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7.決闘
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早速決闘することになるというなんと前途多難な展開になってしまったのか。
これでは物凄く目立ってしまう。
広場に出ろと言われたので出たんだけど。
めちゃくちゃギャラリーがいてやりにくい。
周りには他のクラスの一年生もいる。
「ルールはなんでもありでいいな?」
「うん」
「ハッハッハッ! お前死んだぜぇ! 行くぜぇ! 燃やし尽くせ! ヘルフレイム!」
僕は炎に包まれた。
でもちょっと熱いぐらい。
でもやられないと目立っちゃう。
大袈裟にやられておこう。
「うわぁぁぁ! あついよー! あついよー!」
転げ回っていたが、炎はおさまることはない。
「その炎はなぁ! 地獄の炎だぁ! 燃やし尽くすまで消えねぇぞぉ!」
「うわーーー! あついよー! あついよー!」
本当に消えないことに焦りだしたのは僕ではなく見ている側の人だった。
「リオンくん! 大丈夫!?」
エリスさんの声が震えている。
「リオンくん! なんでこんな事に!?」
そこに駆けつけたのはバアルくんだった。
みんなに心配かけちゃうなぁ。
あんまり目立ちたくはないけど。
魔力を一瞬だけ体から放出して地獄の炎を吹き飛ばした。
一瞬暖かい風が吹き抜けて行った。
「あー。熱かった」
平然と立ち上がる。
服がちょっと焦げちゃった。
まぁ、これは自動修復機能ついてるから魔力吸って修復するんだけどね。
「何をした!?」
「ん? 何がです?」
「お前何をしたんだ!?」
「何も?」
僕はしらばっくれた。
これが僕なりの目立たない為の抵抗。
僕は何もしてませんよというスタンス。
「ふざけんじゃねぇ! だったらこれならどうだ!」
腰に帯剣していた物を抜き放つ。
そんな物で切れないと思うけどねぇ。
「オリャァァァ!」
──ズバンッ
黒い服は切れてしまったが、また修復する。
「そんな訳がねぇ。魔法も効かねぇし、切れねぇって……お前何者だ?」
「僕はただのリオンです」
「……降参だ! やってられるか!」
その男は剣を投げ出すと降参した。
あっ、そういう事。
降参って言えばよかったんだ!
なんだ。知らなかったぁ。
決闘ってそういうシステムなのね。
「勝った人の言うことをひとつ聞くと言うのが、決闘の時の約束よ!」
エリスさんが物凄い形相で魔人族のクラスメイトを睨みつけている。
「わかってる。なんでも言え!」
皆の緊張が伝わってくる。
本来なら自分が命を落としていたかもしれない決闘だった。
命に関わることを言わないのがマナーらしい。
さっき小声でバアルが教えてくれた。
しかし、勝った方は死んでいたかもしれないのに、そんな優しい心を持っているものなどいるのだろうか。
というのがみんなが考えていそうなところだ。
「僕からは、エリスさんを泣かせるようなことはしないで欲しいそれだけです」
それには魔人族の男は目を見開き口を震わせた。
「そんな事でいいのか!?」
「あと、もう決闘を申し込まないでください目立つんで」
(((いや、もう目立ってるって)))
クラスメイトの心の声は一緒だった。
「わかった」
「さっきのような言動はダメなんですからね」
「あぁ。わかった。感謝する」
「君の名前は?」
「俺は、デーム・デミリオだ」
トボトボとその男は教室へと帰っていった。
なんとか乗り切った。
良かったぁ。
目立ったのも最小限だよね。
仕方ない仕方ない。
教室へ戻ると同じ席に着いた。
エリスさんも同じ席。僕の前にバアルが座る。
「ねぇ、なんで決闘なんかになっちゃったのさ?」
「いやー。なんでかって言われても……」
「私のせいなの! ごめんなさい!」
僕とバアルとの会話に割って入ったエリスさん。別にエリスさんのせいっていう訳でもないと思うけど。
「いや、そうじゃ──」
