37 / 47
第一章 秋田編
37.男達の鍛錬
しおりを挟む
少しの休暇を貰った俺と雷斗は東北基地の訓練場に来ていた。
ここにきて何をするかというと組手だ。
「まずは軽くやろうか」
「はい!」
雷斗が返事と同時に左の突きを放ってくる。
少し身体を傾けて避けると俺も左の突きを放つ。
前後に身体を揺らしながらお互い突きを打ち合い身体を温めて行く。
「しっ!」
雷斗がギアを上げてきた。
下段蹴りを放ってきたのである。
バックステップで避けると、今度はこちらが左突き、続けて右突きと肉薄しながら放っていく。
「くっ!」
雷斗が苦し紛れのアッパーを放ってくる。それをのけ反りながら下がって避け、右の上段蹴りを放つ。
ガードできずに頭へくらってしまった。
軽く放った蹴りだったから大丈夫だろうと思ったが、少しよろけた。
「大丈夫か?」
「まだやれます!」
「慌てなくていいぞ。相手の動きをよく見た方がいい」
「はい!」
こうして十分ほど組手を行いいったん休憩する。
「はぁ。はぁ。はぁ。きついっすねぇ……はぁ。はぁ」
かなり息が上がっている。
遠距離魔法部隊も訓練はするのだが、ここまで肉体を使う訓練はしないから当然だ。
ただ、雷斗は前衛でも戦えるようになりたいと言っている。こんなものでは前衛を務めることはできない。だからこその鍛錬なんだが。
まぁ、正直一朝一夕でどうにかなるものでもない。こういった組手のようなものは経験も必要だしセンスも必要だ。刀剣部隊の訓練についていけなかった雷斗は努力しかない。
ここまで道中に多少は訓練しながら来ている為、最初よりはよくなっている。最初はこちらの攻撃に委縮して避ける事さえできなかった。
「大丈夫だ。すぐに体力はつかない。徐々に身体を作っていくんだ。焦ることはないぞ」
「うっす。自分はできるっす」
「そうだ。できる」
以前教えたことを実践しているようだ。昔からの言葉で『病は気から』という言葉がある。気の持ちようで体調を良くしようとしていたのだろう。
それと同じだ。自分が強いと思えば自然と強くなるものなのだ。ただ、奢ってはいけない。自分は強いから弱いものをいじめようというのは弱い人間のすることだ。
少し休憩していたら声を掛けられた。
「失礼します。訓練中すみません。自分は東北基地、刀剣部隊所属の隊員です。中央基地から来たとのことですが、御手合わせを願えませんか? 中央基地の実力を実感したいのです」
これは言葉では勉強したいと聞こえるが、裏では喧嘩を売られているのだろう。中央基地がどれほどなのかと。さっきの鍛錬をみて大したことはないだろうと思われたのかもしれない。
ガタイはそんなでもないが雰囲気で強者だという事が分かる。場数慣れしているようだ。俺よりは年上のようだ。
「あぁ。構いませんよ。雷斗。少し待っていてくれ」
「うっす」
雷斗は何でもないように返事をする。それほど信頼してくれているという事だろうか。
少し離れた所で東北基地の者達が回りを囲んでいた。その中心へと案内される。
(ふっ。俺を見世物にして自分の実力を示そうとしているのかな。それはそれはなめられたものだ)
「誰か開始の合図をしてくれないか?」
その男がそういうと近くにいた男が歩を進めて俺達の間に立った。互いを見合い少し離れる。
「組手開始ぃぃぃ!」
「ふっ!」
先に突きを放ち先手を打ってきたのはあちらの男だった。申し訳ないが、俺は時間をかけるつもりはない。
外へと受け流し顎に突きを放つ。
紙一重で避け、その傾きを利用して上段蹴りを放ってくる。いい攻撃だが、それは俺が良くやる戦法だ。
俺は腰を落として避けながらクルリと回転し、バックスピンキックを放つ。
────ズドンッッ
「ぐふっ!」
腹を抑えるとそのまま倒れてしまった。
(やべぇ。やりすぎたかな?)
