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63.歴史の町
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「昨日はご馳走様でした!」
「う、うん。喜んでくれてよかった」
ご飯を食べた次の日、旅立つ為にギルドに挨拶に来ていた。
実は前の日の蕎麦屋を後にしてから、5軒はしごしたのだ。
そして、よく話を聞いてみるとお金がある事が判明していっぱい食べさせてもらえるという考えからご飯に誘ったんだそうだ。
なんともこちらからしたら残念だが楽しかったからいいよ。
うん。
いいよ……グスッ。
「じゃ、俺達は行くね」
「はい! また来たらご飯連れてって下さいね!」
「うん。じゃあ、また!」
暗子ちゃんに手を振ってギルドを後にする。
ギルドを出て歩いていると物騒な輩に囲まれた。
「よぉ。最弱のテイマーよ。お前ドラゴンと戦ったとか随分誇張した報告したらしいじゃねぇの?」
「ドラゴンとか! ハッハッハッ!」
「あのダンジョンをお前がそんなに上に行けるわけねぇだろ!」
「最弱の癖にドラゴンとか! ハッハッハッ!」
はぁ。とため息を吐きながら人魔一体の能力を閉じる。
「で? なんの用ですか?」
「なんの用ってこの前不意打ちでボコボコにされたんだぞこっちわ! お前もボコボコにしに来たんだよ!」
「そうですか。どうぞ?」
手を開いて自然体で受けの姿勢に入る。
「あぁ!? 何言ってんだ!?」
「だから、どうぞって言ったんですよ。ボコボコにしたら良いじゃないですか?」
「舐めやがって!」
男が拳を振り下ろす。
腹を殴り顔面を殴り蹴りも入れてくる。
そのままの姿勢のまま立っている。
攻撃が止んだ。
「ん? もう終わりですか?」
「な、なんなんだコイツ! お前らやっちまえ!」
武器を取り出して襲ってきた。
振り下ろされた剣を最小限で避けて手を殴り武器を落とす。続けて振り下ろされた斧を手で受け止めて持っている輩諸共ぶん投げる。
こんなに人では無い動きをしているが人魔一体の能力は閉じているのだ。それはイコール人間の力の範囲内ということ。
「ひいぃぃぃ! バケモンだ!」
輩は蜘蛛の子を散らすように逃げていった。
「あら? 逃げてった。人間の力の範囲内なんだけどな……」
『翔真、素の方もバケモンだ!って言われちゃったね?』
「まぁ、しょうがないな。この力は守るために使うさ」
『カッコイイじゃん?』
「だろぉ?」
ドヤ顔で言うと。
「ぷっ! 変な顔するの止めてくださいよ!」
「変な顔ってなんだよ!」
うわー!と言って逃げていく一斗。
『はしゃいじゃってもぉー』
母のように見る蘇芳。
少しなんかすると昔の茅葺き屋根のような家が沢山並ぶ町に着いた。
ギルドはないようである。
一応マップで見てみると赤い点がある。
「おぉ。ここ町の中にダンジョンあるぞ」
『へぇ。珍しいね』
「そんな町もあるんですね」
「なんじゃ? あんた達ダンジョン攻略してくれるのかい?」
そこに居たのは腰の曲がったおばあちゃんだった。
「あーはい。潜ろうと思います。たまたま通っただけなんですけど、ダンジョンあったんで……」
「そりゃ助かるわい。みんな気味悪がってあそこのダンジョンには足を踏み入れんのよ」
「そうなんですか? 何が出るんです?」
「…………落ち武者じゃ」
「あぁ。そういう……」
「平気なのかい?」
「あぁ、はい。そんなにいやってわけでもないですかね。スケルトンとか見慣れてるんで。むしろ得っていうか」
「ほぉ。心が強いんじゃのぉ。お願いじゃ」
手を合わせて拝まれる。
「は、はぁ。頑張ります……」
そそくさとダンジョンの方に行く。
「あれ? 食べ物あったっけ?」
『ん? この前の否和城ダンジョンの時に結構買ったからまだ余ってるよ』
「じゃあ、そのまま潜っちゃおうか」
着いたダンジョンは地面の下に階段が続いているタイプであった。
太刀を構えて慎重に下りていく。
薄暗い通路である。
壁が少し発光している為何とか見えているが、それが無かったら真っ暗だろう。
ズズズズッと何かを引きずるような音が近づいてくる。そのまま進んでみると前の方に長い髪のようなものが揺らめいている。
よく見ると甲冑を着ていて、刀を持っている。
刀って奪えるのかな?