「──あー。何となく察した。お互い大変だね。オレはバアル。リオンくんとは同部屋なんだ」
僕の話を聞かずにバアルくんは話を続ける。
エリスちゃんとはなんか通ずるところがあったみたいだ。
「私エリス。えぇー。いいなぁ。私だけ仲間はずれー」
いやいや、女の子と同じ部屋にはならないでしょ。それはさすがにないって。
「でもさ、何階?」
「私は五十六階」
「じゃあ、全然違うね。オレら十階だし」
「っていうか女子は五十階以上だった」
「あーなんかそんなこと言ってたねぇ」
二人でなんか楽しそうにしている。
僕はこのまま空気のような存在でいよう。
ボーッとしていると。
「リオンくんはどう?」
急にエリスさんの顔が目の前にあった。
「えっ? なに?」
「なんで聞いてないのよぉー」
僕はこの二人に挟まれたら空気になると思ったんだけど。そうはならないらしい。
「だから、明日は休みだから一緒に出かけようって話をしてたのぉ。いいでしょ?」
それはなんと目立ちそうなイベントなんだ。
できればいきたくない。
こんな目立つ二人と居ては……。
「オレはいいけど、リオンくんはどう?」
二人で行ってきてくれよと願っていたのだが。
「私はリオンくんが行かないなら行かなーい」
「だよねぇ。オレも同意見。どうする? お昼ルーメン食べる?」
その言葉に心動かされる。
ルーメンは食べたい。
でもこの二人と一緒は目立つよなぁ。
「その後、マジックパークいかなーい? 楽しいんだって!」
何やら話を聞くと魔道具のゲームが楽しめる所みたいで、魔力操作の練習にもなると学院の生徒たちで話題らしい。
面白そうだよ。
確かに面白そう。
でも、めちゃくちゃ目立ちそう。
「いやー……」
「えっ? 行かない?」
だからその目はやめて欲しいなぁ。
そのウルウルとした目ぇ。
「行きます」
「やったー!」
この話は聞き耳を立てていたクラスメイト全員が聞いており、後日、黒襟の弱点は美少女という噂が流れたとか。
これでは物凄く目立ってしまう。
広場に出ろと言われたので出たんだけど。
めちゃくちゃギャラリーがいてやりにくい。
周りには他のクラスの一年生もいる。
「ルールはなんでもありでいいな?」
「うん」
「ハッハッハッ! お前死んだぜぇ! 行くぜぇ! 燃やし尽くせ! ヘルフレイム!」
僕は炎に包まれた。
でもちょっと熱いぐらい。
でもやられないと目立っちゃう。
大袈裟にやられておこう。
「うわぁぁぁ! あついよー! あついよー!」
転げ回っていたが、炎はおさまることはない。
「その炎はなぁ! 地獄の炎だぁ! 燃やし尽くすまで消えねぇぞぉ!」
「うわーーー! あついよー! あついよー!」
本当に消えないことに焦りだしたのは僕ではなく見ている側の人だった。
「リオンくん! 大丈夫!?」
エリスさんの声が震えている。
「リオンくん! なんでこんな事に!?」
そこに駆けつけたのはバアルくんだった。
みんなに心配かけちゃうなぁ。
あんまり目立ちたくはないけど。
魔力を一瞬だけ体から放出して地獄の炎を吹き飛ばした。
一瞬暖かい風が吹き抜けて行った。
「あー。熱かった」
平然と立ち上がる。
服がちょっと焦げちゃった。
まぁ、これは自動修復機能ついてるから魔力吸って修復するんだけどね。
「何をした!?」
「ん? 何がです?」
「お前何をしたんだ!?」
「何も?」
僕はしらばっくれた。
これが僕なりの目立たない為の抵抗。
僕は何もしてませんよというスタンス。
「ふざけんじゃねぇ! だったらこれならどうだ!」
腰に帯剣していた物を抜き放つ。
そんな物で切れないと思うけどねぇ。
「オリャァァァ!」
──ズバンッ
黒い服は切れてしまったが、また修復する。
「そんな訳がねぇ。魔法も効かねぇし、切れねぇって……お前何者だ?」
「僕はただのリオンです」
「……降参だ! やってられるか!」
その男は剣を投げ出すと降参した。
あっ、そういう事。
降参って言えばよかったんだ!
なんだ。知らなかったぁ。
決闘ってそういうシステムなのね。
「勝った人の言うことをひとつ聞くと言うのが、決闘の時の約束よ!」
エリスさんが物凄い形相で魔人族のクラスメイトを睨みつけている。
「わかってる。なんでも言え!」
皆の緊張が伝わってくる。
本来なら自分が命を落としていたかもしれない決闘だった。
命に関わることを言わないのがマナーらしい。
さっき小声でバアルが教えてくれた。
しかし、勝った方は死んでいたかもしれないのに、そんな優しい心を持っているものなどいるのだろうか。
というのがみんなが考えていそうなところだ。
「僕からは、エリスさんを泣かせるようなことはしないで欲しいそれだけです」
それには魔人族の男は目を見開き口を震わせた。
「そんな事でいいのか!?」
「あと、もう決闘を申し込まないでください目立つんで」
(((いや、もう目立ってるって)))
クラスメイトの心の声は一緒だった。
「わかった」
「さっきのような言動はダメなんですからね」
「あぁ。わかった。感謝する」
「君の名前は?」
「俺は、デーム・デミリオだ」
トボトボとその男は教室へと帰っていった。
なんとか乗り切った。
良かったぁ。
目立ったのも最小限だよね。
仕方ない仕方ない。
教室へ戻ると同じ席に着いた。
エリスさんも同じ席。僕の前にバアルが座る。
「ねぇ、なんで決闘なんかになっちゃったのさ?」
「いやー。なんでかって言われても……」
「私のせいなの! ごめんなさい!」
僕とバアルとの会話に割って入ったエリスさん。別にエリスさんのせいっていう訳でもないと思うけど。
「いや、そうじゃ──」
「──あー。何となく察した。お互い大変だね。オレはバアル。リオンくんとは同部屋なんだ」
僕の話を聞かずにバアルくんは話を続ける。
エリスちゃんとはなんか通ずるところがあったみたいだ。
「私エリス。えぇー。いいなぁ。私だけ仲間はずれー」
いやいや、女の子と同じ部屋にはならないでしょ。それはさすがにないって。
「でもさ、何階?」
「私は五十六階」
「じゃあ、全然違うね。オレら十階だし」
「っていうか女子は五十階以上だった」
「あーなんかそんなこと言ってたねぇ」
二人でなんか楽しそうにしている。
僕はこのまま空気のような存在でいよう。
ボーッとしていると。
「リオンくんはどう?」
急にエリスさんの顔が目の前にあった。
「えっ? なに?」
「なんで聞いてないのよぉー」
僕はこの二人に挟まれたら空気になると思ったんだけど。そうはならないらしい。
「だから、明日は休みだから一緒に出かけようって話をしてたのぉ。いいでしょ?」
それはなんと目立ちそうなイベントなんだ。
できればいきたくない。
こんな目立つ二人と居ては……。
「オレはいいけど、リオンくんはどう?」
二人で行ってきてくれよと願っていたのだが。
「私はリオンくんが行かないなら行かなーい」
「だよねぇ。オレも同意見。どうする? お昼ルーメン食べる?」
その言葉に心動かされる。
ルーメンは食べたい。
でもこの二人と一緒は目立つよなぁ。
「その後、マジックパークいかなーい? 楽しいんだって!」
何やら話を聞くと魔道具のゲームが楽しめる所みたいで、魔力操作の練習にもなると学院の生徒たちで話題らしい。
面白そうだよ。
確かに面白そう。
でも、めちゃくちゃ目立ちそう。
「いやー……」
「えっ? 行かない?」
だからその目はやめて欲しいなぁ。
そのウルウルとした目ぇ。
「行きます」
「やったー!」
この話は聞き耳を立てていたクラスメイト全員が聞いており、後日、黒襟の弱点は美少女という噂が流れたとか。
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