「隊長! 大丈夫ですか!?」
その倒れた男は隊長だったようだ。
だから歴戦の戦士のような雰囲気を出していたのか。
「ぐっ! あぁ。大丈夫だ。まさか……ここまで実力差があるとは……」
「いやぁ、紙一重でしたよ。上段蹴りが予想できていなかったら崩されていたでしょう」
「あれを予想していたんですか?」
「実は、俺はあの攻撃よくやるんですよ。その為に身体を柔らかくしています」
あちらの隊長は目を丸くした。自分の得意な戦法だったのだろうか。
「いやはや、完敗だ。お前たちわかったか? これが中央基地の刀剣部隊隊長の実力だ。わかったら訓練に戻れ!」
「「「はっ!」」」
見ていた周りの隊員は敬礼をするとばらけて訓練を始めた。
隊長さんが頭を下げてきたので何事かと身構えてしまう。
「すみませんでした。実は中央基地の実力を知りたいと言い出しまして、さっきの組手を見ていたらいけるんじゃないかと言い出してきかなくてですなぁ。まったく若いもんときたら血の気が多くていけませんな」
「いえいえ。若い者は元気なのが取り柄だと思いますよ。実は、さっきの組手の相手は遠距離魔法部隊の者なんですよ。だからちょっと緩くやってました」
「あの若者は遠距離魔法部隊? あんなに組手ができるのに、凄いですな。やはり中央基地は優秀な人材が豊富だ」
隊長さんは壁に寄りかかると腹をさすっている。
「すみません。つい、いい攻撃が来たんで、力が入ってしまって……」
「いや、いいんです。鍛え方が甘いんです。もっと力を入れないとダメですな」
周りにいた刀剣部隊員はこちらをギョッとした目で見ている。
ご愁傷様だったね。
鍛錬はその日遅くまで続いた。
ここにきて何をするかというと組手だ。
「まずは軽くやろうか」
「はい!」
雷斗が返事と同時に左の突きを放ってくる。
少し身体を傾けて避けると俺も左の突きを放つ。
前後に身体を揺らしながらお互い突きを打ち合い身体を温めて行く。
「しっ!」
雷斗がギアを上げてきた。
下段蹴りを放ってきたのである。
バックステップで避けると、今度はこちらが左突き、続けて右突きと肉薄しながら放っていく。
「くっ!」
雷斗が苦し紛れのアッパーを放ってくる。それをのけ反りながら下がって避け、右の上段蹴りを放つ。
ガードできずに頭へくらってしまった。
軽く放った蹴りだったから大丈夫だろうと思ったが、少しよろけた。
「大丈夫か?」
「まだやれます!」
「慌てなくていいぞ。相手の動きをよく見た方がいい」
「はい!」
こうして十分ほど組手を行いいったん休憩する。
「はぁ。はぁ。はぁ。きついっすねぇ……はぁ。はぁ」
かなり息が上がっている。
遠距離魔法部隊も訓練はするのだが、ここまで肉体を使う訓練はしないから当然だ。
ただ、雷斗は前衛でも戦えるようになりたいと言っている。こんなものでは前衛を務めることはできない。だからこその鍛錬なんだが。
まぁ、正直一朝一夕でどうにかなるものでもない。こういった組手のようなものは経験も必要だしセンスも必要だ。刀剣部隊の訓練についていけなかった雷斗は努力しかない。
ここまで道中に多少は訓練しながら来ている為、最初よりはよくなっている。最初はこちらの攻撃に委縮して避ける事さえできなかった。
「大丈夫だ。すぐに体力はつかない。徐々に身体を作っていくんだ。焦ることはないぞ」
「うっす。自分はできるっす」
「そうだ。できる」
以前教えたことを実践しているようだ。昔からの言葉で『病は気から』という言葉がある。気の持ちようで体調を良くしようとしていたのだろう。
