47 / 58
47.リアルで稽古2
しおりを挟む
「ハッ!」
ビシッ
俺は懸命に受けに徹していた。
「演舞にも一つ一つ意味があるのは知っておるじゃろうが、受けの時は実際に受けれるくらいしっかり構えんとダメじゃ。腰を落とししっかり受け止めるよう意識するのじゃ」
十蔵さんはそう話しながら俺に突き、蹴りなど技を繰り出してくる。
それをなんとか必死に受ける。
「くっ!」
受けていたが、バランスを崩して膝を着いてしまう。
「一旦、休憩にするかの」
はぁはぁ……はぁ……はぁ
汗を流しながら息絶え絶えの状態だ。
それに比べて十蔵さんは額に汗を滲ませる程度だ。すごい体力だ。流石に伝説の人なだけある。
「この鍛錬はキツイんだわ。休む暇がないからな。よく耐えた方だわ。ただ、まだまだこんなもんじゃないからな」
「はい!」
俺は返事はするが汗が止まらない。
行きはだんだん整ってきた。
走り込みは毎日しているが、アレではまだ足りないらしい。
「汗が冷える前に、今度は基礎の突き、蹴り、受けを鍛錬するから立ちな」
フラリとなんとか立って構える。
まだ膝にはきていない。なんとか耐えられている。
十色さんが掛け声をかけた。
「いち! にー! さん! しー!・・・・」
数える事に繰り返し同じ動作をする。基礎をみっちりと叩き込まれる。
「もう少し腰を低く! そして背筋は伸ばす!」
「押忍!」
「いち! にー! さん! しー!・・・・」
――――――
――――
――
「やめ!」
「ふーーーっ」
「よく最後まで音を上げなかったのぉ」
「そうね。そこは評価できるところだわ」
十蔵さんと十色さんがさっきの基礎動作の評価をしてくれる。なんとか認められてよかった。こんな所で音を上げて居てはダメだからな。
「ありがとうございました!」
頭を下げて礼をする。
外は暗くなりかけていた。
長い間鍛錬をしていたことにも気づかなかった。
「では、また明日にしようかの」
十蔵さんがそう口にすると、スッと執事さんがやってきて頭を下げた。
「お送り致します」
執事さんが再び案内してくれる。
「すみません。お願いします」
車に揺られ数十分、頭をウツラウツラさせているうちに到着した。なんともVIP待遇であることは自覚している。
「それでは、また明日お迎えにあがります」
「ありがとうございました。また、明日も宜しくお願いします」
俺が頭を下げると車に乗り、発信した車を見送るのであった。
クタクタの体に鞭打って家に入る。
「ただいまぁ」
「「おかえりー!」」
「疾風疲れただろう? 飯にするか?」
父に聞かれたが、俺の中の答えは家に入る前に決まっていた。
「ありがとう。その前にシャワーにするよ」
「シャワーから上がったらご飯用意しておくわね」
母が声をかけてくれた。
「ありがとう」
シャワーに行き汗だくの体を洗い流す。
◇◆◇
一方その頃、リビングでは二人きりになった父と母はにこやかに疾風について話していた。。
「なんか最近凄いやる気で、色々吹っ切れて空手に打ち込んでいるみたいで良かったな」
「そうねぇ。ちょっと前までは抱え込んでる感じで元気なかったもの。稽古してもらってる方にお礼に伺わないとねぇ」
「あぁ。ボクもそう言ったんだよ。だけど、疾風の反応がイマイチでなぁ。なんか僕達が行ったら迷惑なのかな?」
両親がそんなことを話し、夜が深けていく。
疲れて帰ってきた疾風は晴れやかな顔をしていて、子供は成長するのが早い。そう思う両親であった。
ビシッ
俺は懸命に受けに徹していた。
「演舞にも一つ一つ意味があるのは知っておるじゃろうが、受けの時は実際に受けれるくらいしっかり構えんとダメじゃ。腰を落とししっかり受け止めるよう意識するのじゃ」
十蔵さんはそう話しながら俺に突き、蹴りなど技を繰り出してくる。
それをなんとか必死に受ける。
「くっ!」
受けていたが、バランスを崩して膝を着いてしまう。
「一旦、休憩にするかの」
はぁはぁ……はぁ……はぁ
汗を流しながら息絶え絶えの状態だ。
それに比べて十蔵さんは額に汗を滲ませる程度だ。すごい体力だ。流石に伝説の人なだけある。
「この鍛錬はキツイんだわ。休む暇がないからな。よく耐えた方だわ。ただ、まだまだこんなもんじゃないからな」
「はい!」
俺は返事はするが汗が止まらない。
行きはだんだん整ってきた。
走り込みは毎日しているが、アレではまだ足りないらしい。
「汗が冷える前に、今度は基礎の突き、蹴り、受けを鍛錬するから立ちな」
