誰にも口外できない方法で父の借金を返済した令嬢にも諦めた幸せは訪れる

しゃーりん

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カサンドラが妊娠のために部屋に引きこもっているという、以前と同じ状況を作り出し、事情を知る者たちには部屋の主は誰もいないけれど、いるかのように動いてもらった。

カサンドラへの茶会や観劇などの誘いも、妊娠を理由に断った。

あとは別邸の令嬢が子供を産み次第、カサンドラは死亡したと周知させるだけだった。



ブラッドリーはどうしてこんなことになったのかと考えていた。

王命でパモ公爵家の令嬢と結婚することで、過去の因縁を忘れろと言われた。
そもそも、過去の因縁は自分は知らないことだ。

父が言うには、パモ公爵家側からの言いがかりのようなもので、面倒事がブラッドリーの結婚でなくなるのであればいいことだと言っていた。

長女との縁組かと思えば、パモ公爵家側は次女のカサンドラを指名した。

どちらでも良かった。

女に興味はない。
子供を産んでくれさえすればいいと思っていた。

父が急逝し、ブラッドリーが公爵となった。母は屋敷を出て遊びまわっている。
そんな中、カサンドラと結婚した。

カサンドラが平民の娘だと聞き、この公爵家に平民の血を入れることはできなかった。
いずれ離婚を考えるが、王命であるためにまだまだ先にしようと思った。
しかし、カサンドラからの別の令嬢に産ませるという案はいいのではないかと思った。

カサンドラは公爵夫人としては特に問題はない。
一応、パモ公爵家でしっかりと教育をされていたようだ。
それに、離婚しても彼女の居場所はないのではないかと考えたから。

セバスに頼んで、令嬢を見つけて来てもらった。
目隠しをして、手も縛られた少し令嬢は怯えていた。
そんな姿を可哀想だと思いながらも興奮する自分もいた。

ブラッドリーに女性経験はなかった。 

よく堅苦しい男だとは言われたが、女性に対しても妻以外の女性に触れるなんてあり得なかったのだ。

愛撫が拙かったのか、女性はひどく痛がった。
手早くし過ぎたのかもしれない。勉強が必要だった。

シーラに次は来月だと言い残し、閨の指南書で勉強した。

翌月の令嬢は少し落ち着いたようだった。
それでも慣れていない体のため、ブラッドリーだけが満足するような結果だった。

さらに翌月は、ブラッドリーにも余裕が出てきた。
少し反応を示すようになった令嬢に興奮を覚え、一度ではなく二度もしてしまった。
令嬢も驚いていたが、妊娠の確率を上げるためだと自分に言い訳をした。
本当は三度目もできたほど、女性の体とは気持ちいいものだと思った。

しかし、令嬢が妊娠したために閨事はなくなった。
残念にも思ったが、本来の目的は子供だ。

無事に出産してくれた令嬢が産んだのは男の子だった。ラインハルトと名付けた。

しばらく時が経ち、ふと使用人の会話が聞こえた。
『下の子供がやんちゃで……』
それがきっかけで、2人目の子供が欲しいと思った。

セバスに頼み、前の女性をお願いした。

だが、ベッドに横たわって縛られた女性には違和感がある。
しかし、あれから年月が経ったことで女性側にもいろいろあったのだと思うことにした。

部屋が薄暗くて、違和感が強くなりながらも久しぶりの女性の体に興奮もしていた。
だが、挿入で気づいた。明らかに違う。
抜こうとしたが、女性の脚で逃げられなくなり、思わず中に放ってしまった。

慌ててセバスに問い質したところ、前の女性は結婚したという。
なので、同じ条件の女性を連れて来たらしい。

しかし、彼女の中は緩くて、遊びなれた阿婆擦れというものだと思った。
彼女が妊娠していなければ帰すように指示をしたが、一度で妊娠してしまった。

そして、カサンドラの逃亡。

彼女は刑を受けているため、二度と会うことはない。

別邸の令嬢も子供を産めば、二度と会うことはない。

一度目の令嬢とまた閨を共にしたかったが、結婚してしまった女性を追いかけることはできない。

女運のない自分は、2人の子供と生きていこうと決めた。




 
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