、ユウは復讐を誓う。 ユウは奈落で無能というスキルが実は『すべてを無にする』、最強のチートスキルだということを知り、奈落の規格外の魔物たちを無能によって倒し、規格外の強さを身につけていく。 これは、理不尽に追放された青年が最強のチートスキルを手に入れて、復讐を果たし、世界と己を救う物語である。

最強の職業は解体屋です! ゴミだと思っていたエクストラスキル『解体』が実は超有能でした

服田 晃和
ファンタジー
旧題:最強の職業は『解体屋』です!〜ゴミスキルだと思ってたエクストラスキル『解体』が実は最強のスキルでした〜 大学を卒業後建築会社に就職した普通の男。しかし待っていたのは設計や現場監督なんてカッコいい職業ではなく「解体作業」だった。来る日も来る日も使わなくなった廃ビルや、人が居なくなった廃屋を解体する日々。そんなある日いつものように廃屋を解体していた男は、大量のゴミに押しつぶされてしまい突然の死を迎える。  目が覚めるとそこには自称神様の金髪美少女が立っていた。その神様からは自分の世界に戻り輪廻転生を繰り返すか、できれば剣と魔法の世界に転生して欲しいとお願いされた俺。だったら、せめてサービスしてくれないとな。それと『魔法』は絶対に使えるようにしてくれよ!なんたってファンタジーの世界なんだから!  そうして俺が転生した世界は『職業』が全ての世界。それなのに俺の職業はよく分からない『解体屋』だって?貴族の子に生まれたのに、『魔導士』じゃなきゃ追放らしい。優秀な兄は勿論『魔導士』だってさ。  まぁでもそんな俺にだって、魔法が使えるんだ!えっ?神様の不手際で魔法が使えない?嘘だろ?家族に見放され悲しい人生が待っていると思った矢先。まさかの魔法も剣も極められる最強のチート職業でした!!  魔法を使えると思って転生したのに魔法を使う為にはモンスター討伐が必須!まずはスライムから行ってみよう!そんな男の楽しい冒険ファンタジー!

処理中です...