最弱テイマーは魔物の王と無双する

ゆる弥

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54.妖怪?

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「ほら、魔力回復薬」

「ありがとうございます!」

 一斗に魔力回復薬を渡して魔力を回復させる。

「ったく。加減して魔法撃てよな?」

「……すみません。ちょっと力入っちゃいました」

『まぁまぁ、ここの階層は何も無くなったから、次の階層に行こう!』

「だな」

 次の階層に向かい再び地道にゴースト系の魔物を倒していく。
 ゴースト系だと骨が回収できない。
 蘇芳が早くすませようとして前に出始めた。

『早く骨を出せぇぇぇ!』

 ズバズバと魔力で魔物を切っていく。
 100層をこえた次の階層になると魔物がかわったんだが、今度は四つん這いの骸骨が大量だった。

「えっ? ガシャドクロ?」

『どこぞの妖怪のおでまし?』

「なんか、なんでもありですね」

『骨だー! ラッキー!』

 蘇芳がバッタバッタとなぎ倒していく。
 後を追って後ろに通して閉まったガシャドクロを倒していく。
 スケルトンより骨が太くて大きいのだ。
 なるべくコアから骨を離してからコアを壊す。

『はい! 回収ー』

 異空間に飲み込んでいく。
 
『いっぱい貰えたなぁ』

「この階層からコイツが出るっぽいからいっぱい貰えるんじゃない?」

『ありがたやありがたや』

 手を合わせて拝んでいる。
 淡々とこなして階層をおりて行く。

「どっかで休むか?」

『こんなに魔物居るのに何処で休むの?』

「たしかにな。一気に攻略しちゃうか!」
 
 ガシャドクロになってから10階層目。
 目の前にはドクロマークの扉があった。

『これは……チャーンス!』

 手を90度にして胸の前で強く拳を握る。

「まぁ、開けてみるか」

 ギギィィィと扉を開けて中に入っていくと、思った通りの巨大なガシャドクロ。
 周りに控えて居るのは通常サイズのガシャドクロ。

 通常サイズのガシャドクロが散らばって襲いかかってきた。
 まとまっていると一気にやられるというリスクがあることを分かったのだろう。

「あぁぁ。めんどくさい事になったな……」

『チマチマやりますか?』

「だなぁ。ある程度は魔力使いながらってことで。俺も残りの魔力がそんなにないからよぉ」

『そうだねぇ』

 話しながらも向かってくる敵は次々バラバラにしていく。
 しかし、量が量だけに捌ききれなくなってくる。

「蘇芳!」

 蘇芳に後ろから襲い掛かるガシャドクロを切り倒す。

「翔真!」

 いつの間にか後ろに回られていたようで蘇芳が倒してくれた。

「サンキュー!」

『結構ヤバいかもね……』

 そのまま背中合わせになりガシャドクロを倒していく。
 自分達の周りに骨が溜まってきた。

「蘇芳! 骨邪魔だな! 収納できないか!?」

『このままやると自分たちも巻き込まれちゃうよ?』

「それはまずいな。少しずつずれよう」

 ガシャドクロを捌きながらなんとか骨の輪の外へ移動する。

「あれ? でもこれだと魔物を巻き込んじゃうんじゃないの?」

『うん。巻き込む……はっ!』

「どうした?」
 
『僕の今まで使ってなかった能力を思い出したの』

「はぁぁ!? 使える能力なのか?」

『うん。こういう場面では』

「じゃあ、使って? 早く使って?」

『わ、わかったよ。ホントに忘れてたんだよ!?』

 焦りながら言い訳をする。
 ジトォと見ていると骨の溜まっている所に手を翳した。
 すると、ズズズッといつものように異空間に収納されていくが、周りにいたガシャドクロも巻き込まれて吸い込まれていく。

