元剣聖のスケルトンが追放された最弱美少女テイマーのテイムモンスターになって成り上がる

ゆる弥

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 この日も街道をミリアと念話をしながら歩いていたのだが、喧騒は急にやってきた。

ガタガタガタッガタッガタガタッ

 馬車の車の音が後ろから迫ってきていた。

「何あれ?」

 ミリアも俺も疑問に思ってみていると、上空から炎弾が飛んできていた。

 あれに追われてるのか!?
 厄介な!

「あれって……ワイバーン!?」

 小さい版のドラゴンである。細かく言うと翼の形とか顔の形とか違うんだが、まぁ、だいたい一緒。
 Aランクのモンスターだ。

 馬車の前に出るように陣取る。

「助太刀します!」

 ミリアがそう宣言すると馬車の御者が口を開いた。

「すまない! 護衛を付けていたんだが、やられてしまったのだ! あれはAランクです! 無理をなさらないで一緒に逃げましょう!?」

「大丈夫です。私のナイルは、守るものがいた方が強いのです!」

 まぁ、そうなんだけど。

『四面楚歌《しめんそか》を発動します』

 世界の声が聞こえた。
 俺の体が赤い炎で包まれる。

「なんですか!? あれは!?」

「ふふぅん。見ててください! ナイルは強いですよ!」

 上空にいるワイバーンと睨み合う。
 今の状態ならあそこまで跳べると思う。

「グゲェェェ!」

 ワイバーンは急降下して突進してきた。

 真正面からやってやろう。

 タイミングを見計らう。
 勝負は一瞬だ。

 ストロング流剣術 剛剣術
「カタタ(紫電《しでん》)」

 状態を前に倒して踏み込んだ、その一瞬でワイバーンは横に真っ二つに。そのまま墜落して土埃を上げた。

 剣を確認する。

 うーん。大丈夫そうだな。
 ワイバーン斬っても刃こぼれなしか。
 優秀な剣だ。これならかなりやれそうだな。
 
「なっ!? 何者ですか!? あなた達!? まさか、有名なS級冒険者とかですかな!?」

「あぁ。全然! えーっと、Cランク冒険者です!」

「はぁ!? Cランク? ワイバーンを一撃で倒すような腕前なのにですか?」

「あーはい。実は、このナイルをテイムしてから二ヶ月くらいしか経ってなくて。はははっ」

 御者はその言葉に口をポカーンと開けて固まっていた。

「あのー。まぁ、お気になさらず!」

 剣を腰に差して斬ったワイバーンの状態をみる。綺麗にきれてるからこの鱗使えるかなぁ。ワイバーンの皮鎧とか作れば少し良いんだろうけどなぁ。ミリアが。

 入れいらないよな。
 骨だし。

 ミリア? ちょっと待ってくれるか? 
 この皮、ミリアの装備に使うから回収するわ。

「そうなの? 分かったぁ。ありがと!」 

 買っていたナイフで解体を始める。
 内側からナイフを入れれば柔らかいもんで。皮を次々に剥いでいく。
 ワイバーンって使えるのそれぐらいかな?

「ややや、ちょっとすみません。この爪はそのままですかな?」

 んーそうだな。そうしようと思ってたけど?

「そうしようと思ってたみたいです! どうしました?」

「その爪なんですが、武器にしたいんです。お金はお支払いします。譲っていただけませんか?」

「いいですよ? ねっ? ナイル?」 

 決定事項じゃないか。
 まぁ、別にそんな手間じゃないから良いけどな。

「今渡しますっ!」

 ミリアは返事をすると俺の元へ来た。 

「ねぇ、この爪も武器になるんだね? だったら、とってた方がお金になるかな?」

 なるだろうけどなぁ。荷物になるぞ?割とでかいし。

「たしかにねぇ」

「あっ! もしかして、持ち帰りたいのがありましたか? 私達の馬車に載せましょうよ! えぇ、そうしましょう!」

 はははっ。
 見事に護衛として見られてるなこれは。
 ま、でも護衛してあげる代わりに荷物を載せてもらうってことにすればギブアンドテイクでいいかな?
 ミリア、ちょっと交渉してくれないか?

「うん。あのー。護衛として着いていきますので、荷物を載せてくれませんか? あっ、ちなみに……行き先は……?」

「うわぁ。それは大変有難いです! 行き先は王都です! 実は視察で来てまして。戻る最中に襲われたと言うわけです」

「丁度いいです! 私達も王都に行こうと思ってたんです! 是非お願いします!」

 よしっ。交渉成立だな。

 安堵していると、今度は馬車の中から声をかけられた。

「そのスケルトンは本当にただのスケルトンなんですの?」

 ですの?

 馬車の扉が開いてヒラヒラしたドレスを着たブロンドの髪を巻き巻きした十代後半位の女の子が姿を見せた。その佇まいはかなり落ち着いており、雰囲気で精神年齢が上であることを俺達に認識させた。

 こりゃ、お嬢様だわ。
 完璧なTheお嬢様って感じ。

「わぁ! きれー! すごーい! ヒラヒラしたドレスも可愛い! お姫様みたーい!」

 ミリアはいつも通りのテンションでお嬢様に絡んでいっている。それ、大丈夫か? 不敬罪で打首とかなんないだろうな?

「あなたは、テイマーなのかしら?」

「はい! そうです! この子は私のテイムモンスターのナイルです!」

「まぁ。また凄まじいテイムモンスターですわね。是非とも私の護衛に欲しいわ」

「あーっと。王都までにして頂けると有難いです。私……ナイルと離れ離れは嫌なので」

「えぇ。それで十分ですわ! でも、どうやってこんなに強くなったんですの?」

「いやー。実はナイルは元から強かったんですよ。でも、私のテイムモンスターになってくれて。言葉もわかるし何より、私の事を守ってくれます!」

「それは良いですわね! テイムモンスターとの恋ですの!? それもコアですわねぇ!」

 なんてことを言うんだ。
 めちゃくちゃ答えづらいじゃん。

「たしかに私は、ナイルのことが大好きです! 人になってくれたら良いなぁとは思ってます!だから、肉体を手に入れる方法も探しているんです!」

 そんなこんなでずっとお嬢様と話し続け、だんだと日が落ちていくのであった。

 女性って、話し始めると長いよね?
 
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