そんな考えがよぎってしまう。
『翔真! たぶんあの落ち武者動きが本物の侍に近いと思う! ただの魔物でもなさそう! 亡霊に近いかも!』
「ア゛ア゛ア゛ァァァ」
近づいてくる落ち武者を迎え撃つべく構える。
「ア゛ッ」
自分の攻撃範囲に入るなり刀を叩きつけてきた。
「うおっ!」
ギィーンッという音と共に弾き返す。
返して切りつけてくる。
「ふん!」
力を入れて弾き飛ばす。
今は人魔一体の能力を開いているため、力で負けることはないと思う。負けるとしたら経験がものをいう技術面だ。
「おおぉぉぉ!」
首目掛けて太刀を叩きつける。
ギャリッと斜め上に刀で流される。
その隙を狙われカウンターで心臓を的確に突き刺しにくる。
「ぐっ!」
身体をひねることで何とかかわした。
こいつ!
やるな……。
「翔真! 相手の土俵で戦う必要ないよ!」
ハッとした。
気がつくとわざわざ相手の得意な剣術で挑んでいた。
「りょーかい!」
刀を受け止めながら身体を背中から当てていく。
ズドンッ!
落ち武者が吹き飛ぶ。
これは当身という技だ。
力技だが効果があるだろう。
落ち武者は刀を落としたようで探している。
「せいっ!」
回し蹴りで頭を吹き飛ばして倒す。
身体が糸が切れたように地面に沈んだ。
近くに刀が刺さっていた。
「おぉ。刀だ! すげぇ!」
刀を眺め、おもむろに振ってみる。
ヒュッ……パキィーン
「えっ?」
なんと振るチカラに耐えきれずに折れてしまったようだ。
何年使用されてたかも分からないような刀なんて仕方ないだろう。
『翔真の力に耐え切れなかったんだよ。仕方ないよ』
そうなると俺が使える武器も変わってくるってことか?あれ?でも俺は、いつも蘇芳が出してくれてる武器を……。
『あっ、毎回渡す時にその時に合わせて生成してるから違和感なかったでしょ?』
「調整してくれてたのか!? ありがとな」
『まぁ、それが僕の仕事だからさ!』
「ねぇ、俺にも直刀出してくれない? 打刀でもいいよ」
『直刀あげる』
「サンキュー!」
そこから出てきた落ち武者はやり合う前にやる! 精神でバッタバッタと刀で薙ぎ払っていく。
「オラオラオラオラァァァ! ハッハァァ!」
10体ほど倒したところで一層おりた。
槍の落ち武者も現れ始めた。
槍はリーチがあって通路では不利なんだが、自分が不利だと分かっていると対処がしやすい。
槍の穂先をすんでて避けて走る。
目の前にいる落ち武者を斬り捨てる。
そんなこんなで20層。
そろそろ落ち武者ばっかで飽きてきたなぁ。
都合が良いように忍者に変わった。
「厄介になったなぁ!」
動きが早い。
どこから出てくるかわからない。
毒とかも使ってくる。
なりふり構っていられなかった。
「オラァァ!」
目の前に飛び込んできた忍者を力任せに地面にたたきつけ頭を踏み抜く。壁から出てきた忍者の頭をつかみ、反対側の壁に叩きつける。
キラッと光ったのが見えて直刀を振り下ろす。
キィーン
地面に針が刺さっている。
「吹き矢かよ……一斗、後ろにいろよ?」
「なんも出来ません!」
『面倒臭いからその刀投げて仕留めれば?』
「シッ!」
直刀をナイフ投げの要領で投げる。
適当だったが刺さったようで針の攻撃は無くなった。
この調子でなんと49層まで忍者が出てきた。
50層で襖のような扉があった。
ザッと開けると。
お代官のような偉そうな落ち武者が座っていた。
「ア゛ア゛ァァァア゛ァァァ」
「あっ! もしかして、であえーってやつ!?」
周りからウジャウジャ忍者やら落ち武者が出てきたが1箇所にお代官を守るように固まっている。
「一斗!」
「はぁい! ようやく自分の出番ですねぇ! 雷陣!」
天井と地面に、大きな魔法陣が出現しその間を極太の雷が行き交う。
バリバリバリバリバリバリッッッ
後には何も残っていなかった。
「一斗、いい所ばっかりもってってない?」
「そんな事ないですよ?」
「なんかなぁ」
奥に行くと地球儀くらいの大きさのダンジョンコアがあった。
「でもよぉ。なんで、この村の人このダンジョン攻略して欲しかったのかな?」
