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13.一日目の終わり
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「亮くんて、モテるねぇ。背は高いし顔はいい上にハーフアップという最強装備だもんね?」
「なんですか? そんなチートみたいな言い方しないで下さいよ」
「いやいや、実際羨ましいよ。僕も君みたいだったらと思っちゃうよね」
「そんな……」
俺なんて大した人間じゃない。
喧嘩ばかりして大切な人を殺されたただの惨めな人間だ。
だから人を守るためにこの仕事をしたいと思ったんだ。
「よしさんは、どうしてこの会社に?」
「んー。僕はねぇ元々体が弱くて目立たない子だったんだ……」
「えっ!? よしさんが!?」
今のマッチョでガタイのいい身体からは想像ができない。
ずっと強いままなのかと思ってた。
「そう。実はドラマの影響なんだ。ボディーガードのドラマがあってねぇ。カッコイイからなりたかったんだよね」
「へぇ。よしさんもそういうのあるんですね」
「うん。あるよ。その為に身体も鍛えたしね」
長い間鍛え上げてきたであろう肉体はそれを物語る様に隆々と主張している。
「親が貧乏サラリーマンでねぇ。金が無いのに僕が病弱なものだから大変でねぇ。筋トレに明け暮れてなんとか職を見つけたと思ったら、とんでもない、ブラック企業でね。転々と警備会社を渡り歩いてきたんだ」
「それは……大変でしたね」
思わず暗い顔になってしまった。
よしさんは笑顔で笑う。
「そんな事ないんだ。この会社に来れたから。護さんが僕をスカウトしてくれたんだ」
「そうだったんですね。俺はこの会社に入りたくてきたから……最初はわけも分からなくて入ったんですけど。本当によかったとそう思っています」
「それはよかった。鍛錬の時間をくれる企業なんてないだろうからね。ここはとてもいい企業だと僕は思うよ」
「はい。言葉も普通になりましたし。護さんには感謝しかないです」
「後でそう伝えるといいよ」
ゆっくりとした時間はあっという間に過ぎ。
閉店の時間になった。
今日は後は帰るだけ。
後片付けを終え。
エレナさんはよく飲んだようで酔っ払っていた。
嫌な予感しかしない。
「あー! ったくどこに行ってたのよ!? 呼んだらこいって言ったでしょ!?」
チラッと咲月さんを見ると。
ため息をついていた。
「何にも用がないのに呼ぼうとするんですものぉ。危機的状況なら呼びますけどぉ」
俺の休憩時間を守ってくれたのか。
有難う御座います。咲月さん。
「エレナさん、私達も仕事なので、交代交代にやらせてもらうって言いましたよね?」
「そりゃ、言ってたわ。まぁ、いいわ。帰りは亮が送ってくれるのよね?」
「チームで送ります」
ムスッとした顔をする。
そんな顔されてもこっちは仕事だぞ。
何が来るかもわからない。
警戒を怠る訳にはいかない。
そういえば、なんで雇ったのか聞いてなかったな。
「車が来たようだよ」
よしさんが案内してくれる。
進もうとすると腕を組んできた。
柔らかいものが当たる。
いやいやいや。
勘弁してくださいよ。
理性保つの大変なんですから。
「エレナさん?」
「この位はいいでしょ?」
「はぁ。わかりました。行きますよ」
俺も警戒するが動けない。
よしさんと咲月さんが警戒してくれる。
車に乗り込んだ。
しなだれかかってくる。
だから、止めてくれって。
「エレナさん。ちゃんと座ってください」
「いいじゃない。眠いんだもの」
寄りかかったままスヤスヤと眠り出した。
おいおい。
部屋までお姫さま抱っことか言わないですよね。
「亮くん。見せつけてくれるねぇ」
よしさんが余計なことを言い。
「ちっ! 何でこいつだけ!」
「なに? 羨ましいの?」
「いえっ! 羨ましくないっす!」
蓮さんと咲月さんが夫婦漫才のようなやり取りをしている。
二人ともお似合いなんじゃないですかね。
しばし、車に揺られる。
高層マンションが見えてきた。
エレナさんをゆする。
「エレナさん。着きましたよ?」
「うーん。やだ。眠い」
「エレナさん。今日で契約終わりましょうか?」
「それは……嫌だから起きるわ。さぁ、降りましょう」
ムクっと起き上がった。
ドアをスライドさせて降りる。
周りを警戒する。
エントランスに向かう。
郵便受けに一人フードを被った人。
間に入るように位置取る。
カードをかざして入る。
一緒のタイミングで入ってきた。
エレベーターの前で並ぶ。
少しエレナさんを下がらせる。
「なぁにぃ?」
「いいから下がってください」
小声で声をかける。
渋々下がる。
ピンポーンとエレベーターが来たことを知らせる。
俺達は乗ろうとしない。
エレナさんも抑える。
フードのやつも乗ろうとしない。
少し構える。
来るか?
スッとエレベーターに乗っていく。
扉が閉まる。
エレベーターが止まるのを確認する。
止まったのは二十一階だった。
住人だったか?
よしさんは下で待ってる。
エレナさんとエレベーターに乗り込む。
五十二階を指定しようとするとボタンがない。
はあ?
「エレナさん? どうやって部屋行くんです?」
「あっ、カード必要だった」
カードを差す。
自動で上がっていく。
あっ、元々1人で乗らなきゃ行けなかったんだ。
そんなのある?
「あっ、専用のエレベーター使えばよかったぁ」
エレナさん。
しっかりしてくれ。
扉が開き。
回数を見ると五十階以上は映らないらしい。
セキュリティがしっかりしてる。
扉の前にくる。
「エレナさん着きましたよ?」
「はぁい」
カードをかざして開ける。
開け放って中が見えてしまう。
なんか色々散乱してるけど……。
「亮、中入らない?」
「ここまで送るのが仕事です。中には入りませんよ」
「えぇー。追加でお金払えばいい?」
「うちは警備会社です。そういうのはしてません。チームのみんなが下で待ってますし、勘弁してください」
「じゃあ、休みの日はいい?」
「そういうの依頼人とはダメらしいです」
「かたいぃ! いいじゃなーい!」
「おやすみなさい」
「むーー! まぁ、いいわ。明日もあるし」
そういうと扉を閉めた。
はぁ。勘弁してくれよ。
床に転がってた下着とかモロに目に焼き付いちまったよ。
やっぱ大きいん────。
『何か問題あった?』
よしさんだ。
遅いから連絡が来たんだ。
上に来るのは一人だけという指示だったから一人でしか来れないんだ。
「問題ありません。今降ります」
『了解』
この日は大きな騒動は起きなかった。
そういえば、雇われた理由聞くの忘れたな。
「なんですか? そんなチートみたいな言い方しないで下さいよ」
「いやいや、実際羨ましいよ。僕も君みたいだったらと思っちゃうよね」
「そんな……」
俺なんて大した人間じゃない。
喧嘩ばかりして大切な人を殺されたただの惨めな人間だ。
だから人を守るためにこの仕事をしたいと思ったんだ。
「よしさんは、どうしてこの会社に?」
「んー。僕はねぇ元々体が弱くて目立たない子だったんだ……」
「えっ!? よしさんが!?」
今のマッチョでガタイのいい身体からは想像ができない。
ずっと強いままなのかと思ってた。
「そう。実はドラマの影響なんだ。ボディーガードのドラマがあってねぇ。カッコイイからなりたかったんだよね」
「へぇ。よしさんもそういうのあるんですね」
「うん。あるよ。その為に身体も鍛えたしね」
長い間鍛え上げてきたであろう肉体はそれを物語る様に隆々と主張している。
「親が貧乏サラリーマンでねぇ。金が無いのに僕が病弱なものだから大変でねぇ。筋トレに明け暮れてなんとか職を見つけたと思ったら、とんでもない、ブラック企業でね。転々と警備会社を渡り歩いてきたんだ」
「それは……大変でしたね」
思わず暗い顔になってしまった。
よしさんは笑顔で笑う。
「そんな事ないんだ。この会社に来れたから。護さんが僕をスカウトしてくれたんだ」
「そうだったんですね。俺はこの会社に入りたくてきたから……最初はわけも分からなくて入ったんですけど。本当によかったとそう思っています」
「それはよかった。鍛錬の時間をくれる企業なんてないだろうからね。ここはとてもいい企業だと僕は思うよ」
「はい。言葉も普通になりましたし。護さんには感謝しかないです」
「後でそう伝えるといいよ」
ゆっくりとした時間はあっという間に過ぎ。
閉店の時間になった。
今日は後は帰るだけ。
後片付けを終え。
エレナさんはよく飲んだようで酔っ払っていた。
嫌な予感しかしない。
「あー! ったくどこに行ってたのよ!? 呼んだらこいって言ったでしょ!?」
チラッと咲月さんを見ると。
ため息をついていた。
「何にも用がないのに呼ぼうとするんですものぉ。危機的状況なら呼びますけどぉ」
俺の休憩時間を守ってくれたのか。
有難う御座います。咲月さん。
「エレナさん、私達も仕事なので、交代交代にやらせてもらうって言いましたよね?」
「そりゃ、言ってたわ。まぁ、いいわ。帰りは亮が送ってくれるのよね?」
「チームで送ります」
ムスッとした顔をする。
そんな顔されてもこっちは仕事だぞ。
何が来るかもわからない。
警戒を怠る訳にはいかない。
そういえば、なんで雇ったのか聞いてなかったな。
「車が来たようだよ」
よしさんが案内してくれる。
進もうとすると腕を組んできた。
柔らかいものが当たる。
いやいやいや。
勘弁してくださいよ。
理性保つの大変なんですから。
「エレナさん?」
「この位はいいでしょ?」
「はぁ。わかりました。行きますよ」
俺も警戒するが動けない。
よしさんと咲月さんが警戒してくれる。
車に乗り込んだ。
しなだれかかってくる。
だから、止めてくれって。
「エレナさん。ちゃんと座ってください」
「いいじゃない。眠いんだもの」
寄りかかったままスヤスヤと眠り出した。
おいおい。
部屋までお姫さま抱っことか言わないですよね。
「亮くん。見せつけてくれるねぇ」
よしさんが余計なことを言い。
「ちっ! 何でこいつだけ!」
「なに? 羨ましいの?」
「いえっ! 羨ましくないっす!」
蓮さんと咲月さんが夫婦漫才のようなやり取りをしている。
二人ともお似合いなんじゃないですかね。
しばし、車に揺られる。
高層マンションが見えてきた。
エレナさんをゆする。
「エレナさん。着きましたよ?」
「うーん。やだ。眠い」
「エレナさん。今日で契約終わりましょうか?」
「それは……嫌だから起きるわ。さぁ、降りましょう」
ムクっと起き上がった。
ドアをスライドさせて降りる。
周りを警戒する。
エントランスに向かう。
郵便受けに一人フードを被った人。
間に入るように位置取る。
カードをかざして入る。
一緒のタイミングで入ってきた。
エレベーターの前で並ぶ。
少しエレナさんを下がらせる。
「なぁにぃ?」
「いいから下がってください」
小声で声をかける。
渋々下がる。
ピンポーンとエレベーターが来たことを知らせる。
俺達は乗ろうとしない。
エレナさんも抑える。
フードのやつも乗ろうとしない。
少し構える。
来るか?
スッとエレベーターに乗っていく。
扉が閉まる。
エレベーターが止まるのを確認する。
止まったのは二十一階だった。
住人だったか?
よしさんは下で待ってる。
エレナさんとエレベーターに乗り込む。
五十二階を指定しようとするとボタンがない。
はあ?
「エレナさん? どうやって部屋行くんです?」
「あっ、カード必要だった」
カードを差す。
自動で上がっていく。
あっ、元々1人で乗らなきゃ行けなかったんだ。
そんなのある?
「あっ、専用のエレベーター使えばよかったぁ」
エレナさん。
しっかりしてくれ。
扉が開き。
回数を見ると五十階以上は映らないらしい。
セキュリティがしっかりしてる。
扉の前にくる。
「エレナさん着きましたよ?」
「はぁい」
カードをかざして開ける。
開け放って中が見えてしまう。
なんか色々散乱してるけど……。
「亮、中入らない?」
「ここまで送るのが仕事です。中には入りませんよ」
「えぇー。追加でお金払えばいい?」
「うちは警備会社です。そういうのはしてません。チームのみんなが下で待ってますし、勘弁してください」
「じゃあ、休みの日はいい?」
「そういうの依頼人とはダメらしいです」
「かたいぃ! いいじゃなーい!」
「おやすみなさい」
「むーー! まぁ、いいわ。明日もあるし」
そういうと扉を閉めた。
はぁ。勘弁してくれよ。
床に転がってた下着とかモロに目に焼き付いちまったよ。
やっぱ大きいん────。
『何か問題あった?』
よしさんだ。
遅いから連絡が来たんだ。
上に来るのは一人だけという指示だったから一人でしか来れないんだ。
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