それと同じだ。自分が強いと思えば自然と強くなるものなのだ。ただ、奢ってはいけない。自分は強いから弱いものをいじめようというのは弱い人間のすることだ。
少し休憩していたら声を掛けられた。
「失礼します。訓練中すみません。自分は東北基地、刀剣部隊所属の隊員です。中央基地から来たとのことですが、御手合わせを願えませんか? 中央基地の実力を実感したいのです」
これは言葉では勉強したいと聞こえるが、裏では喧嘩を売られているのだろう。中央基地がどれほどなのかと。さっきの鍛錬をみて大したことはないだろうと思われたのかもしれない。
ガタイはそんなでもないが雰囲気で強者だという事が分かる。場数慣れしているようだ。俺よりは年上のようだ。
「あぁ。構いませんよ。雷斗。少し待っていてくれ」
「うっす」
雷斗は何でもないように返事をする。それほど信頼してくれているという事だろうか。
少し離れた所で東北基地の者達が回りを囲んでいた。その中心へと案内される。
(ふっ。俺を見世物にして自分の実力を示そうとしているのかな。それはそれはなめられたものだ)
「誰か開始の合図をしてくれないか?」
その男がそういうと近くにいた男が歩を進めて俺達の間に立った。互いを見合い少し離れる。
「組手開始ぃぃぃ!」
「ふっ!」
先に突きを放ち先手を打ってきたのはあちらの男だった。申し訳ないが、俺は時間をかけるつもりはない。
外へと受け流し顎に突きを放つ。
紙一重で避け、その傾きを利用して上段蹴りを放ってくる。いい攻撃だが、それは俺が良くやる戦法だ。
俺は腰を落として避けながらクルリと回転し、バックスピンキックを放つ。
────ズドンッッ
「ぐふっ!」
腹を抑えるとそのまま倒れてしまった。
(やべぇ。やりすぎたかな?)
「隊長! 大丈夫ですか!?」
その倒れた男は隊長だったようだ。
だから歴戦の戦士のような雰囲気を出していたのか。
「ぐっ! あぁ。大丈夫だ。まさか……ここまで実力差があるとは……」
「いやぁ、紙一重でしたよ。上段蹴りが予想できていなかったら崩されていたでしょう」
「あれを予想していたんですか?」
「実は、俺はあの攻撃よくやるんですよ。その為に身体を柔らかくしています」
あちらの隊長は目を丸くした。自分の得意な戦法だったのだろうか。
「いやはや、完敗だ。お前たちわかったか? これが中央基地の刀剣部隊隊長の実力だ。わかったら訓練に戻れ!」
「「「はっ!」」」
見ていた周りの隊員は敬礼をするとばらけて訓練を始めた。
隊長さんが頭を下げてきたので何事かと身構えてしまう。
「すみませんでした。実は中央基地の実力を知りたいと言い出しまして、さっきの組手を見ていたらいけるんじゃないかと言い出してきかなくてですなぁ。まったく若いもんときたら血の気が多くていけませんな」
「いえいえ。若い者は元気なのが取り柄だと思いますよ。実は、さっきの組手の相手は遠距離魔法部隊の者なんですよ。だからちょっと緩くやってました」
「あの若者は遠距離魔法部隊? あんなに組手ができるのに、凄いですな。やはり中央基地は優秀な人材が豊富だ」
隊長さんは壁に寄りかかると腹をさすっている。
「すみません。つい、いい攻撃が来たんで、力が入ってしまって……」
「いや、いいんです。鍛え方が甘いんです。もっと力を入れないとダメですな」
周りにいた刀剣部隊員はこちらをギョッとした目で見ている。
ご愁傷様だったね。
鍛錬はその日遅くまで続いた。
0
お気に入りに追加
76
あなたにおすすめの小説
無能スキルと言われ追放されたが実は防御無視の最強スキルだった
