最弱テイマーは魔物の王と無双する

ゆる弥

文字の大きさ
上 下
65 / 69

65.月のリゾート

しおりを挟む
 月のリゾートに着いてみると門構えから素晴らしい。
 中に入ってみると夜の月をイメージしているのだろうか。間接照明で月明かりのようなくらいの明かりしかない。

 受付に向かう。

「すみません。とりあえず1泊泊まりたんですが……」

「畏まりました。空いてるお部屋が月明かりのお部屋と、妖精達のお部屋が空いておりますがどちらになさおますか?」

「すみません。初めてなので、値段とどんな部屋なのか聞いていいですか?」

「これは、失礼したしました。月明かりのお部屋はこの旅館のコンセプトを最大限発揮したお部屋になっておりまして、間接照明で月明かりが再現されているのと専用のお風呂付きでございまして、月明かりがお楽しみいただける露天風呂となっております。価格はお一人様86万円となっております」

「へぇ。それは興味あるな」

『意外と安いね?』

「えぇ? や、安いですか?」

「もう一部屋も説明して頂いていいですか?」

 説明を促すと快く引き受けてくれた。

「はい。勿論でございます。妖精達のお部屋と言うのは、小さい一人部屋が3部屋や2部屋と転々と密集してる作りになっておりまして、真ん中は共有のスペースがあるという形のお部屋になっております。お風呂は付いてはおりませんが、1階にある大浴場がご利用いただけます」

「なるほど……あの、月明かりの部屋にしても大浴場って入っていいんですか?」

「はい。勿論でございます」

「それなら、月明かりの部屋でお願いします」

「ありがとうございます。では、こちらがカードキーになります。お部屋にご案内致します」

 廊下を歩いていく宿の人。
 1番奥の部屋の扉で止まり。

「こちらになります。ごゆっくりどうぞ」

 ドアを開けてくれて中に入る。
 優しい光が天井から降り注いでいて少し暗い感じであった。
 トイレ、洗面とあって扉を開けた先には広い空間が広がっていた。

「おおぉー! すげぇ広い!」

「凄いですね! これは流石にあの値段だけあるわ」

『一斗? そういう話は野暮だよ?』

「そうだぞ? ああぁぁぁぁ。疲れた」

 ソファーに沈みこんでダラケてしまう。

「凄いですよ! 冷蔵庫パンパンに入ってますよ!」

「お部屋の説明をさせて頂きますね?」

 入口から宿の人がやって来た。

「あっ! すみません! すっかり寛いじゃって……」

「いいんですよ。このお部屋は冷蔵庫の飲み物は飲み放題になっておりますし、足りなくなった場合や何かご要望がある場合はロビーに連絡頂ければお持ちします。その場合も料金はかかりません。お食事はこの部屋にお持ちして宜しいですか?」

