最弱テイマーは魔物の王と無双する

ゆる弥

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53.指名依頼

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「折り入って相談があるんだが……実はな、大規模ダンジョンになってしまった所がもう1つあるんだ。中々攻略できるものが現れなくてなぁ」

「で、俺達にお願いしたいと?」

「出来ればでいいんだ。報酬は弾む! 指名依頼として1000万出す!」

「お困りのようですし、受けますよ。コアの方も高く買取って下さいね?」

「勿論だ! よしっ! こっちのダンジョンもAランク以上への依頼は取り下げよう!」

「まだ、攻略できるか分かりませんよ?」

「出来なかった時に考えるさ……頼んだぞ?」

「ご期待に答えられるように頑張りますよ。で、どこにあるダンジョンなんですか?」

「少し東側に行ったところにあるんだ」

「分かりました。では、準備して行きます」

「真仲、頼んだぞ!」

 会釈して出ていく。

「とりあえず、回復薬と魔力回復薬と食料だな」

『反省点は活かさないとね!』

「そうですね! 準備していけば余裕ですよ!」

「だな!」

 準備の為に色々な店を回る。

『明日行く?』

「いや、さっさと済ませて次の町に行こうぜ」

『いいの? さっきの受付嬢の子綺麗な子だったよ?』

「蘇芳はさ、おれのことなんだと思ってんの?」

『女たらし?』

「それ悪口だからな? ったく……行くぞ」

 町を出て目的のダンジョンを目指す。
 
『でもさ、夜になっちゃうよ?』

「良いじゃねぇか。久しぶりに野営しようぜ? その方が明日早い時間から潜れるだろ?」

『やる気あるねぇ』

「なんでそんなにやる気あるんです? やっぱり受付嬢の人が綺麗だから……」

「おい! 一斗まで! 俺をなんだと思ってる!?」

「女ったらし?」

「まさかの同じ答え!? デジャブ!?」

『ねぇ、コントやってないで行くよ?』

 先に歩いていく蘇芳。

「えっ? そもそもアイツが言ったんだよね?」

「そうですよ! 蘇芳さーん? 自分関係ないみたいな感じ出すのおかしいですよ!」

 追いかける一斗。
 いきなりダッシュした蘇芳。

「待てコラァァァー! おのれもこの前ときめいてたじゃろぉがぁぁぁー!」

 一斗を追い抜き蘇芳を追いかけていく。

 青春のようなノリの翔真達であった。

◇◆◇

 辺りは薄らと暗くなってきた。

「もう少しでダンジョンだけど、ここで野営しよう」

『じゃ、なんか狩ってくるー』

「いやいやいや、蘇芳さんの異空間に食事用の料理入れてますよね?」

『あっ、そうだったー』

「ボケなの? 天然なの?」

 蘇芳にツッコムが飄々として料理を異空間から出す。まぁ、しまって貰ってるから助かってるんだけどさ。

 それぞれが好きな料理に舌鼓を打ち、就寝。
 以前買った空間拡張された結界付きのテントなので、割と快適なのだ。

 一斗がパーティーに増えた際に追加でベッドを買っているので寝るのには問題ない。

 朝起きて再び朝ご飯を食べ支度をすると、いざ、ダンジョンへ突入だ。

「よぉし! 行くぞ!」

『オー!』

「行きましょう!」

 ダンジョンへ向かう。
 たどり着いた扉は少し古ぼけたサビが目立ち、骨を使った作り?の扉であった。

『これさ、もしかしてアンデッドじゃない?』

「あー! 骨取り放題的な?」

「相性いいかも知れないですね!」

『行ってみよぉー!』

 扉を開け、蘇芳を先頭に中に入っていく。

 あとから続いていくが蘇芳が前方ですぐに大太刀を構えている。

『これ、物量で押してくる系かもしれない!』

 こっちを振り返った先に見える光景がゾンビとスケルトンの大軍であった。
 もしかしなくてもモンスターハウスの連続の様な感じになるみたいだ。
 蘇芳から太刀を受け取ると一緒に突っ込む。

「一斗! 援護頼む! なるべく温存しろ? 長期戦になりそうだ!」

「分かりました!」

 蘇芳が通したスケルトンやらゾンビやらを切り伏せていく。

 これは、みんな物量にやられて攻略できてないっぽいな。
 1階層毎にスケルトンの骨を蘇芳が回収していく。

『これただの作業になるね?』

「突撃槍みたいなので突っ込んでいってみる?」

『はははっ! それ面白いかも! やってみよう!』

 中に手を翳して生成しているようだ。

『えーっと、大きさはこのくらいで……長さが……このぐらい……と……できた!』

「おぉ。見事に突撃することしか考えてねぇな? 全長が俺の身長より長い……幅は道幅より少し小さいぐらいか」

 槍を前方に構えて階段をおりて行く。
 ゾロゾロとスケルトンとゾンビがやってくる。

「しゃぁぁぁ! 行くぞぉぉぉ!」

 突撃槍を構えて突っ込んでいく。
 手応えがあまりないがそのまま突っ走る。
 ゴォンッと壁にぶつかりやっと止まった。
 通ってきた道には骨が転がっている。

「蘇芳! 回収よろしく!」

『はいよぉ』

 まとめてズズッと異空間に収納して行く。
 道は横にまだ続いているので槍で魔物を留めている状態なのだ。

『いいよー!』

「オラオラオラァァァ!」

 それの繰り返しであった。
 50層を過ぎた頃、魔物がガラッとゴースト系になってしまったのだ。

「ありゃ? 物理効かないじゃん!」

『魔力纏わせるしかないね』

「一斗の出番だ!」

「でも、こんな大量なの魔力すぐ無くなっちゃいますよ?」

「たしかになぁ。じゃあ、魔力纏わせて切るしかねぇか」

 一斗にはぁぁぁという顔をしながら言うと前に出る。

「えっ!? 酷くないですか!? 魔法使いの使い方が雑ですよ! だいたい! 温存しておけって言ったの翔真さんですからね!?」

『まぁまぁ、落ち着いて一斗。気持ちわわかるけど、活躍してないよね?』

「こっちも敵なんですか? やだ! このパーティー!」

『ハッハッハッ! 冗談だよ! でもさ、ほら! いいとこ見せてよ!』

「しょうがないですねぇ」

 満更でもないように前に出て杖を構える。
 集中して魔力をねる。

「らい──────」

「うぉらぁぁぁぁぁ!」

ズバァァァァァンッッ

 巨大な魔力の斬撃が飛んでいく。
 目の前にいたゴースト系の魔物が一掃されていく。

 膝と手を着き愕然とする一斗。

「ん? どうした?」

『えっ? 気付いてなかった系?』

「だから、何が?」

 蘇芳が顔に手を当てため息をしながら天を仰ぐ。
 一斗を見ると地面に指をイジイジさせてブツブツ独り言を言っていた。

「ブツブツ……どうせ自分なんか目立たないですよ……活躍だってしてない…………翔真さんはいいですよね…………だから。自分なんて…………魔法使いの中では……ですよ。みんなは…………思ってたのに、こんな…………されたんじゃ…………居られないですよ」

 うわぁぁぁ。
 なんかすげぇ面倒くさそうな雰囲気出してる。
 なんでこうなった?

「一斗、どうした?」

「ブツブツ……そうですよね……無いですよね…………話なんて……」

「おい! 一斗!」

「ブツブツ……活躍できないんで…………自分なんか…………なんですよ……」

 全く反応がない。
 頭をガシガシかきながら考える。

 めんどくせぇ。
 非常にめんどくせぇ!

『ボソッ……一斗、今活躍できるとこだったんだよ? それを翔真が奪っちゃったから……』

 そういうことか!
 じゃあ、活躍させればいいんだな?

 階段の方に行くと一芝居打つことにした。

「階段ノ下モゴースト系ノ魔物バッカリジャネエカヨー。 オレジャドウシヨウモネェナァ! コリャ、魔法使いジャナイトムリダナア!」

 めちゃくちゃ棒読みだが、一斗はピクッと反応した。

「魔法使いが必要ですか!? 自分がやりましよぉ!」

「オッ! 魔法使いダ! タノンダゾ!」

「いいでしょう! 行きますよ! 雷撃波(らいげきは)ぁぁぁぁぁぁ!」

ドォォォォォォォォォンンンンッッッ

 下の階は何もかも一掃された。
 文字通り、綺麗になったのだ。

「おぉ……見事に何も無くなったな」

「自分、活躍しましたよね!? 魔物を一掃しましたもんね!」

「さすが一斗! だけど、魔力大丈夫なのか?」

「はははっ……ほぼスッカラカンです……」

『「はぁぁぁ」』

 蘇芳と同時に顔に手を当て天を仰いだのであった。
 先が思いやられる。
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