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86.竜魂再び
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「お前ごとき、相手にもならないわ! ドラゴニックキャノン!」
僕と同じくらいの魔力量で黒い魔力が放たれてくる。それを僕も同じ魔法で相殺する。
相手は長生きしている竜人。
ただ、人との友情も何も知らない。
かわいそうな男。
僕はその男に引導を渡す。
デームくんの属性を使えば勝てる。
それは確信しているんだ。
二つの属性を持った僕は、控えめに言っても最強。
申し訳ないが、そこらの竜人に負ける気はない。
「友情なんてものに縋っているようじゃお前は弱い!」
そんなことを言いながらドラゴンスレイヤーで切りかかってくる。
僕は力いっぱい払いのけた。
「ぐっ!」
少しの隙ができた。
「飛炎斬《ひえんざん》!」
少しできた隙をついて炎を斬撃を飛ばす。
「ドラゴンキャノン!」
魔法で撃ち消された。
だが、それの一辺倒か?
だとしたら笑い者だ。
僕たちを馬鹿にした報いを受けて貰おうよ。
ねぇ? デームくん。
「フレイムドラゴンブレス!」
僕の腕の先には、竜の頭が現れて口に炎を溜め。それを一気に敵へと放って行った。少し効いたのではないだろうか。
舞い上がった煙の晴れた先には、片腕を抑えている竜人がいた。その片腕は消し炭になり、再生不能だった。そう。竜人はこういうものに弱い。
再生ができないと弱いのだ。竜魔法は回復魔法も使えない。それは、怪我を負わない前提の魔法だからだ。こうなってはどうしようもない。
「まさか、小童に負傷させられるとはな。だがな、俺はこんなところでは終わらねぇ!」
懐から何か魔石の様なものを出した。
その黒々としたものは、もしかしたら魔物の襲撃の時に使われたものかもしれない。
高位の魔物を生み出すもの。
そんなものつかったら、命がないのに。
「俺の命なんていらねぇ! この街を破壊尽くしてくれぇ!」
胸へと押し付けるとその魔石の様なものは光り出して胸へと入っていった。
ドクンドクンと敵の体は跳ねる。
俺が魔石の様なものが原因であることは疑いようがない。
竜人の体を食った魔石は何に成長するのだろうか。
確実にドラゴンだとは思う。
もしかしたら、かなりやばいドラゴンかも。
胸に入っていった魔石は光を放ち、敵の体はボコボコと変形し始めた。肉体がドンドン増殖していき、その体は五メートル程まで大きくなった。
そして、黒々とした皮膚は、災厄のドラゴンであることを示していた。
過去に大災害を起こした。
伝承上では、止めることが不可能だとされるドラゴンだった。
破壊竜。ハデス。神話の堕天使の名前からとったとされるドラゴンの名前だ。初めて聞いた時、前世の神話が異世界にも語り継がれていることには驚いた。
「グルルルアァァァ!」
咆哮だけで学院の窓ガラスは全部割れた。
そして、校舎にひびが入った。
どこまでもつかわからない。
けど、全力を尽くすしかない。
僕とデームくんなら絶対勝てる!
こうなっては、みんなで闘った方が速いだろう。
「リオンくん! 下がって! 出過ぎだよ!」
僕はみんなの盾でもあるんだ。
引くつもりなんて微塵もないよ。
「言うこと聞かないならオレたちも勝手にやるよ! ダークキャノン!」
闇のエネルギーが極太で迫っていく。
それに気が付いたハデスはクルリと回ると尻尾でどこかへと弾き飛ばした。
「ウチだって勝手にやるよ! ブルーインフェルノ!」
青い炎が地面から噴き出して、ハデスへとダメージを与えていく。だが、そのハデスは体を震わせるだけで炎を振り払った。
口へとエネルギーを溜めるハデス。
「まずい! 敵を討て! ドラゴニックキャノン!」
僕の咄嗟に放った魔法は飲み込まれ、街へと黒い極太のブレスが着弾した。
凄まじい音を立てて、ブレスが放たれた直線状には何も残っていなかった。普通のドラゴンだと射程距離もあるし、威力ももう少し落ちるから破壊される規模がまだ少ないのだが。
ハデスの高エネルギーブレスは、放たれた方向のすべてを破壊するようだ。僕の魔法も破壊されてしまった。あれは、破壊属性だということだろう。
僕たちに勝ち目があるのかが、疑問になってしまう。
「敵を飲み込め! ダークホール!」
バアルくん必殺のすべてを飲み込む魔法を放っていく。
だが、それはブレスによってかき消されてしまった。
これはかなり手ごわいかもしれない。
ハデスはおもむろにバアルくんの方へと、頭を向けた。
僕は嫌な予感がした本能に従い、バアルくんの元へと駆けた。
そして、なんとかバアルくんを射程範囲外へと出した。
次の瞬間には、僕の右腕を破壊属性のブレスが、飲み込んだ。
ブレスが消え去った後、一緒に僕の右腕も失われていた。
尚も傷口から破壊属性が体を破壊しようとする。
肩から先を竜斬丸で切り落とす。
血が噴き出すが、仕方がない。
破壊属性は放っておけば浸食してくる。
「リオンくん! 腕が! ごめん! オレが足を引っ張った!」
悲痛な顔をするバアルくん。
そんなことない。
僕はバアルくん、エリスさん、カーラさんがいることで、力を発揮することができるんだ。もちろん、デームくんの力も僕の力となっている。
この想いが、僕を強くする。
高まる友情の力。
これも、お前にはない力だろう?
「竜魂発動」
体が緑の魔力で満たされていく。
いつの間にか、止血もされている。
ここからが、最終ラウンドだ。
僕と同じくらいの魔力量で黒い魔力が放たれてくる。それを僕も同じ魔法で相殺する。
相手は長生きしている竜人。
ただ、人との友情も何も知らない。
かわいそうな男。
僕はその男に引導を渡す。
デームくんの属性を使えば勝てる。
それは確信しているんだ。
二つの属性を持った僕は、控えめに言っても最強。
申し訳ないが、そこらの竜人に負ける気はない。
「友情なんてものに縋っているようじゃお前は弱い!」
そんなことを言いながらドラゴンスレイヤーで切りかかってくる。
僕は力いっぱい払いのけた。
「ぐっ!」
少しの隙ができた。
「飛炎斬《ひえんざん》!」
少しできた隙をついて炎を斬撃を飛ばす。
「ドラゴンキャノン!」
魔法で撃ち消された。
だが、それの一辺倒か?
だとしたら笑い者だ。
僕たちを馬鹿にした報いを受けて貰おうよ。
ねぇ? デームくん。
「フレイムドラゴンブレス!」
僕の腕の先には、竜の頭が現れて口に炎を溜め。それを一気に敵へと放って行った。少し効いたのではないだろうか。
舞い上がった煙の晴れた先には、片腕を抑えている竜人がいた。その片腕は消し炭になり、再生不能だった。そう。竜人はこういうものに弱い。
再生ができないと弱いのだ。竜魔法は回復魔法も使えない。それは、怪我を負わない前提の魔法だからだ。こうなってはどうしようもない。
「まさか、小童に負傷させられるとはな。だがな、俺はこんなところでは終わらねぇ!」
懐から何か魔石の様なものを出した。
その黒々としたものは、もしかしたら魔物の襲撃の時に使われたものかもしれない。
高位の魔物を生み出すもの。
そんなものつかったら、命がないのに。
「俺の命なんていらねぇ! この街を破壊尽くしてくれぇ!」
胸へと押し付けるとその魔石の様なものは光り出して胸へと入っていった。
ドクンドクンと敵の体は跳ねる。
俺が魔石の様なものが原因であることは疑いようがない。
竜人の体を食った魔石は何に成長するのだろうか。
確実にドラゴンだとは思う。
もしかしたら、かなりやばいドラゴンかも。
胸に入っていった魔石は光を放ち、敵の体はボコボコと変形し始めた。肉体がドンドン増殖していき、その体は五メートル程まで大きくなった。
そして、黒々とした皮膚は、災厄のドラゴンであることを示していた。
過去に大災害を起こした。
伝承上では、止めることが不可能だとされるドラゴンだった。
破壊竜。ハデス。神話の堕天使の名前からとったとされるドラゴンの名前だ。初めて聞いた時、前世の神話が異世界にも語り継がれていることには驚いた。
「グルルルアァァァ!」
咆哮だけで学院の窓ガラスは全部割れた。
そして、校舎にひびが入った。
どこまでもつかわからない。
けど、全力を尽くすしかない。
僕とデームくんなら絶対勝てる!
こうなっては、みんなで闘った方が速いだろう。
「リオンくん! 下がって! 出過ぎだよ!」
僕はみんなの盾でもあるんだ。
引くつもりなんて微塵もないよ。
「言うこと聞かないならオレたちも勝手にやるよ! ダークキャノン!」
闇のエネルギーが極太で迫っていく。
それに気が付いたハデスはクルリと回ると尻尾でどこかへと弾き飛ばした。
「ウチだって勝手にやるよ! ブルーインフェルノ!」
青い炎が地面から噴き出して、ハデスへとダメージを与えていく。だが、そのハデスは体を震わせるだけで炎を振り払った。
口へとエネルギーを溜めるハデス。
「まずい! 敵を討て! ドラゴニックキャノン!」
僕の咄嗟に放った魔法は飲み込まれ、街へと黒い極太のブレスが着弾した。
凄まじい音を立てて、ブレスが放たれた直線状には何も残っていなかった。普通のドラゴンだと射程距離もあるし、威力ももう少し落ちるから破壊される規模がまだ少ないのだが。
ハデスの高エネルギーブレスは、放たれた方向のすべてを破壊するようだ。僕の魔法も破壊されてしまった。あれは、破壊属性だということだろう。
僕たちに勝ち目があるのかが、疑問になってしまう。
「敵を飲み込め! ダークホール!」
バアルくん必殺のすべてを飲み込む魔法を放っていく。
だが、それはブレスによってかき消されてしまった。
これはかなり手ごわいかもしれない。
ハデスはおもむろにバアルくんの方へと、頭を向けた。
僕は嫌な予感がした本能に従い、バアルくんの元へと駆けた。
そして、なんとかバアルくんを射程範囲外へと出した。
次の瞬間には、僕の右腕を破壊属性のブレスが、飲み込んだ。
ブレスが消え去った後、一緒に僕の右腕も失われていた。
尚も傷口から破壊属性が体を破壊しようとする。
肩から先を竜斬丸で切り落とす。
血が噴き出すが、仕方がない。
破壊属性は放っておけば浸食してくる。
「リオンくん! 腕が! ごめん! オレが足を引っ張った!」
悲痛な顔をするバアルくん。
そんなことない。
僕はバアルくん、エリスさん、カーラさんがいることで、力を発揮することができるんだ。もちろん、デームくんの力も僕の力となっている。
この想いが、僕を強くする。
高まる友情の力。
これも、お前にはない力だろう?
「竜魂発動」
体が緑の魔力で満たされていく。
いつの間にか、止血もされている。
ここからが、最終ラウンドだ。
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