フラリとなんとか立って構える。
まだ膝にはきていない。なんとか耐えられている。
十色さんが掛け声をかけた。
「いち! にー! さん! しー!・・・・」
数える事に繰り返し同じ動作をする。基礎をみっちりと叩き込まれる。
「もう少し腰を低く! そして背筋は伸ばす!」
「押忍!」
「いち! にー! さん! しー!・・・・」
――――――
――――
――
「やめ!」
「ふーーーっ」
「よく最後まで音を上げなかったのぉ」
「そうね。そこは評価できるところだわ」
十蔵さんと十色さんがさっきの基礎動作の評価をしてくれる。なんとか認められてよかった。こんな所で音を上げて居てはダメだからな。
「ありがとうございました!」
頭を下げて礼をする。
外は暗くなりかけていた。
長い間鍛錬をしていたことにも気づかなかった。
「では、また明日にしようかの」
十蔵さんがそう口にすると、スッと執事さんがやってきて頭を下げた。
「お送り致します」
執事さんが再び案内してくれる。
「すみません。お願いします」
車に揺られ数十分、頭をウツラウツラさせているうちに到着した。なんともVIP待遇であることは自覚している。
「それでは、また明日お迎えにあがります」
「ありがとうございました。また、明日も宜しくお願いします」
俺が頭を下げると車に乗り、発信した車を見送るのであった。
クタクタの体に鞭打って家に入る。
「ただいまぁ」
「「おかえりー!」」
「疾風疲れただろう? 飯にするか?」
父に聞かれたが、俺の中の答えは家に入る前に決まっていた。
「ありがとう。その前にシャワーにするよ」
「シャワーから上がったらご飯用意しておくわね」
母が声をかけてくれた。
「ありがとう」
シャワーに行き汗だくの体を洗い流す。
◇◆◇
一方その頃、リビングでは二人きりになった父と母はにこやかに疾風について話していた。。
「なんか最近凄いやる気で、色々吹っ切れて空手に打ち込んでいるみたいで良かったな」
「そうねぇ。ちょっと前までは抱え込んでる感じで元気なかったもの。稽古してもらってる方にお礼に伺わないとねぇ」
「あぁ。ボクもそう言ったんだよ。だけど、疾風の反応がイマイチでなぁ。なんか僕達が行ったら迷惑なのかな?」
両親がそんなことを話し、夜が深けていく。
疲れて帰ってきた疾風は晴れやかな顔をしていて、子供は成長するのが早い。そう思う両親であった。
0
お気に入りに追加
11
あなたにおすすめの小説
ワイルド・ソルジャー
アサシン工房
SF
時は199X年。世界各地で戦争が行われ、終戦を迎えようとしていた。
世界は荒廃し、辺りは無法者で溢れかえっていた。
主人公のマティアス・マッカーサーは、かつては裕福な家庭で育ったが、戦争に巻き込まれて両親と弟を失い、その後傭兵となって生きてきた。
旅の途中、人間離れした強さを持つ大柄な軍人ハンニバル・クルーガーにスカウトされ、マティアスは軍人として活動することになる。
ハンニバルと共に任務をこなしていくうちに、冷徹で利己主義だったマティアスは利害を超えた友情を覚えていく。
世紀末の荒廃したアメリカを舞台にしたバトルファンタジー。
他の小説サイトにも投稿しています。
最強と言われてたのに蓋を開けたら超難度不遇職
鎌霧
ファンタジー
『To The World Road』
倍率300倍の新作フルダイブ系VRMMOの初回抽選に当たり、意気揚々と休暇を取りβテストの情報を駆使して快適に過ごそうと思っていた。
……のだが、蓋をひらけば選択した職業は調整入りまくりで超難易度不遇職として立派に転生していた。
しかしそこでキャラ作り直すのは負けた気がするし、不遇だからこそ使うのがゲーマーと言うもの。
意地とプライドと一つまみの反骨精神で私はこのゲームを楽しんでいく。
小説家になろう、カクヨムにも掲載
天日ノ艦隊 〜こちら大和型戦艦、異世界にて出陣ス!〜
八風ゆず
ファンタジー
時は1950年。
第一次世界大戦にあった「もう一つの可能性」が実現した世界線。1950年4月7日、合同演習をする為航行中、大和型戦艦三隻が同時に左舷に転覆した。
大和型三隻は沈没した……、と思われた。
だが、目覚めた先には我々が居た世界とは違った。
大海原が広がり、見たことのない数多の国が支配者する世界だった。
祖国へ帰るため、大海原が広がる異世界を旅する大和型三隻と別世界の艦船達との異世界戦記。
※異世界転移が何番煎じか分からないですが、書きたいのでかいています!