「お願いしまーす!」

「畏まりました。お風呂は源泉かけ流しの湯になっておりまして、何時でも入っていただけますので、是非ご利用ください」

「翔真さん! 何回でも入れますね!」

「だな! ……はしゃぐなよ!」

「構いません。では、以上になります。ごゆっくりお過ごしください。夕食ですが、19時になりますが、昼食はお済みですか?」

 今が13時40分と微妙な時間、そして解放者であると言うことから気にかけてくれたのだろう。有難い。

「実は昼食まだなんですけど、貰えたりしますか?」

「はい。可能でございます。こちらがメニューになっておりますが何になさいますか?」

 メニューを見るとラーメン等の中華や、パスタ、ハンバーグ等の洋食、焼き魚定食や、生姜焼き定食等の和食がある。

「えっ。何でもあって迷う……」

「どの料理もその道のプロのシェフが担当しておりますので、自信を持ってお出ししています」

「なるほど……」

 しばらく考えると。

「自分、渡り蟹のクリームパスタとサラダがいいです!」

「俺は、鮎御膳にしようかな」

『僕は焼きそばがいい!』

「あっ、コイツは焼きそばをお願いします!」

「畏まりました。少々お待ちください」

 下がっていく宿の人。
 宿の人って……名前分かんないもんな。

「ギルドが勧めるだけあるな?」

「でもさ、ここまで高い部屋に泊まると思って無いんじゃないですか?」

「だろうな。俺達が前に結構稼いだことは知らないだろうからな」

『なんか、そういうのってギルドで共有したらいいのにね?』

「たしかにな」

 そんな雑談をしていると料理が運ばれてきた。

「「『いただいます!』」」

 鮎御膳がこれは豪華だった。鮎の塩焼きや鮎ご飯、鮎の甘露煮等など。正しく鮎づくしであった。

 塩焼きを1口口に運ぶと押し寄せる鮎の香りと身の甘みそして塩味。最高に美味しい。

「「『うっまっ!』」」

 3人で顔を見合わせる。

「「『これ、マジで美味い!』」」

 声がハモる。
 それ程どの料理も美味しいということだろう。
 いや、ここでほんとに良かった。
 幸せだわ。

 あっという間に食べ終わってしまう。
 ソファーに横になる。
 蘇芳は窓際で椅子に座る。
 一斗はベットに飛び込んでいる。

コンコンッ!

「はっ!」

 と起きると辺りが暗くなっている。

 やべっ!
 気持ちよすぎて寝てた?
 周りを見ると目を擦っている蘇芳。
 一斗に、いたっては寝ている。

「夕食をお持ちしました!」

「はぁーい! ありがとうございます!」

 受け取りに行くと豪華な舟盛りと鮎の天ぷら、唐揚げ、海老天等など。
 沢山の料理が並ぶ。

 そう言われれば腹減ってきたわ。
 テーブルに次々と料理が並んでいく。

「飲みの物は何になさいますか?」

「ビ─────「『ビールで!』」」

「はぁ。ビール3つでお願いします」

「はい! 畏まりました」

 少し待つと持ってきてくれたようだ。
 乾杯しようかな?

「では! 月のリゾートにカンパーイ!」

「『カンパーイ!』」

 夕食に舌鼓を打つ。
 ホントにどれを食べても美味しいのだ。
 あっという間に食べ終わる。

 露天風呂に入ることにした。
 外を見ると普通の大浴場の露天風呂の広さくらいある。

 部屋の中で服を脱ぎ外に出る。
 恐る恐る足を入れてみる。
 ちょっと、暑いが平気だ。
 
 全身をつかり上を見ると木々の間から月明かりが見えている。

「凄いもんですねぇ」

「だなぁ。こりょいい眺めだわ」

『これ、最高じゃない? しばらく泊まりたい』
 
「あぁ。でも、あんまりゆっくりしていってもなぁって焦り始めてきたんだよなぁ」

「どうしてですか?」

「それがさ、最近謎のやつ現れねぇじゃん? なんか気味悪いかなって思ってな。どっかに潜んでると思うと……」

「たしかに! ……でも、この辺には居ないんじゃないですか?」

「そう上手く行くかな……」

『まぁ、少し英気を養ったら? 最近根詰めすぎじゃない?』

「そうだな。考えすぎかもな。少しゆっくりするか……」

 月明かりがすごく綺麗で身体の疲れを癒してくれる。湯の温度がちょうど良くてずっと入っていた。

「やべぇ。逆上せたかも」

『僕は逆上せるとかないけどあがろうかな』

「…………」

「一斗!?」

「はっ! 頭がぼーっとしてました」

「上がって冷たいもの飲もうぜ!」

 露天風呂から上がると冷蔵庫を開ける。

「ビールあるぞぉ! 何がいい?」

『僕焼酎がいいな』

「自分はワインがいいです!」

 それぞれで飲みたいものをいう。
 普通の旅館の冷蔵庫にはそんなにラインナップはない。しかし、この月のリゾートはあるのだ。

「すげぇ! 全部ある!」

『さすが! 麦焼酎だ! 氷ある?』

「ありますよ。自分は赤ワインがいいです!」

 それぞれ飲みたい飲み物を飲む。

「いやー。最高だなぁぁ」

「あっ、明日ギルド行くんですか?」

「なんで?」

「換金すんでませんよね?」

「おぉ。そうだな。まぁ、焦んなくてもいいんじゃね?」                                                                  

『まだここに居るってことだね!』 

「だなぁ。ここ天国だな」

 ベッドに飛び込むと即寝息をたててしまうのであった。                             
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜

KeyBow
ファンタジー
 間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。  何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。  召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!  しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・  いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。  その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。  上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。  またぺったんこですか?・・・

ザコ魔法使いの僕がダンジョンで1人ぼっち!魔獣に襲われても石化した僕は無敵状態!経験値が溜まり続けて気づいた時には最強魔導士に!?

