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27.夕食と宿
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無事に男達を追い払った後には、ご飯を食べに来ていた。
リンスさんの言っていたパスタがあったかと言うと、探したんだけど、なかったのだ。残念がったのはミリア。
シュンとしていたが、今は嬉々として肉を頬張っている。結局のところ肉が食べれる店に行き着いたというわけである。
リンスさん達御一行はミリアの横で上品に肉を切り分けて食べている。ミリアはというと、少し下品だがフォークで刺して直食いしている。
所謂、山賊食いというやつだ。某アニメでは海賊が肉をがっついて食べていたりするものだから、山賊なのか海賊なのかは不明だが。まあ、がっついている。
ミリアのビジュアルでそれをやるとなんか逆に愛おしく感じるというか、なんというか。これは病気だろうか。恋の病か?
「ん? ナイル食べる?」
いや、食えないから。
すまん。見てると食いづらいよな?
「そんな事ないけど、ジィっと見てたからてっきり食べたいのかと」
そうじゃないんだ。気にせず食べてくれ。
愛らしいなと思ってジィっと見てしまったなんて言えないよな。いや、言っても良いのかもしれないけど、なんか恐いよな。
どこぞの恋する乙女になった様な気分だ。言って嫌われるのも恐いし、変な感じにギクシャクしちゃうのも嫌だ。だから言わない。
「うん。なかなか美味しいお肉ですわね。このお肉は何の肉なのかしらね?」
リンスがそう疑問を口にする。
言っちゃ悪いけど、それは聞かない方がいいと思うぞ。確かに美味そうだけど、きっと貴族様が食べるような肉ではないぞ?
「お嬢様。この味は庶民では有名なホーンラビットの肉ではないかと推察します」
そのダンテさんの答えに手をプルプル震わせて目を見開いている。唇も心做しかパクパクしているように見えた。
「モ、モンスターを食べてますの?」
「庶民の生活はそんなものです。知らずに食べれば美味しいと感じますよね? 美味しいなら、それでいいんでは無いでしょうか?」
「……たしかに……そうかもしれないですわね」
リンスさんは納得しように頷いた。自分の中での考えと折り合いをつけて、静かに肉を口に運んでいるようだ。
「ナイルも食べれたらいいのにね……」
そう思ってくれて有難うよ。
でもな、この体だと食べたいという欲求さえないんだ。だから、全然食べたくないんだよ。不思議なもんだ。
食べたくはないが、皆と食べれたらいいのになぁとは思うことはあるけどな。それも、肉体を手に入れることができればだ。まずは、それが先決。
「そっかぁ。それもそうだね」
「ナイルさんは食べたくはなりませんの?」
「うん。なんか食べたくならないみたい。こーんなにいい匂いなのにねぇ?」
「そうですわねぇ。かわいそうですわぁ」
いいもん。グズン。可哀想じゃないもん。
まぁ、可哀想かどうかは置いておいて。
皆が食べ終わると支払いまでダンテさんがしてくれた。有難い。高そうだったもんな。さっきの店。
「それでは、今夜の宿に行きましょうか!」
ダンテさんが案内してくれるみたい。
歓楽街を歩いていくと奥にそびえ立つ大きな建物が見えてきた。もしかして、あれ?
「ここが、今夜の宿でございます! この街で一番いい宿を予約致しました」
おぉ。さすがはダンテさん。
「まぁ、そこそこですわね。中も綺麗だと良いのですが……」
小姑みたいなことを言いながら宿に入っていくリンスさん。
庭には小さくて白い艶のある可愛らしい花が咲いていたり、一番最初に目につくくらいの明るいオレンジ色の大きな花があったり。
華やかな様相を呈していた。
中に入ると隅々までテカリが見える。これは隅々まで掃除が行き届いている証拠だろう。リンスさんに視線を向けるとウンウンと頷いている。
これは、小姑のリンスさんも満足いく宿だったのかな。それならいいんだけど。じゃないと、せっかく予約したダンテさんが可愛そう。
「わぁぁぁ。凄いねぇぇ。こんな宿泊まったことないよぉぉ」
対称的なのはミリアで。
エントランスをキョロキョロと見ながら忙しなく動いている。
ミリア、恥ずかしいからやめなさい!
お母さんか、俺は。
「なにこれえぇぇ?」
ミリアが見てるのは水晶のようなもの。
あれは何に使うものなのだろうか?
「ふふふっ。この度は、ご宿泊頂きまして、有難う御座います。この水晶は未来を示すと言われている水晶でございます。信じるも、信じないも自由でございます」
「へぇぇぇぇ! やりたいやりたい!」
手を挙げながら足を忙しなく動かしている。
少し落ち着いて欲しいんだけど。
「やってみたらいいじゃありませんこと?」
リンスさんがミリアの後押しをする形になり、嬉々として水晶の前に立つ。
そーーーっと手を水晶に伸ばす。
恐いならやるなよな。
水晶に手をつけると中から仄かに光が放たれている。グルグルと光が回ると光が収束していき黒々とした闇が訪れた。
「えぇー!? なんか不吉ー!」
それだけで終わりではなかった。暗い闇の中から一筋の光が見え、強い光を放った。
「おぉー? 最後は良かったからいい事があるのかな?」
まぁ、そう思ってた方がいいんじゃないか?
