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44.遠い強さ
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「ねぇ、そんなこと言って大丈夫なの?」
エリスさんは心配そうに表情を曇らせる。
「大丈夫。これは僕に注意を引きつけるためなんだ。もしかしたら、クラスメイトが捕らえられているかもしれない」
このダンジョンが先輩に支配されていると思う。それを前提として考えると、このダンジョンに転送されてしまったクラスメイトは捕らわれていると考えられる。
アイツらは捕らえたクラスメイトになにかするかもしれない。それを阻止するためには、こっちに注意を引きつける必要がある。
「なるほど。さすがリオンくん。そこまで考えているとはね」
褒められて少し照れてしまう。
表彰は髪と襟で隠れているから分からないよね。良かった。顔が見えづらくて。
エレベーターはまた上昇を始め、止まって口を開けた。
僕がさっきの宣言をしたことで、バアルくん達はもう観客と化していた。
開いた先にはオーガロードとオーガジェネラル、その他はオーガが数十体。
結構な戦力を用意できるんだなぁと感心した。でも、この魔物を出すためにダンジョンコアへ込める一人の魔力の限界値ではないかと思う。
オレンジ先輩は頑張ったけど、これまでじゃないかな。
「「「ガァァァァァァ!」」」
一斉に咆哮を上げながらこちらへと駆けてくる。随分と好戦的だ。魔力の持ち主の気持ちも汲んでいるようなきさえする。
僕もやろうかな。
下半身を沈め、一気に加速する。
一瞬で肉薄。
「ふっ!」
オーガが持っていた棍棒を振り下ろしてくるタイミングでの切り上げになってしまった。だが、気にせず振り切りに行く。
オーガは笑みを浮かべた。自分の棍棒で対抗できると思っていたのだろう。僕の刀は竜斬丸だよ?
触れた棍棒をバターの様に切り裂き、そのままオーガを首を切り落とした。目を見開いていたオーガだったが、そのまま絶命。
オーガは割と知性が高い。その為、フェイントとかも仕掛けてくるし、しっかりと防御もする。ゴブリンとは大違いだ。
だが、僕にとっては対して変わらない。振る刀で二体の体を袈裟に真っ二つにし、横に薙げば三体の首を撥ねた。
まだオーガはいる。けど、その子分たちを蹴散らしながら掛けてきたのはゴブリンジェネラル。かなり好戦的なようだ。
「ガァァルァァァ!」
持っていた剣を振り下ろしてくる。切り上げて弾く。流石にナマクラではなかった。切り落とせないところを見るとそれなりの業物だろう。
通用すると思ったのかオーガジェネラルは口角を吊り上げた。
「ふふっ。それだけで勝てる気になってるの?」
弾かれたオーガジェネラルは大上段からの力任せの振り下ろしを放ってきた。僕を捉えられる太刀筋だ。
「流《ながれ》」
振り下ろされた剣に刀を添えて横へと押すことで受け流す技。
──ドゴォオォッ!
すぐ横の地面が剣でえぐれる。
だけど、それだけだよ。
こんな大きな隙を僕が見逃すわけないよね?
受け流した刀を今度は刃を返して切り上げる。
「ガッ!」
下半身から上半身にかけて斜めに切られたオーガジェネラルは切られたことに気が付かず、剣を振りあげようとして身体がズレ落ちる。
それを見ていたオーガロードが怒りを露わにする。
「ゴォォガァァァァ!」
足を地面に打ち付けて地団駄を踏み、怒りを露わにしている。
仲間がやられて怒っているのかな?
でもね、それはおかしいよ。
君には関係ないかもしれないけど、クラスメイトを捕らえているのはそっちだ。
僕はね。仲間を助けるためなら、鬼にでもなるんだよ?
なんだか、頭に血が上って来たなぁ。
魔力を体に纏わせると緑のオーラが吹き出した。僕のオーラはね。髪の色と同じ緑なんだ。このオーラが出た僕は強いよ?