さかいおさむ
ファンタジー
戦士は【スキル】と呼ばれる能力を持っている。 僕はスキルレベル1のザコ魔法使いだ。 そんな僕がある日、ダンジョン攻略に向かう戦士団に入ることに…… パーティに置いていかれ僕は1人ダンジョンに取り残される。 全身ケガだらけでもう助からないだろう…… 諦めたその時、手に入れた宝を装備すると無敵の石化状態に!? 頑張って攻撃してくる魔獣には申し訳ないがダメージは皆無。経験値だけが溜まっていく。 気づけば全魔法がレベル100!? そろそろ反撃開始してもいいですか? 内気な最強魔法使いの僕が美女たちと冒険しながら人助け!

どうも、命中率0%の最弱村人です 〜隠しダンジョンを周回してたらレベル∞になったので、種族進化して『半神』目指そうと思います〜

サイダーボウイ
ファンタジー
この世界では15歳になって成人を迎えると『天恵の儀式』でジョブを授かる。 〈村人〉のジョブを授かったティムは、勇者一行が訪れるのを待つ村で妹とともに仲良く暮らしていた。 だがちょっとした出来事をきっかけにティムは村から追放を言い渡され、モンスターが棲息する森へと放り出されてしまう。 〈村人〉の固有スキルは【命中率0%】というデメリットしかない最弱スキルのため、ティムはスライムすらまともに倒せない。 危うく死にかけたティムは森の中をさまよっているうちにある隠しダンジョンを発見する。 『【煌世主の意志】を感知しました。EXスキル【オートスキップ】が覚醒します』 いきなり現れたウィンドウに驚きつつもティムは試しに【オートスキップ】を使ってみることに。 すると、いつの間にか自分のレベルが∞になって……。 これは、やがて【種族の支配者(キング・オブ・オーバーロード)】と呼ばれる男が、最弱の村人から最強種族の『半神』へと至り、世界を救ってしまうお話である。

異世界で穴掘ってます!

KeyBow
ファンタジー
修学旅行中のバスにいた筈が、異世界召喚にバスの全員が突如されてしまう。主人公の聡太が得たスキルは穴掘り。外れスキルとされ、屑の外れ者として抹殺されそうになるもしぶとく生き残り、救ってくれた少女と成り上がって行く。不遇といわれるギフトを駆使して日の目を見ようとする物語

迷宮に捨てられた俺、魔導ガチャを駆使して世界最強の大賢者へと至る〜

サイダーボウイ
ファンタジー
アスター王国ハワード伯爵家の次男ルイス・ハワードは、10歳の【魔力固定の儀】において魔法適性ゼロを言い渡され、実家を追放されてしまう。 父親の命令により、生還率が恐ろしく低い迷宮へと廃棄されたルイスは、そこで魔獣に襲われて絶体絶命のピンチに陥る。 そんなルイスの危機を救ってくれたのが、400年の時を生きる魔女エメラルドであった。 彼女が操るのは、ルイスがこれまでに目にしたことのない未発見の魔法。 その煌めく魔法の数々を目撃したルイスは、深い感動を覚える。 「今の自分が悔しいなら、生まれ変わるしかないよ」 そう告げるエメラルドのもとで、ルイスは努力によって人生を劇的に変化させていくことになる。 これは、未発見魔法の列挙に挑んだ少年が、仲間たちとの出会いを通じて成長し、やがて世界の命運を動かす最強の大賢者へと至る物語である。

固有スキルガチャで最底辺からの大逆転だモ~モンスターのスキルを使えるようになった俺のお気楽ダンジョンライフ~

うみ
ファンタジー
 恵まれない固有スキルを持って生まれたクラウディオだったが、一人、ダンジョンの一階層で宝箱を漁ることで生計を立てていた。  いつものように一階層を探索していたところ、弱い癖に探索者を続けている彼の態度が気に入らない探索者によって深層に飛ばされてしまう。  モンスターに襲われ絶体絶命のピンチに機転を利かせて切り抜けるも、ただの雑魚モンスター一匹を倒したに過ぎなかった。  そこで、クラウディオは固有スキルを入れ替えるアイテムを手に入れ、大逆転。  モンスターの力を吸収できるようになった彼は深層から無事帰還することができた。  その後、彼と同じように深層に転移した探索者の手助けをしたり、彼を深層に飛ばした探索者にお灸をすえたり、と彼の生活が一変する。  稼いだ金で郊外で隠居生活を送ることを目標に今日もまたダンジョンに挑むクラウディオなのであった。 『箱を開けるモ』 「餌は待てと言ってるだろうに」  とあるイベントでくっついてくることになった生意気なマーモットと共に。

ガチャと異世界転生  システムの欠陥を偶然発見し成り上がる!

よっしぃ
ファンタジー
偶然神のガチャシステムに欠陥がある事を発見したノーマルアイテムハンター(最底辺の冒険者)ランナル・エクヴァル・元日本人の転生者。 獲得したノーマルアイテムの売却時に、偶然発見したシステムの欠陥でとんでもない事になり、神に報告をするも再現できず否定され、しかも神が公認でそんな事が本当にあれば不正扱いしないからドンドンしていいと言われ、不正もとい欠陥を利用し最高ランクの装備を取得し成り上がり、無双するお話。 俺は西塔 徳仁(さいとう のりひと)、もうすぐ50過ぎのおっさんだ。 単身赴任で家族と離れ遠くで暮らしている。遠すぎて年に数回しか帰省できない。 ぶっちゃけ時間があるからと、ブラウザゲームをやっていたりする。 大抵ガチャがあるんだよな。 幾つかのゲームをしていたら、そのうちの一つのゲームで何やらハズレガチャを上位のアイテムにアップグレードしてくれるイベントがあって、それぞれ1から5までのランクがあり、それを15本投入すれば一度だけ例えばSRだったらSSRのアイテムに変えてくれるという有り難いイベントがあったっけ。 だが俺は運がなかった。 ゲームの話ではないぞ? 現実で、だ。 疲れて帰ってきた俺は体調が悪く、何とか自身が住んでいる社宅に到着したのだが・・・・俺は倒れたらしい。 そのまま救急搬送されたが、恐らく脳梗塞。 そのまま帰らぬ人となったようだ。 で、気が付けば俺は全く知らない場所にいた。 どうやら異世界だ。 魔物が闊歩する世界。魔法がある世界らしく、15歳になれば男は皆武器を手に魔物と祟罠くてはならないらしい。 しかも戦うにあたり、武器や防具は何故かガチャで手に入れるようだ。なんじゃそりゃ。 10歳の頃から生まれ育った村で魔物と戦う術や解体方法を身に着けたが、15になると村を出て、大きな街に向かった。 そこでダンジョンを知り、同じような境遇の面々とチームを組んでダンジョンで活動する。 5年、底辺から抜け出せないまま過ごしてしまった。 残念ながら日本の知識は持ち合わせていたが役に立たなかった。 そんなある日、変化がやってきた。 疲れていた俺は普段しない事をしてしまったのだ。 その結果、俺は信じられない出来事に遭遇、その後神との恐ろしい交渉を行い、最底辺の生活から脱出し、成り上がってく。

アイテムボックス無双 ~何でも収納! 奥義・首狩りアイテムボックス!~

明治サブ🍆スニーカー大賞【金賞】受賞作家
ファンタジー
※大・大・大どんでん返し回まで投稿済です!! 『第1回 次世代ファンタジーカップ ~最強「進化系ざまぁ」決定戦!』投稿作品。  無限収納機能を持つ『マジックバッグ』が巷にあふれる街で、収納魔法【アイテムボックス】しか使えない主人公・クリスは冒険者たちから無能扱いされ続け、ついに100パーティー目から追放されてしまう。  破れかぶれになって単騎で魔物討伐に向かい、あわや死にかけたところに謎の美しき旅の魔女が現れ、クリスに告げる。 「【アイテムボックス】は最強の魔法なんだよ。儂が使い方を教えてやろう」 【アイテムボックス】で魔物の首を、家屋を、オークの集落を丸ごと収納!? 【アイテムボックス】で道を作り、川を作り、街を作る!? ただの収納魔法と侮るなかれ。知覚できるものなら疫病だろうが敵の軍勢だろうが何だって除去する超能力! 主人公・クリスの成り上がりと「進化系ざまぁ」展開、そして最後に待ち受ける極上のどんでん返しを、とくとご覧あれ! 随所に散りばめられた大小さまざまな伏線を、あなたは見抜けるか!?

処理中です...