宿の人が言ってただろう? 信じるも信じないも、自由だって。
「そうだね! いい事があるといいなぁ」
満足したようでミリアを引き連れてみんなで部屋に向かった。
ベッドがフカフカだったみたいで、はしゃいだミリアはベッドにダイブするとそのまま眠ってしまったのであった。
寝顔が可愛かったでのしばらく眺めていたのは内緒にして欲しい。
リンスさんの言っていたパスタがあったかと言うと、探したんだけど、なかったのだ。残念がったのはミリア。
シュンとしていたが、今は嬉々として肉を頬張っている。結局のところ肉が食べれる店に行き着いたというわけである。
リンスさん達御一行はミリアの横で上品に肉を切り分けて食べている。ミリアはというと、少し下品だがフォークで刺して直食いしている。
所謂、山賊食いというやつだ。某アニメでは海賊が肉をがっついて食べていたりするものだから、山賊なのか海賊なのかは不明だが。まあ、がっついている。
ミリアのビジュアルでそれをやるとなんか逆に愛おしく感じるというか、なんというか。これは病気だろうか。恋の病か?
「ん? ナイル食べる?」
いや、食えないから。
すまん。見てると食いづらいよな?
「そんな事ないけど、ジィっと見てたからてっきり食べたいのかと」
そうじゃないんだ。気にせず食べてくれ。
愛らしいなと思ってジィっと見てしまったなんて言えないよな。いや、言っても良いのかもしれないけど、なんか恐いよな。
どこぞの恋する乙女になった様な気分だ。言って嫌われるのも恐いし、変な感じにギクシャクしちゃうのも嫌だ。だから言わない。
「うん。なかなか美味しいお肉ですわね。このお肉は何の肉なのかしらね?」
リンスがそう疑問を口にする。
言っちゃ悪いけど、それは聞かない方がいいと思うぞ。確かに美味そうだけど、きっと貴族様が食べるような肉ではないぞ?
「お嬢様。この味は庶民では有名なホーンラビットの肉ではないかと推察します」
そのダンテさんの答えに手をプルプル震わせて目を見開いている。唇も心做しかパクパクしているように見えた。
「モ、モンスターを食べてますの?」
「庶民の生活はそんなものです。知らずに食べれば美味しいと感じますよね? 美味しいなら、それでいいんでは無いでしょうか?」
「……たしかに……そうかもしれないですわね」
リンスさんは納得しように頷いた。自分の中での考えと折り合いをつけて、静かに肉を口に運んでいるようだ。
「ナイルも食べれたらいいのにね……」
そう思ってくれて有難うよ。
でもな、この体だと食べたいという欲求さえないんだ。だから、全然食べたくないんだよ。不思議なもんだ。
食べたくはないが、皆と食べれたらいいのになぁとは思うことはあるけどな。それも、肉体を手に入れることができればだ。まずは、それが先決。
「そっかぁ。それもそうだね」
「ナイルさんは食べたくはなりませんの?」
「うん。なんか食べたくならないみたい。こーんなにいい匂いなのにねぇ?」
「そうですわねぇ。かわいそうですわぁ」
いいもん。グズン。可哀想じゃないもん。
まぁ、可哀想かどうかは置いておいて。
皆が食べ終わると支払いまでダンテさんがしてくれた。有難い。高そうだったもんな。さっきの店。
「それでは、今夜の宿に行きましょうか!」
ダンテさんが案内してくれるみたい。
歓楽街を歩いていくと奥にそびえ立つ大きな建物が見えてきた。もしかして、あれ?
「ここが、今夜の宿でございます! この街で一番いい宿を予約致しました」
おぉ。さすがはダンテさん。
「まぁ、そこそこですわね。中も綺麗だと良いのですが……」
小姑みたいなことを言いながら宿に入っていくリンスさん。
庭には小さくて白い艶のある可愛らしい花が咲いていたり、一番最初に目につくくらいの明るいオレンジ色の大きな花があったり。
華やかな様相を呈していた。
中に入ると隅々までテカリが見える。これは隅々まで掃除が行き届いている証拠だろう。リンスさんに視線を向けるとウンウンと頷いている。
これは、小姑のリンスさんも満足いく宿だったのかな。それならいいんだけど。じゃないと、せっかく予約したダンテさんが可愛そう。
「わぁぁぁ。凄いねぇぇ。こんな宿泊まったことないよぉぉ」
対称的なのはミリアで。
エントランスをキョロキョロと見ながら忙しなく動いている。
ミリア、恥ずかしいからやめなさい!
お母さんか、俺は。
「なにこれえぇぇ?」
ミリアが見てるのは水晶のようなもの。
あれは何に使うものなのだろうか?
「ふふふっ。この度は、ご宿泊頂きまして、有難う御座います。この水晶は未来を示すと言われている水晶でございます。信じるも、信じないも自由でございます」
「へぇぇぇぇ! やりたいやりたい!」
手を挙げながら足を忙しなく動かしている。
少し落ち着いて欲しいんだけど。
「やってみたらいいじゃありませんこと?」
リンスさんがミリアの後押しをする形になり、嬉々として水晶の前に立つ。
そーーーっと手を水晶に伸ばす。
恐いならやるなよな。
水晶に手をつけると中から仄かに光が放たれている。グルグルと光が回ると光が収束していき黒々とした闇が訪れた。
「えぇー!? なんか不吉ー!」
それだけで終わりではなかった。暗い闇の中から一筋の光が見え、強い光を放った。
「おぉー? 最後は良かったからいい事があるのかな?」
まぁ、そう思ってた方がいいんじゃないか?
宿の人が言ってただろう? 信じるも信じないも、自由だって。
「そうだね! いい事があるといいなぁ」
満足したようでミリアを引き連れてみんなで部屋に向かった。
ベッドがフカフカだったみたいで、はしゃいだミリアはベッドにダイブするとそのまま眠ってしまったのであった。
寝顔が可愛かったでのしばらく眺めていたのは内緒にして欲しい。
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