謎が残る
「う、うん。喜んでくれてよかった」
ご飯を食べた次の日、旅立つ為にギルドに挨拶に来ていた。
実は前の日の蕎麦屋を後にしてから、5軒はしごしたのだ。
そして、よく話を聞いてみるとお金がある事が判明していっぱい食べさせてもらえるという考えからご飯に誘ったんだそうだ。
なんともこちらからしたら残念だが楽しかったからいいよ。
うん。
いいよ……グスッ。
「じゃ、俺達は行くね」
「はい! また来たらご飯連れてって下さいね!」
「うん。じゃあ、また!」
暗子ちゃんに手を振ってギルドを後にする。
ギルドを出て歩いていると物騒な輩に囲まれた。
「よぉ。最弱のテイマーよ。お前ドラゴンと戦ったとか随分誇張した報告したらしいじゃねぇの?」
「ドラゴンとか! ハッハッハッ!」
「あのダンジョンをお前がそんなに上に行けるわけねぇだろ!」
「最弱の癖にドラゴンとか! ハッハッハッ!」
はぁ。とため息を吐きながら人魔一体の能力を閉じる。
「で? なんの用ですか?」
「なんの用ってこの前不意打ちでボコボコにされたんだぞこっちわ! お前もボコボコにしに来たんだよ!」
「そうですか。どうぞ?」
手を開いて自然体で受けの姿勢に入る。
「あぁ!? 何言ってんだ!?」
「だから、どうぞって言ったんですよ。ボコボコにしたら良いじゃないですか?」
「舐めやがって!」
男が拳を振り下ろす。
腹を殴り顔面を殴り蹴りも入れてくる。
そのままの姿勢のまま立っている。
攻撃が止んだ。
「ん? もう終わりですか?」
「な、なんなんだコイツ! お前らやっちまえ!」
武器を取り出して襲ってきた。
振り下ろされた剣を最小限で避けて手を殴り武器を落とす。続けて振り下ろされた斧を手で受け止めて持っている輩諸共ぶん投げる。
こんなに人では無い動きをしているが人魔一体の能力は閉じているのだ。それはイコール人間の力の範囲内ということ。
「ひいぃぃぃ! バケモンだ!」
輩は蜘蛛の子を散らすように逃げていった。
「あら? 逃げてった。人間の力の範囲内なんだけどな……」
『翔真、素の方もバケモンだ!って言われちゃったね?』
「まぁ、しょうがないな。この力は守るために使うさ」
『カッコイイじゃん?』
「だろぉ?」
ドヤ顔で言うと。
「ぷっ! 変な顔するの止めてくださいよ!」
「変な顔ってなんだよ!」
うわー!と言って逃げていく一斗。
『はしゃいじゃってもぉー』
母のように見る蘇芳。
少しなんかすると昔の茅葺き屋根のような家が沢山並ぶ町に着いた。
ギルドはないようである。
一応マップで見てみると赤い点がある。
「おぉ。ここ町の中にダンジョンあるぞ」
『へぇ。珍しいね』
「そんな町もあるんですね」
「なんじゃ? あんた達ダンジョン攻略してくれるのかい?」
そこに居たのは腰の曲がったおばあちゃんだった。
「あーはい。潜ろうと思います。たまたま通っただけなんですけど、ダンジョンあったんで……」
「そりゃ助かるわい。みんな気味悪がってあそこのダンジョンには足を踏み入れんのよ」
「そうなんですか? 何が出るんです?」
「…………落ち武者じゃ」
「あぁ。そういう……」
「平気なのかい?」
「あぁ、はい。そんなにいやってわけでもないですかね。スケルトンとか見慣れてるんで。むしろ得っていうか」
「ほぉ。心が強いんじゃのぉ。お願いじゃ」
手を合わせて拝まれる。
「は、はぁ。頑張ります……」
そそくさとダンジョンの方に行く。
「あれ? 食べ物あったっけ?」
『ん? この前の否和城ダンジョンの時に結構買ったからまだ余ってるよ』
「じゃあ、そのまま潜っちゃおうか」
着いたダンジョンは地面の下に階段が続いているタイプであった。
太刀を構えて慎重に下りていく。
薄暗い通路である。
壁が少し発光している為何とか見えているが、それが無かったら真っ暗だろう。
ズズズズッと何かを引きずるような音が近づいてくる。そのまま進んでみると前の方に長い髪のようなものが揺らめいている。
よく見ると甲冑を着ていて、刀を持っている。
刀って奪えるのかな?
