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18.テンカさんは戦闘狂
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「ちょっとそこで待っていてくれ」
俺に待つように告げると奥の方に消えていくテンカさん。
少しすると戻ってきた。
「待たせて、すまない」
奥から出てきたテンカさんは道着姿だった。
なるほど、それほど本気ってことか。俺もそれに応えないとな。
「この道着は貸出してるんだ。フーマも着るといい。道着じゃないとしまらないだろ?」
そう言ってウインクされた。
上の装備をインベントリに戻して道着を借りて来てみる。
うん。ゲームの世界でも道着を着ると身が引き締まる思いになるな。
「では、始めようか」
道場の真ん中で向き合う。
空気が痛いくらいにピリついている。
テンカさんは只者ではない。
俺も本気でかかって行かないと直ぐにやられる。元々油断できるほどの実力はない。真剣にやらないといけないような、そんな感覚にさせられる。
「決闘システムを使うよ。使ったことあるかい?」
「いえ、無いです」
「そうかい。それじゃあ私から決闘申請を出すから、承認しておくれ」
――――――――――――――――――
テンカから決闘の申請が来ています。
承認する/拒否する
――――――――――――――――――
承認をタップした。
――――――――――――――――――
5秒後にスタートします。
――――――――――――――――――
――――
5
――――
――――
4
――――
――――
3
――――
――――
2
――――
――――
1
――――
――――
Fight!!
――――
開始と同時に床を目一杯踏み込んで肉薄する。
こういう強い相手には先手必勝なんだ。
それはどの世界でもセオリーだと思っている。
「フッ!!」
鋭い中段突きを放つ。
スルッ
左の外へと流すように受け流される。
凄い。こんなに流れるように受け流されることなんてない。
それほど渾身の突きだったのに。
「セイッ!!」
受け流された反動をそのまま活かし、腰を回転させて右足での回し蹴りを放つ。
決まったと思った。
だが、スウェーバックで冷静に避けられた。
これを避けるのか?
なんて動体視力と運動神経してんだよ!
すると、今度は俺が押される番だった。
「リャーー!!」
ダンッという踏み込みの音が響き渡り、素早い踏み込みで左胸に掌底が放たれる。
見えていたが、避けるのには間に合わない。
両手をクロスさせて受け止める。
ビリビリビリッ
ガードした両腕に衝撃が走り腕が痺れる。
俺は苦し紛れに上段蹴りを放つ。
左手にガードされ、掴まれた。
そのまま足を払われ空中に投げ出される。
なんてことしやがる。
この人半端じゃない。
回転して着地しようと藻掻く。
視界からテンカさんが消えた。
どこにいった!?
視線を巡らせるが見つけることができない。
ドスンッ
胸を上から叩きつけられ床に全身を打ち付け足で押さえつけられた。
気がついた時には、顔の前に拳を向けられていた。
「まだやれそうかい?」
両手を上げて宣言した。
「まいりました」
――――――――――
テンカ Win!!
――――――――――
立ち上がって再び中央で向かい合う二人。
「「ありがとうございました!」」
二人の戦いを見ていた三人が口々に感想を言う
「すげぇ闘いだったな! おれじゃあ、あそこまでできないぜ!」
「なんだか、ただ見ているのは辛かったわ。テンカさん強かったわね」
「テンカさん。強い。フーマも。惜しい」
三人とも励ましてくれて胸が温かくなった。そして、別の意味で胸に小さな炎が灯った気がする。
「ふぉっふぉっふぉっ。思った通り、筋がいいわい。これは楽しみじゃのぉ」
ん? 何の話だ?
「一体なんの話でしょうか?」
戸惑って聞いてみると、真剣な顔をしてテンカに迫られた。
「フーマ、我がクランに入らないか?」
「えっ? えぇぇぇっ!?」
「おい! マジかよ! ランキング一位の人がいるクランだぞ! すげぇぞ! フーマ!」
ガントが興奮しながらはしゃいでいる。
「我がクランってことは、もしかして……?」
「そうだ! このテンカがクラン【武十館《ぶとうかん》】のクランマスターだ!」
テンカさんが胸を張って凄いだろうとアピールしている。
少し考えてみたけど、答えはでない。
みんなとやりたい気持ちが今は多い。
「何考え込んでるのよ! 入ればいいじゃない!」
モー二が、入るのを促してきた。
やっぱり直ぐには答えが出せない。
「ちょっと考えさせてください!」
テンカさんには頭を下げて待ってもらうことにした。
「いいさ。ゆっくり考えてくれて構わない。……入りたいと思ったら連絡をくれ。その為にも、フレンド登録をお願いしたい。」
「はい。」
――――――――――――――――――
テンカからフレンド申請が来ています。
承認/拒否
――――――――――――――――――
承認を押す
「これで何時でも手合わせができるな!」
「テンカはこう言っておるしの、ワシもお主が気に入った。色々とアドバイスもできると思うのじゃ。考えてみてくれると嬉しいのぉ」
「ありがとうございます。ちょっと考えてみます」
四人は日本家屋の前にやってきた。
「それじゃ、またな! 四人とも!」
「「「「はい! また!」」」」
光の粒子となって消える
――――――
――――
――
戦闘狂かよテンカさん……。
俺に待つように告げると奥の方に消えていくテンカさん。
少しすると戻ってきた。
「待たせて、すまない」
奥から出てきたテンカさんは道着姿だった。
なるほど、それほど本気ってことか。俺もそれに応えないとな。
「この道着は貸出してるんだ。フーマも着るといい。道着じゃないとしまらないだろ?」
そう言ってウインクされた。
上の装備をインベントリに戻して道着を借りて来てみる。
うん。ゲームの世界でも道着を着ると身が引き締まる思いになるな。
「では、始めようか」
道場の真ん中で向き合う。
空気が痛いくらいにピリついている。
テンカさんは只者ではない。
俺も本気でかかって行かないと直ぐにやられる。元々油断できるほどの実力はない。真剣にやらないといけないような、そんな感覚にさせられる。
「決闘システムを使うよ。使ったことあるかい?」
「いえ、無いです」
「そうかい。それじゃあ私から決闘申請を出すから、承認しておくれ」
――――――――――――――――――
テンカから決闘の申請が来ています。
承認する/拒否する
――――――――――――――――――
承認をタップした。
――――――――――――――――――
5秒後にスタートします。
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Fight!!
