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29.大量モンスター襲来

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 ワラワラと森から出てきたモンスター達を前に気合を入れて剣を構える。

『【四面楚歌】を発動します』

 身体が赤い炎で漲る。
 殺られる前にやる。

 ストロング流剣術 剛剣術
「カタタ(紫電《しでん》)」

 モンスター達の正面に突っ込んで数体を一気に切り裂く。そいつらは仲間がやられたことに気づき、俺を囲もうと集まってきた。

 おぉ。上等だ。斬り伏せてやる。

 ストロング流剣術 柔剣術
「カタタ(静寂《しじま》)」

 感覚の五感、六感で敵を感じ取り攻撃を避けながら斬り裂いていく。
 
 左から来た棍棒を受け流して後ろにいたゴブリンの頭を潰す。そのままグリップで目の前のオークの顔を潰す。

 そのままの勢いで横薙ぎに剣を振り、オーガの首を刈り取る。身体を押さえつけに来た周囲の奴らを手を避けるようにしゃがみ、躱す。

 ストロング流剣術 剛剣術
「カッカ(六花《りっか》)」

 一振りで足を斬り裂き、二振りで胴を斬り、三、四、五、六と周囲にいたモンスターを斬り裂いた。

 周囲に一瞬モンスターが居なくなったが、再び囲まれて同時に攻撃してくる。

 はぁぁ。めちゃくちゃめんどくせぇ。

 ストロング流剣術 剛剣術
「カタタ(時雨《しぐれ》)」

 無数に見えるような突きを回りながら放ち、周りの敵全てを負傷させる。
 そして、動きが鈍った所を次々とトドメをさしていく。

 これで半分。なんでこんなにモンスターが湧いてくるんだ?

「ナイル!」

 考え事をしていたらゴブリンを一体通してしまったようだ。
 まずい!
 戻ろうとするが、モンスターが行く手を阻む。

 コブリンが近づいて行く。
 俺には自分の動きがスローになったように錯覚した。
 あぁ。ミリアが……。

「クーガ! そいつを斬り伏せろ!」

 何者かが乱入した。

 頭にツノを生やした者はゴブリンを斬り伏せ、次々にモンスターを斬り倒していく。

 俺もボーッとしている場合じゃない。
 慌てて体勢を立て直してモンスター達を駆逐していく。

「ダイジョウブカ?」

 ツノを生やした者が声をかけてくれたが、言葉が片言だ。
 俺は喋れないのでコクリと頷く。

「ソウカ。スケルトン、シャベレナイ」

 再びコクリと頷くとミリアの元へ駆け戻る。

 ミリア、すまん。
 一瞬の隙をつかれた。

「ううん。助けて貰ったから。有難う御座いました!」

「あー、よかったぜ! クーガと歩いてたらすげえ数のモンスターにスケルトンが一人で戦ってるから何事かと思ったぜぇ。しっかし、強えスケルトンだなぁ? 嬢ちゃんのテイムモンスターか?」

 後ろからやって来たのは壮年の冒険者風の格好をした男。貫禄がある。この人、強いな。このツノを生やした人も相当だろうが。

「はい! ナイルっていいます! とっても強いんです! 私はミリア!」
 
「ガッハッハッ! みたいだな。俺はゴッツ。コイツはクーガ。宜しくな。それで、次の街に行くところか? なんでまた徒歩で?」

「実は、馬車が壊れてしまって……」

「そういう事か。じゃあ、俺も次の街まで行くから一緒に行くぜ?」

 それは、助かるな。
 一人ではこの人数守るのはかなりきついものがあるからな。護衛苦手だし。

「わぁ! 有難う御座います! 実は、戦えるのがナイルしかいないので、助かりました!」

「そうか。ナイルも強いだろうが、数で押されちゃどうしようも無いだろう。ミリア、もう一体テイムしたりしないのか? ナイルがそんなに強かったら自分もレベル上がるだろ? テイムできる枠が広がるんじゃないか?」

 そうなのか。
 そんなの知らなかったわ。
 テイマーに関する知識がないからなぁ。

「はい。でも、ナイルをテイムしてから、テイム枠がタップ出来ないんです。たぶん、ナイルが強いから……」

「あぁ。そうか。そりゃそんだけ強ければ他のモンスターをテイムしなくてもやっていける。そう、世界が判断したのかもな。枠が広がらねぇんだな?」

「だと思います。でも、テイムを解消する気はありません! 私は、ナイルと生きていきます!」

 ミリア……そんなに俺の事を考えてくれてたんだな。ガッツさん、俺もミリアと生きていく覚悟でいるんだ。なんの問題もないさ。

「ナイルも同じ気持ちだと言ってます!」

「……もしかして、ミリアは現時点で既にナイルと完全に意思疎通が出来るのか?」

「はい! ナイルがお話できるので」

「そいつぁ。また凄いな。ウチのクーガでさえカタコトなのに」

「あのー、そのクーガさんはもしかして、モンスターですか?」

 ミリアそれはクーガさんに失れ────

「ソウダ」

 クーガさんが答えた。

 えっ!?
 モンスター!?
 なんで喋れるの?

「クーガさん喋れるんですね?」

「ハッハッハッ! 驚くのも無理はない。実はな、元はオーガだったんだ。今は武鬼《ぶき》という種族に進化したんだ」

 なに!?
 どうやったら、進化できるんだ!?

「どうやったら進化できるんですか!? ナイルも肉体が手に入りますか!?」

「あぁ、レベルが最大の100になれば進化できるぞ。相当年数がかかるがな。進化先はかなり多岐にわたっていた。だから、肉体がある種族にはなれるんじゃないか?」

「やったね! ナイル! 貴重な情報を有難う御座います!」

 そんな話をしながら、次の街まで共に歩いて向かうのであった。
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