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33.ギルドと鍛治屋

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 昼食を食べた後にダンテさんを引き連れて竜の鱗とワイバーンの皮を背負い、ギルドに来ていた。

「すみません。アーノルド家のものですが、依頼の件でお話があってきました」

 そう言って何やら紋章のような物を見せている。

「あっ! はい! 護衛依頼の件ですか?」

「はい。実は依頼して護衛にあたって頂いた冒険者の方たちなんですが、道中ワイバーンに襲われまして……」

「えぇっ!? たしか、護衛にいったのはBランク冒険者でしたよね?」

「えぇ。食われてしまいまして、その後逃げた先でこの方達に助けて頂いて、ここまで護衛してもらったんです。だから、報酬を支払いたいのです」

 ダンテさんのその言葉に目を見開いてこちらを見た。
 こんな可愛い子とスケルトンに何が出来るのかを疑問に思っているんだろうなぁ。

「失礼ですが、冒険者ですか?」

「はい! これがカードです!」

「お預かりします」

 装置にカードをセットし、ウインドウを表示する。討伐記録を見ているようだ。

「えっ!? 元々、Cランク!? それなのにワイバーンを?」

 独り言がデカいなぁ。
 あんまり周りにランク低いってバレたくないんだけどなぁ。

「本当だ。ワイバーンを討伐してる。あれ? 他にBランクも多数討伐してる……」

 冒険者ランクの部分が変化した。
 討伐記録を読み込んだことでアップデートされたんだろう。

「今Bランクになったの!? どういうこと? そんな! スケルトンなのに!?」

「あのー? ちょっと声が大きいような……」

 ナイス! ミリア!

「はっ! す、すみません! ただいま、討伐の確認が取れましたので、報酬をお渡し致します!


 画面みたりこっち向いたりと忙しなく顔を動かしている。そして、後ろにいた人に指示を出す。少しすると報酬を持ってきた。

「はい! これが報酬になります! そして、冒険者ランクがBランクとなりました! もう少しでAランクになれると思います! 頑張ってください!」

「はい! 有難う御座います!」

 そのまま報酬を貰うと出口に向かう。

「お嬢ちゃん。討伐記録どうやって誤魔化したんだ? 瀕死まで痛めつけてもらってトドメをさしたのか?」

 急に横から不躾な言葉を放ってきたおじさん。あぁ。さっき声が大きかったから色々聞こえちゃったんだろうな。

「誤魔化してませんよ? ウチのナイルが一撃で葬りました」

「はっ! スケルトンにそんな事が出来るわけがねぇ」

 鼻で笑いながらそう言い放つ。

「私はアーノルド家の執事です。このナイル様がワイバーンを真っ二つにする所を私は見ています。アーノルド家の名において、ミリア様の言う事は事実であると証明致します」

 ダンテさんが援護してくれた。
 心強い援護だ。

「なっ!? 伯爵をバックにつけたのか? そうすりゃなんでもありか?」

「それ以上言葉を紡げば、アーノルド家の怒りを買いますよ? 不敬罪で死罪になりたいですか!?」

「いっ!……」

 おじさんは引き下がってくれた。
 何処にでもこういう奴は居るんだな。
 何も見ていないのにお前には無理だと言う。

 怒ってくれて有難う。ダンテさん。

「ダンテさん。有難う御座います」

 ギルドを出ながらダンテさんにお礼を言うと「何も問題ございません」と言ってそのまま鍛治屋へ案内してくれた。

 道中、鉄を打付ける音が辺りに響き渡っている。一つや二つじゃない。

「ここは、鍛治・防具街で賑わっているんです。音がすごいでしょう?」

「うん! 凄ーい! いい音ですね!」

 ダンテさんが教えてくれた。ここは、職人の集まっている区画なんだとか。その中にガジルさんの工房があるそうだ。

 ある工房の前に立つと勢いよく扉を開けた。

「ガジル殿! 例の話の彼らを連れてきましたよ! 久しぶりにできますね? 竜の鱗の加工が!」

 奥からガタイのいい小さめの人が出てきた。
 ゴツゴツした体。蓄えた髭。なんか特徴的に種族が違うような……。

「おう! あんたらか! 俺に竜の鱗を加工して欲しいってのは!?」

「はい! よろしくお願いします! 私はミリア、こっちはナイルです!」

「あぁ。俺はドワーフのガジルだ。鱗を見せてくれ」

 ミリア、これを。

「はい! これです」

 ミリアは俺ごとガジルさんに差し出した。
 たしかに、鱗は重いけども。

 鱗を受け取ると目をキラキラさせて隅々まで凝視している。

「おぉー。ワイバーンの皮はこの前加工したが、この大きな鱗は素晴らしい。こんなに大きくて綺麗な鱗は始めてだ。どこで手に入れた?」

「えぇーっと、貰ったんです。ファイヤードラゴンに」

「ほぉぉ。そいつぁすげえ。これは加工するのは骨がおれる」

 骨だけに?

「ナイル? ふざけないで」

 冗談だよ。

「剣を振るうのはそっちのスケルトンかい?」

「はい! そうです!」

「ワイバーンの皮はどうする?」

「私が装備するみたいです!」

「全身装備でいいか?」

 それで頼もう。

「はい! それでお願いします!」
 
「そのスケルトンは、こっちの話は分かるのかい?」

「はい! 言葉は完全に理解してますし、私は念話で普通に話せます!」

「そうかい。じゃあ聞く」

 見つめられ、ガジルさんの目に気圧された。

「お前さん、大太刀は振れるか?」

 コクリと頷く。
 むしろ、前世は刀だったから似た感じの大太刀の方が有難い。

「なら、加工は大太刀にするぞ? 目一杯使ってやりてぇんだ。かといって大剣にすると、美しくねぇ。わかるか?」

 コクリと頷く。そして、サムズアップで問題ないことを伝える。

「ガッハッハッ! 大太刀の良さが分かるやつでよかった! あとは任せろ! 二週間はかかるぞ?」

「はい! よろしくお願いします!」

 これで、最強の大太刀が出来上がる。
 楽しみだ。

カーンッカンカンカンカンッ
 
 王都中に鐘の音が響き渡った。
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