元剣聖のスケルトンが追放された最弱美少女テイマーのテイムモンスターになって成り上がる

ゆる弥

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46.北の未開拓地帯へ

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 ゴッツさんとクーガさんとミリア復活祝いをした次の日。
 北の未開拓地帯へと向かっていた。

 街を出たあとは段々と森がなくなっていく。
 なぜ北が未開拓地帯になっているのかという理由がここにある。

 目の前に広がるのは茶色。
 どこを見ても茶。ようは荒野地帯のように土が固まったような茶色い岩がゴロゴロあり、水がないのだ。

 ここから先に行く冒険者は水魔法が必須なんだと言う。水がないから仕方がない。それで、ミリアはスキル構成をどうしていたのかというと。

 俺が剣に魔力を込めると炎が吹き出すのを知った後なので、何かあったら消せるようにと水魔法をとっていたんだそうだ。

 本当にラッキーだった。ちゃんと調べてからスキルをとればよかったと。最初は後悔したものだが、結果オーライ。

 そして、水と相性のいい雷属性をとったんだとか。ミリアもなかなか考えているんだなと感心したものだ。

「ねー、ナイル? 結構保存食買ったんだけどさ、こんなに食べるかな?」

 ミリアの背中には頭を超すくらいの大きな布袋を背負っている。

 少しでも役に立ちたいというミリアの願いでホントに荷物持ちをしている。その為に筋肉増強、身体強化等の体のパワーを出力するためのスキル構成になっている。

 だからと言ってはなんだが、魔法の方は初級魔法位までしか使えない。

 一応、初級、中級、上級、特級まであるんだが、まぁ知っていても良いだろうが。あまりミリアには関係の無いことだろう。

『水はないし、食料もないって話だろ? 俺は食べなくてもいいけど、ミリアは必要だろ?』

「食べないとかはありえない!」

『じゃあ、いるんじゃないか?』

 俺は暑くもないのでローブを着ているが、ミリアは暑いようであまり汗をかくほうでは無いのだが、額に汗を滲ませている。

 北の未開拓地帯というのは、それなりに癖のある魔物が生息しているのだ。調べたところによると、前前世の日本にいた時に聞いたことのあるようなムカデやサソリ、サボテン?みないなのとかがいるらしい。

 あと厄介だと言っていたのがアリ。
 あっ、全部人の体以上の大きさらしい。
 どんな進化をしたらそうなるのかは分からないが、異世界だからということにしておこう。

 未開拓地帯は以前開拓しようとした記録が残ってて、モンスターの情報が豊富なのだ。それなのになぜ開拓されないのか。

 それは、この荒野に住みたいと思わせるものが別に居ないからとかなんとか。

「あー! 暑いねぇ!」

『そうなんだろう────』

 我流 刀術
『鬼灯《ほおずき》ぃぃぃ!』

 岩場の上から鋭い何かが襲ってきた。
 咄嗟に引き絞った太刀で突き刺す。

「ギギギギィィ」

 姿を現したのは黒い尖ったシッポをもつモンスターだった。サソリみたいな奴だ。シッポには毒があるらしいからな。

『ミリア! こっちに!』

 ミリアを守るように動き、前に出る。

『【四面楚歌《しめんそか》】を発動します』
『【下克上《ジャイアントキリング》】を発動します』

 体を黄色い炎が包み込む。

「ギギッ! ギギィィ!」

 一回、二回とシッポで応戦してくるブラックスコーピオン。シッポからは毒を垂らしながら攻撃してくる。

 それを太刀でいなして攻撃のチャンスを伺っていた。

 垂れた地面からは焼けたような音を立てながら煙を上げる。

 シッポにばかり気を取られていたら横からの攻撃が迫っていた。

『くっ!』

 太刀の面で受ける。

 すると大きな動きだった為に隙ができた。
 俺はそこを見逃さない。

 我流 刀術
『竜胆《りんどう》』

 縮地でブラックスコーピオンの懐に潜り込み、どうと頭と思われるところの節目を真っ二つに斬り裂く。

 縮地でまたミリアのところに戻り様子を見る。
 少しの間動いていて傷口から流れ出た液体は地面につくとジューといいながら煙をあげる。

 しばらくすると動かなくなった。
 身体がピカッピカッと何度か光る。

『ふぅぅぅ。やっぱりこの辺のモンスターは強いな』

「なんかちょっと苦戦した? 私がやっぱり邪魔だよね?」

『いや、俺が守りながら戦うって決めたから大丈夫だ。隠れるところはないし、俺の技術不足だよ』

 そう言った通り、俺には課題があった。
 剣聖と呼ばれた頃、ほぼ一人で戦っていてパーティを組んでもそれぞれで自分の身を守れていたから良かったのだ。

 そんな環境に甘えきっていた俺は、人を守りながら戦うことに慣れていなかった。まだまだ強くならなくちゃいけない。

 もう二度とミリアを失わない為に。
 その為に、ミリアを守りながら戦うと宣言してここに来ていたのだ。

「んー? なんか悪い気がするなぁ」

『そんな事ないだろ? 荷物は守らないと死活問題だろ?』

 俺がそうフォローしようと発言したのだが。

「でもさ、それは私がいるから必要なことなんだよね?」

『…………たしかに。まぁ、俺にはミリアが必要なんだから、必要なことなんだよ。頼むから俺に守らせてくれ』

「ふふふっ。んーーー。そうだなぁ。仕方ないから、守らせてあげるねっ!」

 腰をひねり目をパチンッと閉じて可愛いアピールをするミリア。

『はははっ。有難う。可愛いよ』

 すると、ボンッと頭が真っ赤になった。

「ちょっと。やめてよ! いきなりはずるい!」

 俺の胸をポカポカと叩いているが痛くないから可愛い。それしかない。

 あぁ。本当にミリアと旅ができている。
 そう実感したのであった。
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