最弱テイマーは魔物の王と無双する

ゆる弥

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11.レベルアップ

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「今回の遠征は西に進むぞぉ」

『隣の領を目指すんだよね?』

「そうだ! 暁至(あきいた)領を目指す!」

『おー!』

 景色を見ながら走る。

『なんで走るの?』

「歩いて時間かかるの嫌だから、走るの」

『今日中に磐当(いわあて)領を超えるんじゃない?』

「いいんだ。超えちゃおう!」

『そんな簡単に領って超えれるの?』

「んー。知らねぇ」

『えぇっ!? 大丈夫?』

「大丈夫じゃない?」

 不安になりながらも翔真の後に続いて走る。
 領の境には壁が広がっている。

「壁か? ホッと」

 跳び上がると、壁を越えれた。
 すると。

『ウゥーーーーーーウゥーーーーー』

 サイレンが鳴り響いた。

「えっ? 何?」

『なんか、入り方間違えたんじゃない?』

 壁を越えたあとの森を走り抜ける。

「分かんねぇけど、武器出しといて」

『はいよ。太刀でいいかな』

「サンキュー」

 太刀を受け取ると肩に乗せて走る。

「不法侵入者! 止まれ!」

 剣を構えて待ち構えている。

 なんだこいつ?
 邪魔だな。

 走りながら太刀を振りかぶる。

「うらぁ!」

 掛け声と共に太刀を振り切る。

ギャャン

 剣を弾き飛ばし、待ち構えてたやつも吹き飛ばす。

「邪魔は居なくなったかなぁ?」

『ねぇ、翔真、なんかヤバくない?』

「えっ? 大丈夫っしょ」

 真っ直ぐ走り抜ける。
 森を抜けると荒野に出た。

「おぉ。景色が変わったな」

 その頃には追手はいなくなっていた。

「全速で来て良かったな?」

『いやぁ、どうなのかな? 良かったのかな?』

「まぁ、いいんじゃね?」

 荒野を走り抜けていると。

「キチキチキチ」

 視界に何かが迫ってきた。
 咄嗟に避ける。

ズザザザーーッ

 避けた勢いで地面を滑る。

「あっぶねぇなぁ! なんだ!?」

 そこに居たのはサソリ型の魔物であった。

『翔真! シッポに毒があるから気をつけてね!』

「それは知ってる気がする!」

ズトンッ

 シッポが襲う。
 側宙して避ける。
 以前はそんな芸当も出来なかったのだ。
 ステータス上昇の恩恵は有難かった。

ダンッ

 一気に距離を詰める。

「フンッ!」

ギィィィンッ

 弾かれた。

「くっそ! 硬ぇ! やっぱり関節狙わねぇとか!?」

『翔真! 避けて!』

 目の前に液体が迫っていた。

「おっと!」

 横っ飛びで避ける。
 すぐ横でジューという音が鳴っている。

「これは、食らったらやべぇな」

『翔真! 武器ダメになるかもだけど、一気に首落とした方がいいかも! たぶん、武器がもたない!』

「わかった!」

 太刀を後ろに引き絞る。
 集中して対峙する。

「キチキチッ」

 突進してシッポを突き刺してくる。

 横に避けるとシッポが邪魔で首が狙えない。

 一気に決めるならここで決めないと。

 集中したことにより、景色がゆっくりに感じていた。
 シッポの関節と首の関節が……同じラインに来た。

 今だ!

「シィィィィッ!」

 身体を縦に回転させながら遠心力を乗せてシッポと、首を一気に断つ!

ズバァァァンッ

「ギィィィィィ」

ズドォォォォン

 サソリ型の魔物は倒れる。
 首とシッポ以外は光となって消えた。

 魔物は核が死ぬと繋がっている物は光になり消えてしまうのだ。
 ただ、切り離されたものは残るのだ。

 解放者のほとんどがこうやって素材を取るのだ。
 稀に生け捕りする奴がいるが、ギルドを困らせる行為なのでやる者は少ない。

「よしっ!」

 すると、力が漲ってきた。

――――――――――――
レベルアップ確認
ステータスが上昇します。
――――――――――――

 世界の声が頭に響いた。

「おぉ。俺レベル1だったの忘れてたわ」

 ステータス画面を開きステータスを確認する。

――――――――――――
NAME:真仲翔真
LV:2
ATK:2218
VIT:2201
DEF:1456
MND:573

テイム中
NAME:蘇芳
ATK:9999
VIT:9999
DEF:8668
MND:1112
――――――――――――

「えぇっ!? 1割増えてる!? っていうか蘇芳もステータス上昇してるじゃん!」

『えっ!? ホント!? しばらく上がったことなかったのに!』

「俺がレベルアップすると、蘇芳も強くなるんだな!」

『おぉ。テイムされるとそんな恩恵があるんだね』

「はははっ! 良かったな! これも人魔一体の効果なのかもな。最初は俺のステータスが上がって、レベルアップで俺のステータスが高くなったことで蘇芳のステータスが上がったんだな」

『いい効果だね。僕も成長できるなんて』

「あぁ。知れてよかったよな。じゃあ、行くぞ!マップ!」

 ギルドカードでマップを表示する。
 ギルドカードで表示できる範囲には町はなかった。

「んー。この辺にはまだ町はないみたいだな。ダンジョンが2個あるけど。大規模ダンジョンがどれかは分かんねぇんだよなぁ。情報集めに先に町を探そう」

 まだ山1個越えただけだからな。
 もう1個越えてみるかな。

「蘇芳、この山も越えよう」

『うん。良いけど、休憩しなくて大丈夫? 太刀も大丈夫?』

「あぁ。まだ休憩は大丈夫だ。太刀も魔物のシッポの根本を切ったから大丈夫だったみたいだ。この山を越えたら休憩しよう」

『うん。僕は大丈夫だからいいよ』

 再び走り出す。
 荒野をぬけて再び山を越える。

 走り抜けていると、ドドドドドッという音が迫ってきた。
 立ち止まって音の気配を探る。

『翔真! 正面から来る!』

「おう!」

 太刀を下段に構える。
 後ろに構え待ち構える。

ドドドドドッ

 音が近づいてきた。
 視界に捉えた。

 身体をひねり顔だけは正面を向いたまま構える。
 タイミングを合わせる。

──────今だ!

「ウラァァァ」

ドンッ

 踏み込みにより土が舞い上がる。
 一瞬で間の距離がなくなった。
 引き絞っていた太刀を、解き放つ。

ズパァァァァンッッッ

 魔物は真っ二つになり、翔真の左右に分かれて横を通り過ぎた。

ズシャァァァァ

 突進してきた勢いのまま身体が滑っていき、やがて止まると、光になって消えた。

「いきなりでビックリしたなぁ。なんとか倒せてよかったぜ」

『ナイス! 翔真!』

「おう! この調子で行くぞ!」

 再び走り出す。
 翔真は気付いていないが、ステータスアップにより移動速度がアップしているのだ。
 その事に気づいたのは蘇芳だった。

『翔真、移動速度上がってるからそろそろ山を抜けそうだよ。マップ見ながら移動したら?』

「おぉ。移動速度上がってたか? 気付かなかったわ。マップ!」

 マップの西の端の方に青い点がある。

「おっ! ギルド発見! 端っこだからここから10キロくらいだな」

 町へ向かって走り出す。

 しばらく走ると整備されてる街道に出た。

「街道に出たな。これを真っ直ぐ行けば町があるっぽいな。歩いて行くか」

 蘇芳と共に歩いて町に行くが、すれ違う人はギョッとした目で蘇芳を見てそそくさと通り過ぎていった。

『なんか、僕恐がられてない?』

「慣れてないからしょうがないっしょ?」

『うーーん。やだなぁ』

「まぁ、情報集めたら来なくなるしいいんじゃない? ちょっとだけだよ」

 うーん。
 蘇芳は確かに目立つ。
 トラブルにならなければいいけど……
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