上 下
6 / 8

6.

しおりを挟む
 
 
ナタリーを無事、ネイドに押し付けることに成功した次はカレンの婚約者探しだった。

わが侯爵家は実はほとんどの公爵家よりも裕福で事業も多岐に渡っている。
これをカレンは継ぐことになるのだが、正直、カレンは賢い。
なのでカレンを大切にしてくれて支えてくれる男ならよいのである。

ナタリーは全く見込みがなかったために、アーサーという優秀な男を婚約者にしたのだ。
約2年も仕事を覚えてくれたアーサーは正直、もったいなかった。
息子にすることはできなかったが、いつか一緒に仕事をする機会もあるかもしれない。
ここで学んだことを彼は自分の領地で活かすだろうから。 

13歳のカレンの婚約者は16歳~12歳くらいの次男か三男か。できれば伯爵位以上。
15歳で婚約者が決まることが多い。
ネイドも15歳だから婚約者を探し、爵位が釣り合うカレンが候補になったのだ。
 
ナタリーがネイドに嫁ぐと知られてから、カレンへの釣書が毎日届く。
中には長男までいたり、30歳の男からも来る。5歳児もある。勘弁してくれ…
だんだんと学園でカレンが自分で探した方がうまくいく気がしてきた。
よし。あの子に任せよう。
そう、少し投げやりな気分になっていた時、アーサーから話があるから伺いたいと連絡が来た。
慰謝料は払ったぞ?まだ何かあったっけ?早速業務提携か?



「お時間を取っていただき、ありがとうございます。」

「いや。問題ないよ。そろそろ爵位を貰ったのかい?」

「いえ。実はそのことで悩んでいまして…ところで、カレンの婚約者は決まりましたか?」

「まだだ。毎日うんざりしているところだ。いっそあの子が学園で見つけてくれないかと。」

「侯爵、私も候補に入れてもらえませんか?」

「…へ?」

「正直に言えば、この侯爵家での仕事に魅力を感じます。やりがいがありましたから。
 それに、カレンと話すのも楽しかった。あの子は頭がいいから。
 私から見れば、カレンはまだ子供です。でも3年後は魅力的な女性になるでしょう。
 その変化も近くで見ていたい。カレンに会わなくなって、そう思いました。
 7歳も上の私ではダメですか?」

「いやいや。君は優秀だし、カレンとならこの侯爵家を支え合ってくれると思うよ?
 あと3年待ってくれるならね。
 カレン次第だ。あの子が君を選ぶなら問題ない。
 言っておくが、いくらカレンがまだ子供だからって婚約したら浮気は許さないよ?
 婚約中に関係があったことを匂わせてくる女性は結婚のトラブルの元だからね。」

「わかっています。今からカレンに婚約の打診をしてもかまいませんか?」

「いいよ。ここで待っていてくれ。カレンを呼んでもらう。」

「ありがとうございます。」


侯爵はカレンの婚約問題が解決しそうな予感に心が晴れた気がした。


 
 
 
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

婚約破棄された公爵令嬢は監禁されました

oro
恋愛
「リリー・アークライト。すまないが私には他に愛する人が出来た。だから婚約破棄してくれ。」 本日、学園の会場で行われていたパーティを静止させた私の婚約者、ディオン国第2王子シーザー・コリンの言葉に、私は意識が遠のくのを感じたー。 婚約破棄された公爵令嬢が幼馴染に監禁されて溺愛されるお話です。

【完結】悪役令嬢の真実

三園 七詩
恋愛
悪役令嬢と言われた侯爵令嬢のお話 それは第一王子の婚約者として上手くいっていた人生に訪れた変化だった。 急に学園に編入してきた光の魔法をもつヒカル嬢…彼女の言うことに周りは翻弄されていく?

【完結】婚約破棄したのに殿下が何かと絡んでくる

冬月光輝
恋愛
「お前とは婚約破棄したけど友達でいたい」 第三王子のカールと五歳の頃から婚約していた公爵令嬢のシーラ。 しかし、カールは妖艶で美しいと評判の子爵家の次女マリーナに夢中になり強引に婚約破棄して、彼女を新たな婚約者にした。 カールとシーラは幼いときより交流があるので気心の知れた関係でカールは彼女に何でも相談していた。 カールは婚約破棄した後も当然のようにシーラを相談があると毎日のように訪ねる。

【完結】私は関係ないので関わらないでください

紫崎 藍華
恋愛
リンウッドはエルシーとの婚約を破棄し、マーニーとの未来に向かって一歩を踏み出そうと決意した。 それが破滅への第一歩だとは夢にも思わない。 非のない相手へ婚約破棄した結果、周囲がどう思うのか、全く考えていなかった。

婚約者は私が大嫌いなんだそうです。じゃあ婚約解消しましょうって言ったら拒否されました。なぜだ!

リオール
恋愛
伯爵令嬢ミリアには、幼い頃に決められた婚約者が居た。 その名もアルバート。侯爵家が子息である。 だがこのアルバート、会えばいつも嫌味に悪口、果てには暴力ととんでもないモラハラDV男だった! 私は彼が大嫌い。彼も私が大嫌い。 なら当然婚約は解消ですよね。 そう思って、解消しましょうと言ったのだけど。 「それは絶対嫌だ」 って何でですのーん!! これは勘違いから始まる溺愛ストーリー ※短いです ※ヒーローは最初下衆です。そんなのと溺愛ラブになるなんてとんでもない!という方はレッツUターン! ※まあヤンデレなんでしょうね ※ヒロインは弱いと思わせて強いです。真面目なのにギャグ体質 ※細かい事を気にしてはいけないお話です

殿下の愛しのハズレ姫 ~婚約解消後も、王子は愛する人を諦めない~

はづも
恋愛
「すまない。アメリ。婚約を解消してほしい」 伯爵令嬢アメリ・フローレインにそう告げるのは、この国の第一王子テオバルトだ。 しかし、そう言った彼はひどく悲し気で、アメリに「ごめん」と繰り返し謝って……。 ハズレ能力が原因で婚約解消された伯爵令嬢と、別の婚約者を探すよう王に命じられても諦めることができなかった王子のお話。 全6話です。 このお話は小説家になろう、アルファポリスに掲載されています。

婚約者に嫌われた伯爵令嬢は努力を怠らなかった

有川カナデ
恋愛
オリヴィア・ブレイジャー伯爵令嬢は、未来の公爵夫人を夢見て日々努力を重ねていた。その努力の方向が若干捻れていた頃、最愛の婚約者の口から拒絶の言葉を聞く。 何もかもが無駄だったと嘆く彼女の前に現れた、平民のルーカス。彼の助言のもと、彼女は変わる決意をする。 諸々ご都合主義、気軽に読んでください。数話で完結予定です。

【完結】真実の愛とやらに目覚めてしまった王太子のその後

綾森れん
恋愛
レオノーラ・ドゥランテ侯爵令嬢は夜会にて婚約者の王太子から、 「真実の愛に目覚めた」 と衝撃の告白をされる。 王太子の愛のお相手は男爵令嬢パミーナ。 婚約は破棄され、レオノーラは王太子の弟である公爵との婚約が決まる。 一方、今まで男爵令嬢としての教育しか受けていなかったパミーナには急遽、王妃教育がほどこされるが全く進まない。 文句ばかり言うわがままなパミーナに、王宮の人々は愛想を尽かす。 そんな中「真実の愛」で結ばれた王太子だけが愛する妃パミーナの面倒を見るが、それは不幸の始まりだった。 周囲の忠告を聞かず「真実の愛」とやらを貫いた王太子の末路とは?

処理中です...