「ガァアァァッ!」
さっきのジェネラルより大きな剣を構えたオーガロードは怒りに任せて叩きつけてくる。
ふふふっ。そんなもので、僕の刀を止めることはできないよ。
──リィィィン
甲高い音が鳴り響き、オーガロードの後ろに降り立つ。オーガーロードは微塵切りになり、ゴロゴロと転がった。
◆◇◆
バアルは見学していたが、目を見開いていた。
「リオンくんはどこまでの高みに昇って居るんだろうね」
「私たちには、まだ到底辿り着けない所に居るんだよね」
「ウチは、それはなんか悔しいよ」
オレが呟くと、エリスさん、カーラさんも続いて呟いた。リオンくんははるか遠くの強さがある。
僕たちが見ている中、一瞬で距離を詰め、一瞬でオーガを葬った。オーガはCランクの強さがある。ジェネラルはBランク、ロードはAランクだ。
それをリオンくんは一瞬で葬った。全く、敵わないな。オレたちがどれだけ頑張っても遠く離れて行くんだもんなぁ。
「私たちも頑張らないとね。隣に並ぶためだもん」
エリスさんの目は未来を見据えて強い。オレだって負けない。カーラさんだって、メキメキと魔法の威力がアップしてる。
オレは、剣術と魔法の両方が使える魔法剣士を目指してるんだ。リオンくんはもうオレの考えている魔法剣士を超えているんだけど。
「そうだね。リオンくんへ追いつくために、しっかりと戦いを目に焼き付けておこう」
「そうね」
「そうだね」
エリスさんとカーラさんは深く頷くと、目をギラギラとさせていた。
リオンくん、オレ達はまだまだ強くなるよ。
エリスさんは心配そうに表情を曇らせる。
「大丈夫。これは僕に注意を引きつけるためなんだ。もしかしたら、クラスメイトが捕らえられているかもしれない」
このダンジョンが先輩に支配されていると思う。それを前提として考えると、このダンジョンに転送されてしまったクラスメイトは捕らわれていると考えられる。
アイツらは捕らえたクラスメイトになにかするかもしれない。それを阻止するためには、こっちに注意を引きつける必要がある。
「なるほど。さすがリオンくん。そこまで考えているとはね」
褒められて少し照れてしまう。
表彰は髪と襟で隠れているから分からないよね。良かった。顔が見えづらくて。
エレベーターはまた上昇を始め、止まって口を開けた。
僕がさっきの宣言をしたことで、バアルくん達はもう観客と化していた。
開いた先にはオーガロードとオーガジェネラル、その他はオーガが数十体。
結構な戦力を用意できるんだなぁと感心した。でも、この魔物を出すためにダンジョンコアへ込める一人の魔力の限界値ではないかと思う。
オレンジ先輩は頑張ったけど、これまでじゃないかな。
「「「ガァァァァァァ!」」」
一斉に咆哮を上げながらこちらへと駆けてくる。随分と好戦的だ。魔力の持ち主の気持ちも汲んでいるようなきさえする。
僕もやろうかな。
下半身を沈め、一気に加速する。
一瞬で肉薄。
「ふっ!」
オーガが持っていた棍棒を振り下ろしてくるタイミングでの切り上げになってしまった。だが、気にせず振り切りに行く。
オーガは笑みを浮かべた。自分の棍棒で対抗できると思っていたのだろう。僕の刀は竜斬丸だよ?
触れた棍棒をバターの様に切り裂き、そのままオーガを首を切り落とした。目を見開いていたオーガだったが、そのまま絶命。
オーガは割と知性が高い。その為、フェイントとかも仕掛けてくるし、しっかりと防御もする。ゴブリンとは大違いだ。
だが、僕にとっては対して変わらない。振る刀で二体の体を袈裟に真っ二つにし、横に薙げば三体の首を撥ねた。
まだオーガはいる。けど、その子分たちを蹴散らしながら掛けてきたのはゴブリンジェネラル。かなり好戦的なようだ。
「ガァァルァァァ!」
持っていた剣を振り下ろしてくる。切り上げて弾く。流石にナマクラではなかった。切り落とせないところを見るとそれなりの業物だろう。
通用すると思ったのかオーガジェネラルは口角を吊り上げた。
「ふふっ。それだけで勝てる気になってるの?」
弾かれたオーガジェネラルは大上段からの力任せの振り下ろしを放ってきた。僕を捉えられる太刀筋だ。
「流《ながれ》」
振り下ろされた剣に刀を添えて横へと押すことで受け流す技。
──ドゴォオォッ!
すぐ横の地面が剣でえぐれる。
だけど、それだけだよ。
こんな大きな隙を僕が見逃すわけないよね?
受け流した刀を今度は刃を返して切り上げる。
「ガッ!」
下半身から上半身にかけて斜めに切られたオーガジェネラルは切られたことに気が付かず、剣を振りあげようとして身体がズレ落ちる。
それを見ていたオーガロードが怒りを露わにする。
「ゴォォガァァァァ!」
足を地面に打ち付けて地団駄を踏み、怒りを露わにしている。
仲間がやられて怒っているのかな?
でもね、それはおかしいよ。
君には関係ないかもしれないけど、クラスメイトを捕らえているのはそっちだ。
僕はね。仲間を助けるためなら、鬼にでもなるんだよ?
なんだか、頭に血が上って来たなぁ。
魔力を体に纏わせると緑のオーラが吹き出した。僕のオーラはね。髪の色と同じ緑なんだ。このオーラが出た僕は強いよ?
「ガァアァァッ!」
さっきのジェネラルより大きな剣を構えたオーガロードは怒りに任せて叩きつけてくる。
ふふふっ。そんなもので、僕の刀を止めることはできないよ。
──リィィィン
甲高い音が鳴り響き、オーガロードの後ろに降り立つ。オーガーロードは微塵切りになり、ゴロゴロと転がった。
◆◇◆
バアルは見学していたが、目を見開いていた。
「リオンくんはどこまでの高みに昇って居るんだろうね」
「私たちには、まだ到底辿り着けない所に居るんだよね」
「ウチは、それはなんか悔しいよ」
オレが呟くと、エリスさん、カーラさんも続いて呟いた。リオンくんははるか遠くの強さがある。
僕たちが見ている中、一瞬で距離を詰め、一瞬でオーガを葬った。オーガはCランクの強さがある。ジェネラルはBランク、ロードはAランクだ。
それをリオンくんは一瞬で葬った。全く、敵わないな。オレたちがどれだけ頑張っても遠く離れて行くんだもんなぁ。
「私たちも頑張らないとね。隣に並ぶためだもん」
エリスさんの目は未来を見据えて強い。オレだって負けない。カーラさんだって、メキメキと魔法の威力がアップしてる。
オレは、剣術と魔法の両方が使える魔法剣士を目指してるんだ。リオンくんはもうオレの考えている魔法剣士を超えているんだけど。
「そうだね。リオンくんへ追いつくために、しっかりと戦いを目に焼き付けておこう」
「そうね」
「そうだね」
エリスさんとカーラさんは深く頷くと、目をギラギラとさせていた。
リオンくん、オレ達はまだまだ強くなるよ。
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