最弱テイマーは魔物の王と無双する

ゆる弥

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67.殴り込み

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 朝一で月のリゾートを出て南下。
 最珠領に入っていた。

「なんかすまん。俺に付き合わせて」

『今更なに? 昨日色々知れたから早く行きたいんでしょ? 行こうよ』

「そうですよ。じゃあ、さようならってなる訳ないじゃないですか!」

「ありがとな」

『それより、このまま南下するでしょ?』

「そうだな。行きたいけど……」

「最低限の休憩で行きましょう?」

「あぁ。そうだな」

 今回は能力を活かしたまま走っている。
 その為、かなり早い。

 半日走り、半分くらいだ。
 途中の町により休憩する。

 休憩後すぐに走る。

 手掛かりがかなり有力だ。
 これは、早く行かないと。
 けど、父さん、なんでそんな奴の側近なんかに?

 走る走る。
 あっという間に塔狂領である。

「ついに来た! 暗黒区って何処だ?」

 高い塔が沢山見える。
 人も多い。

 屋台のおじさんに聞いてみることにした。

「すみません。暗黒区って何処ですか?」

「あそこに行くのかい? やめておいた方がいいよ?」

「ちょっと知り合いが居まして……」

「そうなのかい? ここの道を真っ直ぐ南下すると暗黒区だよ!」

「わかりました! ありがとうございます!」

「なんでこんなに人が多いんだろうな?」

『何でだろうね? お祭り?』

「いや、これが普通なんじゃないか?」

 南下して行く。
 ある程度行くと、一定の所から先がボロボロの町並みになっている。

「ここからが暗黒区かな?」

 足を踏み入れると。

「おーい! 俺らの縄張りだぞ? 何の用だ?」

「ん? あぁ。リーダーの側近に用があってな」

「あぁ。あの人か……ってそんな簡単に会えるわけねぇだろぉ!」

「あー。めんどくせぇ。蘇芳、ハンマー出して」

『はい。どうぞ。僕も出そう』

「僕は魔法で手伝います! 雷撃!」

 バリバリバリバリッ

 黒焦げになって倒れる。

「敵襲だぁーーーーー!」

ウーーーッウーーーッウーーーッ

「ありゃりゃ。こりゃめんどくせぇ」

『突破しちゃおう?』

「でも、お父さんは何か事情があってサイパトラにいるんじゃないですか?」

「まぁ、そうかもしれないけど、とにかく頭を潰す」

 中心部に向かっていく。

「待てやゴラァ!」

「どこに行くんじゃ!」

「死ねぇ!」

ブシュッドシャッグシャッ

 ハンマーで叩き潰して行く。

「弱い弱い! 強いやつだせぇ!」

 しかし、先に進めないように取り囲まれてしまった。

「オラァァァァ!」

 前にいた数名をハンマーで殴り飛ばす。
 宙に人が舞う。

「行きます! 雷陣!」

バリバリバリバリッ

 目の前の敵を一掃する。
 
 数が多いな。
 魔力切れにならないようにしないとな。
 一体何人従えてるんだ?

 そしてさっきから奴らの身体に黒い物が蠢いているのが視える。

 これが魔物眼か?

「蘇芳、太刀頂戴!」

『えっ? 大丈夫? ……はい』

 太刀を受け取る。
 身体の黒い物を目掛けてピンポイントに立ちを振るう。

 ザシュッと1部を切り裂く。
 すると、ボトッと黒いミミズの様なものが蠢いているがやがて動きを止め溶けていく。

「いってぇなくそぉ!」

 魔物らしいものを切りつけた輩が再び襲ってくるが、最低限の動きで避ける、
 脚を切り付ける。

「がぁぁぁぁ」

 起き上がってこない。
 意識もあるようだ。

 これは、黒い物が元凶みたいだな。

「よくもやってくれたな!?」

 青い髪の男が現れた。

 俺の記憶に残っている父の顔の面影があった。しかし、かなり痩せたようだ。

「俺がわかる?」

「!?……知らん!……パクパク(なぜきた?)」

 唇の動きだけで言葉を伝えてくる。
 こちらも同じように口パクで伝える。

「(生きてるんじゃないかって探してた)」

「(かあさんを人質にとられてる)」

「(そういうこと……)」

「死ねっ!」

 ゆっくりと斬りかかってくる。
 周りの目を誤魔化す為に戦ってる風を装っている。

「(俺にもなにか埋め込まれているようだ)」

「(少し痛いけど取り除くよ?)」

「(出来るのか?)」

ザシュッ!

