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レイチェルについている侍女と護衛はこの国の者だ。

留学時代に一緒に付いてきていた侍女と護衛は国に帰った。
慣れ親しんだ侍女がいなくて不安にならないかと聞いたが、早くこの国に馴染みたいと言って、婚約後に決めたこの国の侍女が今でもそばにいる。
前の自分を知らないここの侍女の方がよかったんだろうな。

レイチェル付と言ってもこの国の者なので信用しているが、一度全員に聞き取り調査をした方がいいかもしれない。 


レイチェルの部屋に行くと、ツンとした表情でこちらを見ないレイチェルがいた。
………そうか。忘れていたが、会いに来なかったから拗ねたままなのか。どうでもいいが。


「レイチェルと2人で話がある。呼ぶまで誰も入るな。」


侍女たちが出て行ってもレイチェルは拗ねたままだった。


「レイチェル、私に嘘をついていることはないか?」


眉をひそめて視線をこちらに向けた。


「嘘?ありませんわ。
 嘘をついたのはあなたよ?側妃との子作りが終わったというのに会いに来てくれなかった。」

「会いに来るといった覚えはないな。
 私が言っている嘘というのは、君が初夜に言った嘘だ。」


レイチェルは明らかに動揺した。


「嘘は言ってないわ。元婚約者に一度無理やり襲われたって。」

「襲われたのは元婚約者で、襲ったのが君だ。
 それに、他にも体の関係があった男たちがいたらしいな。君は我が国を愚弄しているのか?」
 
「……騙されたのよ。王女は純潔じゃなくても誰も文句なんて言えないって。
 たった数回よ。だから記憶から消したかったの。
 あなたは純潔じゃなくても許してくれたわ。だからもう昔のことはいいじゃない。」

「いいわけがない。純潔は必須だ。托卵されたら困るからな。
 それと、君が妊娠しないのは、その遊び相手に貰った避妊薬が原因だ。」


レイチェルは知らなかったのか、驚いていた。


「どういうこと?粗悪品だったの?」

「だろうな。半年以上、つまり6回以上飲んだ者は妊娠しにくいらしい。
 つまり、君は半年以上も遊び相手に抱かれていたということだな。
 どこがたった数回だ?
 しかも、ほぼ毎回3人を一度に相手していたらしいな。娼婦よりひどい。」


正確に把握されてると気づいたのだろう。顔色が真っ青になった。


「それと、元婚約者とのお粗末な婚約破棄も君の仕込みだろう?
 相手の女性はすぐに逃げたって?学園生でもなかったのか?
 元婚約者は君から逃れられて嬉しかったらしいよ。
 普通に婚約解消すればよかったのに。裏切られて傷心に見られたかったのか?
 違うな。純潔を捧げた相手に裏切られたと思わせる必要があったからか。」

「……そんな、つもりでは。」

「君は嘘ばかりだな。私の婚約者の件も君のせいなんだろう?」

「私が女性を襲われる依頼をしたというの?ひどいわ。」

「……どうしてドレディアが襲われたと知っている?」

「え?……多分誰かに聞いたのよ。」

「誰が軽々しく口にするんだ?
 学園入学前だったドレディアのことを話すとしたら、病気療養で婚約解消したという情報のみだ。」

「あ……でもっ誰かが……」

「見苦しいな。嘘つきな娼婦を王太子妃にしてはおけない。離縁する。」


いやーーーーー!いやーーーーー!待ってーーーーー! 

後ろから叫び声が聞こえるが、無視して部屋を出た。
 
証拠がなくても、レイチェルの依頼だと明らかだった。 



 
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