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22.誘拐犯を追え!
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ギルドで誘拐事件の依頼を受けた。
依頼人は誘拐された子供達の親。
誘拐されたのは、一人ではなかったみたい。
こうなってくるとどこかへ奴隷として売られてしまうかもしれない。運ばれる前に見つけ出さないと。
「なぁ、一人一人の親に話を聞くのかぁ?」
ヤマトが面倒だと言いたそうに呟いた。
聞き込みなんてしたくないんだろう。
だが、犯人の居場所の目処がたっていないからある程度の目星をつけたいんだが。
「居所の判断できる材料が欲しい」
「なるほどぉ。片っ端から食っちまうかぁ?」
「やめろ。街が壊れるだろ?」
今はギルドで依頼人たちの資料を見ながら場所を確認している。どうしたものか。
「あれ? これって、前の人達が失敗したから特級になったんですよね? なんで失敗したんですか?」
「……サーヤ、鋭いな」
サーヤを褒めつつギルド職員に聞いてみた。
帰ってきた返事は「よくわからないだった」失敗した探索者はみな死んでしまっているとのこと。
話を聞けないから分からない。ということらしい。
「とりあえず、話を聞きに行くか」
依頼人の場所を覚えた俺達は依頼人の元へと行くことにした。
この広い街の中で覚えるのも一苦労だった。
ギルドを出るとまずは道具屋へと向かう。
北へ向かって歩きテントの絵の看板を目指す。
野営道具を多く取り扱っているために、テントの絵なんだとか。
大通りを歩いていると良いにおいがしてくる。
──ぐぅぅぅぅぅぅ
「うぅぅ。すみませーん」
「サーヤ、腹減ったか? もう昼だもんな。なんか食うか」
そう呟きながら店を見ていると、サーヤが指さした。
さした先には串焼きの店。
スパイスの香りがしている。
「おぉぉ。はらぁへったもんなぁ。俺様も腹減ったし」
「ヤマトもあれがいいか?」
今見ている串焼きの店は肉を串に刺して焼いている店だからだ。
「そうだなぁ。俺様もそうするぜえ」
屋台のおっちゃんから串焼きを六本買った。一人二本ずつだ。
一つ口にいれるとスパイスの香ばしい香りが鼻を抜けていき、肉のうまみが口の中に広がる。
「うまいっ!」
「美味しいですね!」
「あぁ! 一本食われた!」
ヤマトは一本暴食に食われてしまったみたいだ。しょうがない。もう一本買ってやろう。
食いながら歩いていく。
食べ終わる頃には道具屋についた。
ちなみに串は暴食が食ってくれた。便利。
「すみませーん! 依頼の件でお話を伺いにきましたー!」
中から物音がしたかと思うと玄関から顔を覗かせたのはやせ細った感じの女性だった。
そうとう心配していたんだろう。飯も食えているのだろうか。
「はい。依頼って誘拐の件ですか? 報酬を高くしないといけないと聞きましたけど?」
「そうですね。ギルドの決まりで。私は特級の探索者です」
「そうなんですか!? どうか、娘を! 娘を救ってください!」
「落ち着いてください。我々も助けたいんです。それで、犯人にはどこでさらわれたんですか?」
「中央のメインストリートですよ! ちょっと目を離したすきに! どこかへ連れて行かれたんです!」
なるほどな。ということはメインストリートからどこか逃げ込める場所があるということだ。目を離した隙に死角に潜り込める場所が。
「ちなみに、詳しい場所を聞いてもいいですか?」
「メインストリートの──」
俺達は誘拐されたとされる野菜売り場に来ていた。
「いらっしゃい!」
「誘拐事件の事で、依頼を受けた探索者です。ちょっとこの辺見させてもらいますよ?」
「あ、あぁ。どうぞ?」
なんだが、しどろもどろだな。
前の探索者達も来ただろうに。
八百屋の横には人が一人ギリギリ通れるくらいの幅の隙間が空いている。
「この先へ行くぞ?」
「えぇ? この先へですか?」
体を入れてその先へと進んでみる。
進んだ先には隣の通りだ。
「ただ、隣の通りに出ただけですねぇ?」
特に異常はないか……。
またさっきの通りへともどる。
野菜売り場の店主に話を聞く。
「仕事中申し訳ないが、少しいいだろうか?」
「は、はい! なんでございやしょう!?」
「それはな、あなた……何でそんなに緊張してるんだ?」
「えぇ!? そ、それは。誘拐事件の捜査をしていると聞いてっ!……!?」
店主に詰め寄るヤマト。
顔がつくのではないかと思うくらい近づけている。
「あんた、なんか臭うなぁ……クンクンッ」
「な、なんだい一体!? 勘弁して欲しいなぁ!」
「甘い匂いがする……」
それを聞いた俺は閃いた。
「甘いって……」
サーヤはヤマトが何を言っているか分かっていないようだ。
「なぁ、おやっさん? どこかの子供に甘いもの上げてたりするのかい?」
店主のおじさんの顔はみるみる青くなり、冷や汗をかいている。
「どうしたんです?」
「俺は知らねぇ!」
そう叫びながら店先にあった野菜の乗っていたテーブルをひっくり返して隙間へ逃げていった。
「あっ! おい!」
野菜売り場の店主はもう居なくなっていた。どこに行ったのか分からない。
「ヤマト、臭い追えるか?」
「はっ! 俺様を誰だと思ってる! 任せろ!」
ヤマトは野菜売り場の隙間へと入っていくと鼻をクンクンッとさせながらゆっくりと歩いている。
「甘い匂いは、ここで途絶えている」
隣の通りへと行く前に道の途中で途切れているみたいだ。
下には石の板が並べられている道だが……。
指をひっかけて石の板をはがしてみると、ポッカリとした空間が広がっていた。
「こりゃぁ……」
「ハッハッハッ! 隠し通路か!」
この街は誘拐犯に支配されている?
依頼人は誘拐された子供達の親。
誘拐されたのは、一人ではなかったみたい。
こうなってくるとどこかへ奴隷として売られてしまうかもしれない。運ばれる前に見つけ出さないと。
「なぁ、一人一人の親に話を聞くのかぁ?」
ヤマトが面倒だと言いたそうに呟いた。
聞き込みなんてしたくないんだろう。
だが、犯人の居場所の目処がたっていないからある程度の目星をつけたいんだが。
「居所の判断できる材料が欲しい」
「なるほどぉ。片っ端から食っちまうかぁ?」
「やめろ。街が壊れるだろ?」
今はギルドで依頼人たちの資料を見ながら場所を確認している。どうしたものか。
「あれ? これって、前の人達が失敗したから特級になったんですよね? なんで失敗したんですか?」
「……サーヤ、鋭いな」
サーヤを褒めつつギルド職員に聞いてみた。
帰ってきた返事は「よくわからないだった」失敗した探索者はみな死んでしまっているとのこと。
話を聞けないから分からない。ということらしい。
「とりあえず、話を聞きに行くか」
依頼人の場所を覚えた俺達は依頼人の元へと行くことにした。
この広い街の中で覚えるのも一苦労だった。
ギルドを出るとまずは道具屋へと向かう。
北へ向かって歩きテントの絵の看板を目指す。
野営道具を多く取り扱っているために、テントの絵なんだとか。
大通りを歩いていると良いにおいがしてくる。
──ぐぅぅぅぅぅぅ
「うぅぅ。すみませーん」
「サーヤ、腹減ったか? もう昼だもんな。なんか食うか」
そう呟きながら店を見ていると、サーヤが指さした。
さした先には串焼きの店。
スパイスの香りがしている。
「おぉぉ。はらぁへったもんなぁ。俺様も腹減ったし」
「ヤマトもあれがいいか?」
今見ている串焼きの店は肉を串に刺して焼いている店だからだ。