「がぁぁ!」

 背中の膨らみを切付け、黒い物を始末する。

「これで聞かれないんじゃない?」

「助かった。翔真が戦えるとは……」

「俺だって頑張ったんだよ。それより、母さんは?」

「あそこにいる」

 指さしたのは高い塔であった。

「あそこの最上階に囚われている」

「じゃあ、行こうか」

「待て! そこには黒幕もいる」

「ならちょうどいいじゃん」

「お前はアイツの怖さをわかってない! 化け物だぞ!」

『ふふふっ。化け物だってよ? 翔真?』

 父さんが怪訝な顔をしてこちらを見ている。

「何を言ってる? お前の仲間か? 笑ってる場合じゃないぞ!?」

「父さん、大丈夫だよ。俺も化け物なんだ」

「お前が?」

 塔に向かって進んでいく。

「まぁ、見ててよ」

 地面を強く蹴り駆ける。

ザザザザザザシュ

 道を遮っていた敵の黒い物諸共切り捨てていく。コイツらは生かしておくと後々危険だ。

 塔の前には筋肉隆々の男が立っていた。

「何の用だ? ここは通さないぞ?」

 横に寝せた太刀を後ろに引き絞る。

「邪魔だ。断空」

 ズバッと上半身と下半身がお別れする。
 もちろん、黒い物も一緒に真っ二つである。

 中に入るとダンジョンのように通路と部屋になっている。
 部屋は無視する。

 分かりやすいのは通路の向こうが階段だということ。

「お前誰─────」

ザシュ

 声を上げる前に斬り捨てたが。
 ワラワラとやって来る。

 切っ先を敵に向けて太刀を引き絞る。

「おおおぉぉ! 絶孔」

ズドッッッ

 ピンポイントで黒い物と心臓を貫く。
 1人、2人、3人と次々と床に転がっていく。
 スッと下がる。

「雷撃波!」

ブゥーンバリバリバリバリッ

「一応魔力温存しておけよ?」

「分かってますよ。やり過ぎないようにしてます!」

 チラッと後ろを見ると父さんもしっかりついてきているようだ。

ブンッ

『翔真!』

 咄嗟に横に避ける。

ドゴォォォンッ

「よそ見してていいのかぁ? 俺が相手してやるぜぇ」

 ハンマーを持った男であった。

「そりゃどうも」

「ハッハッハッ! 生意気な口叩くじゃねぇか! 潰す!」

「やってみたら?」

「クソガキがァァァ!」

 振り上げたハンマーを振り下ろす。

「翔真!」

 父さんの声が聞こえる。
 
 父さん心配いらないよ?

ズゥゥゥンッッ

 ハンマーを片手で受け止める。
 床がミシミシいっている。

「なにぃ!?」

「軽いな。じゃあな。震撃(しんげき)」

ズドォォォォオォ
 
 魔力を乗せた拳を叩きつける。
 衝撃が殴ったところから全身に広がっていき、痙攣して倒れる。

「これでも効果があるか。やっぱり全身に影響するものなら中の黒い魔物も殺れるみたいだな」

『もう少しで最上階に着くね?』

「今の人も結構強い人だったんじゃないですか?」

「あぁ。そうかもな。ま、俺達には関係ねぇな」

ザシュ

「自分も一緒にされるんですか? 自分は人外じゃないんですけど……雷撃」

「いやいやいや、アイツらの集団を一撃で倒せる人なんて一斗くらいじゃねぇか?」

ズシュッ
 
「えぇ!? そんなことないと思いますよ? 雷撃!」

『わぁぁ。凄い。雑談しながら倒してるじゃん』

 蘇芳が呑気に言いながら、上に向かう。

 こんなに数倒したけどまだ居るのか?
 凄い数従えてるんだな。

 大きなフロアに出た。
 ここからが面倒だった。
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