面白いと思ったらブックマーク、感想、評価お願いします!!※
※戦艦など知らない人も楽しめるため、解説などを出し努力しております。是非是非「知識がなく、楽しんで読めるかな……」っと思ってる方も読んでみてください!※
INNER NAUTS(インナーノーツ) 〜精神と異界の航海者〜
SunYoh
SF
ーー22世紀半ばーー
魂の源とされる精神世界「インナースペース」……その次元から無尽蔵のエネルギーを得ることを可能にした代償に、さまざまな災害や心身への未知の脅威が発生していた。
「インナーノーツ」は、時空を超越する船<アマテラス>を駆り、脅威の解消に「インナースペース」へ挑む。
<第一章 「誘い」>
粗筋
余剰次元活動艇<アマテラス>の最終試験となった有人起動試験は、原因不明のトラブルに見舞われ、中断を余儀なくされたが、同じ頃、「インナーノーツ」が所属する研究機関で保護していた少女「亜夢」にもまた異変が起こっていた……5年もの間、眠り続けていた彼女の深層無意識の中で何かが目覚めようとしている。
「インナースペース」のエネルギーを解放する特異な能力を秘めた亜夢の目覚めは、即ち、「インナースペース」のみならず、物質世界である「現象界(この世)」にも甚大な被害をもたらす可能性がある。
ーー亜夢が目覚める前に、この脅威を解消するーー
「インナーノーツ」は、この使命を胸に<アマテラス>を駆り、未知なる世界「インナースペース」へと旅立つ!
そこで彼らを待ち受けていたものとは……
※この物語はフィクションです。実際の国や団体などとは関係ありません。
※SFジャンルですが殆ど空想科学です。
※セルフレイティングに関して、若干抵触する可能性がある表現が含まれます。
※「小説家になろう」、「ノベルアップ+」でも連載中
※スピリチュアル系の内容を含みますが、特定の宗教団体等とは一切関係無く、布教、勧誘等を目的とした作品ではありません。
無頼少年記 ~最強の戦闘民族の末裔、父親に植えつけられた神話のドラゴンをなんとかしたいので、冒険者ギルドに就職する~
ANGELUS
SF
世界で最強と名高い戦闘民族の末裔―――流川澄男は、かつて復讐者であった。
復讐のために集めた仲間たちとともに、その怨敵を討ち滅ぼした澄男は次なる目標のため、新たな人生を送る決意を固め、世界へ進出する。
その足掛かりとして任務請負機関ヴェナンディグラム北支部に所属し、任務請負人という職業に就職した彼だったが、ひょんなことから支部のエースたちと出会う。
名をレク・ホーラン、その相棒ブルー・ペグランタン。
復讐のため、一度は闇に身を投じた少年。その闇は仲間の力で終焉を迎えた。それでも彼の人生は終わらない。一度は闇に生きると決めた彼だったが、大切なもの、守るべきものが新たにできたことで、新しい目標を据えた第二の人生が幕を開ける。
手前の大事なものは死んでも守り切る。彼が幼少から思い描いていた、真なる``英雄``となるために―――。
流川澄男とその仲間たちの世界進出、そして世界中で出会うこととなる人々と織りなす、元復讐者が真なる英雄へ返り咲く物語。
VRおじいちゃん ~ひろしの大冒険~
オイシイオコメ
SF
75歳のおじいさん「ひろし」は思いもよらず、人気VRゲームの世界に足を踏み入れた。おすすめされた種族や職業はまったく理解できず「無職」を選び、さらに操作ミスで物理攻撃力に全振りしたおじいさんはVR世界で出会った仲間たちと大冒険を繰り広げる。
この作品は、小説家になろう様とカクヨム様に2021年執筆した「VRおじいちゃん」と「VRおばあちゃん」を統合した作品です。
前作品は同僚や友人の意見も取り入れて書いておりましたが、今回は自分の意向のみで修正させていただいたリニューアル作品です。
(小説中のダッシュ表記につきまして)
作品公開時、一部のスマートフォンで文字化けするとのご報告を頂き、ダッシュ2本のかわりに「ー」を使用しております。
最前線攻略に疲れた俺は、新作VRMMOを最弱職業で楽しむことにした
水の入ったペットボトル
SF
これまであらゆるMMOを最前線攻略してきたが、もう俺(大川優磨)はこの遊び方に満足してしまった。いや、もう楽しいとすら思えない。
ゲームは楽しむためにするものだと思い出した俺は、新作VRMMOを最弱職業『テイマー』で始めることに。
βテストでは最弱職業だと言われていたテイマーだが、主人公の活躍によって評価が上がっていく?
そんな周りの評価など関係なしに、今日も主人公は楽しむことに全力を出す。
この作品は「カクヨム」様、「小説家になろう」様にも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる