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11.ガーディアン
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足を踏み入れた先には魔力に溢れていた。
「うっ。凄い魔力濃度ね……」
「ほぉ。魔力が濃いのか?」
「これは凄いです。探知を切った方がいいですね」
「そういう弊害もあるんだな」
「でも、切れるんで大丈夫ですよ?」
「そ、そうか。なんか便利だな」
「みんなできますよ?」
本当に最近の探索者達は技術がすごいのだな。思わず感心してしまう。
そんな話をしながら向かった先には、大きな魚の顔をして足が四本、腕が四本の大きな魔物がいた。
その周りには半魚人が十体ほど守っている。俺が周りの半魚人を受け持とうか。
「俺が周りを倒してやる。デカいのを任せるぞ?」
「えぇ!? あれを私が!?」
「アーティファクトに認められるにはこの戦いで活躍する必要がある」
それは昔に気が付いたこと。アーティファクトは見つけたものが必ず装備して使用できるものではない。何かを感知しているであろう、アーティファクトに認められる必要があるのだ。
「それなら、頑張ります!」
「おう。兵士具の魔力はサーヤなら超えられる!」
「はぁーい! いっきまーす!」
サーヤをその場へ置き去りにして俺は駆け出す。
スピードは現役には劣る。だが、それでもいい。今は俺に注目を集める必要がある。
「さぁ。こい!」
憤怒の腕輪に魔力を注入し、赤黒の煙が噴き出る。両拳に煙を纏わせ、スピードを上げた。
「ギギャギャギャァァァァァ!」
「うるせぇ!」
──スドンンッッ
一体の顔面を打ち抜く。その魚の頭は千切れとんだ。
「まだまだいくぞぉぉ!」
凄まじい衝撃音を響かせながら二体、三体を打ちのめしていく。
「ギィィギャァァァァ!」
咄嗟に横へ飛ぶ。
デカい奴からの拳が先ほどまでいた所に突き刺さる。
俺の役目はこのデカ物の気を引くことでもある。
「ハハハァァァ! テンションが上がってきやがった! みなぎるぜぇぇぇ!」
このギリギリの攻撃と回避に頭へ血が昇ってきた。
こうなると動きが良くなるのは俺の特性だ。
左から迫る三つ又を煙を纏った手で掴む。
引いて態勢を崩させて地面へ殴って叩きつける。
──バガァァァンンンッッ
衝撃でクレーターができあがった。
「次々行くぜぇぇ!」
テンションが上がっていたその頃。
◇◆◇
サーヤは自分のししょーであるガイルのテンションに引いていた。
「えぇぇ……。ししょーってあんなになっちゃうんだ。前衛職の人ってこういうのが恐いよねぇ」
あのデカ物を倒すにはワタシの全魔力を投入しないとダメかもしれない。
けど、まだ上級魔法を使うことはできていない。できても中級まで。
上級魔法となると大規模な津波を起こしたり水の渦を起こしたりできるんだけど。ワタシはそこまではできない。そういうところを先輩もまだまだだって言っていたんだと思う。
でも、ここで諦めたら上には行けない。先輩はいつもいっていた。アーティファクトを手に入れるチャンスが訪れたら、絶対に物にしろって。
「ワタシ、やるよー!」
魔力を高める。アクアカッターも中級魔法なんだけど、同じように改良されている魔法はある。
この魔法はワタシの中で一番威力のある魔法。
水の力を最大限に生かした、形状変化で勝負する魔法。
ワタシのイメージがその魔法の良しあしを決めるというもっともイメージの大事な魔法。
「少量の水でも、貫通力を高めた魔法。先端は槍のように尖らせる。そしてここからがワタシのイメージ。回転させれば貫通力が上がるはず!」
頭の中でイメージされている物を魔力で形成していく。
コバルトブルーの指輪を前に突出し、魔力を込め。
頭上にイメージで形成された魔力から生成された水が回転を始める。
魔物はししょーが引きつけてくれている。
流石ししょー!
一体もこっちに来てない。これなら……。
「うん。イケる! 魔力もってけー!」
ワタシの体の中からは魔力が抜けていく感覚が襲う。
膝が笑う。
まだよ。最後まで立っているのよ。
「行くわよー! アークーアー! スパイラルスピアァァァァ!」
頭上に浮かんでいた水の回転槍が射出される。
射出されていった回転槍は寸分違わず魚の頭へと向かっていく。
──ボッッッ
回転槍は頭に風穴を開け、一撃でその魔物を屠った。
ワタシの意識はここまで。
◇◆◇
「行くわよー! アークーアー! スパイラルスピアァァァァ!」
なんか凄いネーミングの魔法が放たれたのを感じながら最後の半魚人を倒したところだった。
後ろから凄まじいスピードでやってきた水の魔法は正確に魚頭を打ち抜いた。
デカ物は力を失い、地面へと沈んでいった。
「おぉぉぉぉぉ! すげぇぇぇぇ! サーヤ! 凄いじゃないかぁぁぁ!」
テンションMAXのままそう叫んで、サーヤに視線を向ける。
地面へと倒れこんでいた。
「サーヤ!」
駆け寄って容体を確認する。
抱き起して息をしているかを最初に確かめる。
「ふぅ。息はしているな。ということは……魔力切れか?」
サーヤを見ていると顔色が悪い。自分の背負い袋から魔力回復薬を取り出すと口へと流し込んでみる。
「がっ!……ごふっ!……ゴクッゴクッ」
なんだか咳き込ませてしまったが、飲んだし良しとしよう。
後に聞いたのだが、おぼれる夢をみたんだとか。
このことは黙っておこうと誓った。
「うっ。凄い魔力濃度ね……」
「ほぉ。魔力が濃いのか?」
「これは凄いです。探知を切った方がいいですね」
「そういう弊害もあるんだな」
「でも、切れるんで大丈夫ですよ?」
「そ、そうか。なんか便利だな」
「みんなできますよ?」
本当に最近の探索者達は技術がすごいのだな。思わず感心してしまう。
そんな話をしながら向かった先には、大きな魚の顔をして足が四本、腕が四本の大きな魔物がいた。
その周りには半魚人が十体ほど守っている。俺が周りの半魚人を受け持とうか。
「俺が周りを倒してやる。デカいのを任せるぞ?」
「えぇ!? あれを私が!?」
「アーティファクトに認められるにはこの戦いで活躍する必要がある」
それは昔に気が付いたこと。アーティファクトは見つけたものが必ず装備して使用できるものではない。何かを感知しているであろう、アーティファクトに認められる必要があるのだ。
「それなら、頑張ります!」
「おう。兵士具の魔力はサーヤなら超えられる!」
「はぁーい! いっきまーす!」
サーヤをその場へ置き去りにして俺は駆け出す。
スピードは現役には劣る。だが、それでもいい。今は俺に注目を集める必要がある。
「さぁ。こい!」
憤怒の腕輪に魔力を注入し、赤黒の煙が噴き出る。両拳に煙を纏わせ、スピードを上げた。
「ギギャギャギャァァァァァ!」
「うるせぇ!」
──スドンンッッ
一体の顔面を打ち抜く。その魚の頭は千切れとんだ。
「まだまだいくぞぉぉ!」
凄まじい衝撃音を響かせながら二体、三体を打ちのめしていく。
「ギィィギャァァァァ!」
咄嗟に横へ飛ぶ。
デカい奴からの拳が先ほどまでいた所に突き刺さる。
俺の役目はこのデカ物の気を引くことでもある。
「ハハハァァァ! テンションが上がってきやがった! みなぎるぜぇぇぇ!」
このギリギリの攻撃と回避に頭へ血が昇ってきた。
こうなると動きが良くなるのは俺の特性だ。
左から迫る三つ又を煙を纏った手で掴む。
引いて態勢を崩させて地面へ殴って叩きつける。
──バガァァァンンンッッ
衝撃でクレーターができあがった。
「次々行くぜぇぇ!」
テンションが上がっていたその頃。
◇◆◇
サーヤは自分のししょーであるガイルのテンションに引いていた。
「えぇぇ……。ししょーってあんなになっちゃうんだ。前衛職の人ってこういうのが恐いよねぇ」
あのデカ物を倒すにはワタシの全魔力を投入しないとダメかもしれない。
けど、まだ上級魔法を使うことはできていない。できても中級まで。
上級魔法となると大規模な津波を起こしたり水の渦を起こしたりできるんだけど。ワタシはそこまではできない。そういうところを先輩もまだまだだって言っていたんだと思う。
でも、ここで諦めたら上には行けない。先輩はいつもいっていた。アーティファクトを手に入れるチャンスが訪れたら、絶対に物にしろって。
「ワタシ、やるよー!」
魔力を高める。アクアカッターも中級魔法なんだけど、同じように改良されている魔法はある。
この魔法はワタシの中で一番威力のある魔法。
水の力を最大限に生かした、形状変化で勝負する魔法。
ワタシのイメージがその魔法の良しあしを決めるというもっともイメージの大事な魔法。
「少量の水でも、貫通力を高めた魔法。先端は槍のように尖らせる。そしてここからがワタシのイメージ。回転させれば貫通力が上がるはず!」
頭の中でイメージされている物を魔力で形成していく。
コバルトブルーの指輪を前に突出し、魔力を込め。
頭上にイメージで形成された魔力から生成された水が回転を始める。
魔物はししょーが引きつけてくれている。
流石ししょー!
一体もこっちに来てない。これなら……。
「うん。イケる! 魔力もってけー!」
ワタシの体の中からは魔力が抜けていく感覚が襲う。
膝が笑う。
まだよ。最後まで立っているのよ。
「行くわよー! アークーアー! スパイラルスピアァァァァ!」
頭上に浮かんでいた水の回転槍が射出される。
射出されていった回転槍は寸分違わず魚の頭へと向かっていく。
──ボッッッ
回転槍は頭に風穴を開け、一撃でその魔物を屠った。
ワタシの意識はここまで。
◇◆◇
「行くわよー! アークーアー! スパイラルスピアァァァァ!」
なんか凄いネーミングの魔法が放たれたのを感じながら最後の半魚人を倒したところだった。
後ろから凄まじいスピードでやってきた水の魔法は正確に魚頭を打ち抜いた。
デカ物は力を失い、地面へと沈んでいった。
「おぉぉぉぉぉ! すげぇぇぇぇ! サーヤ! 凄いじゃないかぁぁぁ!」
テンションMAXのままそう叫んで、サーヤに視線を向ける。
地面へと倒れこんでいた。
「サーヤ!」
駆け寄って容体を確認する。
抱き起して息をしているかを最初に確かめる。
「ふぅ。息はしているな。ということは……魔力切れか?」
サーヤを見ていると顔色が悪い。自分の背負い袋から魔力回復薬を取り出すと口へと流し込んでみる。
「がっ!……ごふっ!……ゴクッゴクッ」
なんだか咳き込ませてしまったが、飲んだし良しとしよう。
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このことは黙っておこうと誓った。
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