上 下
66 / 69

66.本拠地判明

しおりを挟む
「ふぁぁぁ」

 窓から射す朝日が気持ちがいい朝を思わせる。

「この部屋サイコー!」

『んんーーーー!』

 蘇芳も伸びをして起きる。
 一斗はまだ寝ている。

『今日は何する?』

「周りのダンジョン見てみるかなぁ。その前にギルドに行ってみるか」

『さんせー! 一斗! 起きて!』

 ガバッと布団をとる。

「んー。あと2時間……」

『どんだけ寝る気なの! こら! 起きろー!』

 結局、部屋を出たのは2時間後であった。

 ギルドに向かっている3人。

『もー! 一斗が起きないからぁ!』

「だってベッド気持ちよかったんですもーん」

 蘇芳がプリプリしながら歩いている。
 後ろから俺と一斗が続く。

 ギルドに入ると騒がしかった。

「あのダンジョンが……」

「うそだろ?何年……」

「攻略するやつが……」

 口々にダンジョンに関して何か言っている。
 受付に行き聞いてみる。

「すみませーん。昨日のダンジョンの件って……」

「はい! ただいま!」

 やたら元気のいい受付嬢である。
 この前までそんなこと無かったけどなぁ?
 そんな事を思っていると奥からギルドマスターがやって来た。

「昨日はすまなかったね。あの後急いで確認したんだが、たしかに九尾のダンジョンは攻略されていた事を確認した。感謝する。ありがとう。何年も放置されていたんだ。ガーディアンが強くなる一方でね……」

「そうですか。ギミックあるタイプでしたからね」

「ん? ギミックというと?」

「最初は身体に攻撃をしてもダメージにならないんですよ。物理無効。しっぽを全部切ると今度は身体が魔法無効になってたんです」

「手強かったんだな……それで多くの人が犠牲になったんだ」

「そうなんですか……そんなに苦戦していたダンジョンなら、なおさら攻略できて良かったです」

「遺留品みたいなのは無かったですか?」

「それが不思議となかったんですよね……」

「そうですか。コアの換金代ですが、大規模ダンジョンほどじゃないですが、8500万になりますが……」

「あっ、一斗と半分にして下さい」

「畏まりました。一斗さんもギルドカード貸して貰えますか?」

「はい。お願いします」

 受付嬢に渡すと処理してくれている。

「本日はダンジョンに行く予定ですか?」

「はい。行きます!」

「では、そっちの方は手続きしておきますね」

「お願いします! では、行ってきます!」

 後からついて行った影には誰も気が付かなかった。

 マップを見て、行くダンジョンを見繕う。

「ここがいいんじゃないですか? 近いですし」

「あぁ。そうだな。ここにしよう」

 町から5キロ離れたところぐらいの所に1個赤い点がある。またいつもと同じように走っていくことにした。

 ものの数分でダンジョンに着くと準備してダンジョンの中に入る。
 中の様子が洞窟上で周りが土であった。
 これは新しいダンジョンである事を意味していた。

「このダンジョンは小規模かもね。久しぶりだなぁ」

『そうだね。さっさと片付けちゃおう』

「自分も小規模ダンジョンあんまりないですね」

 雑談しながら歩いていると出現したのはゴブリンであった。

「おおぉぉぉ。久しぶりに見た気がする」

『ホントだぁ』

 切りかかってきたのを最低限で避け、通り抜けざまに切れ伏す。

 そのまま階段を目指して危なげなく進んだ。
 階段を下りるとまだ階層は続いている。
 歩いているのだが一般の解放者に比べると圧倒的に早い。

 5階まで下りるとガーディアンの部屋であった。

「もうガーディアン。消化不良だなぁ」

 扉を開けると一応ゴブリンキングがいた。

「おっ! 一応キングだね」

「雷雨!」

バリバリバリバリィィィ

 全滅である。

「おい一斗! 何すんだよ!」

「だって自分の活躍の場がなかったじゃないですか! キングぐらいいいじゃないですか!」

『まぁまぁ。次に行こう?』

ダダダダダダダダッ

 後から何かの迫る音がしている。

「んっ? 何の音だ?」

「巨大な岩とかですかね?」

「どこかの冒険者かよ……」

『岩なら砕くけどね?』

 現れたのは見た頃がないみすぼらしい装備を付けた解放者達だった。

「もうこんなところに居やがった!」

「はぁ。はぁ。はぁ」

「俺達。はぁ。はぁ。俺達の食い扶持を倒しやがって貴様らぁ!」

 十数人くらいの集団で文句を言ってきた。
 なんの話かさっぱりわからない。

「何の話だ? このゴブリンキング倒したかったのか? そりゃすまなかった」

「ちげぇよ! 九尾の話だよ!」

「あいつが食い扶持だったのか?」

 こんな弱そうな奴らがあいつを食い扶持にできるか?
 思わず怪訝な顔になってしまう。

「あの九尾は綺麗好きで、倒した奴らを遺留品を外に投げるんだ!」

「それを拾って生活してたのによぉ!」

「ほぉ」

 再びその集団を見る。
 その九尾が弱いとでも思っていたのだろうか。
 九尾を倒した俺達が弱いとでも思うのか?

「お前達よ、その何人もの解放者を殺していた九尾を始末した俺達はもっと強いとは思わないのか?」

「しょせん人間よ!」

「そうだぜ! 俺達は最強の組織! サイパトラの一員よぉ! 俺達に手を出したら組織が黙っちゃいねぇぜ!?」

 リーダーらしき男は意気揚々と組織名を明らかにしている。
 
 こいつちょっと頭弱そうだな。

「サイパトラこぇえ! お前達の組織はどこで活動してるんだ? ここまで来るのか?」

「俺達の組織は塔狂町の中の暗黒区にあると言われているんだ。こえぇだろぉ!?」

「こえぇ! 一体誰がリーダーなんだ!? 知らねぇとこえぇよ」

「はっはっはっ! ビビりやがって! リーダーは就任式で一度会ったが姿はみてねぇ。が、一人で全ての構成員を牛耳ってるんだ!」

「それはこえぇぇ! 名前はなんて言うんだ!?」

「それはな……」

「それは!?」

「……知らん」

 ドテッと思わずズッコケてしまった。

「知らねぇのかよ!」

「リーダーはリーダーだ! ただな、傍にいたやつは側近らしいが、青い髪だったぞ! 真ん中とか言ったかな?」

「!?……もしかして、真仲か?」

「あー。そうだったかもなぁ」

「おい! その青いヤツは髪長かったか?」

「あぁ。長かったぞ? なんで知ってんだ?」

「そいつも刺青してるのか?」

「あー。してたと思うぞ? たぶん……」
 
「ダメだコイツ。後はなんも知らねぇみたいだな」

『だね。良かったね! 色々知れて!』

「この人大丈夫ですか?」

「何がだよ! 知られたってカンケーねぇーよ! これから死ぬんだからな!」

 その言葉に驚く。

「おぉ。一応アイツも考えてたわ」

『翔真! 馬鹿にしすぎ!』

「あっ、ごめん。一斗先生! ここは一発お願いします!」

「苦しゅうないです! 自分がやりましょう!」

「雷撃波!」

ブゥーンバリバリバリバリッッッ

 射線に居たものはみな黒焦げになった。
 起き上がっては来ない。

 ん?
 もしかして雷だと全身に影響するから起き上がってこないのか?
 やっぱり前に見たミミズみたいなやつ……。

『あれ? これで死んだ?』

「だよな。前は起き上がってきたのに……」

――――――――――――
レベルアップ確認。
ステータスが上昇します。
レベル40に到達。
新たな能力を付与。
――――――――――――

 あれ?いつの間に40?

『どうしたの?』

「レベル40になったわ。そんなに上がってたっけ?」

『この前確認した時38だったよ?』

「うそ!? 30の時の能力みてないぞ!」

 ステータスを開き能力の欄を見る。

――――――――――
人魔一体
感覚共有
魔力共有
身体共有
魔物眼
――――――――――

「『あっ!』」

 人魔一体に身体が引っ張られてると思ってたけど、これのせいじゃん!

「何したんですか?」

「急にステータス上がったの能力のお陰だったわ。けど、これは閉じれないみたいだな……そりゃそうか。肉体変わってんだから」

『そうだね! でもよかったじゃん! 理由がわかって! ちゃんと能力で化け物になってたじゃん!』

「それは、ちゃんとって言うのか?」

 奥に行ってダンジョンコアを取り地上に戻る。

「もう1個行こう!」

 戦い足りない翔真は別のダンジョンへ向かうのであった。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

1×∞(ワンバイエイト) 経験値1でレベルアップする俺は、最速で異世界最強になりました!

マツヤマユタカ
ファンタジー
23年5月22日にアルファポリス様より、拙著が出版されました!そのため改題しました。 今後ともよろしくお願いいたします! トラックに轢かれ、気づくと異世界の自然豊かな場所に一人いた少年、カズマ・ナカミチ。彼は事情がわからないまま、仕方なくそこでサバイバル生活を開始する。だが、未経験だった釣りや狩りは妙に上手くいった。その秘密は、レベル上げに必要な経験値にあった。実はカズマは、あらゆるスキルが経験値1でレベルアップするのだ。おかげで、何をやっても簡単にこなせて――。異世界爆速成長系ファンタジー、堂々開幕! タイトルの『1×∞』は『ワンバイエイト』と読みます。 男性向けHOTランキング1位!ファンタジー1位を獲得しました!【22/7/22】 そして『第15回ファンタジー小説大賞』において、奨励賞を受賞いたしました!【22/10/31】 アルファポリス様より出版されました!現在第四巻まで発売中です! コミカライズされました!公式漫画タブから見られます!【24/8/28】 ***************************** ***毎日更新しています。よろしくお願いいたします。*** ***************************** マツヤマユタカ名義でTwitterやってます。 見てください。

劣等生のハイランカー

双葉 鳴|◉〻◉)
ファンタジー
ダンジョンが当たり前に存在する世界で、貧乏学生である【海斗】は一攫千金を夢見て探索者の仮免許がもらえる周王学園への入学を目指す! 無事内定をもらえたのも束の間。案内されたクラスはどいつもこいつも金欲しさで集まった探索者不適合者たち。通称【Fクラス】。 カーストの最下位を指し示すと同時、そこは生徒からサンドバッグ扱いをされる掃き溜めのようなクラスだった。 唯一生き残れる道は【才能】の覚醒のみ。 学園側に【将来性】を示せねば、一方的に搾取される未来が待ち受けていた。 クラスメイトは全員ライバル! 卒業するまで、一瞬たりとも油断できない生活の幕開けである! そんな中【海斗】の覚醒した【才能】はダンジョンの中でしか発現せず、ダンジョンの外に出れば一般人になり変わる超絶ピーキーな代物だった。 それでも【海斗】は大金を得るためダンジョンに潜り続ける。 難病で眠り続ける、余命いくばくかの妹の命を救うために。 かくして、人知れず大量のTP(トレジャーポイント)を荒稼ぎする【海斗】の前に不審に思った人物が現れる。 「おかしいですね、一学期でこの成績。学年主席の私よりも高ポイント。この人は一体誰でしょうか?」 学年主席であり【氷姫】の二つ名を冠する御堂凛華から注目を浴びる。 「おいおいおい、このポイントを叩き出した【MNO】って一体誰だ? プロでもここまで出せるやつはいねーぞ?」 時を同じくゲームセンターでハイスコアを叩き出した生徒が現れた。 制服から察するに、近隣の周王学園生であることは割ている。 そんな噂は瞬く間に【学園にヤバい奴がいる】と掲示板に載せられ存在しない生徒【ゴースト】の噂が囁かれた。 (各20話編成) 1章:ダンジョン学園【完結】 2章:ダンジョンチルドレン【完結】 3章:大罪の権能【完結】 4章:暴食の力【完結】 5章:暗躍する嫉妬【完結】 6章:奇妙な共闘【完結】 7章:最弱種族の下剋上【完結】

転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】

ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった 【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。 累計400万ポイント突破しました。 応援ありがとうございます。】 ツイッター始めました→ゼクト  @VEUu26CiB0OpjtL

異世界で穴掘ってます!

KeyBow
ファンタジー
修学旅行中のバスにいた筈が、異世界召喚にバスの全員が突如されてしまう。主人公の聡太が得たスキルは穴掘り。外れスキルとされ、屑の外れ者として抹殺されそうになるもしぶとく生き残り、救ってくれた少女と成り上がって行く。不遇といわれるギフトを駆使して日の目を見ようとする物語

地獄の手違いで殺されてしまったが、閻魔大王が愛猫と一緒にネット環境付きで異世界転生させてくれました。

克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作、面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります! 高橋翔は地獄の官吏のミスで寿命でもないのに殺されてしまった。だが流石に地獄の十王達だった。配下の失敗にいち早く気付き、本来なら地獄の泰広王(不動明王)だけが初七日に審理する場に、十王全員が勢揃いして善後策を協議する事になった。だが、流石の十王達でも、配下の失敗に気がつくのに六日掛かっていた、高橋翔の身体は既に焼かれて灰となっていた。高橋翔は閻魔大王たちを相手に交渉した。現世で残されていた寿命を異世界で全うさせてくれる事。どのような異世界であろうと、異世界間ネットスーパーを利用して元の生活水準を保証してくれる事。死ぬまでに得ていた貯金と家屋敷、死亡保険金を保証して異世界で使えるようにする事。更には異世界に行く前に地獄で鍛錬させてもらう事まで要求し、権利を勝ち取った。そのお陰で異世界では楽々に生きる事ができた。

異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜

KeyBow
ファンタジー
 間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。  何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。  召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!  しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・  いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。  その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。  上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。  またぺったんこですか?・・・

処理中です...