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24.直談判
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後日、気を取り直してテンカさんに連絡を取ってみたのだ。
そして、再びクランホームに来ていた。
「連絡をくれたということは、我がクランに入ってくれると思っていいのかい?」
それに対して四人で頭を下げる。
それはこれから話すことへの謝罪のつもりだったんだが、これだけでは伝わるはずもない。
「そろって一体どういうことなんだい?」
それに対しては俺が代表して話す。
「本当に勝手なお願いをしたく、連絡を取りました」
「なんだい? 話してごらんよ」
テンカさんは冷静に対応してくれた。
こんな俺たちの話に耳を傾けてくれるなんて。嬉しいやら申し訳ないやら。
「率直に、本題に入ります。実は、昨日レアボスに負けまして。四人一同、自分の力のなさを痛感しました。そこで考えたのが、テンカさん、トクラさんにご指導をお願いしたいのです。対価としましては、レアボスの情報としたいところですが、足りないでしょうか?」
「んー……」
目を瞑り、腕を組んでしばし考え込んでいるようだ。
しばらく考えたテンカは、おもむろに口を開いた。
「もう少し、対価をもらっていいだろうか?」
「できることであれば、何でもします!」
これには迷いなく俺は肯定した。
元々、俺たち四人で話し合った時に決めていたのだ。足りないと言われたら何でもしようと。
「まず、我がクラン武十館に所属して欲しい。しかし、これは後で脱退してもらって一向にかまわない。ただ、外野から見た場合、我々の立場的に指導するにはクランに所属してもらっていた方がいいというだけだ」
「それは、かまいません。しかし、本当にレアボスを倒せた暁には、自分たちでクランを作りたいと思っていましたので、脱退すると思います」
これは失礼を承知の上で断っていた方がいいだろうと思ったから集えたのだ。
最初からそのつもりなのに伝えないというのも失礼だろう。
「かまわん。もう一つ、これは私とじいさんからの提案だ」
少しの間、間を置いた後に口を開いた。
なんだか俺が凝視されているような気がするけど。
「フーマ、リアルの方でも私たちに指導を受ける気はないか?」
「えっ!?」
これには驚いてしまい変な声が出てしまった。現実での話がまさか出てくるとは。思わず立ち上がってしまった。
「どういうことっすか!?」
ガントが驚きながら立ち上がる。
実はガントは俺と同じ流派に所属している。だから、これを引き抜きと同じだと思い少し警戒しとみたいなんだ。
「まぁ、落ち着け」
俺とガントが座るとテンカさんは話を続けた。
「ここからはリアルの話になるが。トクラは私の実の祖父であり、武道家の間では名前が知れ渡っている、武田 十蔵《たけだ じゅうぞう》だ」
「「えっ!?」」
俺とガントが口を開けていると。
「ちょっと、なに? そんなに有名な人なわけ? 私は全然知らないんだけど?」
「モーニと言ったか。知らなくて当然だろう世界一になった後しばらくして引退し、もう30年は経つからな。業界の人間しか知らないと思うぞ」
俺は驚きのあまり、体を震わせながら声を発した。
これは只事ではないからだ。
武田十蔵といえば空手会では伝説の空手家だ。公式戦は無敗。様々な大会で優勝を重ねたが、ある日突然引退したのだ。
理由は、もっと強き者を求めて引退するというものだった。
「ほ……本当に……指導して頂けるんですか?」
「あぁ。じいさんが気に入ったらしくてな。もし、助けを求められたら受け入れようと思っていたのだ」
それは嬉しいが、ゲームでの話ならわかる。なぜ、突然リアルの話をしだしたのだろうか。
「でも、リアルでもっていうのは?」
「何か悩んでいるそうじゃないか? それを是非解消してあげたいと、じいさんが嬉しそうに言っておったわ。ハッハッハッ」
嬉しそうに笑いながら言うテンカさん。
そして、笑いながら頭を下げだ。
「受けてくれないか?じいさんがあんなに楽しそうにしているのは久しぶりなんだ。フーマの空手に対する鍛錬の片鱗と情熱を見て感化されたんじゃないかと思うんだがな」
「わかりました。是非その話、受けさせてください!」
土下座するような形でお願いする。
あちらからそんな話をしてくれるなんて、願ったり叶ったりだ。
勝てないことに思い悩んでいたんだ。きっとトクラさんなら。そう思って期待を寄せてしまう。
「そうか。受けてくれるか!よかった。よかった。ハッハッハッ」
話についていけずに三人は呆然としている。急に有名人が出た上にリアルでも指導してくれるという予期せぬ事態に驚きが止まらないのだろう。
ゲームでもリアルでもフーマの成長は加速する。
そして、再びクランホームに来ていた。
「連絡をくれたということは、我がクランに入ってくれると思っていいのかい?」
それに対して四人で頭を下げる。
それはこれから話すことへの謝罪のつもりだったんだが、これだけでは伝わるはずもない。
「そろって一体どういうことなんだい?」
それに対しては俺が代表して話す。
「本当に勝手なお願いをしたく、連絡を取りました」
「なんだい? 話してごらんよ」
テンカさんは冷静に対応してくれた。
こんな俺たちの話に耳を傾けてくれるなんて。嬉しいやら申し訳ないやら。
「率直に、本題に入ります。実は、昨日レアボスに負けまして。四人一同、自分の力のなさを痛感しました。そこで考えたのが、テンカさん、トクラさんにご指導をお願いしたいのです。対価としましては、レアボスの情報としたいところですが、足りないでしょうか?」
「んー……」
目を瞑り、腕を組んでしばし考え込んでいるようだ。
しばらく考えたテンカは、おもむろに口を開いた。
「もう少し、対価をもらっていいだろうか?」
「できることであれば、何でもします!」
これには迷いなく俺は肯定した。
元々、俺たち四人で話し合った時に決めていたのだ。足りないと言われたら何でもしようと。
「まず、我がクラン武十館に所属して欲しい。しかし、これは後で脱退してもらって一向にかまわない。ただ、外野から見た場合、我々の立場的に指導するにはクランに所属してもらっていた方がいいというだけだ」
「それは、かまいません。しかし、本当にレアボスを倒せた暁には、自分たちでクランを作りたいと思っていましたので、脱退すると思います」
これは失礼を承知の上で断っていた方がいいだろうと思ったから集えたのだ。
最初からそのつもりなのに伝えないというのも失礼だろう。
「かまわん。もう一つ、これは私とじいさんからの提案だ」
少しの間、間を置いた後に口を開いた。
なんだか俺が凝視されているような気がするけど。
「フーマ、リアルの方でも私たちに指導を受ける気はないか?」
「えっ!?」
これには驚いてしまい変な声が出てしまった。現実での話がまさか出てくるとは。思わず立ち上がってしまった。
「どういうことっすか!?」
ガントが驚きながら立ち上がる。
実はガントは俺と同じ流派に所属している。だから、これを引き抜きと同じだと思い少し警戒しとみたいなんだ。
「まぁ、落ち着け」
俺とガントが座るとテンカさんは話を続けた。
「ここからはリアルの話になるが。トクラは私の実の祖父であり、武道家の間では名前が知れ渡っている、武田 十蔵《たけだ じゅうぞう》だ」
「「えっ!?」」
俺とガントが口を開けていると。
「ちょっと、なに? そんなに有名な人なわけ? 私は全然知らないんだけど?」
「モーニと言ったか。知らなくて当然だろう世界一になった後しばらくして引退し、もう30年は経つからな。業界の人間しか知らないと思うぞ」
俺は驚きのあまり、体を震わせながら声を発した。
これは只事ではないからだ。
武田十蔵といえば空手会では伝説の空手家だ。公式戦は無敗。様々な大会で優勝を重ねたが、ある日突然引退したのだ。
理由は、もっと強き者を求めて引退するというものだった。
「ほ……本当に……指導して頂けるんですか?」
「あぁ。じいさんが気に入ったらしくてな。もし、助けを求められたら受け入れようと思っていたのだ」
それは嬉しいが、ゲームでの話ならわかる。なぜ、突然リアルの話をしだしたのだろうか。
「でも、リアルでもっていうのは?」
「何か悩んでいるそうじゃないか? それを是非解消してあげたいと、じいさんが嬉しそうに言っておったわ。ハッハッハッ」
嬉しそうに笑いながら言うテンカさん。
そして、笑いながら頭を下げだ。
「受けてくれないか?じいさんがあんなに楽しそうにしているのは久しぶりなんだ。フーマの空手に対する鍛錬の片鱗と情熱を見て感化されたんじゃないかと思うんだがな」
「わかりました。是非その話、受けさせてください!」
土下座するような形でお願いする。
あちらからそんな話をしてくれるなんて、願ったり叶ったりだ。
勝てないことに思い悩んでいたんだ。きっとトクラさんなら。そう思って期待を寄せてしまう。
「そうか。受けてくれるか!よかった。よかった。ハッハッハッ」
話についていけずに三人は呆然としている。急に有名人が出た上にリアルでも指導してくれるという予期せぬ事態に驚きが止まらないのだろう。
ゲームでもリアルでもフーマの成長は加速する。
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