『お披露目! 眷属召喚!』

 突如蘇芳の周りからスケルトンやらトレントやらガシャドクロやら魔物が出てくる出てくる。

「えぇぇぇぇ。魔物呼ぶとか魔王じゃん」

『いや、ほら! 僕一応魔王だったじゃん?』

「あっ! そうだった。身近過ぎて忘れてた」

『まぁ、物量には物量ということで……』

 蘇芳の眷属も結構な数いるので敵のガシャドクロが少なくなり始めた。

『道作ってデカいの叩こう!』

「うっし! 行こう!」

 蘇芳の突撃に続いて付いて行く。
 横からくるガシャドクロを払いのけながら進む。
 巨大ガシャドクロは全長10mはあるだろうか。
 コアも見えているが遠い。

「蘇芳、コアに届くか?」

『ちょっと無理かもねぇ』

「じゃあ、足と手を落としてからコアを叩くか」

『そうだねぇ』

 2人とも片方ずつの足の関節を狙って跳躍する。

「ふっ!」

ズパァァァンッ…………ズズゥゥゥンン

 足の膝から下を切り離した。
 少しコアが近づく。

「次は肘行くぞ!」

『オッケー!』

 足と同じように切り落とした。

「よし! コアを叩く!」

 コアに向かって走り出す。
 すると後ろから声が聞こえた。

「よーっし! 魔力が溜まりましたよぉぉ! デカいの行きますよぉ!」

 嫌な予感がする。
 あいつなんでこっちに杖向けてんだよ。

『翔真! 下がって!』

 咄嗟に踏みとどまり蘇芳の元へ戻る。
 次の瞬間。

「くらってください! 雷撃波(らいげきは)ぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

 雷の奔流が一斗の元からやってくる。
 そこの車線に居た魔物は全て巻き込まれた。
 文字通り全て。そう、敵も味方も。

 凄まじい雷撃の奔流は巨大なガシャドクロのコアにも命中した。
 威力は申し分ないものだったので一瞬でコアは消え去った。
 巨大な骨の大部分もコアと一緒に消えていった。

 魔法が消え去った後にはわずかな骨と奥の方に遺留品と思われるものがあった。
 意気揚々と近付いてきた一斗。

「どうでした? 自分の一撃でみんな一掃ですよ! 自分だって役に立てるんですから!」

 悪気はないんだろう。
 わかっているんだけどさ。

「一斗、お前もう少し俺が避けるの遅かったら巻き込まれてたんだけど?」

「はい! だから打ちますって声掛けたじゃないですか!」

「そうだけど、そもそも俺がコアを破壊する所だったからさ……」

「そうなんですか? 苦戦してると思って……」

『それにさ、僕の眷属まで巻き込んで魔法ったでしょ?』

「えっ? 蘇芳さんの眷属なんて居たんですか!?」

 その素の反応を見て察した。

「ボソッ……蘇芳、魔力溜めるのに夢中でこの子話何も聞いてないよ?」

『ボソッ……あぁ。そういうこと……』

 なんか最初から静かだなぁと思っていたら、魔力を溜める事に集中していたようだ。
 そういうことなら仕方ないか。
 うん。仕方ない……という事にしよう。

「うん。居たんだが、まぁいい。あっちに遺留品があったみたいなんだ。見に行こう」

 奥の方に装備品、衣類、バッグが散乱している。

 あれ?
 これなんか見たことあるな……

『翔真? どうかした?』

「んっ? あぁ。このグローブどっかで見たことある気がしてな……」

 どこで見たんだっけ?
 蘇芳とでもっと前だ。

◇◆◇

「じゃあ、翔真! またで悪いけど留守番頼むな! 今度は少し戻ってくるまで時間がかかると思うからよ!」

 そう話すのは青い長い髪をした40代の男。
 グローブをはめながらこちらに話し掛けている。

「翔真。シッターさんのいう事聞いててね? 戻ってきたらいっぱい遊ぼうね! 今回で最後になると思うから」 

 こちらはスタイルのいい見た目20代の長い金髪の女性。
 身支度をしながらこちらに話し掛けている。

「じゃあ、行ってくる!」

 その上げた手にしていたのは……

◇◆◇

「そうだ! これは父さんがしていたグローブだ!」

『そうなの? 似たようなのありそうだけど……』

 おもむろにグローブを手にすると手の甲の方を見る。
 そこには青い翼の刺繍が入っていた。

「これは別注で頼んで刺繍をいれてもらったみたいなんだ……」

 手が震えてくる。
 こんなところで父さんの遺留品を見つけるなんて。

「本当にお父さんのなんですか? 言っちゃ悪いですけど、ここのダンジョンこの前のダンジョンにも劣ってますよ?」

『そうだよ。お父さん強かったんでしょ?』

 俺には最早、一斗の声も蘇芳の声も聞こえていなかった。
 
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