最弱テイマーは魔物の王と無双する

33．新能力

「ダンジョン攻略は大分楽になるなぁ」

『そうだねぇ。一斗は凄いよ！　それで最弱なんてないない！』

「そうですかねぇ。今までパーティー組んでくれた人居なかったので……みんなに最弱って言われてたので……」

『そっかぁ。苦労したんだね』

「はい……」

「おいぃ！」

『何？　急に大きい声出して？』

「どうしたんですか？」

「なんで、一斗と蘇芳が普通に会話出来てんの？」

『あっ……そういえば』

「そうですね」

　ギルドカードで能力の確認をする。

「ステータス」

――――――――――――
テイマー能力
・人魔一体
・感覚共有
――――――――――――

「あっ。能力増えてる。感覚共有だってよ」

『じゃあ、僕が話したいと思ったから直接念話みたいな感じになってるのかな？』

「あぁー。そうかもな。思ったことまで共有できんのかな？」

　蘇芳はデカ物だなぁ

『ちょっと！　翔真！　デカ物って何さ！？』

「ブッ！　これ聞こえてたの？　ヤバッ！　プライバシーも何もあったもんじゃねぇ！」

『翔真は女ったらし』

「おぉい！」

『ん？』

「なんか今普通に悪口言われたんだけど！」

『えっ！？　今の聞こえてたの？　喋ってないのに！？』

「だから、聞こえるんだって！　これ何とかなんねぇのかなぁ」

　頭を抱えながらうなっていると、一斗が手を顎に当ててかんがえながら言った。

「んー。能力なら、なんかこの能力クローズ！　閉じる！　みたいな？　なんかそんなイメージすればいいんじゃないですか？　僕は、そんなイメージでオンオフしてます」

「おー。やって見るか」

　感覚共有を閉じる。
　人魔一体と感覚共有の扉が開いていて、感覚共有の扉を閉じるイメージをする。

バタンッ

「なんか閉じた気がした。どうかな？」

『ねぇ、ねぇ、これ聞こえる？』

『ガウガウガッウガ(女ったらし)』

ペシンッ

「おい！　今普通に喋ってただろ！？」

『あっ！　ごめん！　間違えた！　もう1回』

『……………………』

『聞こえた？』

「聞こえなかった！　聞こえなかったけど、長さ的にまた悪口じゃなかった！？」

『そんな事ないよ？』

　ピューピューと口笛を吹きながら誤魔化す。

　どんだけ誤魔化すの下手なんだよ。
　まぁ、いいか。

「まぁ、オンオフ出来ることが分かったからいいか。ありがとな！　一斗！」

「い、いえ！　役に立てて良かったです！　ダンジョンとか潜ったりする時にオンにしたらいいですね！」

「だなぁ。あとは飲みに行く時とか？　通訳めんどいし」

『めんどいとか酷くない！？』

「なんか蘇芳さん、文句言ってます？」

「えっ！？　能力切れてなかった！？」

「いや、切れてますよ！　なんか剣幕が凄かったんで……」

「あぁ、そういう事か。酷いって怒ってるよ」

「でも、これって凄く良くないですか！？　いい能力ですよね？　超便利じゃないですか！？」

　腕を組んで頷く。

「たしかに、そうだよな。喋らなくても共有できるのはいい能力だよな」

「そうですよ！　有効活用しましょう！」

「そうだな！」

　もうすぐ千大町に着く。

「それでさ、一斗パーティーどうだ？　俺と蘇芳は一斗がパーティーメンバーに入ってくれればすげえ良いなって想ってる」

「そうですね。ダンジョンでの動きとか、その他もろもろを含めて……是非！　一緒のパーティー組んでもらいたいです！」

「よっしゃ！　決定な！」

『やったぁ！』

　ガッツポーズする蘇芳。

「蘇芳さんも喜んでくれてますか？」

「あぁ。喜んでるよ」

「よかった！」

「パーティー名なんだが。どうする？」

「パーティー名ですか……どうしましょう」

『翔真、感覚共有開いて』

「おう！」

　感覚共有の扉を開く。

　開いたかな？

『うん。オッケー！　じゃあ、パーティー名決めよう！　えーっと、蘇芳と愉快な仲間達とか？』

「おい！　お前！　ふざけんな！」

『はははっ！　冗談だよぉ』

「半分本気じゃねぇのかぁ？」

「んー。最弱の2人と最強の蘇芳さん……入り交じるはずのないもの……」

「なんだろうな？　弱肉強食とか？」

「混沌とか……？」

「なんか……他にない？」

『んー。蘇芳って血の色みたいな染色で使われるでしょ？』

「そうなの！？　名前俺が決めたけど、それは知らなかったわ」

「たしか……鞘の形に似てるんですよね？」

『そうそう。神代(じんだい)からの重要な染色として使われてた木の染色に似てて、その木がスオウだから蘇芳っていう名前がつけられたんだって！』

「おぉ！？　なんかカッコイイな！　神代の鞘(じんだいのさや)とかどうよ！？」

『どっちも僕の事だけど？』

「いいんじゃないですか？　最弱の2人を入れてもしょうがないですし」

「だよな？」

『二人がいいならいいよ』

「じゃあ、決定！」

　早速ギルドに行き、受付で申請をする。

「茜、パーティーの登録頼む」

「むー。私を放っておいて誰とパーティー組むのよぉ！」

「こいつだよ。ほら、一斗」

「相模　一斗です。パーティーに入れてもらえることになりました」

「あれ？　あなたって、誰にもパーティー組んで貰えなかった……シングルマジシャン？」

「そうです……」

「ねぇ！？　翔真！　こいつより私の方が役に立つんじゃない！？」

　ベシッと頭にチョップをして黙らせる。

「うるさい。いいから、パーティー登録しろ！　俺は、実力も見た。その上でパーティー組むんだって」

「うぅ。わかったわよぉ。で？　パーティー名は何にするの？」

「神代の鞘(じんだいのさや)だ」

「へぇ。なんか渋いね。もっとこう、混沌の三賢者とか、鮮血の三人衆とかカッコイイのにすれば良かったのに……」

「どんだけ厨二病拗らせてんだよ」

「えー。いいと思うんだけどなぁ。まっ、登録しておくね」

「おう。頼む。後これダンジョンコア。換金頼むわ」

「はぁーい」

　一生懸命テキパキと処理をしている。

　やっぱり茜はここが似合うな。
　イキイキと仕事してる感じがあるしな。
　俺について来るよりはよっぽどいい。

「はい。んーとちょっと中規模だけどちょっと小さめだから300万かな」

「おう。サンキュー。あっ、全部現金化してくれるか？」

「いいよぉ………はい。これ」

「どうも」

　三つある札束を2つ取り一斗に渡す。

「なんですか？」

「今日の取り分と、装備整えたりする分の金」

「こんなにいいんですか！？」

「何かとお金かかるだろ？　ローブ買ったり、杖買ったりさ」

「有難う御座います！」

「ねぇ、今日は終わり？　私もう少しで今日は上がれるんだけど、ご飯ご馳走してよぉ！」

「しょうがねぇなぁ。隣の酒場で適当に飲んでるから終わったらきな」

「やった！　絶対待っててね！」

　再びテキパキと仕事をしだした。
　すぐに終わらせるつもりなんだろう。

「あの、こう言ったら失礼だと思うんですけど、あの受付の人ってあんなにいい感じの人でしたっけ？　なんか前はフンッて鼻で笑われて貶された覚えがあるんですけど」

「はぁぁぁ」

　頭に手を当ててため息をする。

「アイツは一斗にもそんな感じだったのか。この前な、ちょっと荒治療みたいなことをやってな。それで、ああなった」

「はぁ。なんか翔真さん、凄いですね！」

「そんな事ないさ。そこで飲んで待ってよう」

「はい！」

『女ったらしでしょ？』

「おい！　それ悪口！」

「ですね」

「あっ、感覚共有閉じてないし！」

　このパーティー果たして大丈夫なんだろうか。