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49.城攻め
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空を飛んできた先輩たちへ、竜の牙が襲い掛かる。
散り散りになったが、二割くらいの人が脱落した。
空を飛んでいた人達は一旦、戻っていった。
いきなりこんな攻撃を食らうと思っていなかったのだろうか。開戦したばかりでは集中攻撃を食らうことがわかりそうなものだが、オレンジ先輩の頭がたりないのか、他の先輩たちがたいして考えていないのか。
下では地上部隊が攻め上がっていた。
先輩たちも出てきているみたいだが、まだ接敵はしていない。
初撃は潰したから、あとは僕たちも攻めに行こうか。
「よぉーし、じゃあ、攻めに行こうか!」
「「「おぉっ!」」」
僕を含めたこの九人の部隊は、割りと肉体派の人達が多い。近接戦闘を得意としている人たちが集まっているのだ。他の部隊は、肉体派と魔法派と半々くらいで入れている。
なぜ、僕の部隊はそんなことになっているか。
地上部隊が、城へ真正面から攻めている時に、僕たちは他のルートを隠れて通り、城へ直接攻撃しに行こうとしているからなんだ。
このフィールドは円形である。その両端に城があり、間には街のように住宅やら店が建ち並んでいるような形だ。他のスペースは森となっている。
街のない端っこのスペースは森なのだ。僕たちは、そこを行く。
城を出ると身を屈めて街並みのはずれの方に移動していく。前方の方では戦闘音がしている。接敵したみたいだ。バアルくんたちなら大丈夫なはず。修行を終えてからは先輩にも引けをとらない強さになっているから。
街と違い、森の方は薄暗く不気味な様相を呈している。このぐらいの方が見つからなくていいだろうなと考えながら、時折木々の隙間から見える相手の城を確認しつつ迫っていく。
──ゴウッ
近くで火柱が上がる。こんなことをするのはカーラさんくらいだろう。派手にやっているなぁ。奥の方でも竜巻が巻き起こっている。あれはエリスさんだろうね。
まだ少し押しているくらいの位置で闘っているみたい。
僕たちには気が付いていないだろう。
いい陽動になってくれている。
前方に何かが動いたのが見えた。
部隊に止まるように支持する。
「どうしたの?」
クラスメイトには見えていないのか、止まったことが不思議だったみたい。
「この先に何かいるんだ」
林から見えたのは赤いトサカ。あれはもしかして……。
「オメェらコノヤロー! 考えることはお見通しだゴラァ!」
モヒカン先輩が仲間六人と待ち受けていた。昔の七人の侍みたいだなと思いながら待ち伏せしているのを眺めていた。
こっちは九人なので、余裕がある。どう出るのかな?
「ここは通さねぇ」
「そうですか。じゃあ、実力行使させてもらいますね。やるよ!」
「「「おう!」」」
後ろにいた肉体派達が襲いかかっていく。先輩たちに応戦し、次々と蹴散らす。数的有利もある。数分でモヒカン先輩以外を転送させた。
「さようなら」
モヒカン先輩の顔面を殴りつけた。形が変形していた気がするが、治るだろう。そのまま転送されて行った。
城へのルートには他に邪魔者はいなかった。案外楽に来れたなと思って扉を開ける。
すると、十人ほどが武器を持って佇んでいた。そう簡単には旗はとらせてくれないらしい。まぁ、敵にならないんだけどね。
「やったれ! オラァ!」
一人の生徒の掛け声に九人が襲いかかってくる。周りのみんなは気合いに押され気味だ。こっちも気合いを入れないとね。
「奴らは!?」
「「「ボッコボコ!」」」
皆の目に活力が戻った。僕も力が漲ってくる。皆と息が合うのがわかる。一人が攻撃されそうになれば、妨害し始末する。
「面倒だね。みんなスイッチ!」
僕と皆が入れ替わる。
そして、魔法を放つことにした。
「唸れ。竜の息吹。ドラゴニックキャノン」
──ゴアァァァァァ
凄まじい音を鳴らし、人を飲み込み、城の一階の壁を破壊して進んで行った。
うん。ちょっと魔力込めすぎた。先輩たち大丈夫だったかな。死んでなきゃいいんだけどね。うん。無事だと信じようかな。
今度は二階からワラワラとまた十人くらい出てきた。外には少数で当たっていたみたい。捨て駒みたいな感じかな?
階段を降りてきている。遠当てで降りてくる人達にダメージを与えていく。それでも、何人かは降りてきてしまった。
一人は腹に拳をめり込ませて気絶させ、転送させる。一人は上段蹴りで失神させて転送させる。そんなこんなで、皆で始末した。
もうあんまり人数残ってないんじゃないのかな?
そんなことを思いながら階段を昇っていく。崩れることは無いだろうけど。一階部分ほとんどないからね。
「おやおや、案外早かったですね」
城を上がった部屋にはオレンジ先輩が椅子に腰かけていた。仲間が一生懸命戦っている間、休んでいたんだろうか。
こんな奴が、ニ年ゴールドクラスの、皆のリーダーなのだろうか?
鼻で笑いたくなる。
「悠長に高みの見物ですか? そんなんで、人がついてくるんですか?」
「みんな私の言いなりです」
「ほぉ。じゃあ、貴方を始末すれば終わりですね」
僕がそういうと、顔を青くしながらペコペコし始めた。「いやぁ、そういう意味ではないよ?」というが、こっちに散々文句言っておいて。
「あんたさぁ、仲間のことどう思ってるの?」
「んー。捨て駒?」
「はははっ。くたばれ。竜魔法 ドラゴンクロウ」
オレンジ先輩、生きてる?
