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82.攻めてきたか
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「諸君、休みは満喫しただろうか? 巷では、人外魔境が攻めてくるという情報が……」
学院の投稿開始の日、学院長からの挨拶を聞きながら僕たちはピリピリしていた。なぜなら、いつ攻めてくるかがわからないからだ。
それに、王都全体が危険にさらされるのか、学院だけがターゲットになるのか。それがまったくわからなかったからである。
今までは、ダンジョンに入った僕たちが狙われていたと思う。ただ、この前のデームくんの言い方だと王都自体が危ないんじゃないかと見ている。
「みんなのんきなもんだね? 休み中の話をしてるよ?」
後ろからエリスさんが話しかけてきた。
学院生からしてみれば、そんなの自分の身に降りかかるとは全然おもってないだろうから仕方ないのかもしれない。
「まぁ、いろいろ目の当たりにしないと実感わかないでしょ?」
「そんなもの?」
「街でも結構、話題にはなっていたけどねぇ。たださ、学院には救援要請がくるわけないじゃん? ダイバーには行くだろうけどさ」
「そうだねぇ。それで、自分は関係ないって?」
「そういう人もいるんじゃないかって話だよ」
エリスさんに話した通り、自分達には関係がないと思っている人達もいたりする。僕たちのクラスの人達は一度襲撃を受けているから、他のクラスより危機感はあると思う。
それでも、すぐには攻めてこないだろうという謎の自信があったりする。
クラスに行くと担任が入ってきて授業を始める。
しばらく日常が続くのかな?
そんなことを思っている時もあった。
──カンカンカンッ……パンッパンッ
王都の見張り台から警告の鐘と応援信号の魔法があがっているのが窓から見えた。
突如、学院は騒然とした。
攻めてきた。
まさか、この始まる時に合わせてくるなんて。
誰もこの初日に来るとは予想していなかったのではないだろうか?
実際、僕も一週間後とかかなと思っていた。
学院にいる人が狙いなのだろうか?
担任が扉を開け放ち入ってきた。
「噂はしていたが、まさか今日来るとはな。お前たちは待機! あっ、黒襟と仲良し三人。お前たちへは学院からの応援要請が出ている。ついてこい」
僕たちだけは応援の要請が出ているみたい。
休み中の出来事を話したからだね。
四人パーティでS級魔物を討伐している。
この実力は、文句なしの国家戦力だ。
まだダイバーライセンスがないから学院からの要請だったんだろう。
けど、既に国に求められる戦力と言うことだ。
僕たちは、実力はまだまだだけど戦力にはなると自負している。
あの修行以来、僕以外の三人は休養。
僕は一人で修行にいそしんでいた。
そのおかげもあって、精密な魔力操作と魔力の総量を高めることに成功した。戦力になる自負はある。
担任の背中について行きながら、僕たちはどこかへ連れて行かれる。どこに連れて行かれるのかと思ったら、学院長室だった。
「失礼します!」
担任が入っていくので、続いて入る。すると、しらない男子生徒と女子生徒がいた。この人達は誰だろう?
どっちもアダマンタイトのバッチを付けている。三年生かな?
