CombatWorldOnline~落ちこぼれ空手青年のアオハルがここに~

ゆる弥

文字の大きさ
上 下
33 / 58

33.夏のイベント1

しおりを挟む
 イベント開始の日の日曜8時50分。ファステアでは大量の人で溢れていた。

 プレイヤーがそれぞれのクラン毎に集まって始まるまでの様子を伺っている。
 というか牽制しあっている。

「ふぉっ。ふぉっ。ふぉっ。活気があっていいのぉ」

「楽しみだわ! 思う存分暴れるからね!」

 北門の前には武十館のメンバーで集まっていた。テンカさんが目をギラギラとさせて獰猛な笑みを浮かべている。

「緊張するなぁ。師匠達の闘いも見れるし楽しみだ!」

「そうだな。前のトクラさんの闘いを見る限り、かなりの無双状態になりそうだけどなぁ」

 楽しそうに落ち着かない様子のガント。
 俺はこれからのトクラさんの無双になりそうな気配に遠い目をして同意する。

 前の様に闘われては自分達がポイントを稼げないのではないかと、心配していた。

 こんな事ばかり考えていてはダメだ。
 弱気になるな!
 トクラさん達を超えるように頑張るんだ!

 自らを鼓舞して心を奮い立たせる。

「トクラさんもだけど、テンカさんもヤバイと思うわよ……」

「あれは。やばい。恐い」

 モー二とイブも遠い目をしながら呟く。お忘れかもしれないが、モーニとイブもゲーム内ではテンカさんに指導を受けていた。あの戦闘狂に扱かれたであろう事は容易に想像がつく。
 
「武十館として、出るんだ。負けないように頑張ろう。気合い入れないと」

「おう!」

「そうね!」

「うん!」

 ガント、モー二、イブが同意する。

 時間が迫ってきた。
 そろそろ、モンスターの大侵攻が始まる。

 ドドドドドドドドドドドドドドドド……

 腹に響くような音を唸らせながらこちらに迫ってくるモンスター達。目の前には地平線を埋め尽くすようにモンスターが迫ってくる。

 黒い影が迫ってくるように見え、まだ前方のモンスターでさえ、なんのモンスターか分からない。しかし、凄い数と言うのだけは、一目瞭然だった。

「ハハハッ! すげぇ数だなこれ! 防衛出来んのか!?」

 ガントが呆れたように笑う。
 たしかにこの数を見たらおられ達だけなら諦めていたことだろう。

 だが、今は違う。テンカさんとトクラさんという強力なプレイヤーが仲間に居る。この二人がいる今、俺たちにできないことはない気がする。

「プレイヤーもこれだけ居るんだ。負けないさ。それに、トクラさんとテンカさんが負けるところ想像できるか?」

「ハハハッ! たしかにな! 想像できねぇわ!」

 プレイヤーも門の前方を埋め尽くすくらいの数が待機している。
 皆一様に獰猛な笑みを浮かべて負けることなど微塵も考えていないようだ。頼もしい。こんなに沢山のプレイヤーと一緒に戦うことなんてなかった。

 このイベントもしかしたら凄い楽しいかもな。トクラさんとテンカさんの無双にも期待してる。俺達も討伐数稼ぐぞ。

『ウォォォォォォォォォン』

 すぐ前方に迫ってきたのは、ウルフ系モンスターだ。

「そろそろ魔法の射程に入るから、デカいの行くぞ!」

 魔法を打つべく構えて叫ぶガント。
 それにモー二、イブが続く。

「私もいくわ!」

「私も。負けない」

 モンスターが射程に入った。
 他のプレイヤーも一斉に魔法を放つ。

「メテオ!!」

「ホーリーレイ!!」

「ダークレイ!!」

 火を纏った隕石が飛来し、光の塊が横凪に走る。闇のエネルギーが着弾して膨れあがる。

 他のプレイヤーの放った魔法もモンスターの群れに着弾してそれぞれが分厚いモンスターの壁をぶち抜いている。
 
 カッッ!!

 ズガァァァァァァァァァァンンンッッ

 前方を走っていたモンスターがドンドンと光の粒子に変わっていく。上空に吹き飛んでいくモンスター。ダメージにより光に変わっていく。

 その光が幻想的でこれからのイベントを彩る死のイルミネーションだった。

「っしゃぁ!! 行くぞぉ!!」

 ガントが駆け出して行く。

 それに俺とモー二とイブも続く。

 まだまだいるモンスターの群れにプレイヤーが突っ込んでいく。プレイヤーたちは各々の武器を手に取り駆ける。

 拳で向かうもの、剣、斧、槍など武器を使う者。思い思いの武器を手に討伐へと駆け出す。

 こうして、イベントの火蓋が切って落とされた。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

VRMMO~鍛治師で最強になってみた!?

ナイム
ファンタジー
ある日、友人から進められ最新フルダイブゲーム『アンリミテッド・ワールド』を始めた進藤 渚 そんな彼が友人たちや、ゲーム内で知り合った人たちと協力しながら自由気ままに過ごしていると…気がつくと最強と呼ばれるうちの一人になっていた!?

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【VRMMO】イースターエッグ・オンライン【RPG】

一樹
SF
ちょっと色々あって、オンラインゲームを始めることとなった主人公。 しかし、オンラインゲームのことなんてほとんど知らない主人公は、スレ立てをしてオススメのオンラインゲームを、スレ民に聞くのだった。 ゲーム初心者の活字中毒高校生が、オンラインゲームをする話です。 以前投稿した短編 【緩募】ゲーム初心者にもオススメのオンラインゲーム教えて の連載版です。 連載するにあたり、短編は削除しました。

最前線攻略に疲れた俺は、新作VRMMOを最弱職業で楽しむことにした

水の入ったペットボトル
SF
 これまであらゆるMMOを最前線攻略してきたが、もう俺(大川優磨)はこの遊び方に満足してしまった。いや、もう楽しいとすら思えない。 ゲームは楽しむためにするものだと思い出した俺は、新作VRMMOを最弱職業『テイマー』で始めることに。 βテストでは最弱職業だと言われていたテイマーだが、主人公の活躍によって評価が上がっていく?  そんな周りの評価など関係なしに、今日も主人公は楽しむことに全力を出す。  この作品は「カクヨム」様、「小説家になろう」様にも掲載しています。

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします

Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。 相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。 現在、第三章フェレスト王国エルフ編

処理中です...