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42.空飛ぶ亀さん
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空を埋め尽くす空飛ぶ亀さん。
一体がでかいので十体程だが、視界をさえぎっている。
「上空へと総攻撃ー!」
「「「おぉぉぉぉー!」」」
ソラさんの号令が飛ぶ。
地鳴りのような了承の声が響き渡る中、魔法師たちは亀へ向けて魔法を放っているのだ。
だが、それは下の甲羅で阻まれているので無駄に終わる。この攻略法を俺は知っている。
「ギャハハハ! マセラ! お前の土管工殺法を見せてやれ!」
「行ってきます!」
跳躍した勢いで空を蹴り、そのまま天へと向けて駆けていく。亀より上に出たところで叫ぶ。
「落としますからねー!」
下を見るとバカラさんが手招きをしている。
亀の甲羅を上から踏みつけていく。
翼をなくした亀がどんどん地上へと降りていく。重低音を響かせながら地面に激突して尚、歩いて進んでくるというタフさ。
全部踏み終わると地上は亀に埋め尽くされている感じである。それぞれのクランやパーティが火で炙ったり風の魔法をぶち当てたりしている。
うちのクランに一番近い亀に降り立つ。やることは一つ。笛を吹くのだ。天国でも使えるやつ。亀はその音が煩わしくて顔を出してくる。そこをバカラさんが一撃という戦法だ。
これは何体もやっつけた。
そしたらみんなレベルが上がったみたいで喜んでいた。良かった良かった。
天は晴れ渡り、夕日が傾いていた。
第五波まで耐えたがまだあるのだろうか。
『イベントはここまでで終わりだよぉ! こんなに早くクリアするなんて驚いたなぁ。もうちょっとかかると思ったんだけど。貢献度によるランキングが明日朝九時に発表されるよぉ! それじゃあねぇ!』
元気なアナウンスは消えていった。
「ギャハハハッ! こりゃうちらのクランが良いとこは貰っていけそうだなぁ」
「たしかに俺は多少は貢献したと思いますし、期待していいですよね!?」
「あぁ、期待してればいいさ! ただな、ネムちゃんはゲットできないからな? それだけはわかっておけよ!? ギャハハハハ!」
「それは分かりますよぉ」
拗ねたように言うと鼻で笑ったキンドさん。
「はっ! マセラはそんなんもわからんほどぶっ飛んどるかもしれんやろ? まぁ、前回のイベントでも貰ってるからやなぁ。羨ましいわぁ」
「キンドさんも物資補給とかしましたからね。そういうのも貢献ポイントになってるんじゃないですか? じゃないと、生産職が活躍できないじゃないですか」
「まぁ、せやなぁ。そう思うしかないわな」
キンドさんはさっさと街へと帰っていってしまった。みんなで後を追うように街へと戻って行った。そして、ネムさんの店へ。
「ネムちゃん、エールくれや! 今日は飲むぞぉ! 疲れた疲れた! ギャハハハハ!」
バカラさんがいつになく上機嫌なのは何でだろう?
「バカラさん、マセラ様が期待以上に動いてくれたから他のクランから羨ましがられたりして鼻が高かったみたいですわよ?」
シルフィが教えてくれた。なんか途中から上機嫌だなと思ったらそういうことだったのか。
「みなさん! この街を守って頂いて本当に有難うございます! 今日は私達からご馳走します! お好きに召し上がってください!」
「ギャハハハハ! ネムちゃん細っぱらぁ!」
バカラさんがでかい声でわけわかんないこと言ってる。太っ腹じゃないから細って言ったんだろうけど。
「マセラさん、有難うございます! なんか活躍されたみたいですね? 見ていた街の人達が大興奮してましたよ?」
「はははっ。頑張りました! 役に立てて良かったですよぉ。街を守れた。それが一番です!」
「ふふふっ。有難うございます! 生姜焼きにしますか?」
「はい!」
ニコッと笑って奥に消えていった。
あの笑顔を守ることがてきて本当に良かった。報酬はあんまり考えていなかった。
まぁ、貰えたらいいかな。
と思ってたんだけど。
次の日の九時にみんなで集まってランキング発表をライブ配信されたのでゲーム内で見ていたのだ。
貢献度ランキング
一位 ソラ
二位 マセラ
三位 バカラ
四位 ナーグ
五位 コーエイ
六位 ナグ
七位 メイメイ
八位 チュウメイ
九位 ガンゴ
十位 シルフィ
「やっぱりワイないやん! 入ってるかもと期待した俺が馬鹿やったわ!」
これを見てブチ切れたのはキンドさん。まぁ、支援で十位には入らなかったか。ソラさんの功績はかなり大きいと思うから納得。
まさか、俺が二位とはね。これはすごい嬉しい。いいものゲットできたら一気に地獄エリアクリアできるもんな。
ギフトが届いていたのだが、青いガチャ箱だった。しかもスーパーレア確定ガチャらしい。これはかなりいいものが期待できる。
ちなみにバカラさんも青いガチャ箱だったらしい。レア確定ガチャ箱だった。
意を決して箱を開けてみた。
光を放って箱から現れたのは大振りの刀。
銘を『無斬』
刀の効果は無の物をも斬ることができる。
「おぉー! なんかええやん! 魔法切れるってこったな? キモッ!」
「ちょっ、キモは酷くないですか?」
「ギャハハハハ! マセラがまたキモくなるー!」
キンドさんもバカラさんも酷いものである。周りで笑っているみんなも同罪ですからね。
ちなみにコソッと引いたシルフィはアクセサリーだったみたいで、魔力回復効果があるらしい。
「そういうバカラさんは?」
「これ」
見せてくれたのはナックルガード。
銘は『暴れん坊』
効果はダメージを受けても怯まずに攻撃を繰り出すことが出来る。
「ピッタリじゃないですか」
「ただなぁ。紙装甲にはキツくねぇか?」
否定はできない。
バカラさん防御値ペラッペラだもんなぁ。
一体がでかいので十体程だが、視界をさえぎっている。
「上空へと総攻撃ー!」
「「「おぉぉぉぉー!」」」
ソラさんの号令が飛ぶ。
地鳴りのような了承の声が響き渡る中、魔法師たちは亀へ向けて魔法を放っているのだ。
だが、それは下の甲羅で阻まれているので無駄に終わる。この攻略法を俺は知っている。
「ギャハハハ! マセラ! お前の土管工殺法を見せてやれ!」
「行ってきます!」
跳躍した勢いで空を蹴り、そのまま天へと向けて駆けていく。亀より上に出たところで叫ぶ。
「落としますからねー!」
下を見るとバカラさんが手招きをしている。
亀の甲羅を上から踏みつけていく。
翼をなくした亀がどんどん地上へと降りていく。重低音を響かせながら地面に激突して尚、歩いて進んでくるというタフさ。
全部踏み終わると地上は亀に埋め尽くされている感じである。それぞれのクランやパーティが火で炙ったり風の魔法をぶち当てたりしている。
うちのクランに一番近い亀に降り立つ。やることは一つ。笛を吹くのだ。天国でも使えるやつ。亀はその音が煩わしくて顔を出してくる。そこをバカラさんが一撃という戦法だ。
これは何体もやっつけた。
そしたらみんなレベルが上がったみたいで喜んでいた。良かった良かった。
天は晴れ渡り、夕日が傾いていた。
第五波まで耐えたがまだあるのだろうか。
『イベントはここまでで終わりだよぉ! こんなに早くクリアするなんて驚いたなぁ。もうちょっとかかると思ったんだけど。貢献度によるランキングが明日朝九時に発表されるよぉ! それじゃあねぇ!』
元気なアナウンスは消えていった。
「ギャハハハッ! こりゃうちらのクランが良いとこは貰っていけそうだなぁ」
「たしかに俺は多少は貢献したと思いますし、期待していいですよね!?」
「あぁ、期待してればいいさ! ただな、ネムちゃんはゲットできないからな? それだけはわかっておけよ!? ギャハハハハ!」
「それは分かりますよぉ」
拗ねたように言うと鼻で笑ったキンドさん。
「はっ! マセラはそんなんもわからんほどぶっ飛んどるかもしれんやろ? まぁ、前回のイベントでも貰ってるからやなぁ。羨ましいわぁ」
「キンドさんも物資補給とかしましたからね。そういうのも貢献ポイントになってるんじゃないですか? じゃないと、生産職が活躍できないじゃないですか」
「まぁ、せやなぁ。そう思うしかないわな」
キンドさんはさっさと街へと帰っていってしまった。みんなで後を追うように街へと戻って行った。そして、ネムさんの店へ。
「ネムちゃん、エールくれや! 今日は飲むぞぉ! 疲れた疲れた! ギャハハハハ!」
バカラさんがいつになく上機嫌なのは何でだろう?
「バカラさん、マセラ様が期待以上に動いてくれたから他のクランから羨ましがられたりして鼻が高かったみたいですわよ?」
シルフィが教えてくれた。なんか途中から上機嫌だなと思ったらそういうことだったのか。
「みなさん! この街を守って頂いて本当に有難うございます! 今日は私達からご馳走します! お好きに召し上がってください!」
「ギャハハハハ! ネムちゃん細っぱらぁ!」
バカラさんがでかい声でわけわかんないこと言ってる。太っ腹じゃないから細って言ったんだろうけど。
「マセラさん、有難うございます! なんか活躍されたみたいですね? 見ていた街の人達が大興奮してましたよ?」
「はははっ。頑張りました! 役に立てて良かったですよぉ。街を守れた。それが一番です!」
「ふふふっ。有難うございます! 生姜焼きにしますか?」
「はい!」
ニコッと笑って奥に消えていった。
あの笑顔を守ることがてきて本当に良かった。報酬はあんまり考えていなかった。
まぁ、貰えたらいいかな。
と思ってたんだけど。
次の日の九時にみんなで集まってランキング発表をライブ配信されたのでゲーム内で見ていたのだ。
貢献度ランキング
一位 ソラ
二位 マセラ
三位 バカラ
四位 ナーグ
五位 コーエイ
六位 ナグ
七位 メイメイ
八位 チュウメイ
九位 ガンゴ
十位 シルフィ
「やっぱりワイないやん! 入ってるかもと期待した俺が馬鹿やったわ!」
これを見てブチ切れたのはキンドさん。まぁ、支援で十位には入らなかったか。ソラさんの功績はかなり大きいと思うから納得。
まさか、俺が二位とはね。これはすごい嬉しい。いいものゲットできたら一気に地獄エリアクリアできるもんな。
ギフトが届いていたのだが、青いガチャ箱だった。しかもスーパーレア確定ガチャらしい。これはかなりいいものが期待できる。
ちなみにバカラさんも青いガチャ箱だったらしい。レア確定ガチャ箱だった。
意を決して箱を開けてみた。
光を放って箱から現れたのは大振りの刀。
銘を『無斬』
刀の効果は無の物をも斬ることができる。
「おぉー! なんかええやん! 魔法切れるってこったな? キモッ!」
「ちょっ、キモは酷くないですか?」
「ギャハハハハ! マセラがまたキモくなるー!」
キンドさんもバカラさんも酷いものである。周りで笑っているみんなも同罪ですからね。
ちなみにコソッと引いたシルフィはアクセサリーだったみたいで、魔力回復効果があるらしい。
「そういうバカラさんは?」
「これ」
見せてくれたのはナックルガード。
銘は『暴れん坊』
効果はダメージを受けても怯まずに攻撃を繰り出すことが出来る。
「ピッタリじゃないですか」
「ただなぁ。紙装甲にはキツくねぇか?」
否定はできない。
バカラさん防御値ペラッペラだもんなぁ。
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