そんな考えがよぎってしまう。
『翔真! たぶんあの落ち武者動きが本物の侍に近いと思う! ただの魔物でもなさそう! 亡霊に近いかも!』
「ア゛ア゛ア゛ァァァ」
近づいてくる落ち武者を迎え撃つべく構える。
「ア゛ッ」
自分の攻撃範囲に入るなり刀を叩きつけてきた。
「うおっ!」
ギィーンッという音と共に弾き返す。
返して切りつけてくる。
「ふん!」
力を入れて弾き飛ばす。
今は人魔一体の能力を開いているため、力で負けることはないと思う。負けるとしたら経験がものをいう技術面だ。
「おおぉぉぉ!」
首目掛けて太刀を叩きつける。
ギャリッと斜め上に刀で流される。
その隙を狙われカウンターで心臓を的確に突き刺しにくる。
「ぐっ!」
身体をひねることで何とかかわした。
こいつ!
やるな……。
「翔真! 相手の土俵で戦う必要ないよ!」
ハッとした。
気がつくとわざわざ相手の得意な剣術で挑んでいた。
「りょーかい!」
刀を受け止めながら身体を背中から当てていく。
ズドンッ!
落ち武者が吹き飛ぶ。
これは当身という技だ。
力技だが効果があるだろう。
落ち武者は刀を落としたようで探している。
「せいっ!」
回し蹴りで頭を吹き飛ばして倒す。
身体が糸が切れたように地面に沈んだ。
近くに刀が刺さっていた。
「おぉ。刀だ! すげぇ!」
刀を眺め、おもむろに振ってみる。
ヒュッ……パキィーン
「えっ?」
なんと振るチカラに耐えきれずに折れてしまったようだ。
何年使用されてたかも分からないような刀なんて仕方ないだろう。
『翔真の力に耐え切れなかったんだよ。仕方ないよ』
そうなると俺が使える武器も変わってくるってことか?あれ?でも俺は、いつも蘇芳が出してくれてる武器を……。
『あっ、毎回渡す時にその時に合わせて生成してるから違和感なかったでしょ?』
「調整してくれてたのか!? ありがとな」
『まぁ、それが僕の仕事だからさ!』
「ねぇ、俺にも直刀出してくれない? 打刀でもいいよ」
『直刀あげる』
「サンキュー!」
そこから出てきた落ち武者はやり合う前にやる! 精神でバッタバッタと刀で薙ぎ払っていく。
「オラオラオラオラァァァ! ハッハァァ!」
10体ほど倒したところで一層おりた。
槍の落ち武者も現れ始めた。
槍はリーチがあって通路では不利なんだが、自分が不利だと分かっていると対処がしやすい。
槍の穂先をすんでて避けて走る。
目の前にいる落ち武者を斬り捨てる。
そんなこんなで20層。
そろそろ落ち武者ばっかで飽きてきたなぁ。
都合が良いように忍者に変わった。
「厄介になったなぁ!」
動きが早い。
どこから出てくるかわからない。
毒とかも使ってくる。
なりふり構っていられなかった。
「オラァァ!」
目の前に飛び込んできた忍者を力任せに地面にたたきつけ頭を踏み抜く。壁から出てきた忍者の頭をつかみ、反対側の壁に叩きつける。
キラッと光ったのが見えて直刀を振り下ろす。
キィーン
地面に針が刺さっている。
「吹き矢かよ……一斗、後ろにいろよ?」
「なんも出来ません!」
『面倒臭いからその刀投げて仕留めれば?』
「シッ!」
直刀をナイフ投げの要領で投げる。
適当だったが刺さったようで針の攻撃は無くなった。
この調子でなんと49層まで忍者が出てきた。
50層で襖のような扉があった。
ザッと開けると。
お代官のような偉そうな落ち武者が座っていた。
「ア゛ア゛ァァァア゛ァァァ」
「あっ! もしかして、であえーってやつ!?」
周りからウジャウジャ忍者やら落ち武者が出てきたが1箇所にお代官を守るように固まっている。
「一斗!」
「はぁい! ようやく自分の出番ですねぇ! 雷陣!」
天井と地面に、大きな魔法陣が出現しその間を極太の雷が行き交う。
バリバリバリバリバリバリッッッ
後には何も残っていなかった。
「一斗、いい所ばっかりもってってない?」
「そんな事ないですよ?」
「なんかなぁ」
奥に行くと地球儀くらいの大きさのダンジョンコアがあった。
「でもよぉ。なんで、この村の人このダンジョン攻略して欲しかったのかな?」
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