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45.玉入れ決着
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オーガたちを倒して皆の元へ戻るとなんだか決意の籠った目をしていた。
「どうしたの?」
「オレたちは、リオンくんに感化されたのさ」
「ふーん。まぁ、このダンジョンは僕に任せてよ」
そう言い放ちサムズアップする。
それには三人も返してくれた。
再び、エレベーターへと乗り込み上昇する。
作成したダンジョンは、ダンジョンコアへと魔力を注入することで魔物を創造したりするんだ。さっきまでの魔物ぐらいが魔力の多い人が出せる限界の魔物だと思う。
だから、この先はオレンジ先輩がいるんじゃないかと思うんだけど。どうだろうか。
僕たちの考えなどお構いなしに箱は上昇していく。そして、口を開くのだった。
「げっ! そんなのあり!?」
「リオンくんでもさすがに無理じゃない!?」
「これは降参した方がいいんじゃないかな!?」
バアルくん、エリスさん、カーラさんは目を剥いて驚いている。僕も正直驚いたよ。やっぱりやることが腐っていたね。心に沸々と湧いてくるこの怒りを思いを馳せるオレンジ先輩へとぶつけたくなってきた。
「なんかリオンくん、怒ってる!?」
エリスさんが心配で声をかけてくれた。
「大丈夫。さっきのが学生くらいでは、限界のはずなんだ。その上を用意できたということは、捕らわれているクラスメイト皆の魔力が使われたみたい」
「えっ!? じゃあみんな……」
「うん。魔力切れで倒れているだろう。許せない」
僕は緑のオーラを纏わせた。そして、意味も分からずこちらへと殺しにかかってきているであろう、ドラゴンへと相対する。よりによってドラゴンを僕の敵として出すとはね。
竜人族は、竜と共存している種族なんだ。それなのに竜を敵として出すということは、身内を出されたも同然。家族を斬る思いでこの戦いへ挑まなければならない。
『君は火竜だね? 話はできるのかな?』
竜にわかるように竜語で話す。
「グルルルルアアァァァ!」
「そっか。話をするくらいの知力は備わっていないんだね。なら、いっそ一思いに葬ってあげよう」
刀を構えて様子を見ていると口に炎を溜めだした。その炎をそのまま吐き出して飛ばしてくる。速度を見極め、ここぞというタイミングで抜刀。
炎を切り裂くと、頬を焦がして後方へと飛んでいく。
ドラゴンは次々と火球を放ってくる。
それをジグザグに移動し、迫りくるものだけを切り裂く。
「グルアァァァ!」
近づいた僕を爪で狙ってくる。
最小限の跳躍で避け、首元へと移動した。
「ふっ!」
抜刀して首を切り裂くが、ドラゴンが反応した。
のけ反って避けたのだ。
「グルルルアァァ!」
今度は牙をむき、噛みついてくる。
「さっきので終わりにしたかったのに。いいよ。やってあげる」
鼻を蹴り後ろへと跳躍する。
そして、手をかざす。
後ろの皆は僕を信じてくれたんだ。
だから、見せても大丈夫。
魔力を腕へと集める。
射出する準備をする。
「喰らえ。竜の咆哮。竜魔法 ドラゴニックキャノン」
手から放出する魔力が、カッと光った。
──グルオアァァァァ
手が咆哮を上げ、竜の形を模した魔力はドラゴンへ襲い掛かっていった。
「グル──」
断末魔を上げる間もなく、ドラゴンの上半身は食い破られて倒れ伏した。
僕の魔法を始めて見せたね。
オレンジ先輩もよく見たかな?
