憤怒のアーティファクト~伝説のおっさん、娘を探すために現役に復帰し無双する~

ゆる弥

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24.愚か者たち

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「へっへっへっ。さぁ。形勢逆転だ。お前ら、アーティファクト持ってんだろう? こっちへ寄越せ」

 どれがアーティファクトかはわかっているようだ。
 寄越せと言われてやるわけがない。

「そうか。命が惜しくないということか」

 俺がそう呟くと、男たちは怒鳴り始めた。

「だれがしゃべっていいっていったんだよ!」「お前たちにしゃべる権利なんてねぇんだよ!」「女はこっちこい! かわいがってやるぜぇ!」

 どいつもコイツもクズな様だ。俺は元々こいつらを許すつもりはなかった。

「くっくっくっ。おめでたい頭だことなぁ?」
「ちょっ。ヤマトさん!」

 ヤマトが挑発するようにそう言い放つ。それを咎めるサーヤ。

「なんだぁ? きさまぁ! 状況がわかってんのか!?」「こっちはいつでも刺せるんだぞ!」

 それでも笑っているヤマト。

「ほいっ。ほいっ。ほいっ」

 笑ながら子供達三人を指さす。

「動きやがったなぁ! こうだ!」

 一人の男が子供を刺そうとナイフを振り下ろした──ガキンッ─のだが何かに阻まれる。

「なっ! なんだこれは!」
「くっくっくっ。何って? 魔法だけど?」

 俺は我慢の限界だった。

「ファイアーアロー三連」

 目の前に展開した炎の矢で三人の男の頭を射抜いた。

「あぁーあ。殺しちゃった。証言者がいなくなったじゃん!」
「仕方がない。子供は戻ったんだ。良しとしよう。あと、この地下通路もちゃんと調べて他の共犯者も洗い出してもらうことにするか」

 子供をつれて地上へと出た。ちゃんと入口らしきところもあった。梯子がついていたのだ。

 もう外は薄暗くなっている。子供を連れたままギルドへ向かう。

 向かう道中色々な人に状況を聞かれて事件を解決したと伝える。

「流石です! 特級探索者!」

 ギルドマスターが出てきて俺達を労ってくれた。
 サーヤは照れ臭そうにしていた。
 自分は何もしていないと。

 パーティでの功績だから誇っていいのに、まじめな子だ。

 こうなったいきさつと剣を出してこれをリーダーが持っていたと離すと納得してくれた。

 そして、今回のは依頼の報酬のほかに剣の買い取り額も上乗せするという。

 地下の通路とアジトはギルドが有効活用するとのこと。これで安心だ。

 八千万ガルになった報酬はカードにいれてもらい、十万ガル程現金でもらう。

「ししょー! お金持ちになれてよかったですね!?」
「別に、もともと困ってないからな?」
「いいじゃないですかー! 美味しい物食べましょうよぉ。それに、私も欲しいのあるんですよぉ。最近下着が小さくて……」

 サーヤよ。その立派なものはまだ成長しているのかい?

 最近の若い子は凄いなと思いながら、頷くことしかできなかった。

 マナもそんなに大きかっただろうかと考えてしまう。

 以前見た下着姿のサーヤを思い出してしまい、頭を振る。

「ガイルゥ。お前、こんな若い娘がいいのか?」
「違う! けして違うぞ! 娘のように思っている。だから断じてそのようなことはない!」

 ニヤニヤしながら詰め寄ってくるヤマトを振り払う。

「さぁ。何かうまいものでも食いに行くか!」
 
 勢いよくギルドを出た。すると、子供達とその親が待っていた。

「あのっ! 本当に、本当に有難う御座いました!」
「「「有難う御座いました!」」」

 皆が大通りで俺達に頭を下げている様は注目を浴びている。

「俺も子を持つ身です。気持ちはわかります。無事でよかったです。早く帰って、体を流して、何かおいしい物を一緒に食べて、寝かせてあげてください!」
 
 俺がそういうと親たちは頭を下げて去って行った。

「この街は大きいから色々と食べ物がある。サーヤはなにがいい?」
「ワタシは、麺というものを食べてみたいです!」
「あぁ。この街には確かあったと思うぞ」

 大通りを歩いて麺の店を探す。この地域では小麦が採れるからな。名物になっているんだ。

「ここがいいんじゃないか?」

 自分が食べたことのあるところではないが、肉のいい香りがする麺屋にした。

「わー! なんですか!? このメニュー! 肉のせ麺! これがいいです!」

 サーヤははしゃぐようにそう宣言した。
 ヤマトもそれに賛同する。
 それを聞いていた俺は店員を呼んだ。

「肉のせ麺三つ」
「あいよ!」

 奥に消えていくとオーダーを通したのだろう。戻ってきた店員は俺達に水をくれた。

 そういえば喉が渇いたな。そう思った時にはもう水を飲み干していた。

「すまん! 酒はあるかな?」
「はい! エールと地酒がありますが?」
「じゃあ、とりあえず、エール二つで」

 酒を頼むとちゃっちゃとエールと樽から入れてくれている。

「はい! おまち!」

 ジョッキが俺とサーヤの前に来る。

「えぇっ!? ワタシ?」
「エール飲めるだろ? 乾杯しよう」
「ヤマトさんは?」
「こいつは飲めないんだ」
「えぇー!?」

 凄く意外そうに驚いているが、俺の中ではそれが常識となっている。

「俺様は、そんなものは飲まん! ハッハッハッ!」
「こいつめちゃくちゃ弱いから一口で倒れちまうんだ。全然一緒にいて面白くねぇんだよ」
「それ、酷いのではないか!?」

 俺はその突っ込みを無視してサーヤとグラスを掲げあい乾杯をする。

 そして一気に胃袋にエールを流し込む。

「がぁぁぁ! うまい! くぅぅぅぅ!」

 誘拐事件はこうして解決した。
 俺達が去ってからの話だが、アジトを見つけてからそれが繋がっている場所を洗い出して共犯者を捕まえたんだとか。
 結構な数の人が捕まったそうだ。

 世紀の大事件となったらしい。
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