「お前たちは初めましてか? この国の王子様と、王女様だ」
男性の方が一歩前に出て手を差し出してくる。
「俺は、この国の第一王子のダニエル・オーウェンだ。よろしく」
「ワタクシは、この国の第一王女のメリル・オーウェンよ。よろしくですわ」
二人と握手を交わす。
状況が読めないが、どういうことだろう。
僕は首を傾げていると、目の前の白髭のお爺さんが話し出した。
「この子たちは、この学院に通っている王子と王女なのじゃ。どうか、学院長の私からお願いだ。この二人を護衛してくれんか?」
「なんで僕たちなんです?」
「君たちのことは、担任のパイルくんに聞いているよ。なんでも、非公表だが、S級魔物を討伐したそうだね。本当だと信じているよ。それで、お願いしたんだ」
「なるほど。クラスにいた方が安全かもしれませんよ?」
「なぜそう思う?」
「こういったら変な意味にとられるかもしれませんけど、僕たちは目をつけられています。この前襲われたのもそれが原因かと。例の組織には、同級生のデームくんがいます。こちらの戦力は筒抜けでしょう」
「ならなおさら……」
学院長は尚更僕たちの周りにいた方が安全だというのだろう。しかし、近くにいれば危険が及ぶ。むしろ、クラスで肉の壁を作っていた方が助かる確率は上がる。
「言い方が悪かったですね。率直にいいます。足で纏いなので、クラスにいて同級生に肉壁になってもらってください。そうすれば助かります」
僕の発言に王子と王女は頬をひきつらせている。
「俺達、一応アダマンタイトクラスなんだけど?」
「ワタクシたちを侮辱するんですの?」
その物言いに僕も少し腹が立ってきた。
「だったら、一緒にいて逃げてって言われたら逃げられますか?」
「そんなの、当たり前だろう?」
「ドラゴンの攻撃をかいくぐってですか?」
「ド、ドラゴン?」
「おそらく、奴らはドラゴンを使って襲ってきていると思います。だから聞いたんです」
「ドラゴンの攻撃なんて……」
「避けられるわけがないわ!」
王子様が戸惑っている横で、王女様が怒りの声を上げる。
「それができないなら、ついてこないでください。足手纏いです」
「あなたたちならできるっていうんですの!?」
「だから、生きているんです。既に、ドラゴンを討伐しています。僕たち四人は。言っている意味わかりました?」
王子と王女は口をつぐんだ。
これ以上は何も言わないだろう。
「学院長、すみませんが、クラスで守護をお願いします。僕たちは、学院に敵を寄せ付けないよう、全力を尽くします」
「すまんのぉ。教員も戦力として投入するのじゃが、S級となるとわからん」
「お任せ下さい」
学院長が頷いたことを確認すると、僕たち四人は外へと出た。
空はドラゴンが飛んでいる。
王都へ火を噴いているのが見えた。
街へも救援に行きたい。
でも、今は学院を守ろう。
僕たちの戦い、見せてあげる。
学院の投稿開始の日、学院長からの挨拶を聞きながら僕たちはピリピリしていた。なぜなら、いつ攻めてくるかがわからないからだ。
それに、王都全体が危険にさらされるのか、学院だけがターゲットになるのか。それがまったくわからなかったからである。
今までは、ダンジョンに入った僕たちが狙われていたと思う。ただ、この前のデームくんの言い方だと王都自体が危ないんじゃないかと見ている。
「みんなのんきなもんだね? 休み中の話をしてるよ?」
後ろからエリスさんが話しかけてきた。
学院生からしてみれば、そんなの自分の身に降りかかるとは全然おもってないだろうから仕方ないのかもしれない。
「まぁ、いろいろ目の当たりにしないと実感わかないでしょ?」
「そんなもの?」
「街でも結構、話題にはなっていたけどねぇ。たださ、学院には救援要請がくるわけないじゃん? ダイバーには行くだろうけどさ」
「そうだねぇ。それで、自分は関係ないって?」
「そういう人もいるんじゃないかって話だよ」
エリスさんに話した通り、自分達には関係がないと思っている人達もいたりする。僕たちのクラスの人達は一度襲撃を受けているから、他のクラスより危機感はあると思う。
それでも、すぐには攻めてこないだろうという謎の自信があったりする。
クラスに行くと担任が入ってきて授業を始める。
しばらく日常が続くのかな?
そんなことを思っている時もあった。
──カンカンカンッ……パンッパンッ
王都の見張り台から警告の鐘と応援信号の魔法があがっているのが窓から見えた。
突如、学院は騒然とした。
攻めてきた。
まさか、この始まる時に合わせてくるなんて。
誰もこの初日に来るとは予想していなかったのではないだろうか?
実際、僕も一週間後とかかなと思っていた。
学院にいる人が狙いなのだろうか?
担任が扉を開け放ち入ってきた。
「噂はしていたが、まさか今日来るとはな。お前たちは待機! あっ、黒襟と仲良し三人。お前たちへは学院からの応援要請が出ている。ついてこい」
僕たちだけは応援の要請が出ているみたい。
休み中の出来事を話したからだね。
四人パーティでS級魔物を討伐している。
この実力は、文句なしの国家戦力だ。
まだダイバーライセンスがないから学院からの要請だったんだろう。
けど、既に国に求められる戦力と言うことだ。
僕たちは、実力はまだまだだけど戦力にはなると自負している。
あの修行以来、僕以外の三人は休養。
僕は一人で修行にいそしんでいた。
そのおかげもあって、精密な魔力操作と魔力の総量を高めることに成功した。戦力になる自負はある。
担任の背中について行きながら、僕たちはどこかへ連れて行かれる。どこに連れて行かれるのかと思ったら、学院長室だった。
「失礼します!」
担任が入っていくので、続いて入る。すると、しらない男子生徒と女子生徒がいた。この人達は誰だろう?
どっちもアダマンタイトのバッチを付けている。三年生かな?
「お前たちは初めましてか? この国の王子様と、王女様だ」
男性の方が一歩前に出て手を差し出してくる。
「俺は、この国の第一王子のダニエル・オーウェンだ。よろしく」
「ワタクシは、この国の第一王女のメリル・オーウェンよ。よろしくですわ」
二人と握手を交わす。
状況が読めないが、どういうことだろう。
僕は首を傾げていると、目の前の白髭のお爺さんが話し出した。
「この子たちは、この学院に通っている王子と王女なのじゃ。どうか、学院長の私からお願いだ。この二人を護衛してくれんか?」
「なんで僕たちなんです?」
「君たちのことは、担任のパイルくんに聞いているよ。なんでも、非公表だが、S級魔物を討伐したそうだね。本当だと信じているよ。それで、お願いしたんだ」
「なるほど。クラスにいた方が安全かもしれませんよ?」
「なぜそう思う?」
「こういったら変な意味にとられるかもしれませんけど、僕たちは目をつけられています。この前襲われたのもそれが原因かと。例の組織には、同級生のデームくんがいます。こちらの戦力は筒抜けでしょう」
「ならなおさら……」
学院長は尚更僕たちの周りにいた方が安全だというのだろう。しかし、近くにいれば危険が及ぶ。むしろ、クラスで肉の壁を作っていた方が助かる確率は上がる。
「言い方が悪かったですね。率直にいいます。足で纏いなので、クラスにいて同級生に肉壁になってもらってください。そうすれば助かります」
僕の発言に王子と王女は頬をひきつらせている。
「俺達、一応アダマンタイトクラスなんだけど?」
「ワタクシたちを侮辱するんですの?」
その物言いに僕も少し腹が立ってきた。
「だったら、一緒にいて逃げてって言われたら逃げられますか?」
「そんなの、当たり前だろう?」
「ドラゴンの攻撃をかいくぐってですか?」
「ド、ドラゴン?」
「おそらく、奴らはドラゴンを使って襲ってきていると思います。だから聞いたんです」
「ドラゴンの攻撃なんて……」
「避けられるわけがないわ!」
王子様が戸惑っている横で、王女様が怒りの声を上げる。
「それができないなら、ついてこないでください。足手纏いです」
「あなたたちならできるっていうんですの!?」
「だから、生きているんです。既に、ドラゴンを討伐しています。僕たち四人は。言っている意味わかりました?」
王子と王女は口をつぐんだ。
これ以上は何も言わないだろう。
「学院長、すみませんが、クラスで守護をお願いします。僕たちは、学院に敵を寄せ付けないよう、全力を尽くします」
「すまんのぉ。教員も戦力として投入するのじゃが、S級となるとわからん」
「お任せ下さい」
学院長が頷いたことを確認すると、僕たち四人は外へと出た。
空はドラゴンが飛んでいる。
王都へ火を噴いているのが見えた。
街へも救援に行きたい。
でも、今は学院を守ろう。
僕たちの戦い、見せてあげる。
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