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64.本戦の始まり
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本戦に出場する選手たちはステージに並んでいた。
観客に見えるように丸く円を組み、外向きに並んでいる。
たまたまだろうが、ミリアは俺の正面だ。
小さく手を振っている。
「おっ? 俺に手を振ってるのか? 参ったなぁ。よく見ると可愛いじゃないか」
「ばぁか。僕に振ってんだよ」
「ちげぇよ。俺っちだよ!」
何やら周りの者たちが勘違いしてしまったらしい。まぁ、こういう事よくあるよな。
『それでは、獣人族部門本戦と行きましょう! 今回の注目されている選手をご紹介します! 昨年優勝した優勝候補! 虎の獣人族ぅぅ! タイガ選手ぅぅぅ!』
手を挙げて一礼をする。
『続いて昨年の準優勝者の注目の選手ぅぅ! 鷲の獣人族ぅぅ! イーグ選手ぅぅぅ!』
背中の羽根をばたつかせながら一礼をする。
鳥人なのだが、まとめて獣人族に属されているらしい。
正確には獣人族 鳥人科みたいな感じに分類されるんだとか。
『続いての注目選手ぅぅぅ! 目立ってしょうがない! 人を振り回して吹き飛ばすタイフーン娘ぇぇぇ! ミリアァァァァ選手ぅぅぅぅ!』
なんという紹介のされ方だろう。
めちゃくちゃインパクトあるな。
ミリアは両手をあげると会場にいる観客全員を見渡すように笑顔で手を振り一礼した。
「俺はミリアちゃんを応援するぅぅぅ! ミ・リ・ア! ミ・リ・ア!」
「僕もだぁぁぁ! ミ・リ・ア! ミ・リ・ア!」
「俺っちも! ミ・リ・ア! ミ・リ・ア!」
「「「ミ・リ・ア! ミ・リ・ア!」」」
今度は少し前に一歩踏み出すと手を振りながら一回転して手を口にあててなにか喋る気だ。
「私も頑張るからぁぁぁー! ナイルも頑張ってねぇぇぇー!」
なんてことだろうか。
周りが一気に殺気で溢れた。
険しい目付きで周りを探し始める。
「おい! ナイルってどいつだ!?」
「出て来いコノヤロー!」
「お前か!?」
皆が隣の人を疑う始末。
こんな中で俺は自分がナイルだとは言わなかった。いや、言えなかった。
こんな中、無理でしょ!?
『会場が盛り上がったところでぇぇぇ! 本戦のくじ引きと行きましょぉぉぉ!』
「「「おぉぉぉぉぉ!」」」
それぞれがスタッフのくじを引いていく。
引いたらアルファベット順に入口を背にして横並びに並ぶ。
ミリアはタイガとは真逆にいる。
決勝で当たるということだろう。
近くにイーグがいる。
二回戦目で当たりそうだ。
『それではぁぁ! 一戦目の人以外は待機していてください!』
タイガと狼の人がステージに残り、他は出口から出ていき、試合が始まった。
なんと試合はタイガの勝ちですぐに終わったのだ。
それを見た感想だが、優勝候補というのも頷ける。
自分の戦う形が完成されていた。
拳法に近いような武術を使うようだ。
この武器も魔法もなんでもありの大会で素手で魔法も身体強化のみとは恐れ入る。
ボーッと観ていた試合だったが、会場の雰囲気が一変した。
今戦っているのは武器を持ったハイエナの獣人族とサイの獣人族で体格差がある。
サイが最初は押していたんだが、ハイエナがナイフでサイの足を切りつけた。
サイの足は色が変色している。
毒を使ったようだ。
「おい! あれ!」
「あぁ。今年も使う奴がいたか。暗黙のルールで毒は使わないもんなんだがな」
周りの観客達が口々に苦言を呈している。
毒も本来のルールでは禁止されてはいない。
周りの話を聞いていると情報が聞こえてくる。
過去にも毒を使う人はいたそうだ。
ただ、皆が使い始めた結果あまりにも悲惨な数の死人が出たんだそうだ。
それ以来正式ルールでは禁止していないが、暗黙のルールで使用しないようにしているとの事。
「おい! 恥ずかしくないのか!?」
「そうだそうだ!」
ハイエナらこちらをチラッと見るが鼻で笑ったような素振りを見せた。相手を見やると動きが鈍くなったサイの獣人を滅多斬りにしている。
倒れたサイは担架で運ばれて言った。
ステージをおりたそのハイエナには地響きのようなブーイングが鳴り響いていた。
もうすぐミリアの試合だった。
まずいぞ。勝ち進んだら早々にハイエナ野郎に当たってしまうじゃないか。
「ミリアちゃーーーん!」
「こっち向いてーーー!」
ミリアはこちらを見ると手を振っている。
そばに居た観客は湧いていた。
考え事をしていたらミリアの番になった。
相手は象の獣人族だった。
ミリアに悪いが体格差があるから負けても仕方ないぞ。負けてもいいんだぞと願いながらみていた。
開始された試合はあっという間に終わった。
ミリアが瞬時に象と獣人族の懐に入ったかと思った時にはもう拳を突き出していた。
突き飛ばされる象。
どれだけの力で突いたらそうなるのだろうか。
というくらい吹き飛んでいく象。
どこにそんな力があるの?という不思議な細さのミリア。
これは恐らく肉体の力と言うより世界から与えられたスキルの恩恵が強いのかと思われる。
ミリアは拳を突き上げてガッツポーズをとる。
すると、会場は大いに盛り上がった。
エンターテインメントショーのような様相をしている。
観客は楽しみ、選手も気持ちが高揚する。
ミリアはこの大会のいい起爆剤になることだろう。
ここからの戦いは更に激化する。
観客に見えるように丸く円を組み、外向きに並んでいる。
たまたまだろうが、ミリアは俺の正面だ。
小さく手を振っている。
「おっ? 俺に手を振ってるのか? 参ったなぁ。よく見ると可愛いじゃないか」
「ばぁか。僕に振ってんだよ」
「ちげぇよ。俺っちだよ!」
何やら周りの者たちが勘違いしてしまったらしい。まぁ、こういう事よくあるよな。
『それでは、獣人族部門本戦と行きましょう! 今回の注目されている選手をご紹介します! 昨年優勝した優勝候補! 虎の獣人族ぅぅ! タイガ選手ぅぅぅ!』
手を挙げて一礼をする。
『続いて昨年の準優勝者の注目の選手ぅぅ! 鷲の獣人族ぅぅ! イーグ選手ぅぅぅ!』
背中の羽根をばたつかせながら一礼をする。
鳥人なのだが、まとめて獣人族に属されているらしい。
正確には獣人族 鳥人科みたいな感じに分類されるんだとか。
『続いての注目選手ぅぅぅ! 目立ってしょうがない! 人を振り回して吹き飛ばすタイフーン娘ぇぇぇ! ミリアァァァァ選手ぅぅぅぅ!』
なんという紹介のされ方だろう。
めちゃくちゃインパクトあるな。
ミリアは両手をあげると会場にいる観客全員を見渡すように笑顔で手を振り一礼した。
「俺はミリアちゃんを応援するぅぅぅ! ミ・リ・ア! ミ・リ・ア!」
「僕もだぁぁぁ! ミ・リ・ア! ミ・リ・ア!」
「俺っちも! ミ・リ・ア! ミ・リ・ア!」
「「「ミ・リ・ア! ミ・リ・ア!」」」
今度は少し前に一歩踏み出すと手を振りながら一回転して手を口にあててなにか喋る気だ。
「私も頑張るからぁぁぁー! ナイルも頑張ってねぇぇぇー!」
なんてことだろうか。
周りが一気に殺気で溢れた。
険しい目付きで周りを探し始める。
「おい! ナイルってどいつだ!?」
「出て来いコノヤロー!」
「お前か!?」
皆が隣の人を疑う始末。
こんな中で俺は自分がナイルだとは言わなかった。いや、言えなかった。
こんな中、無理でしょ!?
『会場が盛り上がったところでぇぇぇ! 本戦のくじ引きと行きましょぉぉぉ!』
「「「おぉぉぉぉぉ!」」」
それぞれがスタッフのくじを引いていく。
引いたらアルファベット順に入口を背にして横並びに並ぶ。
ミリアはタイガとは真逆にいる。
決勝で当たるということだろう。
近くにイーグがいる。
二回戦目で当たりそうだ。
『それではぁぁ! 一戦目の人以外は待機していてください!』
タイガと狼の人がステージに残り、他は出口から出ていき、試合が始まった。
なんと試合はタイガの勝ちですぐに終わったのだ。
それを見た感想だが、優勝候補というのも頷ける。
自分の戦う形が完成されていた。
拳法に近いような武術を使うようだ。
この武器も魔法もなんでもありの大会で素手で魔法も身体強化のみとは恐れ入る。
ボーッと観ていた試合だったが、会場の雰囲気が一変した。
今戦っているのは武器を持ったハイエナの獣人族とサイの獣人族で体格差がある。
サイが最初は押していたんだが、ハイエナがナイフでサイの足を切りつけた。
サイの足は色が変色している。
毒を使ったようだ。
「おい! あれ!」
「あぁ。今年も使う奴がいたか。暗黙のルールで毒は使わないもんなんだがな」
周りの観客達が口々に苦言を呈している。
毒も本来のルールでは禁止されてはいない。
周りの話を聞いていると情報が聞こえてくる。
過去にも毒を使う人はいたそうだ。
ただ、皆が使い始めた結果あまりにも悲惨な数の死人が出たんだそうだ。
それ以来正式ルールでは禁止していないが、暗黙のルールで使用しないようにしているとの事。
「おい! 恥ずかしくないのか!?」
「そうだそうだ!」
ハイエナらこちらをチラッと見るが鼻で笑ったような素振りを見せた。相手を見やると動きが鈍くなったサイの獣人を滅多斬りにしている。
倒れたサイは担架で運ばれて言った。
ステージをおりたそのハイエナには地響きのようなブーイングが鳴り響いていた。
もうすぐミリアの試合だった。
まずいぞ。勝ち進んだら早々にハイエナ野郎に当たってしまうじゃないか。
「ミリアちゃーーーん!」
「こっち向いてーーー!」
ミリアはこちらを見ると手を振っている。
そばに居た観客は湧いていた。
考え事をしていたらミリアの番になった。
相手は象の獣人族だった。
ミリアに悪いが体格差があるから負けても仕方ないぞ。負けてもいいんだぞと願いながらみていた。
開始された試合はあっという間に終わった。
ミリアが瞬時に象と獣人族の懐に入ったかと思った時にはもう拳を突き出していた。
突き飛ばされる象。
どれだけの力で突いたらそうなるのだろうか。
というくらい吹き飛んでいく象。
どこにそんな力があるの?という不思議な細さのミリア。
これは恐らく肉体の力と言うより世界から与えられたスキルの恩恵が強いのかと思われる。
ミリアは拳を突き上げてガッツポーズをとる。
すると、会場は大いに盛り上がった。
エンターテインメントショーのような様相をしている。
観客は楽しみ、選手も気持ちが高揚する。
ミリアはこの大会のいい起爆剤になることだろう。
ここからの戦いは更に激化する。
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