あの人達には恐がられてもなんとも思わないよ。むしろ、嫌われてもかまわない。僕には仲間がいる。だから、平気なんだ。
静かに後ろを振り向き、皆の元へと戻る。
「いや、使えるんだろうなとは思っていたけど……」
「なんか、いざ見せられると驚くわね」
「ウチに威力うんぬんとか言えなくない?」
なんだか、三人とも僕に何か言いたそうだ。
本来使える魔法を使っただけだからね。
僕からしたら当たり前。
カーラさん、威力についてはその通りだね。威力を抑えてとか、魔力抑えてとかそんな生意気な事僕は言えないよ。なんたってさっきの威力が最低威力だからね。
「ま、まぁ、あんまり気にしないでよ」
三人の強い視線に申し訳ない気持ちとなり、体を縮めた。僕の仕草に三人はプッと笑いだし、早くエレベーターに乗ろうと言ってくれた。
言われたとおり一緒にエレベーターへと乗り込むとその箱が上昇するのを感じながら次に開いた時はきっとオレンジ先輩がいる。どうしてやろうかと考えながら口が開くのを待った。
今までで一番長い上昇の感覚を感じながら、リラックスした状態で待っていた。緊張することなんてないからね。だって、ドラゴン以上の脅威が他にあるとは思えないから。
ついに到達したところで、扉が開く。開いた先には倒れたクラスメイト達。
「大丈夫!?」
僕が駆け寄ろうとすると、横から出てきたオレンジ髪の魔族の先輩がクラスメイトへ杖を突きつけたのだ。この期に及んでもそんな汚い手で抵抗しようというのか。
「僕はあなたたちを許しません。この結界の効果が及んでいても、僕の魔法であなたを殺めることができます。さっきの魔法の威力を見てたでしょう?」
「ぐっ! あんなの何発も撃てるわけが──」
「あれは、基礎魔法です。何発も撃てます」
「ふんっ! ハッタリだ! 燃やし尽く──」
「──ドラゴニックキャノン」
ドラゴンを模した魔法はオレンジ先輩へと向かっていき、片手を食いちぎって強制的に転送させた。
残った場所には、赤い籠と赤と青のボールが落ちていた。
籠を両方奪取した僕たちは赤い籠へとすべてのボールを入れ勝利を確信する。
「このダンジョンは破壊しよう」
僕はダンジョンコアのアクセス権を奪うと自壊する様に指示したのであった。
こうして、決闘第一弾の玉入れは一年アダマンタイトクラスの勝利となった。
「どうしたの?」
「オレたちは、リオンくんに感化されたのさ」
「ふーん。まぁ、このダンジョンは僕に任せてよ」
そう言い放ちサムズアップする。
それには三人も返してくれた。
再び、エレベーターへと乗り込み上昇する。
作成したダンジョンは、ダンジョンコアへと魔力を注入することで魔物を創造したりするんだ。さっきまでの魔物ぐらいが魔力の多い人が出せる限界の魔物だと思う。
だから、この先はオレンジ先輩がいるんじゃないかと思うんだけど。どうだろうか。
僕たちの考えなどお構いなしに箱は上昇していく。そして、口を開くのだった。
「げっ! そんなのあり!?」
「リオンくんでもさすがに無理じゃない!?」
「これは降参した方がいいんじゃないかな!?」
バアルくん、エリスさん、カーラさんは目を剥いて驚いている。僕も正直驚いたよ。やっぱりやることが腐っていたね。心に沸々と湧いてくるこの怒りを思いを馳せるオレンジ先輩へとぶつけたくなってきた。
「なんかリオンくん、怒ってる!?」
エリスさんが心配で声をかけてくれた。
「大丈夫。さっきのが学生くらいでは、限界のはずなんだ。その上を用意できたということは、捕らわれているクラスメイト皆の魔力が使われたみたい」
「えっ!? じゃあみんな……」
「うん。魔力切れで倒れているだろう。許せない」
僕は緑のオーラを纏わせた。そして、意味も分からずこちらへと殺しにかかってきているであろう、ドラゴンへと相対する。よりによってドラゴンを僕の敵として出すとはね。
竜人族は、竜と共存している種族なんだ。それなのに竜を敵として出すということは、身内を出されたも同然。家族を斬る思いでこの戦いへ挑まなければならない。