さくらはい
ファンタジー
主人公の不動颯太は勇者としてクラスメイト達と共に異世界に召喚された。だが、【アスポート】という使えないスキルを獲得してしまったばかりに、一人だけ城を追放されてしまった。この【アスポート】は対象物を1mだけ瞬間移動させるという単純な効果を持つが、実はどんな物質でも一撃で破壊できる攻撃特化超火力スキルだったのだ――
【不定期更新】
1話あたり2000~3000文字くらいで短めです。
性的な表現はありませんが、ややグロテスクな表現や過激な思想が含まれます。
良ければ感想ください。誤字脱字誤用報告も歓迎です。
異世界クラス転移した俺氏、陰キャなのに聖剣抜いたった ~なんかヤバそうなので学園一の美少女と国外逃亡します~
みょっつ三世
ファンタジー
――陰キャなのに聖剣抜いちゃった。
高校二年生である明星影人(みょうじょうかげと)は目の前で起きた出来事に対し非常に困惑した。
なにせ異世界にクラス転移した上に真の勇者のみが引き抜けるという聖剣を引き抜いてしまったからだ。どこからどう見ても陰キャなのにだ。おかしいだろ。
普通そういうのは陽キャイケメンの役目じゃないのか。そう考え影人は勇者を辞退しようとするがどうにもそういう雰囲気じゃない。しかもクラスメイト達は不満な視線を向けてくるし、僕らを転移させた王国も何やらキナ臭い。
仕方ないので影人は王国から逃亡を決意することにした。※学園一の美少女付き
ん? この聖剣……しゃべるぞ!!※はい。魔剣もしゃべります。
黒の創造召喚師 ―Closs over the world―
幾威空
ファンタジー
※2021/07/21 続編の連載を別枠としてこちらに移動しました。
■あらすじ■
佐伯継那(さえき つぐな)16歳。彼は偶然とも奇跡的ともいえる確率と原因により死亡し、異世界に転生を果たす。神様からの「お詫び」にもらった(というよりぶんどった)「創造召喚魔法」というオリジナルでユニーク過ぎる魔法を引っ提げて。
――そして、大陸全土を巻き込んだ「世界大戦」の元凶であった悪神・オルクスを死闘の末に打ち倒し、平穏を取り戻した
――はずなのだが……神・ディエヴスの依頼により、ツグナたちは新たな戦いに巻き込まれることとなる。
レベルアップに魅せられすぎた男の異世界探求記(旧題カンスト厨の異世界探検記)
荻野
ファンタジー
ハーデス 「ワシとこの遺跡ダンジョンをそなたの魔法で成仏させてくれぬかのぅ?」
俺 「確かに俺の神聖魔法はレベルが高い。神様であるアンタとこのダンジョンを成仏させるというのも出来るかもしれないな」
ハーデス 「では……」
俺 「だが断る!」
ハーデス 「むっ、今何と?」
俺 「断ると言ったんだ」
ハーデス 「なぜだ?」
俺 「……俺のレベルだ」
ハーデス 「……は?」
俺 「あともう数千回くらいアンタを倒せば俺のレベルをカンストさせられそうなんだ。だからそれまでは聞き入れることが出来ない」
ハーデス 「レベルをカンスト? お、お主……正気か? 神であるワシですらレベルは9000なんじゃぞ? それをカンスト? 神をも上回る力をそなたは既に得ておるのじゃぞ?」
俺 「そんなことは知ったことじゃない。俺の目標はレベルをカンストさせること。それだけだ」
ハーデス 「……正気……なのか?」
俺 「もちろん」
異世界に放り込まれた俺は、昔ハマったゲームのように異世界をコンプリートすることにした。
たとえ周りの者たちがなんと言おうとも、俺は異世界を極め尽くしてみせる!
クラス転移から逃げ出したイジメられっ子、女神に頼まれ渋々異世界転移するが職業[逃亡者]が無能だと処刑される
こたろう文庫
ファンタジー
日頃からいじめにあっていた影宮 灰人は授業中に突如現れた転移陣によってクラスごと転移されそうになるが、咄嗟の機転により転移を一人だけ回避することに成功する。しかし女神の説得?により結局異世界転移するが、転移先の国王から職業[逃亡者]が無能という理由にて処刑されることになる
初執筆作品になりますので日本語などおかしい部分があるかと思いますが、温かい目で読んで頂き、少しでも面白いと思って頂ければ幸いです。
なろう・カクヨム・アルファポリスにて公開しています
こちらの作品も宜しければお願いします
[イラついた俺は強奪スキルで神からスキルを奪うことにしました。神の力で学園最強に・・・]
神速の成長チート! ~無能だと追い出されましたが、逆転レベルアップで最強異世界ライフ始めました~
雪華慧太
ファンタジー
高校生の裕樹はある日、意地の悪いクラスメートたちと異世界に勇者として召喚された。勇者に相応しい力を与えられたクラスメートとは違い、裕樹が持っていたのは自分のレベルを一つ下げるという使えないにも程があるスキル。皆に嘲笑われ、さらには国王の命令で命を狙われる。絶体絶命の状況の中、唯一のスキルを使った裕樹はなんとレベル1からレベル0に。絶望する裕樹だったが、実はそれがあり得ない程の神速成長チートの始まりだった! その力を使って裕樹は様々な職業を極め、異世界最強に上り詰めると共に、極めた生産職で快適な異世界ライフを目指していく。
俺だけ展開できる聖域《ワークショップ》~ガチャで手に入れたスキルで美少女達を救う配信がバズってしまい、追放した奴らへざまあして人生大逆転~
椿紅颯
ファンタジー
鍛誠 一心(たんせい いっしん)は、生ける伝説に憧憬の念を抱く駆け出しの鍛冶師である。
探索者となり、同時期に新米探索者になったメンバーとパーティを組んで2カ月が経過したそんなある日、追放宣言を言い放たれてしまった。
このことからショックを受けてしまうも、生活するために受付嬢の幼馴染に相談すると「自らの価値を高めるためにはスキルガチャを回してみるのはどうか」、という提案を受け、更にはそのスキルが希少性のあるものであれば"配信者"として活動するのもいいのではと助言をされた。
自身の戦闘力が低いことからパーティを追放されてしまったことから、一か八かで全て実行に移す。
ガチャを回した結果、【聖域】という性能はそこそこであったが見た目は派手な方のスキルを手に入れる。
しかし、スキルの使い方は自分で模索するしかなかった。
その後、試行錯誤している時にダンジョンで少女達を助けることになるのだが……その少女達は、まさかの配信者であり芸能人であることを後々から知ることに。
まだまだ驚愕的な事実があり、なんとその少女達は自身の配信チャンネルで配信をしていた!
そして、その美少女達とパーティを組むことにも!
パーティを追放され、戦闘力もほとんどない鍛冶師がひょんなことから有名になり、間接的に元パーティメンバーをざまあしつつ躍進を繰り広げていく!
泥臭く努力もしつつ、実はチート級なスキルを是非ご覧ください!
勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!
よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です!
僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。
つねやま じゅんぺいと読む。
何処にでもいる普通のサラリーマン。
仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・
突然気分が悪くなり、倒れそうになる。
周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。
何が起こったか分からないまま、気を失う。
気が付けば電車ではなく、どこかの建物。
周りにも人が倒れている。
僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。
気が付けば誰かがしゃべってる。
どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。
そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。
想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。
どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。
一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・
ですが、ここで問題が。
スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・
より良いスキルは早い者勝ち。
我も我もと群がる人々。
そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。
僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。
気が付けば2人だけになっていて・・・・
スキルも2つしか残っていない。
一つは鑑定。
もう一つは家事全般。
両方とも微妙だ・・・・
彼女の名は才村 友郁
さいむら ゆか。 23歳。
今年社会人になりたて。
取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる