最弱テイマーは魔物の王と無双する

ゆる弥

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35.一斗のランクアップ

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 寿司屋に行った次の日、ギルドに来ていた。

「一斗のランクアップをさせたいんだけどさ」

「あー。そうよね。翔真はDランク。一斗さんはFランクだもんね……あと一個小規模でもコア持ってくればEにはあがるわね」

「おぉ。じゃあ、適当に攻略してくるか」

「Eから上がるには中規模のコアが10個は必要よ?……翔真のこの短期間でDランクになってる方が異常だわ」

「色々あったんだよ」

「ふーん」

 これまでの事を詳しく言わないのも気に入らないのだろう。
 若干不機嫌そうにしている。

「そうなると結構時間かかりますね……近場のダンジョンはもうあまりないし」

「だな。一個攻略したら南下するか」

「えぇ!? もうちょっといると思ってたのに行っちゃうの!?」

「そんなに大っきい声出すなって。少ししたら出るって言ってただろ?」

「そうだけど……」

「まぁ、とりあえずダンジョン行ってくるから」

「うん。行ってらっしゃい」

 ギルドを後にする。

 町を出るとダンジョンを探す。

「マップ」

 表示されている赤い点を見ながら唸る。

「うぅん。10キロ圏内に2個しかない。そして遠い。どっちに行く?」

「自分はなるべく近い方が……」

「見てみ? 同じくらいじゃない?」

 表示されているマップを覗き込んで見ながら唸る。

「しょうがないっすね。頑張って走ります!」

「よしっ! その意気だ!」

『ねぇ、せっかくだから人魔一体の能力閉じて走ったら?』

「おぉ。俺も辛い思いをしろって事か?」

『そんな意地悪な意味じゃなくて、基礎体力が上がったら人魔一体の能力適用された時のステータス上がりそうじゃない?』

「あぁ。そういう事か。確かにそうだな」

 人魔一体の扉を閉じる。

閉じる前のステータス
――――――――――――
NAME:真仲翔真
LV:10
ATK:4012
VIT:4021
DEF:2352
MND:1023
――――――――――――

閉じた後のステータス
――――――――――――
NAME:真仲翔真
LV:10
ATK:41
VIT:42
DEF:25
MND:5
――――――――――――

「翔真さん、俺より酷いですよ?」

「そりゃそうだ。なんたって最弱のステータスだからな。よっしゃ行くぞ!」

ダダダダダッ

 一斗がはるか遠く。

「翔真さん、遅っ!」

「このペースでしか走れないわ」

『翔真、魔力強化したら?』

「んん? 魔力を纏わせるってこと?」

『そう。身体中に巡らせるの』

 身体中に水のように行き渡らせる。

 翔真の周りが魔力で歪んでいる。
 スピードが上がった。

「おぉ! 走れるわ! 一斗には追いつけないけど……」

「自分もVIT系は100はあるんで」

「くそぉ。おおおぉぉぉぉ!」

 結局8キロ近くを20分かけて走った。
 通常の人から考えたら早い。

「はぁはぁはぁ。キツいわこれは」

「自分は結構楽でしたね」

「くっそぉ。一斗ぉぉぉ」

 掴みかかり首の当たりを掴んで揺さぶる。

「ははははっ。この前の自分の気持ちわかりましたか?」

「あぁ。悪かった」

 人魔一体を開く。

「フッハッハッハッ! これぞ俺の力!」

 手を広げて絶叫している。

『ほぼ僕の力だけどね』

「……分かってますよ…………僕の力はゴミ虫ですよ」

 地面にのの字をかいていじけてみる。

「はははっ。翔真さん、置いていきますよ?」

 ダンジョンに入っていく2人。

「ねぇ!? 俺の扱い酷くない!?」

 後を追って入っていく。

 くっそぉ。
 アイツらの代わりに魔物共をぶちのめしてやるぅ。

「射れ!」

ズダァンッ

 この階はコボルトが出てくるようだ。
 そこまで強い魔物ではない。
 よって、発散にはもってこいだった。

「オラオラオラオラァ!」

 右へ左へ拳を突き出して進んでいく。
 壁に叩きつけられたコボルト達が土になっていく。
 完全に八つ当たりである。

『おぉ。荒れてるねぇ』

「これは魔法打たない方がいいですね……」

 一心不乱に階段を探して突進していく。
 1階下り、2階下り、5階まで下りるとでる魔物が変わった。

 コボルトキングが群れを連れて来る様になった。

「やってやらぁぁ!」

 太刀を横に力一杯振るう。

ザンッッッ

 群れは全て真っ二つ。

 しかし、次次群れが来て物量でだんだん押されて来る。

「一斗!」

「行きますよ! 雷雨(らいう)!」

バリバリバリバリバリッッ

 次々と魔物は倒され一掃されていく。

「さすが一斗」

「良く言いますよ! 暴れ回ってたくせに!」

「はははっ! そうだな! これ10層で終わるけどコアが大きいやつじゃねぇか?」

「そんな事あるんですか?」

「俺らはそれに当たったことあるんだよ」

「へぇ! じゃあ、このまま突っ走りましょう!」

 10層でガーディアンの扉がある。

「やっぱり。きっと強いぞ? 気を引き締めろ!」

「はい!」

『大丈夫だって』

ギィィィィ

 コボルトキングの群れが蠢いていた。

「あぁ。こういう感じ」

『だから大丈夫だって言ったじゃん』

「気負いすぎましたね」

 通常ではコボルトキングは強いんだが、この3人にはそんな事は無い。

「一斗左!」

「はい!」

 俺は右を殲滅。

「蘇芳真ん中な」

『了解』

 一斗が杖を向ける。

「電波(らいは)」

ブゥゥゥゥゥンッ

 雷の波がコボルトキングを襲いかかり全員をなぎ倒す。

 一斗やっぱりすげぇな。
 俺も負けてられねぇな。

 太刀を横に引き絞る。

「っしゃ! 行くぞぉ!」

 魔力を全身に纏わせ、太刀にも巡らせる。
 一回転して遠心力ものせた斬撃が放たれる。

「おおおぉぉぉ! 魔刃(まじん)!」

ズバァァァァァァン

 自分の担当範囲の右半分のコボルトキングはちょっと真ん中のやつも含めて真っ二つになった。

『あぁ! 僕の分も取ったなぁ!?』

「残ってるから、あと頼む!」

 大太刀を大上段に構えて魔力を纏わせている。

 やっぱり蘇芳の威圧感は半端ないな。
 これで斬撃が放たれるのか。

『飛龍(ひりゅう)』

 膨大な魔力の斬撃が飛ぶ。
 龍を摸したような魔力の斬撃であった。

ズドォォォォォォォォンッッッ

 コボルトキングは木っ端微塵である。

『フンッ! どんなもんよ!』

「さすが蘇芳! やっぱすげぇや」

「蘇芳さん、ホントに強かったんですね」

『えっ!? 疑ってたの?』

「いえいえ、戦っているところを見ることがなかったので……」

『あぁ、そりゃそうだよね』

 奥に向かっていき、ダンジョンコアを確認する。

「あぁ、やっぱり中規模くらいの大きさはあるな」

「本当ですね。たしかに出てきた魔物は強かったですもんね」

『大した事ないけどね』

「俺らにとってはな」

 ダンジョンコアを取って外に転送される。

「じゃあ、戻るか」

『また人魔一体閉じなよ?』

「帰りもかよ!」

『鍛錬だよ』

「くっそぉ」

 再び20分かけて千大町に戻る。

「はぁ。はぁ。はぁ。やっと着いた」

『ホントに体力ついていいかも』

 息を整えたら町の中に入る。
 もう日が傾き出していた。

 ギルドに向かう。
 中に入ると、茜の所へ向かう。

「茜、戻ったぞぉ。これで、一斗はEランクだろ?」

「お帰り。うん。これで一斗さんはEランクよ。やっぱり直ぐに出るの?」

「うーん。そうだなぁ。後2、3日は居るだろうけど装備が整ったら出るよ」

「そっか。いよいよお別れね」

「まぁ、最後にはまた寄るから」

「うん……ねぇ、最後にまたご飯ご馳走して?」

「わかった。準備終わって旅立つ前の日に声掛ける」

「うん」

 ギルドを後にする。
 これでまたご飯に誘うのも酷だろう。

『茜ちゃん寂しそうだったね』

「あぁ。でもいいんだ。茜はここに居た方がいい」

『そうだね。正直、着いてきても足でまとい』

「そうだ。アイツのためだ」

 別れは仕方ないとそう言い聞かせて帰路に着くのであった。
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