『君は火竜だね? 話はできるのかな?』
竜にわかるように竜語で話す。
「グルルルルアアァァァ!」
「そっか。話をするくらいの知力は備わっていないんだね。なら、いっそ一思いに葬ってあげよう」
刀を構えて様子を見ていると口に炎を溜めだした。その炎をそのまま吐き出して飛ばしてくる。速度を見極め、ここぞというタイミングで抜刀。
炎を切り裂くと、頬を焦がして後方へと飛んでいく。
ドラゴンは次々と火球を放ってくる。
それをジグザグに移動し、迫りくるものだけを切り裂く。
「グルアァァァ!」
近づいた僕を爪で狙ってくる。
最小限の跳躍で避け、首元へと移動した。
「ふっ!」
抜刀して首を切り裂くが、ドラゴンが反応した。
のけ反って避けたのだ。
「グルルルアァァ!」
今度は牙をむき、噛みついてくる。
「さっきので終わりにしたかったのに。いいよ。やってあげる」
鼻を蹴り後ろへと跳躍する。
そして、手をかざす。
後ろの皆は僕を信じてくれたんだ。
だから、見せても大丈夫。
魔力を腕へと集める。
射出する準備をする。
「喰らえ。竜の咆哮。竜魔法 ドラゴニックキャノン」
手から放出する魔力が、カッと光った。
──グルオアァァァァ
手が咆哮を上げ、竜の形を模した魔力はドラゴンへ襲い掛かっていった。
「グル──」
断末魔を上げる間もなく、ドラゴンの上半身は食い破られて倒れ伏した。
僕の魔法を始めて見せたね。
オレンジ先輩もよく見たかな?
あの人達には恐がられてもなんとも思わないよ。むしろ、嫌われてもかまわない。僕には仲間がいる。だから、平気なんだ。
静かに後ろを振り向き、皆の元へと戻る。
「いや、使えるんだろうなとは思っていたけど……」
「なんか、いざ見せられると驚くわね」
「ウチに威力うんぬんとか言えなくない?」
なんだか、三人とも僕に何か言いたそうだ。
本来使える魔法を使っただけだからね。
僕からしたら当たり前。
カーラさん、威力についてはその通りだね。威力を抑えてとか、魔力抑えてとかそんな生意気な事僕は言えないよ。なんたってさっきの威力が最低威力だからね。
「ま、まぁ、あんまり気にしないでよ」
三人の強い視線に申し訳ない気持ちとなり、体を縮めた。僕の仕草に三人はプッと笑いだし、早くエレベーターに乗ろうと言ってくれた。
言われたとおり一緒にエレベーターへと乗り込むとその箱が上昇するのを感じながら次に開いた時はきっとオレンジ先輩がいる。どうしてやろうかと考えながら口が開くのを待った。
今までで一番長い上昇の感覚を感じながら、リラックスした状態で待っていた。緊張することなんてないからね。だって、ドラゴン以上の脅威が他にあるとは思えないから。
ついに到達したところで、扉が開く。開いた先には倒れたクラスメイト達。
「大丈夫!?」
僕が駆け寄ろうとすると、横から出てきたオレンジ髪の魔族の先輩がクラスメイトへ杖を突きつけたのだ。この期に及んでもそんな汚い手で抵抗しようというのか。
「僕はあなたたちを許しません。この結界の効果が及んでいても、僕の魔法であなたを殺めることができます。さっきの魔法の威力を見てたでしょう?」
「ぐっ! あんなの何発も撃てるわけが──」
「あれは、基礎魔法です。何発も撃てます」
「ふんっ! ハッタリだ! 燃やし尽く──」
「──ドラゴニックキャノン」
ドラゴンを模した魔法はオレンジ先輩へと向かっていき、片手を食いちぎって強制的に転送させた。
残った場所には、赤い籠と赤と青のボールが落ちていた。
籠を両方奪取した僕たちは赤い籠へとすべてのボールを入れ勝利を確信する。
「このダンジョンは破壊しよう」
僕はダンジョンコアのアクセス権を奪うと自壊する様に指示したのであった。
こうして、決闘第一弾の玉入れは一年アダマンタイトクラスの勝利となった。
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