散り散りになったが、二割くらいの人が脱落した。
空を飛んでいた人達は一旦、戻っていった。
いきなりこんな攻撃を食らうと思っていなかったのだろうか。開戦したばかりでは集中攻撃を食らうことがわかりそうなものだが、オレンジ先輩の頭がたりないのか、他の先輩たちがたいして考えていないのか。
下では地上部隊が攻め上がっていた。
先輩たちも出てきているみたいだが、まだ接敵はしていない。
初撃は潰したから、あとは僕たちも攻めに行こうか。
「よぉーし、じゃあ、攻めに行こうか!」
「「「おぉっ!」」」
僕を含めたこの九人の部隊は、割りと肉体派の人達が多い。近接戦闘を得意としている人たちが集まっているのだ。他の部隊は、肉体派と魔法派と半々くらいで入れている。
なぜ、僕の部隊はそんなことになっているか。
地上部隊が、城へ真正面から攻めている時に、僕たちは他のルートを隠れて通り、城へ直接攻撃しに行こうとしているからなんだ。
このフィールドは円形である。その両端に城があり、間には街のように住宅やら店が建ち並んでいるような形だ。他のスペースは森となっている。
街のない端っこのスペースは森なのだ。僕たちは、そこを行く。
城を出ると身を屈めて街並みのはずれの方に移動していく。前方の方では戦闘音がしている。接敵したみたいだ。バアルくんたちなら大丈夫なはず。修行を終えてからは先輩にも引けをとらない強さになっているから。
街と違い、森の方は薄暗く不気味な様相を呈している。このぐらいの方が見つからなくていいだろうなと考えながら、時折木々の隙間から見える相手の城を確認しつつ迫っていく。
──ゴウッ
近くで火柱が上がる。こんなことをするのはカーラさんくらいだろう。派手にやっているなぁ。奥の方でも竜巻が巻き起こっている。あれはエリスさんだろうね。
まだ少し押しているくらいの位置で闘っているみたい。
僕たちには気が付いていないだろう。
いい陽動になってくれている。
前方に何かが動いたのが見えた。
部隊に止まるように支持する。
「どうしたの?」
クラスメイトには見えていないのか、止まったことが不思議だったみたい。
「この先に何かいるんだ」
林から見えたのは赤いトサカ。あれはもしかして……。
「オメェらコノヤロー! 考えることはお見通しだゴラァ!」
モヒカン先輩が仲間六人と待ち受けていた。昔の七人の侍みたいだなと思いながら待ち伏せしているのを眺めていた。
こっちは九人なので、余裕がある。どう出るのかな?
「ここは通さねぇ」
「そうですか。じゃあ、実力行使させてもらいますね。やるよ!」
「「「おう!」」」
後ろにいた肉体派達が襲いかかっていく。先輩たちに応戦し、次々と蹴散らす。数的有利もある。数分でモヒカン先輩以外を転送させた。
「さようなら」
モヒカン先輩の顔面を殴りつけた。形が変形していた気がするが、治るだろう。そのまま転送されて行った。
城へのルートには他に邪魔者はいなかった。案外楽に来れたなと思って扉を開ける。
すると、十人ほどが武器を持って佇んでいた。そう簡単には旗はとらせてくれないらしい。まぁ、敵にならないんだけどね。
「やったれ! オラァ!」
一人の生徒の掛け声に九人が襲いかかってくる。周りのみんなは気合いに押され気味だ。こっちも気合いを入れないとね。
「奴らは!?」
「「「ボッコボコ!」」」
皆の目に活力が戻った。僕も力が漲ってくる。皆と息が合うのがわかる。一人が攻撃されそうになれば、妨害し始末する。
「面倒だね。みんなスイッチ!」
僕と皆が入れ替わる。
そして、魔法を放つことにした。
「唸れ。竜の息吹。ドラゴニックキャノン」
──ゴアァァァァァ
凄まじい音を鳴らし、人を飲み込み、城の一階の壁を破壊して進んで行った。
うん。ちょっと魔力込めすぎた。先輩たち大丈夫だったかな。死んでなきゃいいんだけどね。うん。無事だと信じようかな。
今度は二階からワラワラとまた十人くらい出てきた。外には少数で当たっていたみたい。捨て駒みたいな感じかな?
階段を降りてきている。遠当てで降りてくる人達にダメージを与えていく。それでも、何人かは降りてきてしまった。
一人は腹に拳をめり込ませて気絶させ、転送させる。一人は上段蹴りで失神させて転送させる。そんなこんなで、皆で始末した。
もうあんまり人数残ってないんじゃないのかな?
そんなことを思いながら階段を昇っていく。崩れることは無いだろうけど。一階部分ほとんどないからね。
「おやおや、案外早かったですね」
城を上がった部屋にはオレンジ先輩が椅子に腰かけていた。仲間が一生懸命戦っている間、休んでいたんだろうか。
こんな奴が、ニ年ゴールドクラスの、皆のリーダーなのだろうか?
鼻で笑いたくなる。
「悠長に高みの見物ですか? そんなんで、人がついてくるんですか?」
「みんな私の言いなりです」
「ほぉ。じゃあ、貴方を始末すれば終わりですね」
僕がそういうと、顔を青くしながらペコペコし始めた。「いやぁ、そういう意味ではないよ?」というが、こっちに散々文句言っておいて。
「あんたさぁ、仲間のことどう思ってるの?」
「んー。捨て駒?」
「はははっ。くたばれ。竜魔法 ドラゴンクロウ」
オレンジ先輩、生きてる?
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