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開始と同時に床を目一杯踏み込んで肉薄する。
こういう強い相手には先手必勝なんだ。
それはどの世界でもセオリーだと思っている。
「フッ!!」
鋭い中段突きを放つ。
スルッ
左の外へと流すように受け流される。
凄い。こんなに流れるように受け流されることなんてない。
それほど渾身の突きだったのに。
「セイッ!!」
受け流された反動をそのまま活かし、腰を回転させて右足での回し蹴りを放つ。
決まったと思った。
だが、スウェーバックで冷静に避けられた。
これを避けるのか?
なんて動体視力と運動神経してんだよ!
すると、今度は俺が押される番だった。
「リャーー!!」
ダンッという踏み込みの音が響き渡り、素早い踏み込みで左胸に掌底が放たれる。
見えていたが、避けるのには間に合わない。
両手をクロスさせて受け止める。
ビリビリビリッ
ガードした両腕に衝撃が走り腕が痺れる。
俺は苦し紛れに上段蹴りを放つ。
左手にガードされ、掴まれた。
そのまま足を払われ空中に投げ出される。
なんてことしやがる。
この人半端じゃない。
回転して着地しようと藻掻く。
視界からテンカさんが消えた。
どこにいった!?
視線を巡らせるが見つけることができない。
ドスンッ
胸を上から叩きつけられ床に全身を打ち付け足で押さえつけられた。
気がついた時には、顔の前に拳を向けられていた。
「まだやれそうかい?」
両手を上げて宣言した。
「まいりました」
――――――――――
テンカ Win!!
――――――――――
立ち上がって再び中央で向かい合う二人。
「「ありがとうございました!」」
二人の戦いを見ていた三人が口々に感想を言う
「すげぇ闘いだったな! おれじゃあ、あそこまでできないぜ!」
「なんだか、ただ見ているのは辛かったわ。テンカさん強かったわね」
「テンカさん。強い。フーマも。惜しい」
三人とも励ましてくれて胸が温かくなった。そして、別の意味で胸に小さな炎が灯った気がする。
「ふぉっふぉっふぉっ。思った通り、筋がいいわい。これは楽しみじゃのぉ」
ん? 何の話だ?
「一体なんの話でしょうか?」
戸惑って聞いてみると、真剣な顔をしてテンカに迫られた。
「フーマ、我がクランに入らないか?」
「えっ? えぇぇぇっ!?」
「おい! マジかよ! ランキング一位の人がいるクランだぞ! すげぇぞ! フーマ!」
ガントが興奮しながらはしゃいでいる。
「我がクランってことは、もしかして……?」
「そうだ! このテンカがクラン【武十館《ぶとうかん》】のクランマスターだ!」
テンカさんが胸を張って凄いだろうとアピールしている。
少し考えてみたけど、答えはでない。
みんなとやりたい気持ちが今は多い。
「何考え込んでるのよ! 入ればいいじゃない!」
モー二が、入るのを促してきた。
やっぱり直ぐには答えが出せない。
「ちょっと考えさせてください!」
テンカさんには頭を下げて待ってもらうことにした。
「いいさ。ゆっくり考えてくれて構わない。……入りたいと思ったら連絡をくれ。その為にも、フレンド登録をお願いしたい。」
「はい。」
――――――――――――――――――
テンカからフレンド申請が来ています。
承認/拒否
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承認を押す
「これで何時でも手合わせができるな!」
「テンカはこう言っておるしの、ワシもお主が気に入った。色々とアドバイスもできると思うのじゃ。考えてみてくれると嬉しいのぉ」
「ありがとうございます。ちょっと考えてみます」
四人は日本家屋の前にやってきた。
「それじゃ、またな! 四人とも!」
「「「「はい! また!」」」」
光の粒子となって消える
――――――
――――
――
戦闘狂かよテンカさん……。
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