「そうだなぁ。俺様もそうするぜえ」
屋台のおっちゃんから串焼きを六本買った。一人二本ずつだ。
一つ口にいれるとスパイスの香ばしい香りが鼻を抜けていき、肉のうまみが口の中に広がる。
「うまいっ!」
「美味しいですね!」
「あぁ! 一本食われた!」
ヤマトは一本暴食に食われてしまったみたいだ。しょうがない。もう一本買ってやろう。
食いながら歩いていく。
食べ終わる頃には道具屋についた。
ちなみに串は暴食が食ってくれた。便利。
「すみませーん! 依頼の件でお話を伺いにきましたー!」
中から物音がしたかと思うと玄関から顔を覗かせたのはやせ細った感じの女性だった。
そうとう心配していたんだろう。飯も食えているのだろうか。
「はい。依頼って誘拐の件ですか? 報酬を高くしないといけないと聞きましたけど?」
「そうですね。ギルドの決まりで。私は特級の探索者です」
「そうなんですか!? どうか、娘を! 娘を救ってください!」
「落ち着いてください。我々も助けたいんです。それで、犯人にはどこでさらわれたんですか?」
「中央のメインストリートですよ! ちょっと目を離したすきに! どこかへ連れて行かれたんです!」
なるほどな。ということはメインストリートからどこか逃げ込める場所があるということだ。目を離した隙に死角に潜り込める場所が。
「ちなみに、詳しい場所を聞いてもいいですか?」
「メインストリートの──」
俺達は誘拐されたとされる野菜売り場に来ていた。
「いらっしゃい!」
「誘拐事件の事で、依頼を受けた探索者です。ちょっとこの辺見させてもらいますよ?」
「あ、あぁ。どうぞ?」
なんだが、しどろもどろだな。
前の探索者達も来ただろうに。
八百屋の横には人が一人ギリギリ通れるくらいの幅の隙間が空いている。
「この先へ行くぞ?」
「えぇ? この先へですか?」
体を入れてその先へと進んでみる。
進んだ先には隣の通りだ。
「ただ、隣の通りに出ただけですねぇ?」
特に異常はないか……。
またさっきの通りへともどる。
野菜売り場の店主に話を聞く。
「仕事中申し訳ないが、少しいいだろうか?」
「は、はい! なんでございやしょう!?」
「それはな、あなた……何でそんなに緊張してるんだ?」
「えぇ!? そ、それは。誘拐事件の捜査をしていると聞いてっ!……!?」
店主に詰め寄るヤマト。
顔がつくのではないかと思うくらい近づけている。
「あんた、なんか臭うなぁ……クンクンッ」
「な、なんだい一体!? 勘弁して欲しいなぁ!」
「甘い匂いがする……」
それを聞いた俺は閃いた。
「甘いって……」
サーヤはヤマトが何を言っているか分かっていないようだ。
「なぁ、おやっさん? どこかの子供に甘いもの上げてたりするのかい?」
店主のおじさんの顔はみるみる青くなり、冷や汗をかいている。
「どうしたんです?」
「俺は知らねぇ!」
そう叫びながら店先にあった野菜の乗っていたテーブルをひっくり返して隙間へ逃げていった。
「あっ! おい!」
野菜売り場の店主はもう居なくなっていた。どこに行ったのか分からない。
「ヤマト、臭い追えるか?」
「はっ! 俺様を誰だと思ってる! 任せろ!」
ヤマトは野菜売り場の隙間へと入っていくと鼻をクンクンッとさせながらゆっくりと歩いている。
「甘い匂いは、ここで途絶えている」
隣の通りへと行く前に道の途中で途切れているみたいだ。
下には石の板が並べられている道だが……。
指をひっかけて石の板をはがしてみると、ポッカリとした空間が広がっていた。
「こりゃぁ……」
「ハッハッハッ! 隠し通路か!」
この街は誘拐犯に支配されている?
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